ハイリスクHPV感染の男性がHPV強制排除に挑戦(4)

先生の処方通りの治療はできなかったが?

ハイリスクHPV感染の男性がHPV強制排除に挑戦(3)2023年11月22日の記事では、それまで実施したべセルナクリームによる治療後初めてHPV検査を実施し、感染していた51,52,39の中の51型のみが消失した結果でした。
Kさんよりその後の治療方針が下記に示された内容で行われる旨の連絡がありました。

【Kさんが今回実施した治療スケジュール】
7回目から11回目までは亀頭カリおよび包皮内側に12回目は包皮外側根元に塗布することにしました。
7回目の塗布11/24
8回目の塗布12/1
9回目の塗布12/8
10回目の塗布12/15
11回目の塗布1/5
12回目の塗布1/19
このようにおおむね1週間間隔で塗布しましたが、10回目に若干赤くなったので11回目以降は2週間間隔で行いました。
そして3月13日に包皮外側と根元部分から、3月21日に亀頭・カリ・包皮内側から採取した検体がアイラボに届きました。その時の細胞像です。
最初に届いた包皮外側と根元からの検体は、細胞成分は採取されているが、観察できる細胞が少なく、形態学的観察には適していません。
後に届いた亀頭・カリ・包皮内側から採取した検体には極めてたくさんの細胞が見られ、画像の様に核を有する細胞(有核細胞)を多数認め、核の大型化や濃染傾向が見られます。(このような所見は非感染例と異なり、HPVの活発な増殖が関係しているかも知れません。)
この様に、核が複数存在し、大型化や濃染傾向が見られますが、このような細胞も非感染例では見られません。

HPV検査の結果は!

亀頭・カリ・包皮内側の検体、包皮外側と根元からの検体共に52型と39型が検出されました。
HPVが排除されていないことが判明しました。
Kさんはかなりのショックだったようです。
最初に塗布した時の反応が思いのほか強かったことで、それ以降はこのブログで示したような条件で治療されました。最初の強い反応が見られた時51型は消失しましたが、52型と39型を叩ききることが出来なかったため、その後べセルナクリームの塗布条件を緩めたことが排除につながらなかった可能性が考えられます。
今回はとても残念な結果でしたが、kさんは薬を処方して頂いた先生に相談して再チャレンジするとの事でした。主治医の先生にも今回の結果をお伝えして、是非先生の指示に従っていただければと思います。

kさんのように苦しむ人はたくさんいます

kさんは風俗を利用して感染しましたが、私達が2022年に実施した30名の風俗営業従事者におけるハイリスク型HPVの感染者は22名(73.3%)で、複数のHPVが検出されたケースが多いのです(論文掲載確定)。風俗を利用することを否定するものではありませんが、淋菌やクラミジアに比べても感染の危険性は極めて高いことを改めて認識して頂きたい。子宮頸がん対策は検診だけでなく、HPVに感染しない、感染させない対策こそが最も重要なのです。この仕事に従事する人はHPVワクチン接種の義務化や利用する人もワクチン接種をまじめに考えるべきと思われます。私達の無料相談では風俗だけが問題ではなく、出会い系サイトを利用した人たちも同じ悩みを抱えています。

セルフメディケーション!
自分の健康は自分で責任をもって守りましょう。
大切な人のためにもう一度自身の性生活を見つめ直しましょう。
ご相談はアイラボで、きっと役立つ情報があると思います。

ご本人(kさん)からのメッセージ

以前交際していた女性が健康診断で引っかかり、精密検査をしたところ、子宮頸部が軽度異形成になっていることが分かりました。俺は昔風俗に行ったことがあり、嫌な予感がして自分もHPV検査をしました。結果はハイリスク型HPVに感染していました。とてもショックで何よりも自分の行いのせいで彼女に移してしまったことに責任を感じました。その後、ハイリスク型HPVの治療方法を色々調べてみましたが、基本的に治療方法はないことが分かったので絶望的でした。そんな時にアイラボの椎名さんに相談し、ハイリスク型でもベセルナクリームで治療してくれるお医者さんを紹介してもらい治療を始めることができました。しかし、治療1回目は翌日の夜に亀頭の皮が剥け赤く爛れてしまい、シャワーのお湯が当たると激痛でした。痛みが引くまで約1ヶ月かかり、その後治療を再開しましたが、それ以降は皮が剥けることはなく痛みや赤く爛れることはありませんでした。しかし、ベセルナクリーム12回分の治療後の検査では、再びハイリスク型が検出されてしまいました。治療は痛みや時間と手間も掛かり、期待もしていたので、この検査結果は正直とてもショックでした。
しかし、ハイリスク型の治療方法はこの方法しかないので継続していくつもりです。治療は1日おきに行うように言われていましたが、痛みや爛れの恐怖心から週1ペースで行っていたので、それがよくなかったのかもしれません。今後は1日おきに治療して完全に治したいと思います。

以前検診で軽度異形成と診断されたが病院に行かなかった

「5年前に検診で軽度異形成(LSIL)が見つかったけど、病院に行っていませんでした。
最近あそこの臭いが気になるので、子宮頸がんが心配になり郵送検査をお願いした。」
という女性。
それは気になりますよね。
検診で「要精密検査」と診断されたのに5年間も婦人科を受診されなかったとの事、それでは検診を受けた意味がないですね。でも、アイラボの子宮頸がん検査や婦人科トータルセルフチェックを依頼される方にはそのような方が少なからずおります。
子宮頸がんはがんが進行するまで明らかな症状はありませんが、臭いが気になったので婦人科トータルセルフチェックを受けられたのは正解ですね。
このキットは子宮頸がん検査とおりもの検査を同時に行うキットで、アイラボの郵送検査で最初に販売した商品です。

早速その時の細胞を見てみましょう

こんな細胞が検出されました。
私達はこの細胞でASC-H(アスクエイチ)と診断しましたが、ASC-Hの意味するところはHSIL(高度異型扁平上皮内病変:中等度異形成・高度異形成・上皮内癌が含まれます)の存在も否定できませんという位置づけです。
もっと進んでいなくて良かった!....という思いが率直な感想です。
この細胞ですと、“中等度異形成から高度異形成の存在が否定できない”のであって、上皮内癌まで進んでいないと思うからです。
この方は幸運にもセーフでしたが、LSIL(軽度扁平上皮内病変=軽度異形成)はHPVに感染しているものの腫瘍化していない状態ですが、HSILの病巣があってその部位からうまく細胞が採取されないこともあるので、今回臭いが気になったということですので、がんが進行してしまっている可能性もあるのです。もしそのようなことになってしまったら、子宮全摘手術になったり放射線療法や抗がん剤による治療も必要になってしまいます。せっかく受けた検診が何の意味もなくなってしまうのです。
面倒ですが、それが子宮を守り、命を守るためにあなたにしかできない事なのです。

臭いの原因は何だったのでしょうか?

背景には腟ガルドネラ菌が増えていて、乳酸菌はほとんど見えません。
やはり気になった臭いは細菌性腟症によるものかもしれませんね。
臭いの原因が細菌性腟症とがんの浸潤によるものとでは雲泥の差ですからね。
先ずは本当に良かった。
この結果を持って早く婦人科を受診してくださいね。
今度こそ、絶対ですよ!

性器の感染症では症状が似ていることがい多い

アイラボの無料相談には様々な相談が寄せられますが、今回は性病が心配で婦人科を受診された方のケースを紹介します。

「自分としてはいろいろな検査をして頂きたかったのですが、先生は、淋菌とクラミジアしかしてくれませんでした。来週また受診するのですがどういう風に頼めばいいですか? 
というご相談でした。

実は似たようなケースのご相談は結構あります。
私達は、
「先生は内診や患者さんからの訴えを聞いた上で治療方針を決めますので、検査の項目については基本的には先生の判断ですので、ある意味仕方ないかも知れません。突然機嫌が悪くなったり、“あなたは医者ではありません。判断は私がします。”と言われたりしたケースも以前ありました。また、患者さんの意向に沿って検査をしてくれる先生もいます。先生方の対応はかなり分かれるようです。」
こんな風に伝えます。
かなり前になりますが、同様な理由でアイラボの
おりもの&臭いの検査」を依頼されたケースがありましたので紹介しましょう。

早速その時の写真を見てみましょう。

アイラボの郵送検査では、
たとえ淋菌やクラミジアの様に機械にかけて測定する検査であっても、検体が適正に採取されているかチェックをしてから検査を開始します。
この時の核の染色が濃かったので、白血球が黒っぽく見えます。白血球が少し増えていますので、腟内で炎症が起こっている(腟炎)ことになります。腟炎の原因は何か?ということになりますが、この時依頼された淋菌とクラミジアの検査は陰性でした。

細胞診ってすごいな!
この一枚の写真で腟炎があることだけでなく、
その原因はトリコモナスであることも分かるし、もともと細菌性腟症があるのかな? 
って思えるんですよ。

先ず、赤の矢印で示した先に注目してください。
少し緑色に染まり、小さな核を持つ丸いものが見えますが、これがトリコモナス原虫です。
トリコモナスに感染するとおりものが黄色くなり痒みも伴います。
従って、白血球が増えて腟炎の状態になったのはトリコモナスの感染が原因でした。

次に、この写真全体に“モヤモヤ”感があります。
実はこのモヤモヤの原因は腟ガルドネラ菌です。
乳酸菌はほとんど見ることが出来ません。
従って、このケースはもともと細菌性腟症があったのかな?
そんなことを想像させます。

細菌性腟症は魚臭帯下(魚な生臭いようなアミン臭)が主な症状です。このケースはトリコモナス感染も見られるので、おりものは黄色味を帯びているし、臭いもきついし、かゆみもあるだろうし、患者さんとしては不安でたまらないでしょうね。先生にしっかり検査してほしいと思うのも分かります。でも、淋菌やクラミジアに感染した時でも強い炎症が伴う時には全く同じ症状になるので、先生の気持ちも理解できますよね。

先生方の対応が異なるのはそんなところに原因があるのかな?

オリモノや臭いが気になる時は、早目におりものチェックを!

保険診療の場合、何でもかんでも片っ端から検査するのではなく、先生の判断で必要に応じた検査を選びます。従って、必ずしも予測道理の結果が出るとは限りません。そんな時は次回来院時にその他の検査を追加することになりますので、患者さんにとっては受診が一回増える可能性があります。
郵送で検査が手軽にできるようになった今日では、あらかじめ検査をした上で受診するのも一つの考え方と思われます。
当然のことですが保険適用外ですので、コストがかかってしまう欠点はあります。また、依頼者個人が検体を採取(自己採取)しますので、検体の適否は個人に任されます。説明書をよく読んで採取することが大切です。


アイラボのキットをご利用になる際は、先ず担当者にご相談を!
042-652-0750

子宮頸がん検診用加藤式自己擦過法器具は生きています

最近、子宮頸がん検診用の加藤式自己擦過法器具に関する問い合わせがありました。
その内容は、
一昨年製造販売元から廃業の手紙が届きましたが、まだ購入できると聞きました。
廃業されていないのですか?
というものです。

大阪の大成メディカルという会社が製造しています

確かに名古屋にあった加藤式器具製造所は廃業されました。
しかしその後、大阪の大成メディカル株式会社様が引き継がれ、
現在は大阪で製造しております。
所在地 〒567-0054大阪府茨木市藤の里2-11-6
072-648-3601
https://www.taiseimedical.com/

販売元はやはり大阪の吉田興産株式会社さんになります。
所在地 〒565-0811 大阪府吹田市千里丘上15-15
06-6878-2300
https://ko-yoshida.co.jp/

アイラボでも加藤式自己採取器具を販売しています。

アイラボでは、
比較的小口のお客様には加藤式採取器具を販売しております。
しかも、
ご希望があれば検査も承っておりますのでお気軽にお問合せ下さい。
042-652-0750

アイラボがお受けできる検査項目

1.子宮頸がん細胞診検査
2.ハイリスクHPV検査
3.HPVタイピング検査
4.婦人科トータルセルフチェック
5.腟内フローラチェック

このほかにもご要望があれば全国どこでも検査の受託可能です。
詳細はアイラボのHPをご覧頂くか、電話でご相談ください。
https://ilabo-cyto-std.com
042-652-0750

加藤式自己採取器具を用いたアイラボ子宮頸がん検査

アイラボの子宮頸がん細胞診検査は独自に開発したLBCの採用により、
子宮頸部扁平上皮内病変の検出率は医師採取とほぼ同等です。
LSIL以上の病変については、おおむね1.5~1.9%で推移しています。

また、標本の作製から顕微鏡での診断までの全ての行程が
上に示す研修修了者によって行われます。

子宮頸部の円錐切除術後に細菌性腟症が多い

日常の細胞診業務を行っていると、
子宮頸部の円錐切除術後のフォローアップ例に細菌性腟症が多い気がします。
それは私だけでなく、他の細胞検査士も気になっているところらしい。
このような画像はこのブログでたくさん紹介していますが、
細菌性腟症の典型的な例です。
今回の記事は、職員が画像と記事の概略を提供してくれました。
数年前、夜寝ていると足のムズムズのため、睡眠不足になりました。
もともと子宮筋腫があり、不正出血があったので婦人科を受診しました。
すると、ヘモグロビン量が6.1g/dlとひどい貧血状態であることが判明。
足のムズムズは鉄欠乏性貧血によるむずむず脚症候群であることが判明。
筋腫の数も多いことから、内視鏡的子宮全摘術を受けることになりました。
その手術が終わって1年半が経ったこともあり、
細胞検査士である自分が加藤式器具で採取し、自分が標本を作製し、
自分で顕微鏡を観察しました。 
まさしく、完全セルフチェックですね。
なるほど
白血球はほとんどなく、乳酸菌がたくさん見えます。
アイラボの腟内フローラチェックなら「とてもきれい」と評価できます。
先ずは細菌性腟症になっていなかったことが安心だったようです。

円錐切除や子宮全摘の手術では、感染予防のため大量の抗生物質が使われます。
そのために正常細菌叢が乱れ、改善することなしに乳酸菌の仲間が復帰できない状態が継続しているのではないのではないかと推測しましたが、必ずしもそうではなく、
乳酸菌が住みにくい何らかの要因があるのではないかと改めて感じました。

子宮や腟内の治療後に臭いが気になって悩むようなら、
気軽にチェックだけでも受けてみましょう。

安心したかったのでアイラボの子宮頸がん検査を受けてみた

40代後半の方の決断です。
もう何年か前になりますが、パートナー以外の方と一度だけ性交渉がありました。
その後、特に気になる症状はなく、日々これまでと変わらない生活をしています。
パートナー(旦那)とも特に変わったことはありませんが、これまで子宮頸がん検診を受けたことがなかったので、ちゃんと調べておこうと思い、郵送での子宮頸がん検査を受けました。

良く決断しました。大大正解です!

良く決断しましたね。
HPVは感染してもほとんど症状は出ませんが、感染初期に若干外陰部にかゆみを訴える方がいるくらいです。症状も無いのに、医療機関に赴くのも面倒なことですし、ついつい億劫(おっくう)になってしまいますよね。その上、恥ずかしい思いも少なからずあり、子育てなどや仕事で検診を受けない人はたくさんいます。ちなみに日本では2年に一度検診を受ける人の割合は、
2019年の国民生活基礎調査(厚労省)によると、子宮頸がん検診受診率は47.3%であり、2009年に受診率50%を目指したにもかかわらず、10年経っても目標に届いていないのが現状です。
そのため、2019年に子宮頸がんに(罹患)かかった人は10879人、2020年に子宮頸がんで亡くなった人は2887人に上っています。(がんセンター研究所、2022年10月25日更新・確認)こんな中、郵送検査であっても子宮頸がん検査を受けたことこそ、セルフメディケーション(自分の健康は自身で管理する考え)の大切なところです。

果たしてその結果はどうだったのでしょう?

私達は、この細胞を見てHSIL(ハイシル)中等度異形成と診断しました。
この方は細胞診とHPV検査を同時に行う最新の子宮頸がん検査を希望していました。当然のことですが16型16・18型以外が陽性でした。

自己採取は検査施設や採取器具で大きく異なります。

下の表は以前紹介したものですが、HPVが感染してからHSILまでになるためにはかなりの時間がかかります。
また、感染していても(医師採取も同様)常に異常な細胞が出るわけでなく、NILM(異常な細胞は見られない)やASC-US(意義不明な異型細胞)、LSIL(軽度扁平上皮内病変)が出たりでなかったりを繰り返します(第一段階)。
この研究はアイラボの藪崎宏美が日本性感染症学会「2011,12月(HPV持続感染例における細胞形態学的推移)」で発表した一部です。
多くの場合、一旦HSILの細胞が発見されると、毎月同じ様な細胞が確認できるようになります(第三段階)。
このことは、自己採取でもがんが進行する前に発見できることを物語っています。

学会で同時に提示したスライドですが、

同様の現象が見られます。
この方は最下段の検査を受けた後、円錐切除術を実施し、結果は上皮内癌でした。
子宮頸がんガイドラインで自己採取法はすっかり信頼をなくしていますが、
採取器具と検査法さえ間違わなければ有効な方法と思われます。
大切になるのは、検査を提供する側は、採取器具の性能や検査精度を熟知し、しっかり説明責任を果たすことです。また受診者も“チコちゃんに叱られないように” 事前にそれらのことはチェックはすべきと考えます。

自己採取でも、検査を受けて大大正解でしたね

自分がいくら努力しても自分ではどうしようもないがんがあります。
しかし、子宮頸がんはあなた自身が守れるがんなのです。今回ご紹介したように、HPVの感染は誰にでも起こり得るのです。病院に行くのが面倒、医師採取は苦手、等々、、、、理由はあってもあなたの子宮と命を守るのはあなたしかいません。

細菌性腟炎ってどんな病気? と言う電話相談。

婦人科に行ったらクロマイとフラジールが処方されました。
と言う女性。話を聞くと、
「黄色いおりものがあり、病院で処方された薬で症状は良くなるけど、
すぐに再発してしまう。」

どうやらそんな悩みのようです。

先生も忙しくて、詳しく説明してあげられる時間がないんだね。
昨年の秋丹精を込めて植え付けた大根です。
このような姿の大根、これが2例目です。
全く!!!
あきれてしまいますね。
畑には最後の大根があります。
何と! 足が3本になってしまいます。
大変みずみずしくておいしいのですが、
何かに呪われているのでしょうか?
良く耕したつもりですが、小石などが混ざっていたようです。

よく相談してくれましたね。

きっと先生は腟炎があると思ったのでしょうね。
あなたが言うようにオリモノが黄色だったから。
この写真はつい先日紹介したものですが、
腟内はこんな感じだったかも知れまっせん。

先生はなぜクロマイ座薬を処方してくれたのでしょうか?

多分この薬を投与する前に淋菌やクラミジアなどの感染はチェックしてくれたと思います。
クロマイ(クロラムフェニコール)は、いろいろな菌を殺すことが出来る抗生物質です。
腟炎を起こしている菌だけでなく大切な乳酸菌まで死んでしまいます。
悪い菌を排除するために仕方ないことなのです。
この治療を1週間位続けるとおりものは少なくなり、綺麗になってきたことが実感できます。

その次に処方されたフラジール経口薬を約1週間服用

腟内洗浄後にクロマイ座薬を挿入してきれいになったところに
フラジール(メトロニダゾール)を服用します。
この抗生物質は細菌性腟症の主な原因菌である腟ガルドネラ菌を殺してくれますが、
腟に大切な乳酸菌の仲間は殺しません。


なので、フラジールは細菌性腟症の治療にはもってこいの薬なんです。
先生がどんな目的で2つの薬を処方してくれたのか分かったでしょうか?

実はこれからが問題なんですよ。

クロマイで悪い菌を殺し、さらにフラジールで悪玉菌の腟ガルドネラ菌を殺しつつ乳酸菌が増えやすい環境を整えたのです。
確かにその時点では、おりものは少なくなり、臭いが気にならなくなったと思います。
もう治った! でもそう簡単にはいかないのです。
元の生活習慣に戻ったとたん細菌性腟症が再発してしまうことが少なくないのです。

私はこう伝えました。

治療後は乳酸菌がたくさん増えるまで腟内をなるべく静かにしてあげましょう。
そしてセックスを再開するようになったらしばらくはコンドームをしましょう。
行為が終わったら外性器を洗ってその日は腟内を静かにしてしておきましょう。
コンドームをするのはうつるからではなく、
腟内射精を避けるため。
このことについては私が研究して確認したわけではありませんが、
精液はアルカリ性なので、
腟内の乳酸菌がしっかり増えるまでは酸性の環境の方がいいのかな?
と思うからです。

さらにこう付け加えました

生理は月経血で月に一度腟内を洗ってくれる役割もあります。
そのため、月経最後の頃は乳酸菌の数もかなり少なくなっています。
生理の終わりごろ、早く綺麗にしたいとの思いから腟洗浄をしてしまう人がいます。
少なくなった乳酸菌が、これから増えようとしている時期、それはないですよね。
腟の自浄作用とは、十分な乳酸菌によって腟内の酸度を高めることで、いろいろな菌が膣内に侵入しても、増殖できない環境を作っているのです。
腟洗浄は、
そんな腟の守り主を排除してしまう行為です。

医師が治療のために行う以外、
自分で行う腟洗浄はやめましょう。

君には関係ないけど、もしそんな人がいたら教えてあげてね。

細菌性腟症は性行動の活発な10代後半から20代にかけて多く、
30代で若干減少して40代以降また増える傾向があります。
お産を経験したお母さんは入浴時に腟内にお湯が入ってしまうことがある様です。
このことは腟洗浄しているのと同じなので、
そんな時はお湯が入らないような姿勢で入浴することが大切かも知れません。
気になる時はシャワーだけにしてみるのもよいかもしれません。
こんなことを!

最後に! 細菌性腟症は決して病気ではありません。

自分の腟内環境は自分で管理しましょう。
不正出血や異常なオリモノの増加、
そして粘液物質が増えて続く時は
早目の受診が一番です。
多少のおりものや臭いについては常に観察する習慣を身に着け、
自身でコントロールできるようになるといいね。
アイラボのキットがそんな時に気軽に使って頂ければ幸いです。
勿論、ご購入前、検査後のご相談も可能です。

セルフメディケーション(自分の健康は自分で管理しましょう)

カンジダは季節の変わり目に多くなるの?

今年は暖冬ですね。
今日2月20日は一日中長袖シャツ1枚でした。
梅の花もあちこちで咲き乱れ、自宅の福寿草も花を咲かせています。
この花は自宅前の公園に咲く雪柳です。
雪柳の開花時期を検索すると3月~5月との事。
関東で検索すると4月でした。
今日は2月20日ですが花が確認できます。
やはりかなりの暖冬なんですね。
これが満開になると!
こんな感じです。
この写真は2022年3月28日に撮影しました。
枝垂桜と雪柳がともに満開でたくさんの方がカメラを向けています。
八王子市元八王子町1-538-1の前です。

あまりの温かさに頭から脱線してすみません。

最近、日々の検査でカンジダが!暖かさか?

カンジダが腟内で増えている時は程度の差はありますが腟炎を起こしています。
このケースでも、若干白血球が増えています。
オレンジ色に染まる仮性菌糸(左)や酵母のように見える胞子(右)
の発見が決め手です。

カンジダ症の原因は?

先ずは、どんな時カンジダ症になるのかおさらいしてみましょう。

1. 妊娠中は胎児を守るために免疫力が低下するので、カンジダ症になりやすいです。
また、免疫抑制剤やステロイドによる治療の際にも起こります。
2.膀胱炎や風邪などで抗生物質による治療の際(菌交代現象)
3.月経前の黄体ホルモンが多い時期は妊娠時と同じように腟内の糖分が増えることで、
カンジダの栄養分が豊富になる。
4.気温の上昇に伴い、湿気の上昇に伴う蒸れによりカンジダが増えやすい環境になる。

ということで、
この時期に増える要因としては季節の変わり目で若干免疫力が低下しているのか? 
または気温の上昇に衣類が対応できないのか?

カンジダ症の症状は?

1.強烈なかゆみを伴うことがあります。
上の写真はカンジダ症の細胞診標本ですが、
左下の方に束になって仮性菌糸が見られます。
実は写真のピントが合わないため見えませんが、
細胞の塊の中を串刺しの様に菌糸が伸びているのです。
皮膚の表面に近いところをカンジダの仮性菌糸が入り込んでいくので
痒いのは当たり前ですよね。
無料相談ではあまりの痒さから性器を掻き壊してしまい人もいます

2.白っぽいおりものが増えてきます
オカラの様な、おかゆの様な(粥状)、カッテージチーズの様な、豆腐をぐちゃっとつぶした様な
おりものが沢山出てきます。
かなり前になりますが、自己採取法で採取した子宮頸がん検診の検体が届きました。
中には一通の手紙が入って、
「相談できる人がいないためこの場で失礼いたします。
実は子宮頸がんの検診なのですが長年カンジダ症で苦しんでいます。
豆腐の塊のようなオリモノが掻き出してもまたまたすぐ腟内に一杯になり、溢れてきます。
夫との性交渉の時は夫の性器に白い豆腐のようなものが沢山こびりついてきます。
夫は気にしなくていいよと言ってくれるのですが、嫌で嫌でたまりません。
何とかしてくださいという内容でした。
近くの婦人科医を紹介させて頂きましたが、カンジダ症も甘く見ると治りにくくなってしまうことがありますので早目の対応がいいですね。

3.時にはオリモノが嫌な臭いになることもあります。

婦人科医も細菌性腟症やトリコモナス症とよく間違えます

以前このブログでも紹介しましたが、
医師はカンジダ症と思いその治療薬を処方してくれました。
しかし、当の患者はカンジダ症ではなく細菌性腟症を疑っていたので、
アイラボの検査を受けた事例があります。
また、医師からは細菌性腟症の検査依頼ですが、
検査の結果はトリコモナス症であったりカンジダ症であることは少なくありません。
プロでも症状だけでは間違えますので、
必ず検査で確認することが大切です。

オリモノが黄色い人 必見!

アイラボの腟内フローラチェックの希望者が増えています。
今日は届いた検体の肉眼的所見が全く同じように見えたA・Bのケースについて紹介しますね。

アイラボの腟内フローラチェックに使用する採取器具は加藤式自己擦過器具です。
届いた検体は、受付終了後に検体の適否検査を行いますが、
その時点で“肉眼的にも黄色いおりものがいっぱい AB
余談ですが、
写真左側2本は加藤式自己採取器具で採取した検体で、濁りが強く細胞がたくさん採取されているのが一目瞭然です。
右は医師採取で広く使用されるサーベックスブラシで採取した検体です。
この器具は細胞がたくさん採取できますが、強くこすると出血することが多く、クレームになることを恐れ十分採取されていない事が少なくありません。
自己採取に使われる加藤式器具は、
自然に剥離して腟内に溜った細胞と子宮の入り口をスポンジ部分でこすることで
新鮮な細胞も採取される器具です。

今回は沢山の細胞が採れたAとBについてチェックします。
(先ずはAから見ていきましょう)

青くゴマの様に見えるのが白血球です。
通常、腟の中に白血球がこんなに沢山見えることはありません。
白血球が増えているのは、白血球が何かと戦っているからです。
風邪のひき始めに咽喉(のど)が赤く腫れて痛くなるよね。
これはのどに感染したウイルスや細菌を殺すために白血球が戦っているから。
白血球が沢山の細菌やウイルスを食べて死んでしまったのが“膿(うみ)”だよ。
ということは、
この人は何かに感染している証です。

次にBさんの標本を見てみましょう

こちらも白血球がたくさん見えます。
ということはもうお分かりですよね。
腟内に何かが感染している可能性があるのですよ。
例えば、淋菌やクラミジア、トリコモナスやカンジダ、、、
ひょっとしてマイコプラズマであったりもします。

先ずはAの写真を拡大してみます。

やっぱりね。
中央付近で緑色に染まるのがトリコモナス
ちゃん達です。
と言うことで、、、、白血球が増えた理由の一つは解決出来ました。
でも、トリコモナスだけとは限りません。
性感染症は一度に複数(淋菌やクラミジアなど)感染することもあるからです。
こんな時は女性のリンクラチェックの追加検査を勧めます。

続いてBの写真を拡大してみます。

この写真を見る限り乳酸菌は確認できません。
少しですが腟ガルドネラ菌が見られます。
従って、細菌性腟症が疑われる所見ですが、白血球が極めて多く腟炎の状態ですので、あえて言うなら細菌性腟炎が正しいと思います。

典型的な細菌性腟症はこんな感じです

前の写真にたくさん存在した白血球は極めて少なく、細菌性腟の所見です。
白血球がたくさん見られるケースは細菌性腟ということになり、両者基本的に分けられます。
この写真は典型的な細菌性腟症です。
従って、Bの様なケースは背景に細菌性腟症はあるとしてもその他の原因があるのではないかと考えます。

1.乳酸菌が存在しないため腟ガルドネラ菌が一時的に腟内環境を守っていたが、乳酸菌に比べ腟内酸度が低いため、腟内を守り切れなくなって、腸内細菌などが増えたことによる腟炎。
注:これは椎名の個人的考え
2.淋菌やクラミジアなどの性感染症による腟炎
3.トリコモナスの寄生による腟炎
(Aのケース)
4.マイコプラズマやウレアプラズマの感染による腟炎
5.カンジダの繁殖による腟炎
(Bのケースは今回の検査で存在が確認されません)

おりものが黄色い時は早めの対応が肝心

おりものが黄色い=(程度にもよりますが)
腟炎が起こっている可能性が高い


先ずは → 婦人科を受診するのがお勧めです。

しかし → こんな症状で婦人科を受診しても良いのか?など迷いますよね。

そんな時は是非 → アイラボの「おりもの&臭いの検査」をお試しください。

炎症が強いのに全ての結果が陰性の時 → マイコプラズマチェックがお勧めすることがあります。


アイラボのモットーはBe with you (あなたと一緒です)

腟炎が見られたケースに新たな追加検査を新設しました。

臭いとかゆみが気になり腟内フローラを調べた

かなり前になりますが、同じような症状が出たので婦人科を受診したら
細菌性腟」と診断されました。
今回も同じような症状が出たのですが、先ずはアイラボの検査キットで
調べることにした依頼者さんは「腟内フローラチェック」を選ばれました。
症状は痒みおりものが特に気になったとの事、、、、、、、
ならば、「おりもの&臭いの検査」が良かったのに!!!

そんなことを思いまながら、
先ずは検体が適切に採取されているかどうかを調べることにしました。
腟内フローラチェックのみなら、
このようにほんの少し塗抹してパパニコロウ染色した標本で検査が可能です。

早速見てみましょう

腟内に白血球の増加はなく、腟炎は起こしていません。
かゆみおりものが気になるとのことですと、私達は真っ先にカンジダがいるかどうか調べます。
標本をくまなく探してもそれらしき菌糸や胞子は見られません。
すると写真のような箇所が目に飛び込んできました。

中央の左右に特に気になる所見があるので早速左側の細胞を拡大してみました。
あれあれ?、、、HPVに感染したLSIL相当の細胞ではないか!
この人のコメントには、前回の子宮頸がん検診では“異常なし”とのことですが?
今回の検査では明らかな異常を発見!!
ちゃんとした標本で細胞診検査を行う必要があります。
それはLSIL相当の細胞だけなら良いのですが、
それ以上の所見があるかどうかをチェックする必要があるからです。

婦人科への受診を勧めますが、今回採取された検体での追加検査も可能です。
さらに感染している可能性が高いハイリスク型HPVのタイピング検査の追加検査も可能です。
やや右側に目を向けると、やや黒っぽく見える細胞は、clue cell(クルーセル))といいます。
細胞に腟ガルドネラ菌が群がっている所見で、細菌性腟の特徴の一つです。

※細菌性腟と細菌性腟はよく間違えられます。
腟炎を起こしていると白血球が増えます。
しかし、細菌性腟症の多くは白血球が増えません。
なので、この方は以前細菌性腟炎になった、、、、と言われましたが?
実は細菌性腟症ではなかったのでしょうか?

細胞の周りを見ても、明らかな乳酸菌は全く見られませんので、
腟内フローラチェックの評価としては「乱れている」になります。

やっぱり自己診断だけでは分からないことがありますね

今回のケースの様に、
婦人科の症状は病気によっては同じような症状になることが少なくないのです。
前回と同じような症状であっても、原因が異なることがあるのです。
だから、
病院に行くのは面倒と思ても検査だけでもしておくことが大切なのです。

細菌性腟症でもかゆみを訴える人は少なくないです。
HPV感染初期にかゆみを訴える人も少なくないです。

アイラボの検査は細胞診が基本

アイラボの郵送検査は、どんな検査キットでも検体の適否判定を行ってから検査をしています。
不適切な検体で診断された「陰性」は間違った陰性だからです。

郵送検査を始めた当初風俗の定期検査で加藤式のスポンジ部分が故意に切り取られた検体が届きました。
(医師が採取しない)自己採取検体は「陽性の結果が出るのは困る」場合、
適切な採取が行われないこともあることが判明しました。
アイラボではそれ以来、
郵送検査の全てのキットについてこのブログの最初の写真の様に検体の適否判定を実施しています。

ほんの少しの細胞を観察するだけですが、時には今回の様に異型細胞に遭遇することがあります。
今回のケースは子宮頸がん検診で陰性だったのですが、良かったですね。
これこそアイラボの郵送検査の目指すところです。