男性HPVタイピング検査に期待するところ
(1)子宮頸がんに対する男性の意識改革

  私達アイラボが目指す子宮頸がんゼロの町
  構想を実現するためには、
1)先ずは、子宮頸がん検診の受診率アップ
2)そのためには、HPV検査の普及
3)そして、子宮頸がんに対する男性の意識改革
  が重要です。

子宮頸がん検診の受診率をアップさせるためには

これまで行われてきた、細胞診は
医師採取に限り、自己採取は認めない
になっているため、子宮頸がん検診の受診率は頭打ちの状態になっています。
(厚労省国民生活基礎調査2022年度より)

HPV検査単独法の導入は受診率の大幅アップが期待できる

厚労省の(子宮頸がん検診)に関する指針では、
「細胞診検査単独法」または「HPV検査単独法」
のいずれかを選択することになっています。

これまでの「細胞診検査単独法」で、
採取法は医師採取に限るとされている中でも、
約44%が受診していますので、
「HPV検査単独法」に変更してもこれ以下になる事はありません。
「HPV検査単独法」は医師採取を原則とするになっていますが、
その理由は日本におけるエビデンスがないためとしています。
しかし、WHOやFDAは受診率向上を目的に、
自己採取法の導入を許可していますので、
我が国においても自己採取法が許可される日は遠くないと思われます。

自己採取法は検査精度に問題はないのか?

エヴァリンブラシは、
医師採取と同等の結果が得られることが報告されています。

(BMC Infect Dis. 2018;18(1):348.)
そして、多くの国で採用されています。
(J Clin Microbiol. 2012;50(12):3937-43.)

エヴァリンブラシの特徴は
ブラシの部分で子宮腟部(子宮の入り口)付近に存在する粘液を絡め採ってくる器具で採取された検体はそのまま輸送できる便利さがあります。
セルソフトは細胞診用に開発された器具
エヴァリンブラシより3.3cm長く、子宮腟部の細胞を擦り採り、その周辺に自然に剥がれ落ちた細胞も絡め採る器具です。採取された細胞が乾かないように、スポンジ部分に保存液を添加して検査機関に送りますので、HPV検査だけでなく、細胞診や感染症など様々な検査に対応できる特徴があります。勿論、保存液を添加しなければエヴァリンブラシと同じように扱うことも可能です。

エヴァリンブラシとセルソフトはほぼ同じ採取能力でした

アイラボが、両方の器具の採取能力を比較した研究をまとめたのがこの表ですが、上から4例目はセルソフトで58型が検出され、エヴァリンブラシでは検出されなかった一例を除き、両者とも同じ成績を示しました。検出されるHPVの種類がエヴァリンブラシで若干多い傾向にありますが、エヴァリンブラシが先に採取したことと、セルソフトでは採取されない腟の部分から採取された可能性が考えられます。

間接的ですが、セルソフトも(エヴァリンブラシと同じように)医師採取と同等の検査精度が得られることが分かりました。

詳細はこちらから(日本語版で)でも見ることが出来ます。
(Asian Pac J Cancer Prev, 25 (5), 1673-1679)

HPV検査単独法に切り替えただけでは
 子宮頸がんゼロは目指せない

HPV検査単独法による子宮頸がん検診を採用した自治体や企業の検診で、(医師採取による)検診が受けられなかった方を未受診者と表現しますが、この未受診者を如何に減らせるかが子宮頸がんゼロを目指すうえで重要になります。
セルソフト開発の経緯は既にこのブログでも紹介していますが、究極の目的は「子宮頸がんゼロを目指すこと」なのです。

医師採取が苦手な人
勉強・仕事・子育てで忙しい人
僻地にお住いの方でも
自宅で、自分で採取し、ポストに入れるだけなら
検診は受けられるでしょう

それでも取り残されてしまう人がいます

アイラボは5年前から
男性のHPV検査を始めましたが、
「お前最近臭いがきついぞ! 早く子宮頸がんの検査を受けて来いよ」
僻地に住む夫の一言で大事には至らなかった話

https://ilabo-cyto.co.jp/blog/article.html?page=116
がきっかけになっています。
僻地のため、検診を受けようか?次にしようか?と躊躇しているうちに
検診を受けるのが面倒になり、ついつい長い間検診を受けなかった奥さん。
たまたまご主人が『子宮頸がんになると臭いがきつくなる』ことを知っていたので、
奥様は初期の段階『Ⅰb期』で手術を受け、大事には至らなかったのです。
つまり、子宮頸がんは女性だけの問題ではなく、男性も一緒に考えて頂く事で、
子宮頸がんの死亡率を減少させる効果があると思うのです。

「子宮頸がんは男性の優しさが重要!

2024年12月9-20 八王子市多摩未来メッセ
たま未来連携EXPO2024に特別産学企画に出展
出展社懇親会の席で、
「子宮頸がんは女性だけの問題ではなく、
子宮頸がんゼロを目指すためには男性の意識改革が必要」なことを紹介させて頂きました。

挨拶が終わり懇親会になると、
男性数人が挨拶に来てくれました。
(外交辞令とは思いますが)
子宮がんの原因は男性がうつすんですか?
男性もうつってくるということですよね。
そして、彼女にうつすと、
彼女が子宮頸がんを発症する危険性があること

よくわかりました。
こんなこと初めて知りました。


早速検査を受けてみます!

誰からうつった、うつされた、は問題外!

子宮頸がんについてのヘルスリテラシーを高め、
二人が仲良く・健康で・社会で活躍できるために
男性の意識改革はとても重要だと考えています。


以上です。