膀胱炎治療後思わぬ事態に困り果てている

アイラボの無料相談で最も多いのは男性のHPVに関するものですが、次いで多いのは女性のおりものや臭いに関するご相談です。アイラボが昨年東京ビッグサイトで開催されたFem+(フェムプラス)に参加した際に実施したアンケート調査「おりものや臭いで悩んだことがありますか?」との質問に、91%の人があるとこと答えています。
今回紹介するケースは、膀胱炎の治療のために処方された抗生物質を服用後、白いボロボロとしたおりものが出て、腟カンジダ症と診断されました。先生にカンジダの治療薬を何度も処方されましたが元のようにはなりません。病院もいくつか変えて治療して頂いていますが改善の兆しがなく、現在大量の腟錠を処方され、自身の判断で使用するように言われています。
こんな状態を何とかしたいと思い、アイラボさんのFemバランスチェックを受けました。
この様な悩みを抱えていますが、腟カンジダ症と細菌性腟症は症状が似ているためか、カンジダの治療薬を処方し続けてしまうようです。
以下に同じような記事を紹介します。
https://ilabo-cyto.co.jp/blog/article.html?page=114
https://ilabo-cyto.co.jp/blog/article.html?page=117
https://ilabo-cyto.co.jp/blog/article.html?page=100
https://ilabo-cyto.co.jp/blog/article.html?page=81
https://ilabo-cyto.co.jp/blog/article.html?page=203

さて今回のケースを顕微鏡で見てみましょう

アイラボの標本としては少し濃い感じで染色されています。
それは、乳酸菌やカンジダを見落とさないように、故意に濃く染めています。
弱拡大で観察するととてもきれいです。
そして白血球もほとんど見られないので、腟炎は起こっていません。
弱拡大で見てもカンジダらしいものはいません。
また、乳酸菌もいません。
ただ中央部分に気になる所見が見られますので拡大を上げてみましょうね。
中央やや左に細胞が紫色に染まっています。
これはクルーセルといって腟ガルドネラ菌(紫に染まる)が細胞にまとわりついているからです。
クルーセル以外にも紫色のモヤモヤは腟ガルドネラ菌です。
拡大を上げても、カンジダや乳酸菌を見ることはできません。
典型的な細菌性腟症です。
カンジダの治療ではこの状態は改善されません。
正しく診断して、適正な治療が望まれるケースと思います。
細菌性腟症と診断されれば、フラジールという抗生物質が選択されます。

心配な時は先ずはトライしてみてください。

細菌性腟症と診断された1ヵ月後はどうなった?

8月6日の記事で紹介した「婦人科で治療後におりものと臭いが気になるようになった」方からの情報が届きました。
前回は生理が終わって間もなく採取しましたが、今回は生理の直前に採取して頂けました。
生理後は腟内を血液で洗い流した後ですので、乳酸菌は少ない可能性があるので今回は乳酸菌が最も多くなる生理直前に検査して頂きました。
それでは早速前回と比較してみましょう。

先ずは前回の写真をもう一度見てみましょう

先ずは、弱拡大で全体を見てみましょう。
標本背景に白血球の増加(腟炎)はなく、一見とてもきれいな腟内の様に思います。
しかし、赤の矢印の先には細胞の上に腟ガルドネラ菌が群がるクルーセルが見られます。

生理直前の細胞像で治療はしていません。

前回に比べ、白血球が多くなり、若干腟炎の様相を示しています。
また、クルーセルは見られますが、前回ほど腟ガルドネラ菌の群がり方が弱いようです。

拡大を上げた前回の写真です。

赤の太い矢印の先には紫色に染まる腟ガルドネラ菌が細胞にびっちり群がっています。
菌にとっての栄養源(グリコーゲン)の豊富な細胞に集まっているのでしょうか?
赤の細い矢印の先の様に細胞の周りにも腟ガルドネラ菌の集まりが見られます。
黄色の矢印の先にあるのが白血球ですが、典型的な細菌性腟症では増えません。

拡大を上げた今回の写真です。

一見して前回の生理直後に比べ、白血球が多くなり、腟ガルドネラ菌がクルーセルに集簇するだけでなく前面に広がっている感じに見られます。2枚とも細菌性腟症が疑われる所見に違いはありませんが、細胞像的にはかなり異なっています。白血球が増えていることも要因の一つかもしれませんが、今回の月経前採取例は黄体ホルモン優位な時期なのでホルモン環境の違いによる可能性も考えられます。

これは前回の単染色による腟ガルドネラ菌です

細胞の中に無数の菌が存在し、クルーセルの形態をとっています。

これは今回の単染色の所見です

この写真でも、クルーセルの形態を採るものより、標本全面に腟ガルドネラ菌が散らばっている様子が分かります。細胞融解によって栄養源(糖分)が膣全体に分散されたことによる変化なのでしょうか?

提供者はこれから細菌性腟症と対峙するようです

https://ja.thpanorama.com/articles/biologa/gardnerella-vaginalis-caractersticas-morfologa-ciclo-de-vida-contagio.html

細菌性腟症の原因についてネットで検索すると極めてたくさん出てきますが、今回情報を提供してくれた方は子宮頸部高度異形成のレーザー蒸散術後に症状が現れたとのことですので、抗生物質投与による正常細菌叢の乱れがそのまま継続している可能性が考えられます。また最近の電話相談でも、クラミジアの治療後にこれまで経験したことがないおりものの異常と異臭に悩まされている方がいます。

細菌性腟症の主な原因菌は腟ガルドネラ菌Gardnerella vaginalis です。この菌は腟内フローラの一員でもありますが、乳酸菌に対しては“ビルレント(敵対的)になることができて”増殖を抑制し、自らが腟内を支配することができることがあるようです。
健康な膣内は、乳酸菌の増殖により腟内の酸度はpH3.5程の強い酸性域にあるため、他の細菌が増殖できない環境を維持しています(膣の自浄作用)が、腟ガルドネラ菌等の嫌気性菌に支配されると腟内酸度が低下し、典型的な症状として灰白色のオリモノの増加と異臭(プトレシンやカダベリンの生成)を伴うようになります。※プトレシンはアミンの一種で腐肉の臭い成分で死臭の一因とも言われています。
そのような異臭の程度は様々で、ほとんど気にならない方から、電車で隣の席にいても分かるくらいまでさまざまです。時にはパートナーに不快感を与えてしまう事もありますので、ひどくなってしまったら治療の対象になるようです。

私自身はこれまで性行為で感染するものではないと考えていますが、私の友人の婦人科医は性感染症の位置づけで、治療しても夫婦間交渉ですぐ再発しまうといいます。

従って、治療に際しては、単にフラジールの1週間投与だけでなく、性感染症も考慮して生活環境も踏まえた入念な対策が必要かも知れません。

婦人科で治療後におりものや臭いが気になるようになった

高度扁平上皮内病変(high-grade squamous intraepithelial lesion:HSIL)で円錐切除術レーザー蒸散術で治療した患者さんがその後の細胞診検査で、細菌性腟症が疑われるケースをよく経験します。2年程前に、私の友人もCIN3で子宮頸部レーザー蒸散術を受けました。その後今まで経験したことがない程のオリモノが増え、臭いも気になるとのことで、自己採取(セルソフト)法により細胞診検査とHPV検査を受けました。
幸いなことに異型細胞は観察されず、ハイリスク型HPVも検出されませんでした。
しかし、その時の細胞像を見てみましょう。

典型的な細菌性腟症を疑う所見です

先ずは、弱拡大で全体を見てみましょう。
標本背景に白血球の増加(腟炎)はなく、一見とてもきれいな腟内の様に思います。
しかし、赤の矢印の先には細胞の上に腟ガルドネラ菌が群がるクルーセルが見られます。
拡大を上げた写真です。
赤の太い矢印の先には紫色に染まる腟ガルドネラ菌が細胞にびっちり群がっています。
菌にとっての栄養源(グリコーゲン)の豊富な細胞に集まっているのでしょうか?
赤の細い矢印の先の様に細胞の周りにも腟ガルドネラ菌の集まりが見られます。
黄色の矢印の先にあるのが白血球ですが、典型的な細菌性腟症では増えません。
これはグラム染色で腟ガルドネラ菌を染めた写真です。
緑の矢印で示した先には、赤く染まる腟ガルドネラ菌が塊で見られます。
これもグラム染色で染めた腟ガルドネラ菌で、1000倍に拡大した写真です。
本来はグラム陰性(赤く染まる)菌ですが、このように赤みが弱かったり、
青っぽく染まることもあります。
こちらは単染色という方法で染めた標本ですが、
細胞の中に無数の菌が存在し、クルーセルの形態をとっています。
スマホでの撮影ですので、見難くてすみません。

いろいろな染色を紹介しましたが、最初の2枚の写真の様に子宮頸がん検診に使われるパパニコロウ標本でもきれいに観察できますね。

同じ症状で悩む人のために友人が情報も寄せてくれました

そのまま紹介します。
【術前】
・元々おりものは生理の前後にありましたが、おりものシートを付けたことはありません。
・おりものが出て気になったのは月に数回のイメージで気にも留めていませんでした。
2021年9月21日手術(以前伺った話によりますと、高度異形成と診断され、子宮頸部レーザー蒸散術を受けたと聞いています。)

【術後】
1ヶ月間は出血が続きました。もともと生理の時の出血は多い方ですが、出血が多い日が続く感じで貧血気味になりました
・術後特に意識はしていなかったのですが、(今思うと)人生初めておりものシートを購入し、ここ2年はおりものシートが手放せなくなっています。生活のリズムやスタイルは特に変化はありませんし、どちらかというと術前の方がストレスフルな生活をしていたり、パートナーとの性交渉も多かったにもかかわらず、おりものの症状は今ほど気にならなかったので、治療により腟内の環境が変わったのかな?、、、と思います
・オリモノの性状は術前は白っぽかった気がしますが臭いは特に気にするほどではありません。現在は水っぽい感じで量が多く、臭いも気になります。卵スープみたいにうっすら色がついていました

おりものの変化を感じても後廻しにしていませんか?

おりものは健康な人にも見られるものです。
教科書的には、「排卵の頃、無色透明で、臭いもない」おりものが出ることは正常であり、排卵の目印にもなるようです。
白く濁ったり(カンジダ)、黄色味を帯びたり(腟炎がある時)、褐色調(古い出血)に見えたりすることもありますので、
日頃から自身の健康を管理する上で観察する習慣を身につけることも大切かも知れません。

おりものの性状については他の人と比較することもできませんので、「いつもと違う」「なんとなく変」と思ったらそのままにしないで検査だけでもしておきましょう。

私の推奨
◆性感染症(性病)の心配もある。
「おりもの&臭いの検査」
◆オーラルセックスも同時にあった。
「腟と咽頭のSTDチェック」
◆性感染症(性病)の心配はないけどおりものが気になる
「腟内フローラチェック」

乳酸菌は大量の抗生物質の使用で死滅し、復活できていないのか?

はじめに述べましたように、婦人科の先生から依頼される細胞診検査の中には、円錐切除術やレーザー蒸散術後のフォローアップ検査(異常な細胞が消滅しているか?再発していないか?を定期的にチェックすること)の中に今回紹介した細菌性腟症を疑うケースが少なくありません。アイラボではその事実を先生方に報告しますが、検査会社の中には細菌性腟症が疑われてもそのことを報告しない施設も多いようです。
せっかく婦人科を受診しているのですから、女性のそんな悩みにも目を向けていただけたらと思いますが、現実は決してそうではないようです。
病院を受診しても先生には何も言われなかったので、自分の今の症状は異常ではないと思い込んでいる人も少なくありません(無料電話相談より)。
この友達はレーザー蒸散術を受けましたが、医師は術後に異型細胞があるかどうか? 再発は大丈夫か?という点に力点を置いていますが、生活の質の回復にも同じような配慮があって欲しいものです。

この友人は自身で生活の質の向上にチャレンジするようですが、その歩みについても報告頂けるようです。
同様の悩みを抱える皆さんはお気軽にアイラボの無料相談をご利用ください

嫌な臭いが心配で郵送検査を受けた

最近においが気になるので郵送の検査を受けた
ケースの話。
性器の臭いは様々です。
自分の臭いが異常なのかどうなのかもわからない人が多いようです。
昔、日本臨床細胞学会で細菌性腟症に関する発表をしましたが、座長の先生から「細菌性腟症はどんな臭いですか?」との質問を受けました。
「私は医者ではないので、臭いについては分かりません。」と答えると、座長の先生は、「診察の時、最もきついニオイは進行した癌ですが、診察の時チョット臭いが気になる人がいますが、それなのかな?」と言っていました。
私が細菌性腟症の研究を始めたきっかけは、ある婦人科の女医さんが子宮頸がん検診の依頼書に(臭い⊕)と書かれていましたが、その数があまりにも多いので先生に問い合わせると、「気になる臭いがあるのでそう書いています。父(婦人科医)が「診察の時に気づいたことがあればメモをしておきなさい」と言うので、いつもそうしていますが、何か困ることがありますか?」という答えが返ってきました。
実はこの女医さん、細菌性腟症という言葉は知っていましたが、先生が(臭い⊕)と書かれた人が細菌性腟症による臭いとは理解されていなかったようです。
このことからも分かるように、細菌性腟症はちょっと気になる臭いなんです。
医学的には「魚臭帯下(魚の生臭さ)」と表現されますが、女の子の間ではイカ臭いと表現されることが多いようです。
この依頼者も、イカ臭いと表現していました。
早速細胞像を見てみましょう。
このように弱拡大で観察しても一目瞭然細菌性腟症が疑われる所見です。
でも待てよ!写真中央にちょっと目立つ大きな細胞があります。
これも細胞検査士が見れば一目瞭然ヘルペス感染細胞かな?
拡大を上げてみました。
大きな細胞の中に複数の核が見えます。
典型的なヘルペス感染細胞です。
しかも核の中をよく見ると、赤っぽく染まる丸い大きな物が見えますが、これは好酸性核内封入体と言います。
これは初感染(初めてヘルペスに感染)では見られない現象で、再発を意味します。
つまり、現在ヘルペスの症状はないが、腟内で再発しているという事なのです。
やはり細胞診はすごいね

他の部位にも同じような細胞が見られます。
こちらも拡大を上げてみました。
核がたくさんある細胞のように見えますが、
実は別々の細胞が寄り集まって一つの細胞のように見えるのです。
ヘルペスに感染した細胞は細胞融合を起こすため、
各々の核が重なることなしに寄り集まっているように見えるのです。

腟内のヘルペスは症状が出ないので発症に気付かない!

ヘルペスが外陰部に初めて発症した時は、
激痛のため歩行困難になることもあります。
しかし、再発を繰り返すたびに症状は軽くなります。また、腟内に発症した場合、今回の様に痛いといった症状は出ませんので、
発症していることに気が付かないため、
この時期の性交渉は大変危険です。

といった具合で、
細胞診って色々なことが分かるから、誰でも
気軽にチャレンジできる郵送検査
を利用してくださいね。

円錐切除術後に細菌性腟症が多いのはなぜ!

数年前に上皮内癌の治療で円錐切除術を受けた方が、それ以降臭いが気になるようになった。ということで腟内フローラチェックを希望されました。実は、私達が病院の先生方から依頼される円錐切除術やレーザーによる治療後の細胞診検査においても細菌性腟症が疑われるケースは少なくありません。むしろなぜこれらの治療後に細菌性腟症が多いのかいつも疑問に思っています。
案の定、この方も下の写真の様に典型的な細菌性腟症が疑われる所見です。
写真の様に、背景に白血球の増加(腟炎)はなく、比較的きれいですが、乳酸菌はほとんど見られずクルーセルを伴って腟ガルドネラ菌が腟内を支配しています。
一日に同じようなケースに複数遭遇することがあります。
このケースも高度異形成の治療後のフォローアップ例ですが、異型細胞はなく前の写真と同じようにクルーセルが多数見られ細菌性腟症が疑われます。

治療によって腟内フローラが変わってしまったのか?

私は医師ではありませんので、円錐切除術やレーザーによる治療の詳細は分かりませんが、このような治療にはかなり大量の抗生物質が投与され、腟内正常細菌叢である乳酸菌の仲間達が死滅したまま全く回復できず、その後腟内を守るために腟ガルドネラ菌が支配するようになるのか?、、、なんて思ったりしています。
もしそうだとしたら、術後正常細菌叢が回復したことをチェックして頂ければ、今回のケースの様に、術後臭いで悩む人が少なくなるのでは???、、、なんて思いながら毎日顕微鏡に向かっています。

以前検診で軽度異形成と診断されたが病院に行かなかった

「5年前に検診で軽度異形成(LSIL)が見つかったけど、病院に行っていませんでした。
最近あそこの臭いが気になるので、子宮頸がんが心配になり郵送検査をお願いした。」
という女性。
それは気になりますよね。
検診で「要精密検査」と診断されたのに5年間も婦人科を受診されなかったとの事、それでは検診を受けた意味がないですね。でも、アイラボの子宮頸がん検査や婦人科トータルセルフチェックを依頼される方にはそのような方が少なからずおります。
子宮頸がんはがんが進行するまで明らかな症状はありませんが、臭いが気になったので婦人科トータルセルフチェックを受けられたのは正解ですね。
このキットは子宮頸がん検査とおりもの検査を同時に行うキットで、アイラボの郵送検査で最初に販売した商品です。

早速その時の細胞を見てみましょう

こんな細胞が検出されました。
私達はこの細胞でASC-H(アスクエイチ)と診断しましたが、ASC-Hの意味するところはHSIL(高度異型扁平上皮内病変:中等度異形成・高度異形成・上皮内癌が含まれます)の存在も否定できませんという位置づけです。
もっと進んでいなくて良かった!....という思いが率直な感想です。
この細胞ですと、“中等度異形成から高度異形成の存在が否定できない”のであって、上皮内癌まで進んでいないと思うからです。
この方は幸運にもセーフでしたが、LSIL(軽度扁平上皮内病変=軽度異形成)はHPVに感染しているものの腫瘍化していない状態ですが、HSILの病巣があってその部位からうまく細胞が採取されないこともあるので、今回臭いが気になったということですので、がんが進行してしまっている可能性もあるのです。もしそのようなことになってしまったら、子宮全摘手術になったり放射線療法や抗がん剤による治療も必要になってしまいます。せっかく受けた検診が何の意味もなくなってしまうのです。
面倒ですが、それが子宮を守り、命を守るためにあなたにしかできない事なのです。

臭いの原因は何だったのでしょうか?

背景には腟ガルドネラ菌が増えていて、乳酸菌はほとんど見えません。
やはり気になった臭いは細菌性腟症によるものかもしれませんね。
臭いの原因が細菌性腟症とがんの浸潤によるものとでは雲泥の差ですからね。
先ずは本当に良かった。
この結果を持って早く婦人科を受診してくださいね。
今度こそ、絶対ですよ!

性器の感染症では症状が似ていることがい多い

アイラボの無料相談には様々な相談が寄せられますが、今回は性病が心配で婦人科を受診された方のケースを紹介します。

「自分としてはいろいろな検査をして頂きたかったのですが、先生は、淋菌とクラミジアしかしてくれませんでした。来週また受診するのですがどういう風に頼めばいいですか? 
というご相談でした。

実は似たようなケースのご相談は結構あります。
私達は、
「先生は内診や患者さんからの訴えを聞いた上で治療方針を決めますので、検査の項目については基本的には先生の判断ですので、ある意味仕方ないかも知れません。突然機嫌が悪くなったり、“あなたは医者ではありません。判断は私がします。”と言われたりしたケースも以前ありました。また、患者さんの意向に沿って検査をしてくれる先生もいます。先生方の対応はかなり分かれるようです。」
こんな風に伝えます。
かなり前になりますが、同様な理由でアイラボの
おりもの&臭いの検査」を依頼されたケースがありましたので紹介しましょう。

早速その時の写真を見てみましょう。

アイラボの郵送検査では、
たとえ淋菌やクラミジアの様に機械にかけて測定する検査であっても、検体が適正に採取されているかチェックをしてから検査を開始します。
この時の核の染色が濃かったので、白血球が黒っぽく見えます。白血球が少し増えていますので、腟内で炎症が起こっている(腟炎)ことになります。腟炎の原因は何か?ということになりますが、この時依頼された淋菌とクラミジアの検査は陰性でした。

細胞診ってすごいな!
この一枚の写真で腟炎があることだけでなく、
その原因はトリコモナスであることも分かるし、もともと細菌性腟症があるのかな? 
って思えるんですよ。

先ず、赤の矢印で示した先に注目してください。
少し緑色に染まり、小さな核を持つ丸いものが見えますが、これがトリコモナス原虫です。
トリコモナスに感染するとおりものが黄色くなり痒みも伴います。
従って、白血球が増えて腟炎の状態になったのはトリコモナスの感染が原因でした。

次に、この写真全体に“モヤモヤ”感があります。
実はこのモヤモヤの原因は腟ガルドネラ菌です。
乳酸菌はほとんど見ることが出来ません。
従って、このケースはもともと細菌性腟症があったのかな?
そんなことを想像させます。

細菌性腟症は魚臭帯下(魚な生臭いようなアミン臭)が主な症状です。このケースはトリコモナス感染も見られるので、おりものは黄色味を帯びているし、臭いもきついし、かゆみもあるだろうし、患者さんとしては不安でたまらないでしょうね。先生にしっかり検査してほしいと思うのも分かります。でも、淋菌やクラミジアに感染した時でも強い炎症が伴う時には全く同じ症状になるので、先生の気持ちも理解できますよね。

先生方の対応が異なるのはそんなところに原因があるのかな?

オリモノや臭いが気になる時は、早目におりものチェックを!

保険診療の場合、何でもかんでも片っ端から検査するのではなく、先生の判断で必要に応じた検査を選びます。従って、必ずしも予測道理の結果が出るとは限りません。そんな時は次回来院時にその他の検査を追加することになりますので、患者さんにとっては受診が一回増える可能性があります。
郵送で検査が手軽にできるようになった今日では、あらかじめ検査をした上で受診するのも一つの考え方と思われます。
当然のことですが保険適用外ですので、コストがかかってしまう欠点はあります。また、依頼者個人が検体を採取(自己採取)しますので、検体の適否は個人に任されます。説明書をよく読んで採取することが大切です。


アイラボのキットをご利用になる際は、先ず担当者にご相談を!
042-652-0750

カンジダは季節の変わり目に多くなるの?

今年は暖冬ですね。
今日2月20日は一日中長袖シャツ1枚でした。
梅の花もあちこちで咲き乱れ、自宅の福寿草も花を咲かせています。
この花は自宅前の公園に咲く雪柳です。
雪柳の開花時期を検索すると3月~5月との事。
関東で検索すると4月でした。
今日は2月20日ですが花が確認できます。
やはりかなりの暖冬なんですね。
これが満開になると!
こんな感じです。
この写真は2022年3月28日に撮影しました。
枝垂桜と雪柳がともに満開でたくさんの方がカメラを向けています。
八王子市元八王子町1-538-1の前です。

あまりの温かさに頭から脱線してすみません。

最近、日々の検査でカンジダが!暖かさか?

カンジダが腟内で増えている時は程度の差はありますが腟炎を起こしています。
このケースでも、若干白血球が増えています。
オレンジ色に染まる仮性菌糸(左)や酵母のように見える胞子(右)
の発見が決め手です。

カンジダ症の原因は?

先ずは、どんな時カンジダ症になるのかおさらいしてみましょう。

1. 妊娠中は胎児を守るために免疫力が低下するので、カンジダ症になりやすいです。
また、免疫抑制剤やステロイドによる治療の際にも起こります。
2.膀胱炎や風邪などで抗生物質による治療の際(菌交代現象)
3.月経前の黄体ホルモンが多い時期は妊娠時と同じように腟内の糖分が増えることで、
カンジダの栄養分が豊富になる。
4.気温の上昇に伴い、湿気の上昇に伴う蒸れによりカンジダが増えやすい環境になる。

ということで、
この時期に増える要因としては季節の変わり目で若干免疫力が低下しているのか? 
または気温の上昇に衣類が対応できないのか?

カンジダ症の症状は?

1.強烈なかゆみを伴うことがあります。
上の写真はカンジダ症の細胞診標本ですが、
左下の方に束になって仮性菌糸が見られます。
実は写真のピントが合わないため見えませんが、
細胞の塊の中を串刺しの様に菌糸が伸びているのです。
皮膚の表面に近いところをカンジダの仮性菌糸が入り込んでいくので
痒いのは当たり前ですよね。
無料相談ではあまりの痒さから性器を掻き壊してしまい人もいます

2.白っぽいおりものが増えてきます
オカラの様な、おかゆの様な(粥状)、カッテージチーズの様な、豆腐をぐちゃっとつぶした様な
おりものが沢山出てきます。
かなり前になりますが、自己採取法で採取した子宮頸がん検診の検体が届きました。
中には一通の手紙が入って、
「相談できる人がいないためこの場で失礼いたします。
実は子宮頸がんの検診なのですが長年カンジダ症で苦しんでいます。
豆腐の塊のようなオリモノが掻き出してもまたまたすぐ腟内に一杯になり、溢れてきます。
夫との性交渉の時は夫の性器に白い豆腐のようなものが沢山こびりついてきます。
夫は気にしなくていいよと言ってくれるのですが、嫌で嫌でたまりません。
何とかしてくださいという内容でした。
近くの婦人科医を紹介させて頂きましたが、カンジダ症も甘く見ると治りにくくなってしまうことがありますので早目の対応がいいですね。

3.時にはオリモノが嫌な臭いになることもあります。

婦人科医も細菌性腟症やトリコモナス症とよく間違えます

以前このブログでも紹介しましたが、
医師はカンジダ症と思いその治療薬を処方してくれました。
しかし、当の患者はカンジダ症ではなく細菌性腟症を疑っていたので、
アイラボの検査を受けた事例があります。
また、医師からは細菌性腟症の検査依頼ですが、
検査の結果はトリコモナス症であったりカンジダ症であることは少なくありません。
プロでも症状だけでは間違えますので、
必ず検査で確認することが大切です。

オリモノが黄色い人 必見!

アイラボの腟内フローラチェックの希望者が増えています。
今日は届いた検体の肉眼的所見が全く同じように見えたA・Bのケースについて紹介しますね。

アイラボの腟内フローラチェックに使用する採取器具は加藤式自己擦過器具です。
届いた検体は、受付終了後に検体の適否検査を行いますが、
その時点で“肉眼的にも黄色いおりものがいっぱい AB
余談ですが、
写真左側2本は加藤式自己採取器具で採取した検体で、濁りが強く細胞がたくさん採取されているのが一目瞭然です。
右は医師採取で広く使用されるサーベックスブラシで採取した検体です。
この器具は細胞がたくさん採取できますが、強くこすると出血することが多く、クレームになることを恐れ十分採取されていない事が少なくありません。
自己採取に使われる加藤式器具は、
自然に剥離して腟内に溜った細胞と子宮の入り口をスポンジ部分でこすることで
新鮮な細胞も採取される器具です。

今回は沢山の細胞が採れたAとBについてチェックします。
(先ずはAから見ていきましょう)

青くゴマの様に見えるのが白血球です。
通常、腟の中に白血球がこんなに沢山見えることはありません。
白血球が増えているのは、白血球が何かと戦っているからです。
風邪のひき始めに咽喉(のど)が赤く腫れて痛くなるよね。
これはのどに感染したウイルスや細菌を殺すために白血球が戦っているから。
白血球が沢山の細菌やウイルスを食べて死んでしまったのが“膿(うみ)”だよ。
ということは、
この人は何かに感染している証です。

次にBさんの標本を見てみましょう

こちらも白血球がたくさん見えます。
ということはもうお分かりですよね。
腟内に何かが感染している可能性があるのですよ。
例えば、淋菌やクラミジア、トリコモナスやカンジダ、、、
ひょっとしてマイコプラズマであったりもします。

先ずはAの写真を拡大してみます。

やっぱりね。
中央付近で緑色に染まるのがトリコモナス
ちゃん達です。
と言うことで、、、、白血球が増えた理由の一つは解決出来ました。
でも、トリコモナスだけとは限りません。
性感染症は一度に複数(淋菌やクラミジアなど)感染することもあるからです。
こんな時は女性のリンクラチェックの追加検査を勧めます。

続いてBの写真を拡大してみます。

この写真を見る限り乳酸菌は確認できません。
少しですが腟ガルドネラ菌が見られます。
従って、細菌性腟症が疑われる所見ですが、白血球が極めて多く腟炎の状態ですので、あえて言うなら細菌性腟炎が正しいと思います。

典型的な細菌性腟症はこんな感じです

前の写真にたくさん存在した白血球は極めて少なく、細菌性腟の所見です。
白血球がたくさん見られるケースは細菌性腟ということになり、両者基本的に分けられます。
この写真は典型的な細菌性腟症です。
従って、Bの様なケースは背景に細菌性腟症はあるとしてもその他の原因があるのではないかと考えます。

1.乳酸菌が存在しないため腟ガルドネラ菌が一時的に腟内環境を守っていたが、乳酸菌に比べ腟内酸度が低いため、腟内を守り切れなくなって、腸内細菌などが増えたことによる腟炎。
注:これは椎名の個人的考え
2.淋菌やクラミジアなどの性感染症による腟炎
3.トリコモナスの寄生による腟炎
(Aのケース)
4.マイコプラズマやウレアプラズマの感染による腟炎
5.カンジダの繁殖による腟炎
(Bのケースは今回の検査で存在が確認されません)

おりものが黄色い時は早めの対応が肝心

おりものが黄色い=(程度にもよりますが)
腟炎が起こっている可能性が高い


先ずは → 婦人科を受診するのがお勧めです。

しかし → こんな症状で婦人科を受診しても良いのか?など迷いますよね。

そんな時は是非 → アイラボの「おりもの&臭いの検査」をお試しください。

炎症が強いのに全ての結果が陰性の時 → マイコプラズマチェックがお勧めすることがあります。


アイラボのモットーはBe with you (あなたと一緒です)

腟炎が見られたケースに新たな追加検査を新設しました。

腟ガルドネラ菌とは何者か?

この写真は子宮頸がん細胞診検診に用いられる細胞診検査で行われるパパニコロウ染色標本です。
写真中央に紫色に染まるのが細菌性腟症のお主な原因となる腟ガルドネラ菌の塊です。この菌は腟内において固まりやすい特徴がありますので、腟ガルドネラ菌と決める一つの所見です。
この写真の中央やや右側の細胞を見てください。細胞質に細かな赤紫黄色に染まるのも腟ガルドネラ菌です。このように腟ガルドネラ菌が腟の細胞の表面に群がる現象(所見)はClue cell(クルーセル)といって腟ガルドネラ菌の特徴的所見です。腟の表面の細胞にはグリコーゲン豊富に有しているため、細胞に群がって栄養源にしているのかも知れません。
この写真の中央部分に赤紫色に染まる微細な菌も腟ガルドネラ菌です。集塊になったり、細胞の表面に群がったりするだけでなくこのようにばらけて出現することも多いのです。

診察の際に臭いが気になった女医さん

細菌性腟症の原因として真っ先に挙げられるのが腟ガルドネラ菌です。
私がこの菌に注目し始めたのは結構古く、1990年前半でした。
ある婦人科の女医さんが細胞診検査の依頼書に「におい」と記載されるのです。最初は特に気にならなかったのですが、それがかなりの頻度(10例に1例程)で続くため気になっていました。そんなある日、ひょっとして先生は細菌性腟症のことを私達に告げる意図があって書かれているのかと思い、直接先生のクリニックに訪問させて頂くことにしました。
先生の開口一番は「何かまずいことでもしましたか?」と言って、少し心配そうな顔でした。
「いやいや、先生が細胞診検査の依頼書に「におい」と記載されていることに大変興味をもち訪問して直接先生にその理由をお伺いしたかったのです。」と申し上げました。
女医さん「それがどうかしましたか? 父(産婦人科医)が診察の時に気づいたことは何でもメモしなさいといつも言っていましたので、臭いが気になった方には「におい」と書いただけです。そしてまた、「それがどうかしましたか?」と女医さん。「実は先生が「におい⊕」と書かれた患者さんの多くが細菌性腟症の疑いがあったので、直接お会いしてお話を伺いたかったのです。」
「エ? それ(細菌性腟症)って何ですか?」と先生。、、、、実はこの女医さん細菌性腟症についての認識は全くなかったのです。
細菌性腟症を知らない先生が気になる臭いと感じたのであれば、当人はもとよりパートナーはどう感じるのだろうか?
もしそれが不快なにおいなら、自分が細胞検査士として「細菌性腟症が疑われます」程度の報告をしてあげたほうが良いのではないのかと思い、この病気のことを色々調べました。もう昔のことではっきり覚えていませんが、ヨーロッパの研究者の一人が「男が黙って去っていく病気」と表現した記事を目にしました。
それ以来、細菌性腟症、腟ガルドネラ菌、魚臭帯下(魚が腐ったようなオリモノ)は私の仕事の一部になりました。

Clue cellの出現と臭いの関係を学会発表

以下の記事は椎名が「Clue cellの出現と臨床的悪臭度との関係ー産婦人科医に対するアンケート調査ー」と題したテーマで日本臨床細胞学会にて発表した内容の一部です。発表内容の抄録は(日臨細胞誌、第31巻第2号、1992年)

2968例の子宮頸部擦過標本を観察し、93例(3.13%)にClue cellが見られ、そのうちの66例(71%)についてアンケートに回答がありました。
Clue cellが見られた9例において医師または受診者が悪臭を訴え、Clue cellが少ないケースよりたくさん見られたケース、更にClue cellの出現に加え(最初の画像の様に)腟ガルドネラ菌が塊として観察されたケースでより悪臭を感じたという結果でした。
このことは、腟内で腟ガルドネラ菌の繁殖がより盛んな状態であるほど悪臭の度合いが高いという結果でした。
こんな研究をしていたのが今から30年も40年も前ですが、その後の研究でClue cellとしては観察できないケースでも(3番目の画像)嫌な臭いを訴える人が多いことも分かってきました。
これらのことから、嫌な臭いと感じることと腟ガルドネラ菌の関係は明らかと思われますが、嫌な臭いの度合いや、嫌な臭いと感じない(当人やパートナー)ケースが存在することも明らかになっています。
臭いに関しては細菌性腟症(主に腟ガルドネラ菌)だけでなく、トリコモナスやカンジダ、更にクラミジアや淋病等の感染症も関係していることを知っておきましょう。

臭いが気になったら先ず検査です

婦人科の先生方でも経験だけでは間違えます。
このことは何度も紹介していますが、「カンジダと思っても細菌性腟症」「トリコモナスがいますか?、、、と言って検査しても細菌性腟症」そんなことは良くありますが、「細菌性腟症ありますか?」と言って検査される先生は少ないようです。
なぜでしょうか?
トリコモナス感染は「黄色いおりものや痒い」、カンジダ症は「痒くて白っぽいおりものが沢山」淋菌やクラミジアは「性病であり不妊症の原因でおりものも多い」、、、これらの感染症に比べると早産や流産に関係があるとされていても、ちょっと臭いが気になる程度なら、、、という事なのでしょうか?
しかし、女性のQOLという観点からみると大切な問題なのではないでしょうか?

セルフメディケ-ション(自分の健康は自分で守る)
自分が嫌!と感じるのであれば、原因をはっきりさせて、先生に相談してみましょう。

こんなことも少なくないのです。

ヘルペス感染細胞はこのように見えます。
(この画像は実際ご紹介するケースとは異なるものです・)
突然ですが、昨日の出来事を追加します。
ある提出医の細胞診検査の依頼書に、「トリコモナスいますか? カンジダいますか?」との記載がありました。内診で先生は「ひどい腟炎だ!」、、、とっさにトリコモナスやカンジダを疑ったのでしょうね?
でも、よく探して見てもトリコモナスやカンジダはいません。ほんの少しだけ見つかったのは、、、「ヘルペス感染細胞」でした。
子宮頸がん検診に使われている検査の方法は細胞診です。私がこのブログで使用している顕微鏡画像の全てがパパニコロウ染色という方法で染めたものです。
子宮頸がんに関係のある細胞だけが見えるわけでなく、腟内の全ての情報が見えて来るのです。
アイラボの子宮頸がん検査では、そんな少しの変化でも見逃さず、おかしい???と思ったらら”病院に行かなくても、子宮頸がん検査を行った残りの検体を使って追加の検査をお勧めしています。

アイラボの婦人科細胞診は(医師が採取したものでも、自己採取した検体でも)全てLBC法(検体を保存液の中に洗い出し、顕微鏡で観察しやすい標本を作製していますが、残った検体はしばらくの期間保存し、追加検査に対応できるようにしています。)を採用しています。
検査のために何度も病院に行かなくてもよいようにね。