子宮頸部の円錐切除術後に細菌性腟症が多い

日常の細胞診業務を行っていると、
子宮頸部の円錐切除術後のフォローアップ例に細菌性腟症が多い気がします。
それは私だけでなく、他の細胞検査士も気になっているところらしい。
このような画像はこのブログでたくさん紹介していますが、
細菌性腟症の典型的な例です。
今回の記事は、職員が画像と記事の概略を提供してくれました。
数年前、夜寝ていると足のムズムズのため、睡眠不足になりました。
もともと子宮筋腫があり、不正出血があったので婦人科を受診しました。
すると、ヘモグロビン量が6.1g/dlとひどい貧血状態であることが判明。
足のムズムズは鉄欠乏性貧血によるむずむず脚症候群であることが判明。
筋腫の数も多いことから、内視鏡的子宮全摘術を受けることになりました。
その手術が終わって1年半が経ったこともあり、
細胞検査士である自分が加藤式器具で採取し、自分が標本を作製し、
自分で顕微鏡を観察しました。 
まさしく、完全セルフチェックですね。
なるほど
白血球はほとんどなく、乳酸菌がたくさん見えます。
アイラボの腟内フローラチェックなら「とてもきれい」と評価できます。
先ずは細菌性腟症になっていなかったことが安心だったようです。

円錐切除や子宮全摘の手術では、感染予防のため大量の抗生物質が使われます。
そのために正常細菌叢が乱れ、改善することなしに乳酸菌の仲間が復帰できない状態が継続しているのではないのではないかと推測しましたが、必ずしもそうではなく、
乳酸菌が住みにくい何らかの要因があるのではないかと改めて感じました。

子宮や腟内の治療後に臭いが気になって悩むようなら、
気軽にチェックだけでも受けてみましょう。

安心したかったのでアイラボの子宮頸がん検査を受けてみた

40代後半の方の決断です。
もう何年か前になりますが、パートナー以外の方と一度だけ性交渉がありました。
その後、特に気になる症状はなく、日々これまでと変わらない生活をしています。
パートナー(旦那)とも特に変わったことはありませんが、これまで子宮頸がん検診を受けたことがなかったので、ちゃんと調べておこうと思い、郵送での子宮頸がん検査を受けました。

良く決断しました。大大正解です!

良く決断しましたね。
HPVは感染してもほとんど症状は出ませんが、感染初期に若干外陰部にかゆみを訴える方がいるくらいです。症状も無いのに、医療機関に赴くのも面倒なことですし、ついつい億劫(おっくう)になってしまいますよね。その上、恥ずかしい思いも少なからずあり、子育てなどや仕事で検診を受けない人はたくさんいます。ちなみに日本では2年に一度検診を受ける人の割合は、
2019年の国民生活基礎調査(厚労省)によると、子宮頸がん検診受診率は47.3%であり、2009年に受診率50%を目指したにもかかわらず、10年経っても目標に届いていないのが現状です。
そのため、2019年に子宮頸がんに(罹患)かかった人は10879人、2020年に子宮頸がんで亡くなった人は2887人に上っています。(がんセンター研究所、2022年10月25日更新・確認)こんな中、郵送検査であっても子宮頸がん検査を受けたことこそ、セルフメディケーション(自分の健康は自身で管理する考え)の大切なところです。

果たしてその結果はどうだったのでしょう?

私達は、この細胞を見てHSIL(ハイシル)中等度異形成と診断しました。
この方は細胞診とHPV検査を同時に行う最新の子宮頸がん検査を希望していました。当然のことですが16型16・18型以外が陽性でした。

自己採取は検査施設や採取器具で大きく異なります。

下の表は以前紹介したものですが、HPVが感染してからHSILまでになるためにはかなりの時間がかかります。
また、感染していても(医師採取も同様)常に異常な細胞が出るわけでなく、NILM(異常な細胞は見られない)やASC-US(意義不明な異型細胞)、LSIL(軽度扁平上皮内病変)が出たりでなかったりを繰り返します(第一段階)。
この研究はアイラボの藪崎宏美が日本性感染症学会「2011,12月(HPV持続感染例における細胞形態学的推移)」で発表した一部です。
多くの場合、一旦HSILの細胞が発見されると、毎月同じ様な細胞が確認できるようになります(第三段階)。
このことは、自己採取でもがんが進行する前に発見できることを物語っています。

学会で同時に提示したスライドですが、

同様の現象が見られます。
この方は最下段の検査を受けた後、円錐切除術を実施し、結果は上皮内癌でした。
子宮頸がんガイドラインで自己採取法はすっかり信頼をなくしていますが、
採取器具と検査法さえ間違わなければ有効な方法と思われます。
大切になるのは、検査を提供する側は、採取器具の性能や検査精度を熟知し、しっかり説明責任を果たすことです。また受診者も“チコちゃんに叱られないように” 事前にそれらのことはチェックはすべきと考えます。

自己採取でも、検査を受けて大大正解でしたね

自分がいくら努力しても自分ではどうしようもないがんがあります。
しかし、子宮頸がんはあなた自身が守れるがんなのです。今回ご紹介したように、HPVの感染は誰にでも起こり得るのです。病院に行くのが面倒、医師採取は苦手、等々、、、、理由はあってもあなたの子宮と命を守るのはあなたしかいません。

細菌性腟炎ってどんな病気? と言う電話相談。

婦人科に行ったらクロマイとフラジールが処方されました。
と言う女性。話を聞くと、
「黄色いおりものがあり、病院で処方された薬で症状は良くなるけど、
すぐに再発してしまう。」

どうやらそんな悩みのようです。

先生も忙しくて、詳しく説明してあげられる時間がないんだね。
昨年の秋丹精を込めて植え付けた大根です。
このような姿の大根、これが2例目です。
全く!!!
あきれてしまいますね。
畑には最後の大根があります。
何と! 足が3本になってしまいます。
大変みずみずしくておいしいのですが、
何かに呪われているのでしょうか?
良く耕したつもりですが、小石などが混ざっていたようです。

よく相談してくれましたね。

きっと先生は腟炎があると思ったのでしょうね。
あなたが言うようにオリモノが黄色だったから。
この写真はつい先日紹介したものですが、
腟内はこんな感じだったかも知れまっせん。

先生はなぜクロマイ座薬を処方してくれたのでしょうか?

多分この薬を投与する前に淋菌やクラミジアなどの感染はチェックしてくれたと思います。
クロマイ(クロラムフェニコール)は、いろいろな菌を殺すことが出来る抗生物質です。
腟炎を起こしている菌だけでなく大切な乳酸菌まで死んでしまいます。
悪い菌を排除するために仕方ないことなのです。
この治療を1週間位続けるとおりものは少なくなり、綺麗になってきたことが実感できます。

その次に処方されたフラジール経口薬を約1週間服用

腟内洗浄後にクロマイ座薬を挿入してきれいになったところに
フラジール(メトロニダゾール)を服用します。
この抗生物質は細菌性腟症の主な原因菌である腟ガルドネラ菌を殺してくれますが、
腟に大切な乳酸菌の仲間は殺しません。


なので、フラジールは細菌性腟症の治療にはもってこいの薬なんです。
先生がどんな目的で2つの薬を処方してくれたのか分かったでしょうか?

実はこれからが問題なんですよ。

クロマイで悪い菌を殺し、さらにフラジールで悪玉菌の腟ガルドネラ菌を殺しつつ乳酸菌が増えやすい環境を整えたのです。
確かにその時点では、おりものは少なくなり、臭いが気にならなくなったと思います。
もう治った! でもそう簡単にはいかないのです。
元の生活習慣に戻ったとたん細菌性腟症が再発してしまうことが少なくないのです。

私はこう伝えました。

治療後は乳酸菌がたくさん増えるまで腟内をなるべく静かにしてあげましょう。
そしてセックスを再開するようになったらしばらくはコンドームをしましょう。
行為が終わったら外性器を洗ってその日は腟内を静かにしてしておきましょう。
コンドームをするのはうつるからではなく、
腟内射精を避けるため。
このことについては私が研究して確認したわけではありませんが、
精液はアルカリ性なので、
腟内の乳酸菌がしっかり増えるまでは酸性の環境の方がいいのかな?
と思うからです。

さらにこう付け加えました

生理は月経血で月に一度腟内を洗ってくれる役割もあります。
そのため、月経最後の頃は乳酸菌の数もかなり少なくなっています。
生理の終わりごろ、早く綺麗にしたいとの思いから腟洗浄をしてしまう人がいます。
少なくなった乳酸菌が、これから増えようとしている時期、それはないですよね。
腟の自浄作用とは、十分な乳酸菌によって腟内の酸度を高めることで、いろいろな菌が膣内に侵入しても、増殖できない環境を作っているのです。
腟洗浄は、
そんな腟の守り主を排除してしまう行為です。

医師が治療のために行う以外、
自分で行う腟洗浄はやめましょう。

君には関係ないけど、もしそんな人がいたら教えてあげてね。

細菌性腟症は性行動の活発な10代後半から20代にかけて多く、
30代で若干減少して40代以降また増える傾向があります。
お産を経験したお母さんは入浴時に腟内にお湯が入ってしまうことがある様です。
このことは腟洗浄しているのと同じなので、
そんな時はお湯が入らないような姿勢で入浴することが大切かも知れません。
気になる時はシャワーだけにしてみるのもよいかもしれません。
こんなことを!

最後に! 細菌性腟症は決して病気ではありません。

自分の腟内環境は自分で管理しましょう。
不正出血や異常なオリモノの増加、
そして粘液物質が増えて続く時は
早目の受診が一番です。
多少のおりものや臭いについては常に観察する習慣を身に着け、
自身でコントロールできるようになるといいね。
アイラボのキットがそんな時に気軽に使って頂ければ幸いです。
勿論、ご購入前、検査後のご相談も可能です。

セルフメディケーション(自分の健康は自分で管理しましょう)

カンジダは季節の変わり目に多くなるの?

今年は暖冬ですね。
今日2月20日は一日中長袖シャツ1枚でした。
梅の花もあちこちで咲き乱れ、自宅の福寿草も花を咲かせています。
この花は自宅前の公園に咲く雪柳です。
雪柳の開花時期を検索すると3月~5月との事。
関東で検索すると4月でした。
今日は2月20日ですが花が確認できます。
やはりかなりの暖冬なんですね。
これが満開になると!
こんな感じです。
この写真は2022年3月28日に撮影しました。
枝垂桜と雪柳がともに満開でたくさんの方がカメラを向けています。
八王子市元八王子町1-538-1の前です。

あまりの温かさに頭から脱線してすみません。

最近、日々の検査でカンジダが!暖かさか?

カンジダが腟内で増えている時は程度の差はありますが腟炎を起こしています。
このケースでも、若干白血球が増えています。
オレンジ色に染まる仮性菌糸(左)や酵母のように見える胞子(右)
の発見が決め手です。

カンジダ症の原因は?

先ずは、どんな時カンジダ症になるのかおさらいしてみましょう。

1. 妊娠中は胎児を守るために免疫力が低下するので、カンジダ症になりやすいです。
また、免疫抑制剤やステロイドによる治療の際にも起こります。
2.膀胱炎や風邪などで抗生物質による治療の際(菌交代現象)
3.月経前の黄体ホルモンが多い時期は妊娠時と同じように腟内の糖分が増えることで、
カンジダの栄養分が豊富になる。
4.気温の上昇に伴い、湿気の上昇に伴う蒸れによりカンジダが増えやすい環境になる。

ということで、
この時期に増える要因としては季節の変わり目で若干免疫力が低下しているのか? 
または気温の上昇に衣類が対応できないのか?

カンジダ症の症状は?

1.強烈なかゆみを伴うことがあります。
上の写真はカンジダ症の細胞診標本ですが、
左下の方に束になって仮性菌糸が見られます。
実は写真のピントが合わないため見えませんが、
細胞の塊の中を串刺しの様に菌糸が伸びているのです。
皮膚の表面に近いところをカンジダの仮性菌糸が入り込んでいくので
痒いのは当たり前ですよね。
無料相談ではあまりの痒さから性器を掻き壊してしまい人もいます

2.白っぽいおりものが増えてきます
オカラの様な、おかゆの様な(粥状)、カッテージチーズの様な、豆腐をぐちゃっとつぶした様な
おりものが沢山出てきます。
かなり前になりますが、自己採取法で採取した子宮頸がん検診の検体が届きました。
中には一通の手紙が入って、
「相談できる人がいないためこの場で失礼いたします。
実は子宮頸がんの検診なのですが長年カンジダ症で苦しんでいます。
豆腐の塊のようなオリモノが掻き出してもまたまたすぐ腟内に一杯になり、溢れてきます。
夫との性交渉の時は夫の性器に白い豆腐のようなものが沢山こびりついてきます。
夫は気にしなくていいよと言ってくれるのですが、嫌で嫌でたまりません。
何とかしてくださいという内容でした。
近くの婦人科医を紹介させて頂きましたが、カンジダ症も甘く見ると治りにくくなってしまうことがありますので早目の対応がいいですね。

3.時にはオリモノが嫌な臭いになることもあります。

婦人科医も細菌性腟症やトリコモナス症とよく間違えます

以前このブログでも紹介しましたが、
医師はカンジダ症と思いその治療薬を処方してくれました。
しかし、当の患者はカンジダ症ではなく細菌性腟症を疑っていたので、
アイラボの検査を受けた事例があります。
また、医師からは細菌性腟症の検査依頼ですが、
検査の結果はトリコモナス症であったりカンジダ症であることは少なくありません。
プロでも症状だけでは間違えますので、
必ず検査で確認することが大切です。

オリモノが黄色い人 必見!

アイラボの腟内フローラチェックの希望者が増えています。
今日は届いた検体の肉眼的所見が全く同じように見えたA・Bのケースについて紹介しますね。

アイラボの腟内フローラチェックに使用する採取器具は加藤式自己擦過器具です。
届いた検体は、受付終了後に検体の適否検査を行いますが、
その時点で“肉眼的にも黄色いおりものがいっぱい AB
余談ですが、
写真左側2本は加藤式自己採取器具で採取した検体で、濁りが強く細胞がたくさん採取されているのが一目瞭然です。
右は医師採取で広く使用されるサーベックスブラシで採取した検体です。
この器具は細胞がたくさん採取できますが、強くこすると出血することが多く、クレームになることを恐れ十分採取されていない事が少なくありません。
自己採取に使われる加藤式器具は、
自然に剥離して腟内に溜った細胞と子宮の入り口をスポンジ部分でこすることで
新鮮な細胞も採取される器具です。

今回は沢山の細胞が採れたAとBについてチェックします。
(先ずはAから見ていきましょう)

青くゴマの様に見えるのが白血球です。
通常、腟の中に白血球がこんなに沢山見えることはありません。
白血球が増えているのは、白血球が何かと戦っているからです。
風邪のひき始めに咽喉(のど)が赤く腫れて痛くなるよね。
これはのどに感染したウイルスや細菌を殺すために白血球が戦っているから。
白血球が沢山の細菌やウイルスを食べて死んでしまったのが“膿(うみ)”だよ。
ということは、
この人は何かに感染している証です。

次にBさんの標本を見てみましょう

こちらも白血球がたくさん見えます。
ということはもうお分かりですよね。
腟内に何かが感染している可能性があるのですよ。
例えば、淋菌やクラミジア、トリコモナスやカンジダ、、、
ひょっとしてマイコプラズマであったりもします。

先ずはAの写真を拡大してみます。

やっぱりね。
中央付近で緑色に染まるのがトリコモナス
ちゃん達です。
と言うことで、、、、白血球が増えた理由の一つは解決出来ました。
でも、トリコモナスだけとは限りません。
性感染症は一度に複数(淋菌やクラミジアなど)感染することもあるからです。
こんな時は女性のリンクラチェックの追加検査を勧めます。

続いてBの写真を拡大してみます。

この写真を見る限り乳酸菌は確認できません。
少しですが腟ガルドネラ菌が見られます。
従って、細菌性腟症が疑われる所見ですが、白血球が極めて多く腟炎の状態ですので、あえて言うなら細菌性腟炎が正しいと思います。

典型的な細菌性腟症はこんな感じです

前の写真にたくさん存在した白血球は極めて少なく、細菌性腟の所見です。
白血球がたくさん見られるケースは細菌性腟ということになり、両者基本的に分けられます。
この写真は典型的な細菌性腟症です。
従って、Bの様なケースは背景に細菌性腟症はあるとしてもその他の原因があるのではないかと考えます。

1.乳酸菌が存在しないため腟ガルドネラ菌が一時的に腟内環境を守っていたが、乳酸菌に比べ腟内酸度が低いため、腟内を守り切れなくなって、腸内細菌などが増えたことによる腟炎。
注:これは椎名の個人的考え
2.淋菌やクラミジアなどの性感染症による腟炎
3.トリコモナスの寄生による腟炎
(Aのケース)
4.マイコプラズマやウレアプラズマの感染による腟炎
5.カンジダの繁殖による腟炎
(Bのケースは今回の検査で存在が確認されません)

おりものが黄色い時は早めの対応が肝心

おりものが黄色い=(程度にもよりますが)
腟炎が起こっている可能性が高い


先ずは → 婦人科を受診するのがお勧めです。

しかし → こんな症状で婦人科を受診しても良いのか?など迷いますよね。

そんな時は是非 → アイラボの「おりもの&臭いの検査」をお試しください。

炎症が強いのに全ての結果が陰性の時 → マイコプラズマチェックがお勧めすることがあります。


アイラボのモットーはBe with you (あなたと一緒です)

腟炎が見られたケースに新たな追加検査を新設しました。

臭いとかゆみが気になり腟内フローラを調べた

かなり前になりますが、同じような症状が出たので婦人科を受診したら
細菌性腟」と診断されました。
今回も同じような症状が出たのですが、先ずはアイラボの検査キットで
調べることにした依頼者さんは「腟内フローラチェック」を選ばれました。
症状は痒みおりものが特に気になったとの事、、、、、、、
ならば、「おりもの&臭いの検査」が良かったのに!!!

そんなことを思いまながら、
先ずは検体が適切に採取されているかどうかを調べることにしました。
腟内フローラチェックのみなら、
このようにほんの少し塗抹してパパニコロウ染色した標本で検査が可能です。

早速見てみましょう

腟内に白血球の増加はなく、腟炎は起こしていません。
かゆみおりものが気になるとのことですと、私達は真っ先にカンジダがいるかどうか調べます。
標本をくまなく探してもそれらしき菌糸や胞子は見られません。
すると写真のような箇所が目に飛び込んできました。

中央の左右に特に気になる所見があるので早速左側の細胞を拡大してみました。
あれあれ?、、、HPVに感染したLSIL相当の細胞ではないか!
この人のコメントには、前回の子宮頸がん検診では“異常なし”とのことですが?
今回の検査では明らかな異常を発見!!
ちゃんとした標本で細胞診検査を行う必要があります。
それはLSIL相当の細胞だけなら良いのですが、
それ以上の所見があるかどうかをチェックする必要があるからです。

婦人科への受診を勧めますが、今回採取された検体での追加検査も可能です。
さらに感染している可能性が高いハイリスク型HPVのタイピング検査の追加検査も可能です。
やや右側に目を向けると、やや黒っぽく見える細胞は、clue cell(クルーセル))といいます。
細胞に腟ガルドネラ菌が群がっている所見で、細菌性腟の特徴の一つです。

※細菌性腟と細菌性腟はよく間違えられます。
腟炎を起こしていると白血球が増えます。
しかし、細菌性腟症の多くは白血球が増えません。
なので、この方は以前細菌性腟炎になった、、、、と言われましたが?
実は細菌性腟症ではなかったのでしょうか?

細胞の周りを見ても、明らかな乳酸菌は全く見られませんので、
腟内フローラチェックの評価としては「乱れている」になります。

やっぱり自己診断だけでは分からないことがありますね

今回のケースの様に、
婦人科の症状は病気によっては同じような症状になることが少なくないのです。
前回と同じような症状であっても、原因が異なることがあるのです。
だから、
病院に行くのは面倒と思ても検査だけでもしておくことが大切なのです。

細菌性腟症でもかゆみを訴える人は少なくないです。
HPV感染初期にかゆみを訴える人も少なくないです。

アイラボの検査は細胞診が基本

アイラボの郵送検査は、どんな検査キットでも検体の適否判定を行ってから検査をしています。
不適切な検体で診断された「陰性」は間違った陰性だからです。

郵送検査を始めた当初風俗の定期検査で加藤式のスポンジ部分が故意に切り取られた検体が届きました。
(医師が採取しない)自己採取検体は「陽性の結果が出るのは困る」場合、
適切な採取が行われないこともあることが判明しました。
アイラボではそれ以来、
郵送検査の全てのキットについてこのブログの最初の写真の様に検体の適否判定を実施しています。

ほんの少しの細胞を観察するだけですが、時には今回の様に異型細胞に遭遇することがあります。
今回のケースは子宮頸がん検診で陰性だったのですが、良かったですね。
これこそアイラボの郵送検査の目指すところです。

ASC-USと診断されて悩むカップル

子宮頸がん検診でASC-US/Ⅲaと診断されたので近くの婦人科を受診したところ、クラスⅢaなので組織検査をした方が良いと言われ検査を受けましたが、組織検査で何が分かるのでしょうか?』という質問がありました。

今回はこのことについて考えたいと思います。
現在日本ではベセスダ分類という方法で診断(評価)していますので、ASC-USはあくまでASC-USであって、クラスⅢaではないのです
そう言えば、アイラボに検査を提出して頂いている病院からの医師のコメントに「前回(アイラボではこのような診断はしていませんので、他の医院と思われる)ASC-US/Ⅲa、組織検査異常なし」や「他院でASC-US/Ⅲa、HPV(-)、組織検査異常なし」こんな医師のコメントを時々目にします。、、、ということは、ASC-US/Ⅲaの報告を受け取った婦人科医の中には組織検査まで実施しているケースがかなりあるということかも知れません。
アイラボでは、基本的に医師が判断できているものと理解していますので特にコメントはしていませんが、必要に応じて“HPVの追加検査が望まれます”とコメントすることはあります。

ベセスダ分類を採用する前は、日母クラス分類で診断(評価)していましたが、クラスⅢaと診断された場合はコルポスコピーや組織検査で対応することになっていましたので、ASC-US/Ⅲaは組織検査の対象と考えているのでしょうか?
それとも、「ASC-USは意義不明な異型細胞という診断なので、組織検査をやっておこうという事なのでしょうか?

ASC-USはそんなに心配する必要はない!

ASC-USと診断された時に注意しておきたいのは、HPVの感染があるかも知れない細胞が含まれる可能性があることです。日本産婦人科医会の指針では、ハイリスク型HPVの感染があるかどうかを検査(HPV検査)することを推奨しています。HPV検査で陽性の場合はLSIL(軽度異形成)と同様の対応でコルポスコピーと組織検査が推奨されています。陰性の場合は年に一度の細胞診検査、HPV検査を行わない場合は6ヶ月以内に細胞診の再検査が推奨されています。
この表は風俗で働いている人について細胞診とHPV検査を同時に行った結果で、アイラボの藪崎宏美が日本性感染症学会「2011,12月(HPV持続感染例における細胞形態学的推移)」で発表した一部です。私達は、HPVが感染してから子宮頸がんになるまでを大きく3段階に分けることができると思います。詳細は別の機会に述べたいと思いますが、各表の左は検査年月を示しています。例えば中央の表の一番上の「804」は2008年4月に検査したことを意味します。そして最下段の「1105」は2011年5月になります。3つの表全てにおいてHPV検査は陽性ですが、細胞診の結果は「水色はNILM」「黄色はASC-US」「オレンジ色はLSIL」といった具合に、感染していても異常な細胞が出たりでなかったりを繰り返しています。私はこのような時期を「第一段階」としています。この第一段階の90%は免疫力でHPVが排除されると言われています。
ですから、ASC-USと診断されても、それほど心配することはありませんが、HPVが陰性化するまでは定期的に検査することが大切になります。

ASC-US/Ⅲaの報告は早くなくすべき!

私達診断する側にとっては、ASC-USはあくまでASC-USであって、LSIL(軽度異形成=明らかなHPV感染)よりは細胞の異型が弱く、「HPV感染の可能性もあるのでHPV検査で確認しておいた方が良い」程度の認識で、そんなに心配する状況ではないのです

今回のご相談の様に、「組織検査をすると何が分かるんですか?」とのご質問の背景には、ひょっとしてがんの可能性があるのか?とか、そこまではいかなくてもかなり悪い状況なのか?といった様に心配事が膨らんでしまうのではないかと考えます。
日本における子宮頸がん検診は、1973年以降パパニコロウ分類を元に“日母クラス分類”として使用されてきましたが、1988年米国ベセスダにおいて行われた子宮頸部細胞診に関する会議を境に欧米を中心にこの会議でまとめられた診断基準(ベセスダシステム)が採用されるようになりました。我が国においても2008年以降“ベセスダシステム2001を採用することになりましたが、移行期の混乱を防ぐ意味で“日母クラス分類”と併記されてきました
それによると、ASC-US「意義不明な異型扁平上皮細胞」は推定病変として「軽度扁平上皮内病変疑い」とし、日母クラス分類ではⅡ-Ⅲaとし、次の対応としてはHPV検査が望ましい、または6月以内に細胞診再検査としています。
しかし、2014年以降厚生労働省は子宮頸部細胞診の報告様式をベセスダシステムに一本化し、子宮頸部細胞診運用について記載したこの本においてもベセスダシステムがわが国に公式に導入されて久しく、今日ではこの欄(日母クラス分類)は削除されるべきであろうと記載されています。

しかしそれから10年が経過したにもかかわらず、ゆがめられたままのこの診断報告形態を本気で変えなけれなならないと思います。私がアイラボ以外で関与しているA検査会社では全くその動きはありません。またB社は基本的にASC-US/Ⅲaの報告はしていないが、ユーザー(開業医)からの要望があるところだけ記載しているとの回答がありました。

ASC-US相当の所見でクラスⅢaの報告は早急にやめるべきで、どうしても組織検査を必要とする場合はその旨を丁寧に分かりやすく伝える必要があると思われます。

令和6年能登半島地震のお見舞い

令和6年能登半島地震のお見舞いを申しあげます。

この度の、令和6年能登半島地震により、
お亡くなりになられた方々のご冥福を心よりお祈り申しあげますとともに、
被害にあわれた皆様へ心よりお見舞いを申しあげます。

予断を許さない状況が続いており、被災地の方々は不安な
日々をお過ごしのことと存じます。被災された地域の皆様の
安全と、一日も早い復興を祈念しております。

令和6年1月2日 アイ・ラボCytoSTD研究所

対応のまずさが引き起こす不幸

不妊治療の婦人科でクラミジアと診断され、ご主人に疑いの目が!

中央の細胞は、子宮頸部擦過標本(子宮頸がん検診に用いる方法)に見られたクラミジア感染細胞です。
細胞の中でクラミジアが増殖して何万ものクラミジアが集まって丸く見えるのが封入体と言います。クラミジアが増えるにつれて核が細胞の端に追いやられ三日月状に見えます。
実はこの封入体、私(Drシイナ)が発見し、星雲状封入体(nebular inclusion)と命名しました。
(Yoshio Shiina:Cytomorophologic and Immunocytochemical Studies of Chlamydia in Cervical Smears.Acta Cytol.29:257-261.1985)この当時は、クラミジアの検査そのものが一般に普及する前で、私達は免疫学的な方法でクラミジア感染の研究をしていました。
これはクラミジアに感染した女性の腟分泌物に蛍光抗体法という方法を用いてクラミジアの基本小体(アップルグリーンの蛍光で見える)を検出したものです。星雲状封入体の中で基本小体が満杯になると破裂し、基本小体が腟内にばらまかれるのです。後述する抗原とはこの基本小体のことです。

アイラボの無料相談で最も多いのが今回紹介する事案です。

ケース1彼女はおりものが気になり婦人科を受診したところ、血液検査でIgAが陽性で、クラミジアと診断され、私にうつされたと言っています。私は翌日別の病院を受診し、PCR法で調べてもらい今日結果が出て陰性でした。私はこれまで風俗を利用したこともなく、性病科を受診したこともなく、症状が出たことはありません。彼女とこれからも付き合っていきたいのですが、どうしたらいいでしょうか?

ケース2子宮頸がん検診で異常な細胞はないが腟炎があると言われ婦人科を受診しました。血液検査でクラミジアに感染していることが分かり、「医師から旦那にうつされたんだよ」と言われ、現在旦那と別れ話まで発展している状態です。
旦那にはすぐ検査に行かせたのですが、PCR検査で陰性という結果を持ってきました。そもそも風俗などに行く人ではないと思っていますし、私にうそをつく人ではないと思っていましたが、医師からそのように言われ少し気が動転しています。こんなことってあるのでしょうか?

そして昨日も、ケース3『結婚して3年が経ちます。女房は不妊症で婦人科を受診していますが、抗体検査でIgAとIgGが共に陽性なので医師から薬が処方され、私が疑われています。私には身に覚えはなく、今日病院で検査して来週結果が出るんですが症状もありません。女房とは別れたくありません。どうしたらいいでしょうか?』

似たような相談は開業以来(20年前から)時々あります。

原因は“クラミジアの検査を血液検査で行った”ことによります

血液でクラミジア感染の有無を調べるのは抗体検査と言います。この方法は古くから(私が杏林大学でクラミジアの研究を行っている頃(40年ほど前)行われていますが、いずれも、過去にクラミジアの感染があったかどうかを調べるものです。
クラミジアに感染すると(クラミジアと戦うための)抗体が徐々に作られます。その抗体には、IgAとIgGがあり、IgAは感染後比較的早い時期(およそ2週間)から抗体価(抗体の量)が上昇し、6ヵ月ほどで抗体価が消失します。一方のIgG抗体はIgAに比べて抗体価の上昇は遅く感染後1ヵ月頃から上昇し、数年またはそれ以上高い抗体価を維持します

IgA抗体は感染後およそ2週間ほどで抗体価が上昇しますので、(クラミジアそのもの(抗原)を高感度に検出するPCR法の様な(抗原検出法)が普及する前は感染初期の検出法として期待されていました。しかし、IgA抗体は偽陽性(本来感染していないのに陽性の結果になる)を示すケースが多く、男女間、夫婦間で大きな問題になることが多いのです。

アイラボでこの検査を採用していないのはこのことでのトラブルを避けたいという思いがあったからです。
そんなこともあり、しばらくぶりにこの問題に遭遇しましたので、改めて現在クラミジアの抗体検査に従事している大手検査会社の担当者にこのような問題について聞いてみたところ、最近でも偽陽性例で問題になり、試薬メーカーに問い合わせてみると、メーカでもそのことを認めているとの事でした。

それなのになぜまだこの検査があるの?

不妊症外来では腟や子宮頸管は陰性でも上部生殖器にいるのか?

昔、そんなことも話題になったことがあったような記憶がよみがえってきました。
そのことについて私自身詳細な検索を行ったことはありませんので、無責任なことを記載することはできませんが、もし上部生殖器のみに感染部位があったとしても、そこで増えたクラミジアは腟内や子宮頸部に流れ落ちてくる可能性がありますので、感度の良いPCR法では検出できると思われます。

もし不妊外来で今回の様な事があったとするのであれば、何の説明もなくクラミジアの治療薬を処方された患者にとっては旦那からうつされたと思い込んでしまうのは当然かと思います。
薬を処方する前に、PCR法にて確認したからでも遅くはないのではないかと思います。
いやいや、抗体検査で陽性になったということは「過去にかかったことがある」という事なので、「現在感染している」のとは異なります。ご相談の奥様はIgGも陽性とのことですが、これについても過去の話であって現在クラミジア(抗原)が存在するかどうか、治療が必要であるかどうかは分からないのです。

血液抗体検査を採用されるのであれば、前述の様々なことを想定し、受診者に不幸な事態にならないよう十分な配慮は望まれます。

そんな悩めるカップルに私は

『こんなことで喧嘩をしてはいけません。相談してよかったですね。』
と言って電話を切ります。

ハイリスクHPV感染の男性がHPV強制排除に挑戦(3)

勇気を出して塗布を再開しました

第1回目の塗布は、(2)で報告したように、亀頭部分が赤く腫れ、その部位の皮がむけたりして、結構つらい思いをしましたが、症状が治まったのでべセルナクリームによる治療を再開しました。
2回目【10/6(金)夜】と3回目【10/13(金)夜】は1回目と同じ部位(亀頭部分から包皮内側)に塗布しました。
その結果は、1回目とは違って、赤く腫れたり、皮がむけるなどの辛い症状は全く見られまかったので、1週間後に3回目を実施しました。3回目も同様で、症状はほとんどありません。

続いて4回目【10/20(金)夜】、5回目【10/27(金)夜】、6回目【11/03(金)夜】はこれまで塗布しなかった、陰茎の部分に挑戦しました。
この部分についても赤く腫れたり、皮がむけたりすることはありませんでした。

治療開始後初めてのHPV検査を依頼

アイラボからは、4回分のキットを半額で提供させて頂きました。
キットには、細胞保存液と2本の綿棒がセットになっていますが、高価な検査ですので綿棒をご自身で追加し、1回の採取ではなく数日間採取してそれらをその都度細胞保存液に入れることを提案しました。治療によってウイルス量が減少している可能性があるためです。採取する部位はKさんにお任せしました。

kさんより採取した部位の報告がありました。
『今回は亀頭、カリ、包皮の内側と外側、根本周辺から採取しました。』

kさんは亀頭、カリ、包皮の内側を計3回、包皮の外側(竿の部分)を計3回ずつ塗布していますので、最初の検査ではそれら全ての部分から細胞を採取されたようです。

最初のHPV検査の結果は!

治療前に検査した時は(1)の写真で示すように、少し大型になった核がいくつか見られましたが、治療後ではこの写真の様に核を有する細胞は認めますが、異型のある核はほとんど見られません。
標本をくまなく観察してもこのような核を有する細胞はそれほど多くありません。
亀頭やカリの部分には写真の様な白血球(好中球)がみられることはありませんが、このように集簇性に出現していることも治療に伴う炎症性変化と思われます。
この写真は、細胞や核が大型化しているように見えますが、べセルナクリームによって細胞や核の中に存在するHPVが攻撃され、膨化変性した所見と推測されます。

Kさんが採取した検体にはたくさんの細胞が採取され、検体として適正と判断できましたので遺伝子検査を実施しました。
結果は39型と52型が検出されました。

今回は、亀頭から陰茎、さらに根元の部分まで擦過して検体を採取していますので、どこに存在したかは不明です。
「一気にすべてが消えた!」、、、といいたいところですが、今回の検体採取が最後の塗布からおよそ10日ほどですので、ウイルスそのものは存在しても死んだウイルス(感染力のないウイルス)である可能性も否定できません。
焦る気持ちはわかりますが、もう少し検査までの時間をあけたほうが良かったかもしれません。

また、Kさんは現時点で医師から処方されたべセルナクリームを半量(6回分)使っただけとのことですので、今後残りの全てを使い切るとのことです。

でも51型が検出されなかっただけでも期待がもてそうですね。
頑張ってください。


【その後の途中経過】
kさんから11月30日に連絡がありました。
11月24日に7回目の塗布を行いました。
一週間が経過しましたが、現状では特に目立った症状はなく、辛いこともありません。
とのことです。