黄色いオリモノが気になり
       腟内フローラチェックを受けた

キット購入前に相談して頂きたかったケースです。
オリモノが黄色い=腟内に白血球が増えている。
白血球が増える=何らかの原因で炎症が起こっている。
その原因の多くは細菌やウイルスなど、微生物の感染です。
ですから、キットの選択はFemバランスチェックではなく、
“おりもの&臭いの検査”が最初の選択肢になります。

先ずは細胞像をみてみましょう。
それほどでもありませんが、
黒っぽくゴマのように見える白血球が増えています。
軽度の炎症を伴っているかな?程度ですが、
オリモノが黄色くなっている可能性があります。

さらに拡大を上げてみましょう。
中央付近に赤っぽく染まる酵母のような所見が見えます。
カンジダの胞子です。
炎症の原因はカンジダの増殖によるものだったようです。

さらに拡大を上げてみましょう。
明らかにカンジダの胞子です。

腟カンジダ症は、性感染症ではありませんが、オリモノや臭い、さらに激しいかゆみなど、不快な症状を伴います。最も多いのが膀胱炎などで抗生物質を服用した後に起こる菌交代現象によるカンジダ症です。また、妊娠時は腟内のグリコり-ゲン(糖分)量が増えるため、カンジダにとってはエサがたくさんある事でカンジダ症になります。従って、嫌な症状を伴いますが、性行為でうつる性感染症とは異なります。

細菌性腟症と症状が似ているので注意!

お医者さんもよく間違ってしまう細菌性腟症とカンジダ症。
本当は細菌性腟症なのにカンジダ症と診断されるケースが多いようです。
薬を飲んでも全く症状が改善されない方からの相談が多いです。

アイラボのFemバランスチェックは腟内フローラを調べる検査ですが、
(症状が似ている)カンジダ症も同時に調べることでこのような間違いを防いでいます。
しかし、トリコモナス、クラミジア、淋菌と言った性感染症は検査の項目に入っていないので、
オリモノが黄色い時の第一選択肢は“おりもの&臭いの検査”がお勧めです。

オリモノと臭いが気になったので
Femバランスチェックを受けた

「最近黄色いオリモノと臭いが気になるようになったので、腟内フローラの状態を調べられるアイラボのFemバランスチェックを受けることにしました。」という受診者。
この時点で一言!
単なる腟内フローラの乱れから起こる細菌性腟症は黄色いオリモノにはなりません
黄色いオリモノは腟炎の症状です。
早速腟内の状態を顕微鏡で見ていきましょう。
ゴマのように見えるのが白血球です。
たくさんあるので強い腟炎を伴っていることが分かります。
何らかの感染症が関係していることが多いです。
先ずはカンジダ、トリコモナス、淋菌、クラミジアを疑います。
全てが陰性の場合、
マイコプラズマやウレアプラズマであることもあります。
拡大を上げてみましょう。
ゴマのように見える白血球とは異なり、グリーンに染まる小さな細胞が10個ほど見えます。
これらはトリコモナス原虫です。
この受診者はトリコモナスの感染によるオリモノの異常に悩んでいたんですね。
左右に2個のトリコモナス原虫を認めます。

検査前に無料相談を利用して下さい

トリコモナス、カンジダ、淋菌、クラミジアなどの感染症は時に同じような症状を示します。
検査をしないと治療方針が決まりません。
おかしい?、いつもと違う?、と思ったら、
婦人科を受診するのが一番です。
受診を躊躇した時は先ず私達のような日本性感染症学会認定士にご相談下さい。
適切な検査キットをのご案内ができます。
何より大切なことは、
心配事をそのままにしない事。

細菌性腟症について職員からの質問

このケースなんですけど?
背景に白血球がかなり見られ、腟炎が疑われます。
でも、中央付近の所見が気になるので見て頂けますか?
との事。
中央付近の拡大を上げた写真です
白血球(丸い小さな細胞)と扁平上皮細胞
(緑色に染まる平べったい大きな細胞)が見られます。
その他に、写真中央やや下に、もやもやした塊が見られ、
よく見るとそれ以外の所にももやもやが見られます。
このもやもや腟ガルドネラ菌でいいですか?
それが職員からの質問です。

「どれ、私に標本を見せてください」
(このように質問だれたケースは写真だけでなく、
必ず標本を見せてもらうことにしています。)

改めて標本を見直すと

職員が言うように、
背景には比較的多く白血球がみられ、
腟炎を起こしているようです。
細菌性腟症だと、
一般的には白血球の増加は見られません。
「やはり、腟ガルドネラ菌が少し増えているようだね。」
でも、白血球の増加は何なんだろう、、、?
すると、あるものが目に入ってきました。
拡大を上げてみますね。
写真中央のオレンジ色に染まる細胞の上を
横切るように見えるものがカンジダの仮性菌糸です。
これで、
白血球増加(腟炎)の原因はカンジダであることが判明!

さて、本題の細菌性腟症かどうかについては

私達が日常顕微鏡で観察している標本は、
パパニコロウ標本といいます。
名前の通り、パパニコロウ先生が考案した染色方法で、
先生は女性のホルモンに関する研究をしていました。
そしてある時、先生の目に飛び込んできたのが“がん細胞”
だったかも知れません。
先生は、パパニコロウ標本で、子宮頸がんの検査ができることを発見しました。

ホルモン評価やがん細胞の発見だけでなく、カンジダトリコモナスなどの感染症や細菌性腟症のような腟内フローラの検査にも活用できるんですよ。

細胞診(腟分泌物のパパニコロウ標本)は、「最も安価で」「最も正確な」「婦人科感染症の総合的診断法」だと私は考えています。

アイラボではこの方法を駆使して、
皆さんに郵送検査を提供しています。
郵送検査に使用しているセルソフト
自宅で検査できる採取器具です。
セルソフトで採取した検体は、パパニコロウ染色で分からない事やはっきりしない時にはいろいろな検査を追加することが可能なんです。
だからアイラボの郵送検査は「追加検査が可能」なんです。

話が横道にそれてしまいました。
職員が、腟ガルドネラ菌かどうかはっきりしなかったので、
ごく簡単な、別の染色を追加してみましょう。
パパニコロウ染色より菌がはっきり見えるでしょう。
腟ガルドネラ菌がたくさん見えます。
場所によってはこんなに塊で見えるところもあります。
別の場所では、とても少ないですが、
(太く細長い)乳酸菌の見られます。
はたまた、カンジダの仮性菌糸もこのように見えます。
という事で、
職員が見たもやもや問題は解決できました。
最終的(全体的)には、乳酸菌は極めて少なく、腟ガルドネラ菌が増えていましたので、「細菌性腟症の予備軍的状況(Nugent Score 6)」とし、腟炎の原因としてはカンジダ症が推定されたケースと思われます。

細菌性腟炎ってどんな病気? と言う電話相談。

婦人科に行ったらクロマイとフラジールが処方されました。
と言う女性。話を聞くと、
「黄色いおりものがあり、病院で処方された薬で症状は良くなるけど、
すぐに再発してしまう。」

どうやらそんな悩みのようです。

先生も忙しくて、詳しく説明してあげられる時間がないんだね。
昨年の秋丹精を込めて植え付けた大根です。
このような姿の大根、これが2例目です。
全く!!!
あきれてしまいますね。
畑には最後の大根があります。
何と! 足が3本になってしまいます。
大変みずみずしくておいしいのですが、
何かに呪われているのでしょうか?
良く耕したつもりですが、小石などが混ざっていたようです。

よく相談してくれましたね。

きっと先生は腟炎があると思ったのでしょうね。
あなたが言うようにオリモノが黄色だったから。
この写真はつい先日紹介したものですが、
腟内はこんな感じだったかも知れまっせん。

先生はなぜクロマイ座薬を処方してくれたのでしょうか?

多分この薬を投与する前に淋菌やクラミジアなどの感染はチェックしてくれたと思います。
クロマイ(クロラムフェニコール)は、いろいろな菌を殺すことが出来る抗生物質です。
腟炎を起こしている菌だけでなく大切な乳酸菌まで死んでしまいます。
悪い菌を排除するために仕方ないことなのです。
この治療を1週間位続けるとおりものは少なくなり、綺麗になってきたことが実感できます。

その次に処方されたフラジール経口薬を約1週間服用

腟内洗浄後にクロマイ座薬を挿入してきれいになったところに
フラジール(メトロニダゾール)を服用します。
この抗生物質は細菌性腟症の主な原因菌である腟ガルドネラ菌を殺してくれますが、
腟に大切な乳酸菌の仲間は殺しません。


なので、フラジールは細菌性腟症の治療にはもってこいの薬なんです。
先生がどんな目的で2つの薬を処方してくれたのか分かったでしょうか?

実はこれからが問題なんですよ。

クロマイで悪い菌を殺し、さらにフラジールで悪玉菌の腟ガルドネラ菌を殺しつつ乳酸菌が増えやすい環境を整えたのです。
確かにその時点では、おりものは少なくなり、臭いが気にならなくなったと思います。
もう治った! でもそう簡単にはいかないのです。
元の生活習慣に戻ったとたん細菌性腟症が再発してしまうことが少なくないのです。

私はこう伝えました。

治療後は乳酸菌がたくさん増えるまで腟内をなるべく静かにしてあげましょう。
そしてセックスを再開するようになったらしばらくはコンドームをしましょう。
行為が終わったら外性器を洗ってその日は腟内を静かにしてしておきましょう。
コンドームをするのはうつるからではなく、
腟内射精を避けるため。
このことについては私が研究して確認したわけではありませんが、
精液はアルカリ性なので、
腟内の乳酸菌がしっかり増えるまでは酸性の環境の方がいいのかな?
と思うからです。

さらにこう付け加えました

生理は月経血で月に一度腟内を洗ってくれる役割もあります。
そのため、月経最後の頃は乳酸菌の数もかなり少なくなっています。
生理の終わりごろ、早く綺麗にしたいとの思いから腟洗浄をしてしまう人がいます。
少なくなった乳酸菌が、これから増えようとしている時期、それはないですよね。
腟の自浄作用とは、十分な乳酸菌によって腟内の酸度を高めることで、いろいろな菌が膣内に侵入しても、増殖できない環境を作っているのです。
腟洗浄は、
そんな腟の守り主を排除してしまう行為です。

医師が治療のために行う以外、
自分で行う腟洗浄はやめましょう。

君には関係ないけど、もしそんな人がいたら教えてあげてね。

細菌性腟症は性行動の活発な10代後半から20代にかけて多く、
30代で若干減少して40代以降また増える傾向があります。
お産を経験したお母さんは入浴時に腟内にお湯が入ってしまうことがある様です。
このことは腟洗浄しているのと同じなので、
そんな時はお湯が入らないような姿勢で入浴することが大切かも知れません。
気になる時はシャワーだけにしてみるのもよいかもしれません。
こんなことを!

最後に! 細菌性腟症は決して病気ではありません。

自分の腟内環境は自分で管理しましょう。
不正出血や異常なオリモノの増加、
そして粘液物質が増えて続く時は
早目の受診が一番です。
多少のおりものや臭いについては常に観察する習慣を身に着け、
自身でコントロールできるようになるといいね。
アイラボのキットがそんな時に気軽に使って頂ければ幸いです。
勿論、ご購入前、検査後のご相談も可能です。

セルフメディケーション(自分の健康は自分で管理しましょう)