HPV検査用採取器具セルソフトに関する論文

この研究はHPV検査における自己採取器具の検体採取能力を確認するために行いました。
比較の対象としたエヴァリンブラシは、HPVの採取能力が医師採取と変わらないとの報告があり、それが世界的に認知され普及しています。セルソフトの強みはHPV検査のみならず、多目的検査に対応できますので、HPV検査においてほぼ同等の結果が得られれば、一度の採取で必要に応じていろいな検査に対応できることです。

HPV検査単独法が子宮頸がん検診に承認されたことで

子宮頸がん検診は、これまで行われてきた細胞診単独法(推奨グレードA、検体は医師採取に限る)に加え、HPV検査単独法も推奨グレードAになり、厚労省からも指針が示され、今年4月1より自治体でも徐々に採用するところが増えてくると思われます。検体採取は原則医師採取とするになっていますが、その理由として我が国においてその有効性が明らかになっていないからとされています。今回の研究で比較の対象としたエヴァリンブラシは自己採取器具で、検体採取能力は医師採取と同等と言われていますが、セルソフトはそれと同等の採取能力が確認されたため、子宮頸がん検診の受診率向上に期待されます。

米国FDA、HPV 検査で自己採取を許可、がん早期発見に一助

情報入手先:日経新聞
内容:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN16E3P0W4A510C2000000/

セルソフトは通常の検診が苦手な人のために開発したデバイスです。
そのような方にも手軽に採取できる器具なので、各自治体でもこれまでの細胞診検査に加え(これまでの検診が苦手な人にも)新しい検診の機会を提供して頂けると我が国の子宮頸がん検診受診率が一気に50%を越し、欧米並み水準も期待できると思います。
日本の未来のために、わが国でも早急に“HPV検査に自己採取を許可”して頂きたいものです。

子宮頸がん検診(HPV検査用)採取器具セルソフト完成!

前回のブログでHPV検査のことを話しましたが、その時に紹介したHPV検査用採取器具セルソフトについて少し詳しく説明します。
もう8年程前になりますが、同じ頃2組の方がアイラボに来られました。
その人達の共通点は、既に世に出回っている加藤採取器具は素晴らしい器具ですが、“外観がごついのでもう少し優しいイメージの器具にできないか?”という点と“自己採取=悪法”のレッテルを一掃できるような器具を作りたいというものでした。
私と加藤式との出会いについては(私の)別のブログ「https://ameblo.jp/yoshio0816/」でも詳細に紹介していますが、もう40年も前のことになります。医師採取検体があまりにひどい(検査にならない)ことが続いた頃、加藤式で採取した標本に出会いました。『素晴らしいの一言』、いつか自分が責任ある立場になったら、加藤式についてじっくり検討してみようと思ったのです。
その当時の写真で、をした標本は不適正としたものです。
当時の加藤式で作製された写真はありませんが、
このように採取器具から直接塗抹標本を作製したものです。
(加藤式標本作製法より抜粋)
これは現在アイラボで作製している細胞診標本です。
このような薄層塗抹標本を作製することで異型細胞の検出率は約2倍になりました。

子宮頸がん検診の受診率を50%まで上げようとしていた時

当時在籍していた八王子高尾ライオンズクラブで講演したスライドがありました。
細胞診でLSIL以上の異型細胞がどれだけ検出されたのかを比較したものです。
先ず、医師採取の代表的な機関として日本対がん協会各支部の平均と八王子市を上げました。医師が採取して直接スライドガラスに塗抹したケースでは1%と0.89%でした。自己採取についてはあまり資料がないのですが、加藤式については名古屋公衆医学研究所と千葉県の某検査機関から得られた加藤式自己採取器具で直接塗抹したものでは0.99%と0.89%と医師採取と大きな相違がないことが分かります。
しかし、平成22年度(2010年)東京都衛生検査所精度管理事業報告書の中で年間5000件以上自己採取検体を扱っている検査会社の検出率をみると、A、B、C社はそれぞれ0.36%、0.44%、0.36%とほぼ同じ成績で自己採取法の検査精度が極めて悪いことが分かります。しかし、D社は0.92%と医師採取や加藤式と同じような成績でしたのでその会社に問い合わせました。その回答は検査の対象は全て風俗営業従事者であり、採取器具はホームスミアでした。ホームスミアについての資料はこれしかありませんし、私自身が採用した経験がないのでコメントを控えさせていただきますが、私共が加藤式を用いて風俗営業従事者の検査を実施した成績(日本性感染症学会2011.12、藪崎宏美発表)では、367名中LSIL32名、ASC-H13名、HSIL6名で、LSIL以上と診断したのは51名13.8%でした。 そして今回、セルソフトを用いた調査(APOCP,volume25(2024)issue5に掲載予定)においても、風俗営業従事者30例中LSIL5名、ASC-H1名、HSIL1名とLSIL以上のケースが7例23.3%でした。LSIL以上の異型細胞の検出率のみで較するとホームスミアに比べ13~23倍になります。
このような作業をしていた頃、自己採取法の実態が分かればと思い、某大手検査会社の営業部門を訪問しました。そこではすでに加藤式に比べホームスミアにおける異型細胞の検出率は1/10以下であることを認識されていたことに衝撃を受けました。

自己採取法のイメージを変えたい! そしてもっと普及させたい!

前に紹介した2つのグループの思いがこんなところにあったのです。
その後、一方のグループは外観や機能が加藤式とは全く異なる試作品を作り意見を求められましたが、それ以降進捗状況などの報告は受けていません。そしてもう一方の会社は安全性が担保されている加藤式の改造に着手していました。外観をやさしくして、機能も向上させ、材質には環境にやさしいバイオマスプラスチックを使用したセルソフトを完成させました。
見た目は加藤式に比べ優しい感じがして、イメージチェンジができたようです。
器具の長さ、挿入部の長さ、スポンジ部分の長さは加藤式と変わりませんが、挿入部が若干細くなっています。
材質を変えたことは軽量化にもつながり、扱いやすくなりました。

関係した皆さんに心より感謝申し上げます

アイラボに最初に見えたのが、吉田興産株式会社吉田勝彦社長でした。子宮頸がん検診の受診率が上がらないわが国において、加藤式自己採取器具の有効性を高く評価した上で、外観も含め女性が安心して使って頂けるものにしたいという思いで大成化工株式会社と株式会社アイ・ラボCyto STD研究所との橋渡し役として粘り強く活動して頂けました。
大成化工株式会社代表取締役社長の白石保行氏も自ら数回当社アイラボに足を運んで頂きました。吉田社長と同様、女性の健康を守るデバイスとして加藤式を高く評価し、加藤式採取器具存続の必要性を熱く訴え、利益度外視でセルソフト開発に望んで頂きました。
心より感謝申し上げ、セルソフトが多くの女性の健康を守るデバイスとして認知され普及することを心よりお祈り申し上げます。
最後になりますが、セルソフト改良に取り組んで頂いた大成化工とアイラボのスタッフの皆さんに感謝申し上げます。また、論文提出に関係した杏林大学保健学部大河戸光章先生、論文筆頭者の藪崎宏美さん、英文担当の椎名奈津子さんに感謝申し上げます。

なお、論文はAsian Pacific Journal of Cancer Prevention, Vol 25の5月号に6月2日に掲載されます。

子宮頸がん検診ガイドライン2019年についての私見

我が国の子宮頸がん検診の受診率は43.6%(2022年)、HPVワクチン接種率は1.9%(2019年)と世界的に見ても最低レベルと言っても過言ではありません。
この背景には、行政の対応のまずさはいうまでもありませんが、対岸の火事的思考(遠くの出来事に無関心であること)や喉元を過ぎれば熱さも忘れるといったことわざがある様に日本人の国民性とも言われています。自分には何の症状もないし、(何の根拠もないのに)自分には子宮頸がんは関係ないと都合よく解釈したり、芸能人が子宮頸がんになったと聞くと慌てて検診を受ける人が増えるが、それも一時的です。
結局のところ、十分な教育がなされていないことが最大の要因かも知れません。
このスライドは、2015年、ライオンズクラブに在籍中、八王子市の市民団体
『有害情報から子供を守る会』主催のシンポジュウムで使用したものです。
その中に下に示す1枚のスライドがありました。
私が20代(50年も前)の頃、千葉大学教育学部養護教諭養成課程の故武田 敏教授の元で性教育を学んでいましたが、その時日本人の国民性という言葉がよく出てきました。このスライドの様に、
日本人の性に関する教育が如何にゆがめられていたかが良く理解できると思います。
私が中学生の頃、“男子は外で遊んでいろ”と言われ、女子だけが暗幕を貼った教室で何やら“男子には聞かせたくない話”がありましたが、まさにそれは月経教育であったのです。性に関することはなるべく内緒にしておく教育が今なお尾を引いている気がします。

私がHPVの研究を始めた今から40年も前のことですが、学会でHPV感染のことを発言すると座長の先生から『子宮頸がんの原因になるHPV感染は性感染症(性病)であるといってはいけない』とよく言われたものです。それはなぜかと問うと、『クラミジアや淋病とは違い、感染している人があまりに多く、症状もないので性感染症と言ってはいけない。』という回答でした。子宮頸がん検診の受診率が上がらない中、HPV感染が性感染症だと言うと、「(何の根拠もなく)私にとって性病は関係ない」という女性が益々検診を受けなくなるのではないかと心配したのかも知れません。

米国に住むある日本人いわく、HPVの感染が子宮頸がんの原因になると聞いた米国人は『私は大丈夫か?と言ってすぐ検査に行く』そうですが、日本人は(何の根拠もなく)「私はHPVには関係ない」と、対岸の火事的思考は欧米の人とは異なりますね。

私はこのブログで、セルフメディケーション(自身の健康は自分で守る)の考えを広めるため、女性特有の病気について様々なケースを紹介し、自身の知識を広めて頂きたいと考えています。
今回は最新の子宮頸がん検診ガイドラインについて勉強したいと思います。

HPV検査単独法が推奨グレードAになった

細胞診単独法HPV検査単独法推奨グレードAに、細胞診・HPV検査併用法推奨グレードCで、細胞診単独法の検体採取は医師採取に限り自己採取は認めないになっていますが、HPV検査単独法と細胞診・HPV検査併用法は、検体は医師採取を原則とするとなっています。その理由は「国内でのエビデンスが不足しており、受診率向上につながるか、精密検査以降のプロセスにつながるかなどのfeasibility研究が必要である。」としています。
HPV検査単独法と細胞診・HPV検査併用法は医師採取を原則とするになっていますので、、これまで医師採取を苦手としていた人や仕事や子育てで忙しい人、わざわざ検診機関まで出向くのが面倒という人にとっては朗報といえます。

自己採取器具エヴァリンブラシとは

エヴァリンブラシは採取後乾燥できるため郵送に適しており、医師が採取した成績と一致しているため(Tranberg et al.,BMC Infecious Diseases,18,1-7,2018. Polman et al.The lancet oncology,20,229-38.2019. Onuma et al. International Jounal of Clinical Oncology,25,1854-60,2020.)、世界中で採用されています。写真上に示すように、ストッパーがついているため、安心して使用できます。挿入部の長さは4cm、細胞採取ブラシの長さは3.3㎝で全長7.3cmの器具です。

前述のように採取後細胞は乾燥状態で検査施設まで運ばれるため、HPV検査のみに使用されます。
輸送しやすいメリットはありますが、陽性と判定された場合は、現状の進行度(NILM、LSIL、HSILなどの)が分からないので、医療機関を受診して必ず細胞診検査を受けることになります。
このルールが守れないと検査の意味が全くなくなります。

下の白い採取器具は加藤式です。子宮頸がん検診用に開発され、細胞診を目的とした自己採取器具としては最も優れた器具と思われます。当社では、医師採取が苦手な方や忙しい方、検診に足を運ぶのが面倒な方に郵送検査として提供しています。
細胞診のみならずHPV検査や淋菌クラミジアなど婦人科領域の検体採取器具として利用できます。

中のピンクの採取器具は加藤式をグレードアップしたもので、大阪の大成メディカル社が主にHPV検査用に開発したものです
加藤式と同様に保存液を添加して検査施設まで輸送しますので、同一検体で細胞診やおりもの検査にも使用できます。
HPV検査で陽性の場合、残りの検体で細胞診の追加検査ができる点が今後に期待されます。

アイラボのHPV検査単独法とは、、、、

我が国の子宮頸がん検診は細胞診単独法で進められてきましたが、受診率向上を目的に自己採取によるHPV検査単独法が自治体や企業検診への導入が期待されます。
そんな中、アイラボの郵送検査の最大の特徴は全ての検体(例えば淋菌やクラミジアの検査でも)についてパパニコロウ標本(細胞診標本)を作製し、検体の適否判定、炎症の有無、感染症や臭い、更にホルモン状態のチェックを簡単に行っています。勿論アイラボのHPV検査単独法による子宮頸がん検診でも、そのようなチェックを行っていますので、是非アイラボのHPV検査をお試しいただければ幸いです。

クラミジア感染に見られる星雲状封入体とは

子宮頸部にクラミジアが感染すると、粘膜の下にリンパ濾胞というリンパ球の集まりがつくられます。
リンパ濾胞が粘膜の表面に露出する状態になると、子宮頸部の細胞診標本には沢山のリンパ球が観察されるようになり、濾胞性頸管炎と診断することが出来ます。このことは2024,4,29日の記事で紹介しました。
今回はクラミジアが感染して細胞の中で増えるとどのように見えるのかという話をしましょう。
クラミジアは黄色の矢印で示したように、細胞の中に吸い込まれるようにして侵入して感染が成立します。そして細胞からエネルギーをもらって分裂を繰り返し、白の矢印で示したように少しずつ大きくなっていき、それらがさらに一緒になって赤の矢印で示すように大きな封入体になります。この大きな封入体はいずれ風船のように膨らみ、最後は割れて中に入っている膨大な数のクラミジアが腟内に放出されます。大きな封入体をよく見ると細かな粒子(基本小体)と大きな粒子(網様構造体)が存在します。私はこの封入体に星雲状封入体と名付けました。
Yoshio Shiina.Cytomorphologic and Immunocytochemical Studies of Chlamydial Infection in Cervical Smears,Acta Cytologica,29:683-691,1985.
この写真は私が初めてクラミジアの封入体を発見した細胞です。白や赤の矢印で示したところにこれまで経験したことがない構造が見えたため、この細胞を写真撮影した後に脱色して酵素抗体法という方法でこのものがクラミジアであることを確認しました。赤の矢印で示す封入体ではより細かな粒子と粗い粒子が観察されます。
酵素抗体法という方法、すごいでしょう!
この方法についてはまた後で紹介しますが、この方法は(非特異的な反応が出るたため)細胞診には不向きな方法と言われていたのですが、実はそんなことはなく、ある処理をすることで極めて信頼性の高い方法であることが分かったので日本臨床細胞学会誌(椎名義雄、川生昭、根本道則、他、細胞診における酵素抗体法応用に関する基礎的研究、日臨細胞誌.21:8-14)に投稿しました。その後多くの研究者がこの方法を用いていろいろなことが分かるようになりました。
クラミジアに感染した細胞に見られる様々な星雲状封入体を図にまとめました。細かい粒子が基本小体(成熟して感染力のあるクラミジア)で、大きな粒子が網様構造体(未熟なクラミジアで感染力はありません)です。
あたかも星雲の様に見えました。
図Aは感染初期、図Bは増殖が進み、図Cは成熟型で基本小体が多い、図Dは網様構造体が多い、図Eは増殖が抑えられた封入体?
図Fのcoccoid  bodyという言葉は故Guputa先生(米国ペンシルバニア大学病院病理))が名付けたことばで、我がアイラボの藪崎宏美が大学の卒業論文でcoccoid bodyは円柱上皮細胞に感染した時に見られる所見であることをやはり酵素抗体法を用いて証明しました。
星雲状封入体や酵素抗体法について分かって頂けましたか?
若き頃、こんな研究に没頭していたころを懐かしく思い出しながら、、、、
1997年、武藤化学株式会社発行の本に掲載しています。
婦人科系感染症や腫瘍に酵素抗体法を応用した内容です。

嫌な臭いが心配で郵送検査を受けた

最近においが気になるので郵送の検査を受けた
ケースの話。
性器の臭いは様々です。
自分の臭いが異常なのかどうなのかもわからない人が多いようです。
昔、日本臨床細胞学会で細菌性腟症に関する発表をしましたが、座長の先生から「細菌性腟症はどんな臭いですか?」との質問を受けました。
「私は医者ではないので、臭いについては分かりません。」と答えると、座長の先生は、「診察の時、最もきついニオイは進行した癌ですが、診察の時チョット臭いが気になる人がいますが、それなのかな?」と言っていました。
私が細菌性腟症の研究を始めたきっかけは、ある婦人科の女医さんが子宮頸がん検診の依頼書に(臭い⊕)と書かれていましたが、その数があまりにも多いので先生に問い合わせると、「気になる臭いがあるのでそう書いています。父(婦人科医)が「診察の時に気づいたことがあればメモをしておきなさい」と言うので、いつもそうしていますが、何か困ることがありますか?」という答えが返ってきました。
実はこの女医さん、細菌性腟症という言葉は知っていましたが、先生が(臭い⊕)と書かれた人が細菌性腟症による臭いとは理解されていなかったようです。
このことからも分かるように、細菌性腟症はちょっと気になる臭いなんです。
医学的には「魚臭帯下(魚の生臭さ)」と表現されますが、女の子の間ではイカ臭いと表現されることが多いようです。
この依頼者も、イカ臭いと表現していました。
早速細胞像を見てみましょう。
このように弱拡大で観察しても一目瞭然細菌性腟症が疑われる所見です。
でも待てよ!写真中央にちょっと目立つ大きな細胞があります。
これも細胞検査士が見れば一目瞭然ヘルペス感染細胞かな?
拡大を上げてみました。
大きな細胞の中に複数の核が見えます。
典型的なヘルペス感染細胞です。
しかも核の中をよく見ると、赤っぽく染まる丸い大きな物が見えますが、これは好酸性核内封入体と言います。
これは初感染(初めてヘルペスに感染)では見られない現象で、再発を意味します。
つまり、現在ヘルペスの症状はないが、腟内で再発しているという事なのです。
やはり細胞診はすごいね

他の部位にも同じような細胞が見られます。
こちらも拡大を上げてみました。
核がたくさんある細胞のように見えますが、
実は別々の細胞が寄り集まって一つの細胞のように見えるのです。
ヘルペスに感染した細胞は細胞融合を起こすため、
各々の核が重なることなしに寄り集まっているように見えるのです。

腟内のヘルペスは症状が出ないので発症に気付かない!

ヘルペスが外陰部に初めて発症した時は、
激痛のため歩行困難になることもあります。
しかし、再発を繰り返すたびに症状は軽くなります。また、腟内に発症した場合、今回の様に痛いといった症状は出ませんので、
発症していることに気が付かないため、
この時期の性交渉は大変危険です。

といった具合で、
細胞診って色々なことが分かるから、誰でも
気軽にチャレンジできる郵送検査
を利用してくださいね。

不正出血、先生は子宮頸がん検査をしたけど

ある婦人科の先生から、不正出血があった人の子宮頸がん検査の依頼がありました。
検体は血液成分が多かったので、通常より長めの(36mm幅)の標本を作製しました。
その理由は、血液成分を多く含む検体は相対的に観察すべき細胞が少なくなるのです。
早速顕微鏡を見てみましょう。
背景にはオレンジ色に染まる赤血球がたくさん見えます。
白血球はあまりないので、出血はしているものの腟炎は起こしていないようです。
標本をくまなく観察しても子宮頸がんに関係がある異型細胞は見られません。
この写真を見た段階で、アイラボの職員に標本を回しました。
流石、我が職員達は私に手渡された理由が理解できたようです。
拡大を上げてみました。
写真中央やや左下で緑色っぽい細胞はトリコモナス原虫。
これは細胞検査士ならだれでもわかります。
さて、これからが問題!
核が一つしかない細胞がコロコロしています。
リンパ球?
さらに拡大を上げてみました。
トリコモナス原虫の核が縦に細長く見えます。
この写真の中には13個くらいの細胞が見えますが、その中で核が1個しかない細胞が4個見えます。
これらはリンパ球ですが、リンパ球の割合が多いので濾胞性頸管炎が疑われます。
子宮の入り口(子宮頸部)にリンパ球の塊(リンパ濾胞)を作る代表的な感染症はクラミジア感染です。この標本の中に星雲状封入体を有する細胞が確認できれば、クラミジア感染の診断は可能ですが、それを確認できなくてもこのケースの様に濾胞性頸管炎の所見だけでも、かなりの確率でクラミジア感染を疑うことが出来ます。

従って、このケースはトリコモナスとクラミジアのダブル性感染症(性病)が疑われますので、検査を依頼された先生には、その旨を報告しました。
後日、先生からはクラミジアの追加検査を頂き、
この例もクラミジア感染が確認されました。
細胞診は奥が深いですね
これが星雲状封入体を有する細胞です。

婦人科細胞診は婦人科感染症の総合的診断法です

今後、子宮頸がん検診にHPV検査単独法を採用される自治体や健康保険組合が増えてくると思いますが、採取器具によってはHPV検査しかできませんので、このように腟内の状況を見ることが出来なくなります。
アイラボでは採取器具を加藤式やセルソフトを採用し、しかも必ず顕微鏡で検体の適否判定を行っていますので、
そこで得られる腟炎や感染症、さらに腟内フローラの状況等についても報告していきたいと考えています。
アイラボはこの作業を最も大切にしています。
HPV検査の報告は、ハイリスク型の感染があるかどうかの結果のみが報告されます。
従って、見本の報告書の中の赤い文字についての報告はありません。
自己採取法では医師の内診に相当する観察はありませんので、私達は内診に代わるものとして顕微鏡で観察した状況を報告するようにしています。

今回は少し内容がずれてしまった感はありますが、細胞診は様々な情報を提供してくれますので、受診者はもとより、結果をみた婦人科の先生方にも重要な情報提供になると思います。

腟活サプリメント!! 
 WOMANs VALUE AWARD 最優秀賞 受賞

この度、一般社団法人日本ウーマンズバリュートレーニング協会が主催する
「WOMAN's VALUE AWARD~Femtech~」にて、アイラボとコラボしているFemCiaさんの
サプリメントと検査キットが下記の賞をダブル受賞いたしました!!

【サステナブル部門】   最優秀賞『CareLact』
【エンパワーメント部門】 優秀賞 『膣内フローラ検査キット』
 
腟活サプリメントとして毎日の健康のサポートにお役立ていただければ幸いです。
フェムシアの膣内フローラサプリ、”Care Lact サプリメント”とは?
とても不思議に思うかもしれませんが、Care Lact(ケアラクト)は乳酸菌(GR-1、RC-14)で膣の調子を整えることが出来ます。消費者庁の機能性表示食品としての届出をしている商品で、効果や安全性のエビデンスが揃っています。
いくらお手入れしてもケアしきれない理由は膣内環境にありました。膣内には善玉菌と悪玉菌が存在しています。善玉菌とは、ラクトバチルス属の乳酸菌のことで、その乳酸菌の働きで腟内が常に「酸性」に保たれるようになっています。しかし、膣の不調の原因は乳酸菌の減少で悪玉菌が増え、膣内の「酸度が低下」してしまうからです。
酸性に保たれた膣内は、雑菌の侵入や繁殖を防ぎ、健康な状態を維持しますが、疲れやストレス、抗生物質の服用、性行為、膣洗浄などの影響で善玉菌が減ってしまうと自浄作用が機能しなくなってしまい、様々な膣トラブルの原因となります。
ケアラクトは、2種の生きた乳酸菌が約10億個配合されており、これにより膣内環境を整えます。
お薬ではないので即効性はありませんが、乳酸菌で膣内フローラを整えることで不調に強い環境を備えます。副作用がなく、体に優しいサプリメントで長期的にケアすることをオススメします。

 パッケージをクリックでお申込みフォームへ

分からないことがありましたらお気軽に!

検査のお問い合わせは 
アイラボ ☎042-652-0750

サプリメントのお問い合わせは
株式会社ドウシシャFemcia
公式サイト https://femcia.com/
☎0120-147-148 
受付時間:平日10:00~17:00
(年末年始・夏季休暇等を除く)

アイラボが取り扱う女性用検査キット一覧は以下からご覧になれます。

https://ilabo-cyto-std.com/onlineshop/category/item/itemgenre/forfemale

アイラボのHPV検査単独法による子宮頸がん検診

子宮頸がん検診ガイドラインでは、細胞診単独法とHPV検査単独法が推奨ランクAに、また、細胞診・HPV検査併用法が推奨ランクCになっています。細胞診単独法は医師採取に限るが、HPV検査単独法と細胞診・HPV検査併用法は医師採取を原則とすとなっています。
私達は子宮頸がん検診の受診率を上げる目的で、細胞診にも自己採取による検査を提供していますが、HPV検査に関しては、エバリンブラシで採取した場合、医師採取と大きな違いなないことが報告されています。また、私達が実施したエバリンブラシとセルソフト(加藤式自己採取器具の改良型で、大成メディカル社製(大阪))との比較においても、ほぼ同様の成績が得られ(論文掲載受理)、自己採取法の普及と受診率向上が期待されます。
写真の様に、器具の外観だけでも3種の違いは一目瞭然です。
上はオランダ製のエバリンブラシ、中はセルソフト、下は加藤式採取器具です。
セルソフトは5年ほどかけてアイラボと大成メディカル株式会社が加藤式の安全性を担保した形で外観や利便性を向上させた最新の採取器具ですが、細胞採取効率に関しては変わりありません。

加藤式やセルソフトに比べエバリンブラシは、採取部位が4cm程短く、子宮腟部を擦過するというよりも腟の奥から細胞を絡め採るようにできています。一方加藤式とセルソフトはスポンジ部分で子宮腟部を擦過し、更に後腟円蓋部に自然に剥離して溜った細胞まで絡め採る機能があります。従って、細胞成分を沢山採取するという点では加藤式やセルソフトがすぐれていることが分かります。

しかし、私達が試みた研究(エバリンブラシで採取した後にセルソフトで採取した成績)ではHPVを捕捉するという点において、大きな相違は見られていませんので、HPV検査には両者共に推奨されると思われます。
このような絵で見るとわかりやすいですね。
加藤式やセルソフトは腟内の最も奥まで到達し、腟内に子宮の入り口が出っ張った子宮腟部を擦過してくることが分かります。

加藤式だからできるHPV検査とは

加藤式採取器具で届いた検体です。
受付作業が終えると検査の下準備に入ります。
先ずは、細胞成分が採取されているスポンジの部分をアイラボの細胞保存液の中に洗い出します。
白く濁って見えるのが細胞成分です。細胞が多いほど濁りは強くなります。
遠心分離機にかけると、細胞成分は試験管の下に集まりますので、上の液を捨てます。
このように細胞成分だけが沈渣として得られます。
この細胞成分を全ての検査に使用します。
アイラボの郵送検体は自分(検体を採取するのは素人)で採取しますので、全ての検体(例えばHPV検査だけの依頼であっても)について検体の適否判定(検体として適切かどうかを判断)を行ったうえで検査を開始します。このように、少ない面積ですが遠心分離した沈査(細胞成分)をガラスに塗って子宮頸がん細胞診検査と同じパパニコロウ染色を行います。
婦人科を受診すると、先生は細胞を採取する際に内診をしますが、自己採取ではそれもできませんので、このような簡易的な標本で、白血球の増加(炎症)はないか?、その他にも顕微鏡下で観察できることはザッと観察します。
アイラボでは、この作業を最も大切にしています。

アイラボのHPV検査は女性特有な病気の情報も提供可能です

採取して頂いた検体は物ではなくお客様そのものです。
せっかく採取して頂いた検体からの情報はできるだけ皆様にお伝えしています。
HPV検査は本来、ハイリスク型HPVの感染があるかどうかを調べるだけですが、白血球が増加している場合は、腟炎の原因をはっきりさせるための「おりもの&臭いの検査」をお勧めします。また、HPV検査でハイリスク型HPVが陽性の場合、改めて病院に行かなくても「細胞診検査が追加でできます。更に感染しているHPVの型を調べる「HPVタイピング検査」も追加検査ができるように、検体はおおむね2週間から1ヵ月ほど保存しております。

検診機関様&健康保険組合様も郵送検査をご検討下さい

子宮頸がん検診を細胞診からHPV検査に変えると、腟炎や感染症の情報はなくなります。
私達は、
「婦人科細胞診検査は(子宮頸がんだけでなく)婦人科感染症の総合的診断法である」
と考えています。
子宮頸がん検診がHPV検査に代っても、アイラボでは女性特有の病気について可能な限りの情報をこれまで通り報告してまいります。

円錐切除術後に細菌性腟症が多いのはなぜ!

数年前に上皮内癌の治療で円錐切除術を受けた方が、それ以降臭いが気になるようになった。ということで腟内フローラチェックを希望されました。実は、私達が病院の先生方から依頼される円錐切除術やレーザーによる治療後の細胞診検査においても細菌性腟症が疑われるケースは少なくありません。むしろなぜこれらの治療後に細菌性腟症が多いのかいつも疑問に思っています。
案の定、この方も下の写真の様に典型的な細菌性腟症が疑われる所見です。
写真の様に、背景に白血球の増加(腟炎)はなく、比較的きれいですが、乳酸菌はほとんど見られずクルーセルを伴って腟ガルドネラ菌が腟内を支配しています。
一日に同じようなケースに複数遭遇することがあります。
このケースも高度異形成の治療後のフォローアップ例ですが、異型細胞はなく前の写真と同じようにクルーセルが多数見られ細菌性腟症が疑われます。

治療によって腟内フローラが変わってしまったのか?

私は医師ではありませんので、円錐切除術やレーザーによる治療の詳細は分かりませんが、このような治療にはかなり大量の抗生物質が投与され、腟内正常細菌叢である乳酸菌の仲間達が死滅したまま全く回復できず、その後腟内を守るために腟ガルドネラ菌が支配するようになるのか?、、、なんて思ったりしています。
もしそうだとしたら、術後正常細菌叢が回復したことをチェックして頂ければ、今回のケースの様に、術後臭いで悩む人が少なくなるのでは???、、、なんて思いながら毎日顕微鏡に向かっています。

子宮頸がん検診にHPV検査と細胞診検査どっちが.....

子宮頸がん検診には古くから「細胞診」という方法で、その時点における子宮頸がんに関係のある病変を直接推定する検査です。
NILM,ASC-US,LSIL,ASC-H,HSIL....といった具合に表現されますが、NILMはnegative for inntoraepthelial lesion or malignancyの略で上皮内病変でない/悪性ではない、ASC-USはatypical squamous cells of undetermined significanceの略で意義不明な異型変形上皮細胞LSILはlow-grade squamous intraepithelial lesionの略で軽度扁平上皮内病変(=軽度異形成)ASC-Hはatypical intraepithelial cells,cannot exclude high-grade sqamous intraepithelial lesionの略でHSILを除外できない異型扁平上皮細胞HSILはhigh-grade squamous intraepithelial lesionの略で高度扁平上皮内病変(=中等度異形成、高度異形成、上皮内癌が含まれます)の様に分けられます。

一方、HPV検査は13種のハイリスク型(危険度の高い)HPVの感染があるかどうかを調べる検査です。基本的には感染しているHPVの型までは分かりません。(最も危険な16型やその次に危険な18型それ以外として報告される機種もあります)。
つまり、HPVの感染が(+)か(-)を調べる検査です。(+)と判定された人は現在の進行度合いがNILMなのかHSILなのかは全く分からないので病院を受診して細胞診検査を受けることになります。(+)でも精密検査を受けない人がいた場合、救える子宮や命の危険にさらされることになります

検査で最も大切なことは
現在の状況を正確に知ること
です。

HPV検査は医師が採取しても自己採取でも変わりはないと....

いうことで、世界中で多く使用されているのがエヴァリンブラシという採取器具です。
この器具はHPV検査専用に開発された器具ですので、採取された検体で細胞診を同時に行うことはできません。
そこで、私達はこのエヴァリンブラシと加藤式採取器具を元に開発したセルソフト(大阪大成メディカル株式会社)との比較調査を実施しました。この結果は現在論文を提出中(1週間ほど前に掲載が受理)ですが、HPV検査の結果はほとんど変わりはなかったのです。
ということになれば、細胞診とHPV検査を同時に行え、HPV検査で(+)の人のみを細胞診検査に廻すことも可能になります。可能な限り病院に行くのは避けたいと思う日本人にとっては、HPV検査と細胞診を同時に行うことが出来る方法が有利ではないかと考えアイラボでは「最新の子宮頸がん検査」として検査キットを販売しています。

自己採取型子宮頸がん検診(細胞診)には加藤式とセルソフト以外は採用していません。
アイラボでは、
比較的小口のお客様には加藤式採取器具を販売しております。
しかも、ご希望があれば検査も承っておりますのでお気軽にお問合せ下さい。
健康保険組合様の中には、子宮頸がん検診の受診率を上げるために、医師採取が苦手な人には自己採取法での郵送検査を提供しているとこらもあります。アイラボで最も力を入れているところですのでお気軽にお問合せ下さい。
また、検診機関様の中にも医師採取だけではなく郵送検査も提供している優しいところが徐々に増えています。
042-652-0750

加藤式自己採取器具を用いたアイラボ子宮頸がん検査

アイラボの子宮頸がん細胞診検査は独自に開発したLBCの採用により、
子宮頸部扁平上皮内病変の検出率は医師採取とほぼ同等です。
LSIL以上の病変については、おおむね1.5~1.9%で推移しています。

また、標本の作製から顕微鏡での診断までの全ての行程が
上に示す研修修了者によって行われます。