膀胱炎治療後思わぬ事態に困り果てている

アイラボの無料相談で最も多いのは男性のHPVに関するものですが、次いで多いのは女性のおりものや臭いに関するご相談です。アイラボが昨年東京ビッグサイトで開催されたFem+(フェムプラス)に参加した際に実施したアンケート調査「おりものや臭いで悩んだことがありますか?」との質問に、91%の人があるとこと答えています。
今回紹介するケースは、膀胱炎の治療のために処方された抗生物質を服用後、白いボロボロとしたおりものが出て、腟カンジダ症と診断されました。先生にカンジダの治療薬を何度も処方されましたが元のようにはなりません。病院もいくつか変えて治療して頂いていますが改善の兆しがなく、現在大量の腟錠を処方され、自身の判断で使用するように言われています。
こんな状態を何とかしたいと思い、アイラボさんのFemバランスチェックを受けました。
この様な悩みを抱えていますが、腟カンジダ症と細菌性腟症は症状が似ているためか、カンジダの治療薬を処方し続けてしまうようです。
以下に同じような記事を紹介します。
https://ilabo-cyto.co.jp/blog/article.html?page=114
https://ilabo-cyto.co.jp/blog/article.html?page=117
https://ilabo-cyto.co.jp/blog/article.html?page=100
https://ilabo-cyto.co.jp/blog/article.html?page=81
https://ilabo-cyto.co.jp/blog/article.html?page=203

さて今回のケースを顕微鏡で見てみましょう

アイラボの標本としては少し濃い感じで染色されています。
それは、乳酸菌やカンジダを見落とさないように、故意に濃く染めています。
弱拡大で観察するととてもきれいです。
そして白血球もほとんど見られないので、腟炎は起こっていません。
弱拡大で見てもカンジダらしいものはいません。
また、乳酸菌もいません。
ただ中央部分に気になる所見が見られますので拡大を上げてみましょうね。
中央やや左に細胞が紫色に染まっています。
これはクルーセルといって腟ガルドネラ菌(紫に染まる)が細胞にまとわりついているからです。
クルーセル以外にも紫色のモヤモヤは腟ガルドネラ菌です。
拡大を上げても、カンジダや乳酸菌を見ることはできません。
典型的な細菌性腟症です。
カンジダの治療ではこの状態は改善されません。
正しく診断して、適正な治療が望まれるケースと思います。
細菌性腟症と診断されれば、フラジールという抗生物質が選択されます。

心配な時は先ずはトライしてみてください。

オリモノがイカ臭いという悩み、結構多いようです。

おりものの臭いが気になる人で、具体的にイカ臭いと表現される方は結構多いようです。
細菌性腟症の自覚症状として“魚臭帯下=魚の生臭い臭い”という表現がありますが、私達のこれまでの経験で、イカ臭いと表現された多くは魚臭帯下を指しているものと思われます。

オリモノや臭いといった女性特有の悩みを経験した人は91%

昨年の10月に開催されたFem+(フェムプラス)の展示会(東京ビッグサイト)に出展した際にお客様にアンケート調査を実施しましたが、なんと、91%の方が、過去に悩んだことがあると回答しました。
展示ブースでこのようにアンケート調査を実施したところ、
最終的には91%の人が悩んだことがあると回答しました。
他の調査でも
84%の結果を示しています。
このような不快な悩みの原因は様々です。
私達が検査を行う現場では、時に、強烈なな臭いおため、「窓を開けて」、、、と言いたくなるようなことがあります。しかし、その方の自覚症状の欄を拝見しても「臭いは気にならない」と回答している例もあります。
自分では気づかないことも多いようです。
原因となる疾患は、■進行した子宮がん(最も強烈な臭い、最近このようなケースはほとんどありません)、■トリコモナス腟炎(性感染症)、■カンジダ腟炎(性感染症ではありません)、■萎縮性腟炎(性感染症ではなく、婦人科の先生方から細菌性腟症の検査依頼が多いケース)、■淋病やクラミジア感染症(性感染症)、■腟炎(原因不明、調べてみるとマイコプラズマやウレアプラズマが検出されることが多い)、■細菌性腟症(性感染症ではありませんが、毎日のように、しかもかなりの頻度で遭遇しています)
と言うことで、多くの方が悩む原因は細菌性腟症なのです。
これまで何度も同じような写真を投稿していますが改めて腟内をみてみましょう。
細長い針のように見える細菌、これらは“腟の守り神乳酸菌”です。
腟内の糖分(グリコーゲン)をエサにして活発に増えることで、
腟内を酸性にして肛門から侵入する細菌の繁殖を防いでいます。
典型的な細菌性腟症の細胞像です。
細菌性腟症は腟炎を起こさないため白血球は少なく、
見た目はとてもきれいですが、腟ガルドネラ菌が細胞に群がっています。
これをクルーセルと言いますが、細菌性腟症の特徴的所見です。
萎縮性腟炎のケースです。
更年期の後期になると、エストロゲンや黄体ホルモンの分泌がなくなります。
すると腟内は萎縮するため乳酸菌のエサとなるグリコーゲンもなくなりますので、
酸度が低下し防御機構も弱くなり、萎縮性腟炎になりやすいのです。
婦人科の先生方は臭いが気になるのでしょうか?
細菌性腟症の検査依頼が多くなります。
これは腟カンジダ症です。
白っぽいオリモノが特徴で、強いかゆみを伴うのが特徴です。
時に、異臭を伴うこともあり、強いこともあります。
婦人科医は検査をしないと細菌性腟症ではないかと間違えることもあります。
これは腟トリコモナス症です。
黄色いオリモノが特徴で、かゆみを伴うこともあります。
臭いもかなりきついことがあり、細菌性腟症と間違えることもあります。

だから検査してはっきりさせなくてはなりません

症状だけではお医者さんも間違えますので、“最近いつもとちょっと違う”と感じた時は、
おりもの&臭いの検査で早目にチェックしておきましょう。

おりものの臭いが気になりますか? Yes と No の細胞像

今日は5月の2日、ゴールデンウイーク中とあって、アイラボは検体も少なくのんびりムード。
今日のFemバランスチェックの検査は2件です。
検査依頼書には症状など、5つの質問事項があります。
①オリモノの臭いは気になりますか?
②オリモノの色は?
③陰部に痒みがありますか?
④今年子宮頸がん検診を受けましたか?
⑤その結果は?
検査を依頼される方の自覚症状と検査結果が驚くほど一致している項目があります。
①、②、③どれだと思いますか?
早速見ていきましょうね。
EさんとSさんとします。

最初に染め上がってきたのは単染色という細菌を染めた標本です。

比較的太く、長い棒状の桿菌が細胞に群がっています。
ほぼ全てが乳酸菌です。
腟内フローラを代表する善玉菌です。
この菌は腟内の糖分をエサとして活発に増えます。
糖を分解すると酸ができます。
腟内を強い酸性にすることで他の菌の増殖を抑えています。
腟の自浄作用といいます。
この状態ではオリモノの臭いは気になりません。
次に染め上がってきたパパニコロウ染色標本(子宮頸がん検診で使われる染色)です。
こちらの標本は細胞の顔つきを見るのに適しています。
薄い緑色に染まる大きな細胞は中層細胞と言い、糖分(グリコーゲン)をたくさん含んでいます。
排卵期以後黄体ホルモンの影響が強くなると腟の表面はこの細胞で覆われます。
ということで、Eさんが細胞を採取した時期は「多分」月経の前になります。
この染色では乳酸菌は観察しにくいですが、細い針のように見えます。

次にSさんの標本を見てみましょう。

Eさんに見られた大型の桿菌は全く見られません。
小さな短い桿菌(短桿菌/球菌様桿菌)が細胞の上に群がり、細胞以外の所にも見られます。
パパニコロウ標本でも同じような所見が観察されます。
中央には細胞に腟ガルドネラ菌が群がったクルーセルも見られます。
Sさんは細菌性腟症の典型的な例です。
このようなケースでは、多くの方が
「オリモノの臭いが気になる」
とコメントしております。

正解は①

「おりものの臭いが気になる」=細菌性腟症が疑われます。
このケースが圧倒的に多いです。

皆さんもおりものの臭いが気になる時は
Femバランスチェックでチェックしておきましょう。

検体が適正でないとこんなことが起こる!

昨年の自宅前の枝垂れ桜と雪柳
2025年3月27日(朝)の枝垂れ桜
昨日の朝、開花したのはほんの少し。
でもこの暖かさで、一挙に開花!
2日で3分咲き、って感じ。
GMG八王子ゴルフ場⇒五日市カントリー倶楽部⇒サンメンバーズカントリー倶楽部(山梨県大月市)3つのゴルフ場を、3ヵ月に一度のペースで順番に回るゴルフの仲間の会(樹々会)があります。3月26日、気温26度、6月中旬の暑さで快晴の一日。五日市カントリー俱楽部で開催されました。

最近は乗用カートにスコアを入力するシステムが普及してきたので、せっかく準備されているスコアカードに記入する機会が無くなった。となると、なんとなく“ゴルフが雑になるような気がする”、ので「一球入魂の思い」で、スコアカードをこんな風に使っています。
一打ごとに、反省!、、、って感じで、最近この方法が気に入っています。今日のスタートは、東の1番。反省!・反省!・反省!パターもイマイチなのが一目瞭然です。
これを始めた頃は△もつけましたが、より自分に厳しくするため、〇か✖にして、パターは・にしてみました。しばらくは続けようと思っています。

サー本題。悩み事をキット購入前に相談してくれればよかった。

この方は腟と咽頭のSTDチェックの検査依頼しています。この写真は、咽頭うがい液です。中央に一見Clue cellのように見える細胞がある。
拡大した細胞像です。腟から採取した検体であれば、細菌性腟症を疑いますが、咽頭うがい液にも時々このような所見を認めますので、腟ガルドネラ菌以外の菌でもClue cellの形態をとるものがあるのかな? いつもそんな思いで見ていました。
この写真は、セルソフトで採取した口腔内の写真です。(本来は腟から採取すべき検体ですが、故意に口腔から採取されたようです。)背景にモヤモヤがあり、やはり腟ガルドネラ菌なのかな?直感的にそんな風に思いますが、拡大を上げてみると?
腟内では見たことがないでっかい乳酸菌! 背景のもやもやは腟ガルドネラ菌に似ているが?(やはり腟の検体とは若干様相が異なります。)
単染色で確認してみるとやはり背景には小さな菌がたくさん。べらぼうに大きな桿菌(乳酸菌?) 拡大を上げてみよう。
この小さな球菌様桿菌は腟ガルドネラ菌のようにも見えるが?やはり大きな桿菌は乳酸菌と決めることが出来ません。念のため検査依頼者に確認することにしました。腟と咽頭のSTDチェックには、淋菌、クラミジア、トリコモナス、カンジダ、細菌性腟症が含まれています。腟ガルドネラ菌(らしき)菌がこんなにみられるケースに、乳酸菌もたくさん見られることはほとんどないからです。

依頼者からは驚きの返事が返ってきました

「長い間、口臭と痰に悩み、病院を受診して検査をして頂きましたが、溶連菌を認めるだけで特に問題はないとの事でした。すみません。腟から採取したのではなく、(セルソフト)で採取したのは口の中を擦ったものです。

納得!


うがい液とセルソフトで採取した検体があれだけ違ったのはバイオフィルム?

アイラボでは全ての検体について適否判定を実施しています

自己採取検体は(今回のケースの様に)何が起こるか分かりません。
検査で最も重要なことは「適正に採取し」「適正に輸送し」「適正に処理し」細胞診の様に人の目で判断するような検査では「適正な知識と技術」更に「使命感」が必要になります。

医師が採取した検体なら、「適正に採取された検体という前提」で検査しますが、自己採取の場合(私達アイラボでは)、何が起こるか分からないことを前提にしていますので、例え「尿で淋菌だけの検査」であっても、必ず適否判定を実施しています。
直径5‐6mm程度ですが、検体を塗抹し、ちゃんと細胞が採取されているかどうかを確認してから検査に廻しています。この写真で見ているのは尿の検体ですが、その部位に全く細胞がありません。適正な尿の検体であればなにがしかが見えますが、全く見えませんので検体不良で再採取に廻しました。
以前他社の郵送検査にお茶を入れて送りました。当然結果は「判定不能」なはずですが、現実には「陰性」と報告されました。細胞診の自己採取(たとえば綿棒であっても、腟内の細胞が全く採取されないことはありません。それどころか、綿棒で腟の入り口から検体を採取したものでも異型細胞が検出されることがあります。といった具合で、採取する器具の性能については多くの検査を提供する業者でも分かっていないのが現状です。ということで、検診を受ける人にとってはわかるすべもありませんし、それを教えてくれる機関もありません。自己責任なんですよ。
私達は、セルフメディケーションを応援していますので、ご質問頂ければ、科学的にご説明いたします。042-652-0750

依頼者の悩みにアイラボはお口の健康サポートに挑戦します

アイラボは細胞診の専門家集団です。
今回アイラボのキットをご利用頂いた方と電話で話しました。ご当人にとっては深刻な悩みです。
私達も口腔(口の中)の健康にどれだけ貢献できるか分かりませんが、今日から勉強を始めます。
NHKで1月23日に放送された「取説説明書」「口腔細胞診に関する資料」早速取り寄せました。
皆さんと一緒に勉強します。
セルソフトで口腔を擦過して頂いた方に感謝します。
近い将来、口腔の総合的郵送検査を始めますよ!
お楽しみに!

更年期(萎縮した腟内のフローラはどうなっているのかな?)

更年期とは、、、、
今朝はこのタイトルで書いてみよう。

今、午前3時、昨夜は10時半就寝なので、
4時間半寝て、頭すっきり、目パッチリ。

日・水・金は丸一日アイラボで仕事。
火・木・土の午前中はお世話になった、
大手検査会社の(検査精度に関する)お手伝い。
午後は家庭菜園やゴルフの練習、などなど。
月曜日は会社から15分にあるメンバーコース、
GMG八王子ゴルフ場で仲間とゴルフ。
月に2度程、別の仲間と別のゴルフ場へ。
こんな生活を送っている77歳のおじいさん。

教え子の一人が、
「先生はこの年なのに、
好きな仕事をして、
たくさんの仲間と好きなゴルフをして、
その上、社会に役立つ活動をしていて、
こんな幸せなことないんだよ。」
と言ってくれますが、
自分でも幸せな毎日を実感しています。

さて本題に。
“更年期”とは、
閉経前後5年、概ね10年位の期間をいいます。
今朝は閉経してから数年経った人の話をします。
性成熟期(妊娠可能な女性)の女性の腟内は、このような細胞が見えます。
エストロゲンだけが分泌されていると、
オレンジに染まる表層細胞が主体になります。
排卵後、プロゲステロンの分泌がはじまると、
オレンジ色の細胞は徐々に減り、
緑色の中層細胞が主体になります。
閉経して数年が経つと両方のホルモンが無くなり、旁基底細胞が主体になります。
このように、ホルモンによって腟は劇的に変化しているのです。
先ずは本題に入る前の予備知識が大切です。
50歳閉経、55歳婦人の腟内細胞像。
比較的きれいで、白血球も増えていません。
エストロゲン(女性ホルモン)やプロゲステロン(黄体ホルモン)の影響がなくなると、小さな細胞(旁基底細胞)が主体となり、腟の粘膜は薄くなり、“萎縮した状態”になります。
前の写真の中央部分を拡大した写真です。
この写真だけでは分かりにくいと思いますが、
乳酸菌など、腟内フローラと言われる細菌達は見られません。
これは、前の写真と同じ検体から作製し、
単染色という方法で染めた細胞の写真です。
腟内フローラの乳酸菌や細菌性腟症の原因となる腟ガルドネラ菌も見えません。
そう言われても、この写真だけでは乳酸菌や腟ガルドネラ菌、分からないよね。(前に書いたブログを見て頂ければ分かるはずですが?)
同じ拡大の写真、(おまけで)見せますね。
これが乳酸菌です。
大きい菌だから一目瞭然!
この55歳の婦人には乳酸菌が見えない事、が分かるでしょ。
こちらは典型的な細菌性腟症のケース。
乳酸菌より小さな菌がたくさん見えます。
腟ガルドネラ菌です。
この菌も、55歳の婦人にはいませんよね。

更年期(後期)で萎縮すると腟内に乳酸菌の餌がない!


エストロゲンが分泌されている間の腟の粘膜は、
基底細胞、旁基底細胞、中層細胞、表層細胞といった具合に、腟の粘膜を厚くしてセックスに耐えられるようにします。

排卵が終わると、プロゲステロンが分泌されるようになり、粘膜の一番表面の表層細胞が剥がれ落ち、中層細胞が露出します。一皮むけた腟内は抵抗力が弱まりますが、この中層細胞にはたくさんの糖分(グリコーゲン)が存在し、これを栄養源に乳酸菌が増えます。この過程で、腟内は強い酸性(pH3.5位)の環境にすることで、お尻(肛門)から自然に入ってくるいろいろな細菌やセックスの時に侵入するいろいろなばい菌達が増えない環境をつくっているのです。
神秘的な現象でしょ。
これを腟の自浄作用って言います。

この55歳の婦人。
エサがないから乳酸菌がいないのは当然です。性成熟期に比べれば抵抗力は明らかに低下し、腟炎を起こしやすくなっています。
更年期で急におりものが増えたり、嫌な臭いになったら驚きますよね。

ホルモン補充療法とは?


読んで字の如く、更年期で卵巣からのホルモンの分泌が低下すると、前に述べたように様々な影響が出てきます。それを和らげる理にかなった治療法ですので、辛い症状がある時は婦人科の先生に相談してみましょう。
3月3日のブログで紹介した議員さんにも、
ご連絡頂けたらこの方法があることを紹介させて頂こうと思っておりました。

こんな記事を書いていたら、
もう5時半になってしまいました。
愛犬の雄(ゆう)の散歩の時間。
今日は金曜日、午後3時までアイラボでお仕事。

散歩に行ってきます。

親バカですが、可愛いいでしょ。
12歳甲斐犬の雄君です。

細菌性腟症について職員からの質問

このケースなんですけど?
背景に白血球がかなり見られ、腟炎が疑われます。
でも、中央付近の所見が気になるので見て頂けますか?
との事。
中央付近の拡大を上げた写真です
白血球(丸い小さな細胞)と扁平上皮細胞
(緑色に染まる平べったい大きな細胞)が見られます。
その他に、写真中央やや下に、もやもやした塊が見られ、
よく見るとそれ以外の所にももやもやが見られます。
このもやもや腟ガルドネラ菌でいいですか?
それが職員からの質問です。

「どれ、私に標本を見せてください」
(このように質問だれたケースは写真だけでなく、
必ず標本を見せてもらうことにしています。)

改めて標本を見直すと

職員が言うように、
背景には比較的多く白血球がみられ、
腟炎を起こしているようです。
細菌性腟症だと、
一般的には白血球の増加は見られません。
「やはり、腟ガルドネラ菌が少し増えているようだね。」
でも、白血球の増加は何なんだろう、、、?
すると、あるものが目に入ってきました。
拡大を上げてみますね。
写真中央のオレンジ色に染まる細胞の上を
横切るように見えるものがカンジダの仮性菌糸です。
これで、
白血球増加(腟炎)の原因はカンジダであることが判明!

さて、本題の細菌性腟症かどうかについては

私達が日常顕微鏡で観察している標本は、
パパニコロウ標本といいます。
名前の通り、パパニコロウ先生が考案した染色方法で、
先生は女性のホルモンに関する研究をしていました。
そしてある時、先生の目に飛び込んできたのが“がん細胞”
だったかも知れません。
先生は、パパニコロウ標本で、子宮頸がんの検査ができることを発見しました。

ホルモン評価やがん細胞の発見だけでなく、カンジダトリコモナスなどの感染症や細菌性腟症のような腟内フローラの検査にも活用できるんですよ。

細胞診(腟分泌物のパパニコロウ標本)は、「最も安価で」「最も正確な」「婦人科感染症の総合的診断法」だと私は考えています。

アイラボではこの方法を駆使して、
皆さんに郵送検査を提供しています。
郵送検査に使用しているセルソフト
自宅で検査できる採取器具です。
セルソフトで採取した検体は、パパニコロウ染色で分からない事やはっきりしない時にはいろいろな検査を追加することが可能なんです。
だからアイラボの郵送検査は「追加検査が可能」なんです。

話が横道にそれてしまいました。
職員が、腟ガルドネラ菌かどうかはっきりしなかったので、
ごく簡単な、別の染色を追加してみましょう。
パパニコロウ染色より菌がはっきり見えるでしょう。
腟ガルドネラ菌がたくさん見えます。
場所によってはこんなに塊で見えるところもあります。
別の場所では、とても少ないですが、
(太く細長い)乳酸菌の見られます。
はたまた、カンジダの仮性菌糸もこのように見えます。
という事で、
職員が見たもやもや問題は解決できました。
最終的(全体的)には、乳酸菌は極めて少なく、腟ガルドネラ菌が増えていましたので、「細菌性腟症の予備軍的状況(Nugent Score 6)」とし、腟炎の原因としてはカンジダ症が推定されたケースと思われます。

この少女はどんな悩みを誰に相談したのかな?

アイラボのキット購入者が検査をしたい人本人とは限りません。
例えば、お子さんがお母さんに悩みを相談して、
お母さんが購入されるケースもあります。

今回の検査依頼者(検体提出者)は15歳の少女、
アイラボの購入者リストにはない方からの検体が届きました。
いつものように、早速顕微鏡をみてみましょう
白血球が全く見えないきれいな標本です。
この子はどうしたんですかね?
皆さん、この子の悩みの原因分かりますか?

きっと誰かに相談しなくてはいられなかったのでしょうね

彼女はお母さんにこんなことを相談したのでは?
「お母さん、何か、最近いつもと違った“におい”が気になるんだけど」
もしお母さんに相談できたのであれば、
あなたは、おりこうさんです。

お母さんも“おりもの”や“におい”で悩んだことあるからです。

優しいお母さんだね

おかしかったら病院!
そう考えるのが普通です
でも、15歳で婦人科のクリニック?
「あの子どうしたのかね」という視線も気になる?
娘の身になれば、当然敷居が高くなります。
「大丈夫!お母さんもそんなことあったよ」、、で終わることも。
このままにしておくのは心配なことも。
ヘルスリテラシーの高いお母さんだったら
先ずは“自宅で検査”出来る“郵送検査”で
様子をみるか?
そんな判断でしたかね?
私達が郵送検査を始めた理由はここにあります。

結果はこの通り

性病(性感染症)ではありません。
ひどい腟炎でもありません。
もちろん、癌など重大な状況になるものでもありません。
結果は“細菌性腟症”が疑われます。
腟内フローラのバランスが崩れてしまっただけ。
細菌性腟症のこと少し勉強して、
しばらく様子をみましょう。
なかなか改善できなかったら、
オンライン診療という選択肢もあります。

カンジダ症? 細菌性腟症? 悩んだ結果先生はどうしますか?

婦人科の先生方が日常の診療で、
これはカンジダ?、、、細菌性腟症?そんなことよくあると思います。


2022年12月21日の記事
「患者は診断できているのに!」

2023年5月13日の記事
「先生!カンジダではなくBVです」

2023年5月21日の記事
「婦人科医からの細胞診依頼書にBV suspの記載」

2022年12月21日の記事では、
【患者さんは細菌性腟症を疑い婦人科を受診しましたが、先生からカンジダの治療薬が処方されました。
その薬は服用せず、アイラボの郵送検査を受けたら、カンジダではなく細菌性腟症であった事例でした。】
このケースは、患者さんが主治医にアイラボからの結果を見せると、快くフラジールを処方して頂け、
患者さんは大変喜んでいました。

ある細胞診専門医にこの事例をお話すると

『いちいち検査をするのも面倒なんだろうな?
最近(特に)、細胞診報告書に「余分なことは書かないで!」
というクリニックや検診機関があり、
検査機関によっては細菌性腟症は報告書に反映させない所が多いようです。』
そんな言葉が返ってきました。
どうやら、患者や受診者に質問されても担当者が答えられなく、
(面倒!)なのかも知れませんね。

でも婦人科の先生によっては細胞診検査依頼書に

「カンジダ?」
時々こんな記載があります
先生は多分、“カンジダだと思うんだけど???” そんな思いなのかも知れません。
それを見た私達細胞検査士は、
先生がカンジダ症を疑っている以上、標本をくまなく観察します。
カンジダが確認できない時は「カンジダはみれれません」
とコメントします。
しかし、時にはたくさんのクルーセルが見えていることもあります。
「先生!カンジダ症ではなく、細菌性腟症ですよ」
と記載してあげるべきと思いますが、それを記載しないルールの検査機関もあります。
なんとも歯がゆい思いです。

当然のことですが、アイラボでは細菌性腟症が疑われるケースは、
「Bacterial vaginosisが疑われます。」と記載し、
更に、腟炎を伴う(白血球が増加している)ケースはBV-3
典型的なクルーセルを認め、炎症を伴わない(典型例)ケースはBV-2
クルーセルは見られないが標本背景に腟ガルドネラ菌がみられる時はBV-1
として報告しています。
あえてBV-3としたのは、腟ガルドネラ菌を退治するだけでなく、
炎症を起こしている原因も治療する必要があるからです。
白血球が増加し、炎症像を伴う細菌性腟症BV-3
クルーセルを認め、炎症像を伴わない典型的な細菌性腟症BV-2
クルーセルを認め炎症像を伴わない典型的な細菌性腟症BV-2
クルーセルはなく背景に腟ガルドネラ菌BV-1
このケースも背景に腟ガルドネラ菌BV-1としています。
BV-1もBV-2もNugent scoreで評価すると多くの場合7以上を示します。

細菌性腟症の検査・治療を積極的にお考えな先生大歓迎

細胞診の検体で積極的に細菌性腟症の報告を望む先生方、
ご連絡いただければ幸いです。
042-652-0750

今日は桃の節句
先日地方議員さんからの嬉しい電話

日曜日の夕方、アイラボの営業活動を行っている仲間に、アイラボのHPV検査の特徴などを説明し、さあ帰ろうかと思っていた時、電話が鳴りました。
「アイラボです。私は所長の椎名ですがどうかされました?」と質問すると、
「ヘムシアのケアラクトは椎名先生が作っているのなら購入したいと思いました。
地方議員なので、近くの婦人科には顔が知られているので行き難いけど、頑張って行ってきました。
婦人科で細菌性腟症と診断されフラジールと〇〇という薬を処方されれたのですが???、、、、、」


「大変失礼ですがおいくつになられますか?」と伺うと、50代半ばとのことでした。
腟内フローラ(乳酸菌)は腟内のグリコーゲン(糖分=乳酸菌のエサ)を栄養源にしていますが、閉経後腟内が萎縮するとその糖分が少なくなるため、乳酸菌の数が減り腟内の酸度が下がります。そうすると、細菌性腟症や萎縮に伴う腟炎を起こしやすくなります。
この写真は腟の粘膜を構成する細胞達です。大きなオレンジ色の細胞は粘膜の最も表面にある細胞なので、表層細胞といいます。大きな緑色の細胞は表層細胞の下にある細胞で中層細胞といいます。そしてそれらよりやや小型で丸みを帯びた細胞は旁基底細胞といい、幼児期や閉経してホルモンの影響がなくなると見られます。
つまり、表層細胞はエストロゲン(卵胞ホルモン)の効果を反映し、中層細胞はプロゲステロン(黄体ホルモン)の効果を反映し、それらのホルモンの影響がなくなると旁基底細胞が粘膜の表面に露出し、粘膜は薄くなり(萎縮)ます。
こちらの写真は、若干前の写真に比べ拡大を上げていますが、全て旁基底細胞です。
閉経後徐々にエストロゲンやプロゲステロンが減少すると、このように旁基底細胞だけになります。婦人科細胞診ではこのような所見になった時、萎縮した状態といいます。
特に中層細胞には、乳酸菌の餌となるグリコーゲンが豊富に存在しますが、旁基底細胞にはグリコーゲンがが無いので、抵抗力が弱くなり腟炎を起こしやすくなるのです。

萎縮性腟炎はこうして起こります

白血球の増加は軽度で、ごく軽度の萎縮性腟炎です。
高度の萎縮性腟炎です。
萎縮性腟炎の症状としては腟の乾燥感、外陰部のかゆみ、痛みの他に白血球が増加し異臭と黄色味を帯びたおりものが増加し、不快な症状になります。そのような症状は性感染症(トリコモナス、淋病、クラミジア感染、など)と同じであるため、精神的に不安になります。
しかし、おりものや臭いといった女性特有の悩みはそれだけではなく、妊娠した時に起こるカンジダ症や腟内環境の乱れからくる細菌性腟症など原因は様々です。
昨年10月東京ビッグサイトで開催されたFem+(フェムプラス)「女性の健康と活躍を支援する展示会」で行ったアンケート調査では、なんと91%の女性がデリケートゾーンの悩みがあったと答えています。

だから女性特有の悩みは決して議員さんだけではありません

我慢されているより、早くクリニックを受診した方が良いと思います。
でも言うは簡単ですが、女性にとって婦人科の敷居は高いものです。
私が郵送検査を始めた理由の一つは恩師である婦人科医故八田賢明先生(松戸市)が言われた
「椎名君、女性はお産以外に私達のとことには来たくないんだよ。それで子宮がんや不妊症で手遅れになってしまうことが多いんだよ。自分で採取しても精度の高い検査を考えてくれよ」の一言です。

ご相談の議員さんのように、お住まいの近くのクリニックとなればさらに敷居は高くなります。
同じことは芸能人の皆さんの様にたくさんの人に顔が知られた人は大変だと思います。
そこで「ヘムシアのケアラクトは椎名さんが作ったのであれば購入したいのですが?」ということに至ったようです。私にとっては大変光栄なことですが、残念ながら私が作ったわけではありません。

世の中にはたくさんのサプリが出回っていますが、その効果の程はよくわかりません。
その効果を自分で試すことができる検査キットをサプリと同時に販売することに挑戦したドウシシャさんの姿勢に感銘を受け、応援している次第です。

議員さんには、まず現在の状況を知るために「Femバランスチェック」というアイラボの検査キットをご紹介しました。この検査キットは「腟内フローラバランス(乳酸菌、腟ガルドネラ菌)やカンジダの有無、腟炎の有無、更にホルモンバランスをチェックするもの」を総合的に調べることができます。この検査をすることで、細菌性腟症があるのか?、腟炎を起こしているのか? カンジダ腟炎(性感染症ではありません)があるのか? ホルモン環境(萎縮しているのか、ホルモン活性があるのか)はどうなっているのか?を知ることで今後の対応が分かれてくるからです。

この検査の他にアイラボには「オリモノ&臭いの検査」があります。この検査には「淋菌、クラミジア、トリコモナス、カンジダ、細菌性腟症、腟炎」と、性感染症を含めた検査ですが、すでに議員さんは受診されたクリニックでこれらの検査が済んでいるとの事でしたので、Fem バランスチェックをお勧めした次第です。

同じ境遇の皆さん、先ずは、お気軽に相談して下さい

女性特有の悩みは誰もが抱えている悩みです。
決してあなただけではありません。
近くの人に相談してみてください。
実は私も、、、が現実です。
一人で抱え込んでしまうと取り返しのつかない事態になることも。
細菌性腟症は命にかかわりはありませんが、
子宮頸がんや他の病気が潜んでいることもあるのです。
この議員さんには検査の結果が出たら是非相談して欲しいのですが?

これが典型的細菌性腟症だが、このケースも!

細菌性腟症は病気?
私達(アイラボ)は、細菌性腟症は病気というより腟内正常細菌叢(Normal bacterial flora:腟内に生息する微生物群で、その代表格が乳酸菌です。その他にも腟ガルドネラ菌など、いくつかの菌がある一定のバランスで住み着いている状態)が何らかの影響でバランスを失い、善玉菌といわれる乳酸菌が減少し、悪玉菌といわれる腟ガルドネラ菌が増えてしまう状態と考えています。その原因は様々ですが、善玉菌が失われる行為(例えば抗生物質による治療や過度な性行為)、または善玉菌が増え難い環境(乳腺菌の餌となるグリコーゲンの減少:更年期になると腟の粘膜は萎縮し本来グリコーゲンをたくさん保有する細胞が少なくなったり消失する)が考えられます。
このケースは、薄緑色に染まる中層細胞(大きな薄っぺらな細胞)が主体ですが、中央やや左の細胞には灰色に染まる細かな細菌(腟ガルドネラ菌)が群がっています。この細胞はClue cell(クルーセル)よいって、細菌性腟症に見られる特徴的な細胞です。細胞以外の部位にも腟ガルドネラ菌が沢山見られます。乳酸菌は全く見られないこの状況が、典型的な細菌性腟症の腟内です。白血球は5‐6個見られますが、腟炎を起こしている状況ではありません。腟炎を伴わないことも細菌性腟症の特徴なのです。
この現象を私的にみると、「何らかの原因で乳酸菌がいなくなったので、代りに俺(腟ガルドネラ菌)が腟内を守ってやるよ」と言っているようにも見えます。淋菌の様な本物の悪玉菌の感染なら、白血球が大量に出動して戦うのにその気配は全くありません。「数は少ないけどいつも住み着いている奴(腟ガルドネラ菌)だから攻撃の対象ジャーねーよ」って言ってんのか?」はたまた、「乳酸菌の代わりに(腟ガルドネラ菌が)腟内を守ってくれているのだから攻撃なんてもってのほかだよ。」と言っているのか?
細菌性腟症は本当に分かりにくい!!!

でも、はっきり言えることは「嫌な臭いの原因はお前のせいだ!」って事は確かだ!
お前のせいで、ご主人(患者)様は大変な思いをしているんだぞ!
同じ検体から作製した標本を単染色という方法で染めると腟ガルドネラ菌はこのように見えます。
前のケースに比べると腟ガルドネラ菌は少ない。
しかも、Clue cellもないし、白血球もほとんどない。
写真を撮影した部位は最も腟ガルドネラ菌が多いところです。
きれいな、きれいな腟内! 最高!って言いたい。

でもこのご主人(患者)も異臭が気になって検査を受けたのです。
腟ガルドネラ菌の絶対数は少なく、一見最高の腟内のように見えました。
しかし2つのケースに共通した点は「乳酸菌が見当たらない!という事です。
また同じ検体から作製した標本に単染色を施してみると。
乳酸菌は全くいない。
前のケースに比べれば劇的に少ないけど、腟ガルドネラ菌だけが生息している状況でした。
ちなみに、同じ倍率で乳酸菌をみてみようか?
乳酸菌の仲間は大きいでしょう。

今回何を言いたいかといえば、

clue cellがあろうがなかろうが、腟内に乳酸菌がいなくなり、
腟ガルドネラ菌が支配している環境は多くの場合臭いが気になる人が多いのです。

でもね、嫌な臭いは細菌性腟症だけではありません。
嫌な臭いやオリモノで悩む人はたくさんいます(私達の調査では91%)。
大事になる前に先ずはアイラボのFemバランスチェックで調べてください。
その結果を見て、次を考えましょう。