企業の家族検診の機会を有効利用した例

20代前半の女性からの検体が届きました。
アイラボでは、企業検診に自己採取法(細胞診)を提供しています。
通常の医療機関での検診も実施していますが、医師採取に抵抗がある方(特に若い方)にも検診を受けて頂くための配慮で、自宅で・自分で採取する方法も選択できる仕組みになっています。
人(従業員と家族に)に優しい素晴らしい取り組みに敬意を表します。

今回届いた検体を開封すると、そこにはメモが入っていました。
母に勧められた無料で検査が受けられた」「無痛であり、想像していたより手軽でよかった」「初めててあり、正確に採取できているか若干不安である。などが書かれていました。

アイラボで採用している自己採取器具は、アイラボと大成化工株式会社(大阪)が共同で開発したセルソフトです。医師の代わりに採取する器具ですので、安全性と精度が担保されている加藤式採取器具を改良し、使用される方に恐怖感を与えない優しさを追求しました。
これがセルソフトの前型(加藤式自己擦過法器具)です。
細胞診の精度は、「適正に採取する適正な標本を作製する使命感をもって観察する」この3つの条件を満たさなければ、精度の高い検査は提供できません。つまり、お医者さんの代わりになる最も優れた採取器具を選ばなければ、観察すべき細胞が採取されませんので、適正な標本を作製しても、優秀な細胞検査士が観察してもそこにはあるべき細胞がないのです。つまり検査の精度は極端に低下します。検査を提供する側や検査を受ける側はこの点をしっかり認識しなければなりません。
上の図のように、適正に操作すれば子宮の入り口や腟の奥を擦過しますので、自然に剥がれ落ちた細胞も絡め採ってまいります。従って、異常な細胞だけでなく正常な細胞もたくさん採取されますので、異常な細胞の数が相対的に少なくなります。適正な標本の作製や使命感をもった観察が重要になるのはそうした背景(理由)があるからです。さらに、この絵の黄色い丸で示した(子宮頸部から奥に入った場所)部位は直接スポンジで擦過できませんので、早期に発見できないケースがあることを報告書に記載し、対応策を明記することが大切になります。
上の表は、毎年1500名ほどの家族検診に加藤式自己採取器具で子宮頸がん検診を実施し、LSIL(軽度異形成=HPV感染)以上の細胞が検出された頻度を示しています。詳細は省きますが、同じ加藤式で採取しても検査機関(標本作製法)が異なることでこのような違いが出てしまいます。セルソフトを使用される検診機関様にはアイラボ式標本作製法や観察方法をご教授致しますので必要な検査機関はご連絡下さい(042-652-0750)。
これはアイラボで使用している結果報告書のサンプルです。
話を元に戻しましょう。

今回、21歳の女性は「お母さんに勧められて」受けました。

未婚で若い多くの女性は、(国は20歳以上は検診を受けるように勧めていますが)自分にはまだ関係ない話と思っている人は多いのではないでしょうか?しかし、20代前半でも高度異形成の細胞に遭遇することは決してまれなことではありません。
子宮頸がんがマザーキラー(子育て中のお母さんを襲うがん)
と言われるゆえんです。
お母さんから「自宅で自分で採取できる方法だから受けてみたら」と後押しされることはとても大切なことです。

健康保険組合の家族なので「無料で検査が受けられます」

アイラボでは、健康保険組合や会社から子宮頸がん細胞診検査を受託しています。その多くは従業員またはご家族は無料です。
国は細胞診は2年に一度、HPV検査は5年に一度を推奨していますが、アイラボでは自己採取細胞診は毎年、HPV検査は3年に一度をお願いしています。これらの検査を無料で受けられるチャンスを無駄にしないようにしましょう。

セルソフトでの採取は「無痛で、想像したより手軽でよかった」

セルソフトは加藤式に比べて若干細くなっているため、多くの方々から同じような感想を頂いています。この方のように、初めての方でも恐怖感はないようです。

「初めててあり、正確に採取できているか若干不安である」

セルソフトと加藤式は、写真の様に他の採取器具(画像上のエヴァリンブラシ)に比べても長く、スポンジ部分は腟の一番奥(子宮腟部)まで到達しますので、説明書通り、ストッパーまで挿入し、6回回転させれば心配要りません。

自己採取によるHPV検査で検診を行っている健康保険組合も

子宮頸がん検診ガイドラインでは自己採取型細胞診は認められていませんが、HPV検査に関しては細胞診に比べて厳しくありません。前の写真の一番上のエバリンブラシは医師採取と同等の評価を得ていますので、私達はエバリンブラシで採取した後にセルソフトで採取して両者のHPV検出率を調べ論文にまとめました。その結果はほぼ同じででしたので、セルソフトも医師採取と同じ採取精度と言えます。検診の受診率を上げるために、WHOや米国FDAも自己採取を認めていますので、アイラボでも希望する健康保険組合や企業検診に提供を始めました。
アイラボのHPV検査は、盛りだくさんのサービスが付いています。
■HPV検査の前に腟内の状態を顕微鏡で観察します。そして、腟炎や感染症が疑われるときはその旨を報告します。
■必要があれば残った検体で追加検査が可能です。
■HPV検査で陽性の場合、残りの検体で細胞診検査を自動的に行い報告します。
■異常な細胞が検出されたら写真を添付いたします。
■その検査結果をもって婦人科を受診し、再度子宮の奥から細胞診を実施して頂きます。
■国は20代の検診は細胞診としていますが、学業や仕事、子育てで忙しかったり、婦人科の受診に抵抗感がある人にもご利用頂けます。
団体でのお申込みには割引料金を設定していますので是非ご相談下さい。
☎042-652-0750