素敵な女性からの電話
男性性器からHPVが検出されたが私がうつしたかも?

「つき合い始めてから半年ほどになりますが、
彼がHPV検査で56型に感染していることが分かりました。
今後の性生活についてご相談をさせて頂きたくて電話しました。
これまで、基本的には最初からコンドームを使用していましたが、
コンドームだけでは完全に感染を防ぐことはできないと聞いていますし、
私からうつった可能性もあります。」

自分からうつった可能性があるという人は少ない

無料電話相談で様々な方とお話ししますが、
「私からうつった可能性がある。」
という方は極めて少ないです。
とても好感が持てるご相談者に私自身幸せな思いになります。

アイラボの無料相談で大半のケースは、
<直近お付き合いしている人からうつされた>
と思うようですが、実は必ずしもそうではありません。

そもそもハイリスク型HPVの感染は男女とも全く無症状

この細胞は別のケースの男性性器から採取しましたが、採取した部位に何ら異常所見は認めません。
淋菌やクラミジアなど、性感染症の多くは感染後数日から数週間以内に何らかの症状が出るため、
「おかしい」と気づきますが、ハイリスク型HPVの感染は全く症状が出ないため、
感染したかどうかは検査をしなければ分かりません。
ですから、これまで性交経験がない人ならまだしも、
経験のある人が「自分が感染していない」とは断言できないのです。
お付き合いしているカップルがワンランク上のお付き合いを始める時、
相手(男性)にHPV検査をお願いするケースが増えていますが、
これから仲良く素敵な時間を過ごすためには、
同時期に一緒に検査しておくことが良いのではないでしょうか?

HPVのことをしっかり学べば子宮頸がんは(全然)怖くはありません。
感染予防や感染してしまっても対策はたくさんあるのです。
先ずは、男女とも自身の今を知ることが大事です。

たま未来連携EXPO2024 特別企画に出展

私達は八王子市下恩方町で登録衛生検査所(株式会社アイ・ラボ CytoSTD 研究所)を運営していますが、スタッフ全員が杏林大学保健学部出身ということもあって、杏林大学とは最新の知見と技術を共有し、主に子宮頸がん検診の受診率向上に関する検査技術や器具の開発に努めてまいりました。
そのような経緯から、この度、たま未来連携EXPO2024 (2024年12月19-20日、東京たま未来メッセ(八王子市)展示室AB)にて特別企画「アイディア集合!共創プロダクト体験ラボ」に出展させて頂きました。

子宮頸がんゼロの町を目指す取り組みのおさらい

私達(アイラボ)は、開業当初から子宮頸がんで亡くなる人“ゼロ”を目指す活動を行ってきました。
その基になるのは、日本の子宮頸がん検診の牽引者の一人である野田起一郎先生の「全ての人が検診を受ければ子宮頸がんで亡くなる人をゼロにすることができる」というお話を聞いたことに始まります。
しかし、日本の子宮頸がん検診の受診率は、一向に上がりません。
舛添要一氏が厚生労働大臣であった頃、公明党の浜四津敏子議員がこの問題を指摘したことに対し、舛添氏が5年間で受診率を50%まで引き上げると打ち上げました。
その効果は、3年後の国民生活基礎調査で37.7%に上昇しましたが、多くの団体の活動もむなしく、2019年43.7%、2022年43.6%と子宮頸がん検診の受診率は頭打ちの状況です。

頭打ちの原因は何か?

日本の性に関する教育が関係しているのではないか?
このスライドは、千葉大学教育学部養護教諭養成課程(故武田敏教授の元)で教務補佐として在籍していた時に学んだ一部です。
性に関する事は、なんとなく表に出したくない、隠しておきたい、、、日本人には特にそんな思いがあるのではないか? 子宮頸がん検診においても、基本的には「全く心配していないわけではないが、特に症状もなく自分には関係ないのでは?」、、、そんな風に思っている人が多いのではないでしょうか?
ですから、私達が行った(下に示す)アンケート調査でも、比較的自分にとって都合のよう状況であったら検診を受けるといったところではないかと思います。これをまとめると、恥ずかしい忙しい面倒くさいというのが実情と思われます。

自分でできる(自己採取)方法ならすべてが解決できるのでは?

私はかねてから、加藤式自己採取器具の有効性を評価している一人です。
本来は医師が採取すべき検体ですので、それに代わる器具は安全性、機能性、有効性のどれをとっても最高のデバイスでなければなりません。医師採取に次いで最も優れた器具でなければならないのです。
私達は現存する器具では加藤式を選びましたので、次にチャレンジするのは検査技術です。
検査精度向上に関する検査技術は⓵標本作製法と➁観察法に分かれます。
先ず、標本作製法については、“採取された検体を全て保存液の中に洗い出し、それを遠心分離器にかけ、得られた細胞成分を用いて標本を作製することにしました(液状化処理)”。
この方法にすることで、採取された(異常な)細胞をより効率的に収集することができ、さらに細胞が重なることがないため顕微鏡で観察しやすくなることで、検査精度が上がります。
自己採取法は腟内に自然に剥離した細胞と子宮の入り口付近を擦過した大量の細胞(正常の細胞と異常な細胞)が採取されます。従って、相対的に異常な細胞の割合が少なくなるので、顕微鏡で観察する細胞検査士の使命感・責任感が問われますので、改めて再教育のプログラムを用意しました。。
数少ない異常細胞を如何に見落としなく探すためのトレーニングです。
細胞検査士資格認定試験においても少数例(数少ない異型細胞を見落としなく発見できる能力も見る試験)として大変重要な私見として組み入れられていますが、それを再認識して頂くものです。
修了者にはこのような認定書を渡すことにしました。
細胞診は機械で自動的に調べる検査でないため、人への投資は極めて重要になります。

そして、医師採取と変わらない精度にこぎつけました

先ずは、お医者さんが採取するのとどの程度違うのかを調べる必要があります。
少ない情報を集めたのがこのスライです。

最善の方法とは言えませんが、検診を受けるのが「恥ずかしい、忙しい、面倒」な人にもこの方法でも受けて頂ければ受診率は少しでも上げられると考えました。
平成22年度東京都で年間5000件以上の自己採取検体を扱う検査所の成績と医師採取検体の成績を比較すると、その差は歴然としています。子宮頸がん検診ガイドラインで自己採取法が“ダメ”、“医師採取に限る”とされている理由はまさにここにあるのです。医師に代わる検体の採取なので、検査を勧める人、検査を受ける人は採取器具の選定には細心の注意が必要になります。また、検体の処理方法によっても精度が著しく変わる事、顕微鏡を観察する細胞検査士の使命感についても同様で、全てが適正に行わられない限りこの方法は“ダメな方法”になってしまうことを十分認識する必要があります。
注目!自己採取例でのD社の成績が他の3社(A~C社)に比べて良い成績でしたので、直接その理由をお聞きしたところ、表に示した回答を頂きました。
私達がセルソフトを用いた細胞診検査でLSIL以上の検出率は30例中7例23%(APJCP.2024.25.5.1673.にて報告)であり、1/23以下の検出精度でした。

自己採取法の欠点を理解しておく必要があります

最大の欠点は子宮の入り口から少し奥に入ったところにできるがん(自己採取器具で直接擦過できない所にできるがん)を早期に発見できない可能性がある事を十分認識して対策することが重要になります。

アイラボでは、報告書に以下のような注意事項を添付しています。
※注意1 この度の結果にかかわらず、既に閉経されている方で不正出血が見られた時は、婦人科を受診して体がん検査を受けましょう。
※注意2 この度の結果にかかわらず、以前に比べ粘液様のおりもの(帯下)が増えた時は、アイラボの無料相談をご利用頂くか、婦人科を受診して下さい。
※自己採取型の子宮頸がん検査は子宮の奥に発生したがんを早期に発見するのは困難なことがあります。
厚生労働省健康局がん・疾病対策課より、「子宮頸がん検診におけるHPV検査単独法の導入について」https://www.mhlw.go.jp/content/10901000/001132571.pdf その経緯を含め解説しています。
この中で私達が最も注目した点は、これまで子宮頸がん検診に使われてきた細胞診単独法「医師採取に限る」という表現でしたが、HPV検査単独法においては「医師採取を原則とする」に代った点です。子宮頸がん検診の受診率は国民生活基礎調査の結果を基に公表されていますが、2019年が43.7%でしたが、2022年の調査では43.6%で、すでに頭打ちの状況です。
毎年1.1万人の方が子宮頸がんに罹患し、およそ2,900名の方が亡くなっています。
子宮頸がんは決して命を落とすようながんではないのです。
予防法としては、HPVワクチンの接種やほぼ全国的に網羅されている検診システムがありながら、どうして先進国の中で最低レベルに甘んじているのでしょうか。

ヘルスリテラシーの低さが最大の要因ではないか?

こちらは今回のたま未来連携EXPO2024での風景
こちらの写真は今年10月に東京ビッグサイトで開催されたFem+(フェムプラス)
に参加した際の様子
「子宮頸がんの原因、、、知っていますか?」という質問に対し、HPVの感染と答えられた人は2割程、HPVはどうして感染するのかとの質問に至っては正しく答えられた人は皆無に等しいのです。
HPVワクチンの接種やHPV検査という言葉は聞いたことがあったり、なんとなく子宮頸がんと関係があるということは知っていても、それが性交でうつるという認識には至っていないのです。
子宮頸がん?、、、自分には関係ない、、、と勝手に思い込む(対岸の火事的思考)人
でも、身内や、有名人が子宮頸がんで、、、というニュースを見たり聞いたりすると、自分は大丈夫なのか?、、、と、少しは知識を高めるる努力をしますが、、、、しばらくすると何もなかったように忘れてしまう「喉元過ぎれば熱さ忘れる」、、、そんな人多いのではないでしょうか?

ヘルスリテラシーの低さと言うより、“都合の良くない話は、あまり深く考えない” 「臭いものには蓋をする」的な日本の性教育の歴史が今なお影響し、日本人の国民性になっているのかも知れません。
ですから、大切な話をする時にはインパクトのある言葉で正しいことを伝えること大事になります。

子宮頸がんは女性だけの問題ではありません。
セックスによってHPVというウイルスが感染することが始まりです。
でも、HPVは淋病やクラミジア(症状が乏しいこともあります)の感染とは異なり、症状が全くないため、感染していることに気付きません。
「風俗を利用してもう10日経っても何の症状もないので、(性病に)感染しなくて良かったと胸をなでおろした経験はありませんか?」
子宮頸がんに関係のあるハイリスク型HPVに感染していても、全く症状はなく、虫眼鏡で性器を観察しても感染部位は分かりませんので、心配事は何もない、、、とかってに解釈し、大切な人へうつしていきます。

出展企業の交流会で突然の登壇要請

突然の登壇要請でしたので、今回アイラボが強調した、「子宮頸がん“0”を目指す」根拠をお話することにしました。
日本における子宮頸がん検診の受診率は43.6%が直近の数字です。
今年4月から、HPV検査単独法も子宮頸がん検診の方法として準備ができた自治体から行なえるようになりました。検体の採取は「医師採取を原則とする」になっていますが、受診率を上げるという意味では医師採取のみの場合大きな改善は期待でしません。既にWHOや米国FDAは自己採取が許可されています。
私達は子宮頸がん“0”を目指す方法は、現在通常の検診を受けている方が約44%、これに自己採取によるHPV検査が可能になれば、受診率80%は困難な目標ではないと考えています。残りの20%は男性の子宮頸がんに対する正しい知識を浸透させることで、風俗等におけるHPV感染予防や男性のHPVワクチン接種の加速が期待されます。アイラボが男性用のHPV検査を提供している理由はそこにあります。

■男のHPVタイピング検査(ハイリスク+コンジローマHPV)

■男のHPVタイピング検査〈ハイリスク13種HPV

ハイリスクHPV感染の男性がHPV強制排除に挑戦(5 最終回)

彼女が子宮頸がん検診を受けたら軽度異形成と診断されました。
そのことが原因で彼女と別れることになってしまいました。
そんな彼(K氏)がアイラボの男性のHPV検査を依頼しました。
その結果は、39型、52型、51型が検出され、この男性がHPVを強制的に排除すことに挑戦した話。
k氏は、自分と同じ悩みを持つ男性は少なくないと思うので、Dr.
シイナのブログで紹介することを承諾してくれました。

2023年7月1日のブログ「10年前に風俗を利用した。5年後彼女がLSILに!そして今俺にHPVが!」が最初の記事。
第1回2023年10月24日
第2回2023年11月 4日
第3回2023年11月22日
第4回2024年 4月 7日 ※この時点で51型は消失したが、52型と39型が残ってしまいました。
そして2024年の6月からサイドの挑戦が始まりました。今回がこのシリーズの最終回です。

2024年6月 再度べセルナクリームによる治療を開始

お世話になっております。
Kです。
昨日6/17から再度の挑戦を開始しました。
治療方針は以下の通りです。
ベセルナクリームジェネリック24袋を購入、1度に2回分使用して全体に塗布し、4週間で使い切る
7月中旬には治療が終了すると思います。


このようなメールが届きました。
前回べセルナクリームを処方して頂いた先生は、効かないタイプ(HPVの型)があるとのことで処方して頂けなかったようです。そこでk氏はネットで購入したようです。
“1度に2回分使用して全体に塗布し、4週間で使い切る” という意味は亀頭部分だけでなく、竿(陰茎)部分を含め、男性性器全体に塗るという意味です。
6/19 昨日の夜お風呂に入ったときは、少し赤くなっていましたが、シャワーを当てても痛みはありませんでした。今夜2回目のベセルナクリームを塗布する予定です。
6/21 2回目が終わって少し赤くなってはいますが、痛みはないので、今日3回目をやろうと思います。
6/23 3回塗布しましたが、包皮の内側が赤くなって少しひりひりしますね。痛痒い感じです。
皮はむけてないので来週も治療は継続する予定です。
6/29 今週月曜に4回目の塗布を行い、火曜に刺激を与えてしまいました。
赤く腫れてしまい、カリに近い亀頭部分の皮がむけたように白くなってしまいました。
治るまで様子を見ようと思います。


【私からの返信】
kさん
そうですか?
それは残念な気がします。
私は治療に関しては全くの素人ですが、細菌の場合、治療を中断すると弱りかけた細菌が復活すると、より強い抵抗性になります。薬剤に対する耐性が獲得されるためです。
HPVとべセルナクリームでそのようなことが起こるかどうか不明ですが?
前回も、途中から薬剤の間隔が長くなっていますので、そのことが少し心配です。
椎名

そうなんですね。
弱りかけたHPVが復活することがあるのですね。
復活すると耐性がついてしまう。
完治させるのは難しそうですね。

7/8 だいぶ回復してきたので、今日から治療を再開したいと思います。
7/9 7/24日に治療が終了する予定です。
7/18 昨日治療する予定でしたが、シャワーを直接当てると痛みがあったので断念しました。
痛みが引いたら再開します。残り4回です。
7/24 まだ腫れているので治療は一旦やめています。そろそろ再開する予定です。
7/25 昨日もまだ腫れていたので治療はできていない状況です。
私の場合、一日おきに4回治療するとひどく腫れることが分かりました。
他の人は腫れないんですかね?
8/6 12回分の治療がやっと完了しました。
治療した日は以下の通りです。

1回目:6/17(月)夜
2回目:6/19(水)夜
3回目:6/21(金)夜
4回目:6/24(月)夜
二週間中断
5回目:7/8(月)夜
6回目:7/10(水)夜
7回目:7/13(土)夜
8回目:7/15(月)夜
二週間中断
9回目:7/29(月)夜
10回目:7/31(水)夜
11回目:8/2(金)夜
12回目:8/5(月)夜

腫れがひどかったので途中2回治療を中断しました。効果が薄れてしまうか心配ですが、とりあえず、一旦無事に終わってよかったです。
8/29 現在は腫れもなく状態はいいと思います。
性行為はありません。


8/30【私からの返信】
kさん
検査の前に飲みますか? 後にしますか?
八王子に来れますか?
椎名

どちらでも大丈夫です。
八王子行けます。

9/14 本日はお会いしていただきありがとうございました。椎名さんのお話を聞けて私の肩の荷が少し下りました。早く彼女ができるように頑張りたいと思います。
近いうちに検査をしようと思います。
結果がダメだったとしてもまた治療を再開するつもりです。
本日は貴重なお話が聞けて参考になりました。
ありがとうございました。

初めてお会いするKさん 遠いところまでよく来てくれました

初対面、Kさん印象は優しそうな好青年。
今回の飲み会、彼に検査をする前と後のどちらがいいかと聞いたところ、kさんからは「どちらでもOK」の返事が返ってきましたが、お会いするのを検査の前に決めたのは私です。私の方が結果を悲観的に考えていたもかも知れません。kさんはもし52型と39型が排除されなかったら再度挑戦する覚悟ができていましたので「どちらでもOK」だったと思います。

アイラボのモットーは「Be with you(あなたと一緒)」ですが、お客さんとこんな機会が持てたのは初めてです。3時間くらいいろいろな話をして有意義な時間を過ごせました。陰性になって早く素敵な彼女さんと巡り合えるようにと祈りながら別れました。

そして昨日HPV検査の結果が出ました。

今回の検査では、綿棒を4本(通常の倍)渡しました。性器全体を擦過するためです。
検体処理を担当した細胞検査士からは十分過ぎるくらい細胞が採取されていましたという連絡を受けていましたので、まだウイルスが残っていれば確実に検出されるはずです。

結果は 陰性 52型も39型もきれいに消えていました。

kさんおめでとう

Kさんからこんなメッセージが届いています。

俺は39,51,52型のHPVに感染していましたが、ベセルナクリームによる治療で完全に治すことができました。
初めてベセルナクリーム(12袋)で治療したときは、亀頭の皮が剥けて赤く腫れてしまい治療間隔(2日に1回のペース)を守ることができず、結局HPVを消失させることはできませんでした。
しかし、ベセルナクリーム(24袋)で再挑戦したときは、できるだけ治療間隔を守って治療し、完全にHPVを消失することができました。(亀頭、かり、包皮内側で12袋、包皮外側で12袋使用)
治療で大切なことはできるだけ治療間隔を守ることだと思います。赤く腫れて痛みがある場合は引くまで中断するしかありませんが。
ハイリスクHPVの場合、どこに感染しているのか目では確認できないので性器全体にベセルナクリームを塗布する必要があります。結構時間がかかり大変ですが、治る病気だと思いますので最後まで治療することをお勧めします。
俺の経験が治療のご参考になれば幸いです。


子宮頸がんは女性だけの問題ではない。もっと多くの人にこの病気の本当の姿を知って頂き、皆さん個々の性のあり方を尊重しつつ、HPVワクチンの接種、子宮頸がん検診、私達が提供している郵送検査など、子宮頸がん対策の方法は沢山あります。勿論HPVの感染を可能な限り防ぐこともその一つです。どうか自分に合った方法をうまく活用して自分はもとより大切なパートナーを子宮頸がんから守りましょう。
最後になりますが、Kさんからの情報提供は同じ悩みを持つたくさんの男性、そして医療関係者に役立つ情報と思います。医師法や薬事法に抵触しない範囲での対応でしたが、Kさんには心から感謝致します。お幸せに!
私達は子宮頸がんゼロを目指しています。

ハイリスクHPV感染の男性がHPV強制排除に挑戦(4)

先生の処方通りの治療はできなかったが?

ハイリスクHPV感染の男性がHPV強制排除に挑戦(3)2023年11月22日の記事では、それまで実施したべセルナクリームによる治療後初めてHPV検査を実施し、感染していた51,52,39の中の51型のみが消失した結果でした。
Kさんよりその後の治療方針が下記に示された内容で行われる旨の連絡がありました。

【Kさんが今回実施した治療スケジュール】
7回目から11回目までは亀頭カリおよび包皮内側に12回目は包皮外側根元に塗布することにしました。
7回目の塗布11/24
8回目の塗布12/1
9回目の塗布12/8
10回目の塗布12/15
11回目の塗布1/5
12回目の塗布1/19
このようにおおむね1週間間隔で塗布しましたが、10回目に若干赤くなったので11回目以降は2週間間隔で行いました。
そして3月13日に包皮外側と根元部分から、3月21日に亀頭・カリ・包皮内側から採取した検体がアイラボに届きました。その時の細胞像です。
最初に届いた包皮外側と根元からの検体は、細胞成分は採取されているが、観察できる細胞が少なく、形態学的観察には適していません。
後に届いた亀頭・カリ・包皮内側から採取した検体には極めてたくさんの細胞が見られ、画像の様に核を有する細胞(有核細胞)を多数認め、核の大型化や濃染傾向が見られます。(このような所見は非感染例と異なり、HPVの活発な増殖が関係しているかも知れません。)
この様に、核が複数存在し、大型化や濃染傾向が見られますが、このような細胞も非感染例では見られません。

HPV検査の結果は!

亀頭・カリ・包皮内側の検体、包皮外側と根元からの検体共に52型と39型が検出されました。
HPVが排除されていないことが判明しました。
Kさんはかなりのショックだったようです。
最初に塗布した時の反応が思いのほか強かったことで、それ以降はこのブログで示したような条件で治療されました。最初の強い反応が見られた時51型は消失しましたが、52型と39型を叩ききることが出来なかったため、その後べセルナクリームの塗布条件を緩めたことが排除につながらなかった可能性が考えられます。
今回はとても残念な結果でしたが、kさんは薬を処方して頂いた先生に相談して再チャレンジするとの事でした。主治医の先生にも今回の結果をお伝えして、是非先生の指示に従っていただければと思います。

kさんのように苦しむ人はたくさんいます

kさんは風俗を利用して感染しましたが、私達が2022年に実施した30名の風俗営業従事者におけるハイリスク型HPVの感染者は22名(73.3%)で、複数のHPVが検出されたケースが多いのです(論文掲載確定)。風俗を利用することを否定するものではありませんが、淋菌やクラミジアに比べても感染の危険性は極めて高いことを改めて認識して頂きたい。子宮頸がん対策は検診だけでなく、HPVに感染しない、感染させない対策こそが最も重要なのです。この仕事に従事する人はHPVワクチン接種の義務化や利用する人もワクチン接種をまじめに考えるべきと思われます。私達の無料相談では風俗だけが問題ではなく、出会い系サイトを利用した人たちも同じ悩みを抱えています。

セルフメディケーション!
自分の健康は自分で責任をもって守りましょう。
大切な人のためにもう一度自身の性生活を見つめ直しましょう。
ご相談はアイラボで、きっと役立つ情報があると思います。

ご本人(kさん)からのメッセージ

以前交際していた女性が健康診断で引っかかり、精密検査をしたところ、子宮頸部が軽度異形成になっていることが分かりました。俺は昔風俗に行ったことがあり、嫌な予感がして自分もHPV検査をしました。結果はハイリスク型HPVに感染していました。とてもショックで何よりも自分の行いのせいで彼女に移してしまったことに責任を感じました。その後、ハイリスク型HPVの治療方法を色々調べてみましたが、基本的に治療方法はないことが分かったので絶望的でした。そんな時にアイラボの椎名さんに相談し、ハイリスク型でもベセルナクリームで治療してくれるお医者さんを紹介してもらい治療を始めることができました。しかし、治療1回目は翌日の夜に亀頭の皮が剥け赤く爛れてしまい、シャワーのお湯が当たると激痛でした。痛みが引くまで約1ヶ月かかり、その後治療を再開しましたが、それ以降は皮が剥けることはなく痛みや赤く爛れることはありませんでした。しかし、ベセルナクリーム12回分の治療後の検査では、再びハイリスク型が検出されてしまいました。治療は痛みや時間と手間も掛かり、期待もしていたので、この検査結果は正直とてもショックでした。
しかし、ハイリスク型の治療方法はこの方法しかないので継続していくつもりです。治療は1日おきに行うように言われていましたが、痛みや爛れの恐怖心から週1ペースで行っていたので、それがよくなかったのかもしれません。今後は1日おきに治療して完全に治したいと思います。

ハイリスクHPV感染の男性がHPV強制排除に挑戦(3)

勇気を出して塗布を再開しました

第1回目の塗布は、(2)で報告したように、亀頭部分が赤く腫れ、その部位の皮がむけたりして、結構つらい思いをしましたが、症状が治まったのでべセルナクリームによる治療を再開しました。
2回目【10/6(金)夜】と3回目【10/13(金)夜】は1回目と同じ部位(亀頭部分から包皮内側)に塗布しました。
その結果は、1回目とは違って、赤く腫れたり、皮がむけるなどの辛い症状は全く見られまかったので、1週間後に3回目を実施しました。3回目も同様で、症状はほとんどありません。

続いて4回目【10/20(金)夜】、5回目【10/27(金)夜】、6回目【11/03(金)夜】はこれまで塗布しなかった、陰茎の部分に挑戦しました。
この部分についても赤く腫れたり、皮がむけたりすることはありませんでした。

治療開始後初めてのHPV検査を依頼

アイラボからは、4回分のキットを半額で提供させて頂きました。
キットには、細胞保存液と2本の綿棒がセットになっていますが、高価な検査ですので綿棒をご自身で追加し、1回の採取ではなく数日間採取してそれらをその都度細胞保存液に入れることを提案しました。治療によってウイルス量が減少している可能性があるためです。採取する部位はKさんにお任せしました。

kさんより採取した部位の報告がありました。
『今回は亀頭、カリ、包皮の内側と外側、根本周辺から採取しました。』

kさんは亀頭、カリ、包皮の内側を計3回、包皮の外側(竿の部分)を計3回ずつ塗布していますので、最初の検査ではそれら全ての部分から細胞を採取されたようです。

最初のHPV検査の結果は!

治療前に検査した時は(1)の写真で示すように、少し大型になった核がいくつか見られましたが、治療後ではこの写真の様に核を有する細胞は認めますが、異型のある核はほとんど見られません。
標本をくまなく観察してもこのような核を有する細胞はそれほど多くありません。
亀頭やカリの部分には写真の様な白血球(好中球)がみられることはありませんが、このように集簇性に出現していることも治療に伴う炎症性変化と思われます。
この写真は、細胞や核が大型化しているように見えますが、べセルナクリームによって細胞や核の中に存在するHPVが攻撃され、膨化変性した所見と推測されます。

Kさんが採取した検体にはたくさんの細胞が採取され、検体として適正と判断できましたので遺伝子検査を実施しました。
結果は39型と52型が検出されました。

今回は、亀頭から陰茎、さらに根元の部分まで擦過して検体を採取していますので、どこに存在したかは不明です。
「一気にすべてが消えた!」、、、といいたいところですが、今回の検体採取が最後の塗布からおよそ10日ほどですので、ウイルスそのものは存在しても死んだウイルス(感染力のないウイルス)である可能性も否定できません。
焦る気持ちはわかりますが、もう少し検査までの時間をあけたほうが良かったかもしれません。

また、Kさんは現時点で医師から処方されたべセルナクリームを半量(6回分)使っただけとのことですので、今後残りの全てを使い切るとのことです。

でも51型が検出されなかっただけでも期待がもてそうですね。
頑張ってください。


【その後の途中経過】
kさんから11月30日に連絡がありました。
11月24日に7回目の塗布を行いました。
一週間が経過しましたが、現状では特に目立った症状はなく、辛いこともありません。
とのことです。

ハイリスクHPV感染の男性がHPV強制排除に挑戦(2)

8月31日
決心していよいよ挑戦!
入浴時に性器全体をきれいに洗いました。

“湿疹”や“おでき”などで皮膚科を受診すると抗生物質やステロイド系の軟膏を処方してくれますが、この場合は患部に塗ってくださいとの説明があります。また、尖圭コンジローマであれば、感染部位はイボの様に隆起していますので塗る部位の確認は容易です。しかし、ハイリスク型HPVは感染部位に全く変化がないため、性器のどの部位に感染しているのか分からないことが治療する上で最大の問題点になります。
今回の場合は、医師はべセルナクリーム処方し、使用上の注意点を説明した上で後は自己責任で治療することになります。

アイラボのモットーは Be with you !

私達ができることには最善を尽くして皆さんの悩みを一緒に解決しよう!
それがアイラボのBe with youです。
今回はそんな中でkさんの協力を頂いて作業を進めています。
これから示す画像はDrシイナとkさんが共同で作製した手作り作品です。
分かりやすく少し大げさな図ですがその辺をご理解ください。

Kさんが選んだ治療方針

kさんはアイラボの検査キットでHPVに感染していることを調べました。
この検査は検体の採取をkさん自身が行いました。
綿棒を水に浸し、余分な水分を払い落としてから外性器部分をこすって細胞を採取して頂きます。
当然セックスで感染する部位は亀頭やカリの部分だけでなく、陰茎やその根元まで感染の可能性が考えられますので、採取する部位をいくつかに分けて検査する方もいます。
kさんは亀頭・カリ・包皮内側・包皮外側から採取していますので、3種類のハイリスクHPV(39,51,52)はのどこかに感染部位があると思われます。
念のため肛門周囲も検査されましたが、そちらは陰性でした。

8月31日夜、べセルナクリーム塗布開始!

亀頭から陰茎根部までの陰茎全体に塗布するのは怖かったので、先ずは亀頭・カリ・包皮内側の部分(比較的白く見える部分)まで塗布しました。(画像の中で水色の四角でかっこった範囲)

.......................................................................................
9/1朝(約10時間後)亀頭の赤味や腫れは無し、シャワーを患部に直接当てても特に痛みはなかったが、
9/1夜(約24時間後)亀頭部分が赤く腫れ皮が少しむけ、シャワーを直接かけるとしみるような強い痛みを感じた

.......................................................................................
9/2~9/5 (塗布開始から2日から5日)は亀頭部分の皮がむける範囲が拡大し続け、亀頭部分の半分ぐらいの皮がむけました。そして皮がむけた部分は赤くただれ、痛みがひどい状態でした。

9/6~9/14 (塗布開始から1週間から2週間の間)は亀頭部分の皮がむける範囲はやや収まったが、赤く腫れたままで痛みは継続していました。

.......................................................................................
9/15~9/21 (塗布開始から2週間から3週間)は亀頭部分の腫れや痛みは少し改善したが、包皮内側の皮がむけ始めて強い痛みが出るようになりました。

.......................................................................................
9/22~10/5 (塗布開始から3週間から約1ヵ月)
塗布開始から3週間から4週間が経過した頃から皮がむけた部位が徐々に再生し、腫れや痛みも消えてきました。そしておよそ1ヶ月後の10月に入ってほぼ全快したと思われます。

最初のチャレンジが終わりました。

最初のチャレンジが終わりました。
kさんはもとより、一緒に歩んできた私自身心からkさんに「大変でしたね」と言いたい思いです。
ハイリスク型HPVはサイレント(何の症状もなく静かに)に、しかもかなりの感染力で老若男女に関わらずセックスを介して感染が広がっていきます。
kさんの様に、(以前風俗を利用した経験がある、、、事とは別に、)ごく普通に好きな人に巡り合い、ごく普通のカップルと同じように仲良くなり、そして結ばれます。そしてある時、子宮頸がん検診を受けた彼女さんがASC-USやLSIL(軽度異形成)などと診断されたことで、HPVの感染が疑われたり、感染が明らかになり、HPV感染が二人の大問題に発展してしまうのです。細胞診(顔つきの悪い細胞があるかどうか顕微鏡で観察する方法)が普及し始めた50年前は子宮頸がんの原因すらわかっていなかったのです。そして今では「子宮頸がんの原因はHPVの感染」であることが明らかになったことで、HPVワクチンが登場したり、子宮頸がん検診にもHPV検査(遺伝子検査でHPVの感染があるかどうか調べる検査))が含まれる時代になってきました。

子宮頸がんの原因は「ハイリスク型HPVの感染」であり、それはセックスを介して男性から女性に女性から男性に感染することをはっきり認識しましょう。

現在kさんは、第二回目のチャレンジを始めています。
※途中経過をお聞きしたところ、初回に比べてかなり楽なようです。

このような方法で男性のHPV感染の治療が可能になることに期待します!

このチャレンジが終えたら何回かHPV検査を実施する予定です。
kさんのその後についても皆さんに報告していく予定です。
また、今回報告した内容にkさんから追加や修正の希望がありましたら随時対応してまいります。

ハイリスクHPV感染の男性がHPV強制排除に挑戦(1)

アイラボの郵送検査で最も大切にしているこだわりは、皆様に採取して頂いた検体が適正に採取されているかどうかを確認したうえで検査を始めていることです。。病院で採取した検体については(医師または医療現場にいるスタッフ(看護師さんなど)が適正に採取していることを確認したうえて提出されていますので特に行っていませんが、郵送検査はあくまで素人の依頼者が採取するわけですので、絶対に必要な業務になります。アイラボに送られた自己採取検体はたとえクラミニアの検査だけの検体でも塗抹標本を作製してすべて顕微鏡で目的の細胞が採取されているかを確認したうえで検査しています。
この度紹介する検体も、以下の画像の様に目的の細胞が適正に採取されていることを確認したうえでHPVの遺伝子検査を実施しました。
亀頭部分を擦過した検体にはこのようにたくさんの細胞が採取されています。
写真中央には核を有した細胞がみられます。
亀頭表面の正常細胞にはこのような核を有する細胞は見られません。
この写真にも、中央に2つの有核細胞がみられます。
これも同様ですが、このような細胞が亀頭の擦過検体に見られるのはHPVの感染の証拠と思われます。
実際このケースでは、39型、51型、52型が検出されました。
これらの画像はK氏が当社で行った「男のHPVタイピング検査(ハイリスク13種+コンジローマ)」検査時の検体適否標本に出現した細胞達です。
2023年7月1日に投稿した「10年前に風俗を利用した。5年後彼女がLSIL!そして今俺にHPVが」の(アイラボの無料相談)相談者(Kさん)が、男性性器のハイリスク型HPVの治療(HPVを強制的に排除する)に挑戦しました。この記事は、ご本人の承諾を得て投稿するものですが、ご本人が自分と同じ悩みを抱える多くの人達にも自身の経験を伝えたいという思いから実現しました。

Kさんから可能なら治療したい、、、との電話相談が!

『可能なら、自分の性器からハイリスク型HPVをなくしたい。』
という内容の電話でした。
尖圭コンジローマは、同じHPV6型または11型の感染で起こるイボを作る性感染症ですが、この場合はイボという病巣が医師によって確認できるため、「病気(尖圭コンジローマ)」と診断され、様々な方法で治療が行われます。しかし、ハイリスク型HPVの感染部位は平坦でイボのように目で確認できません。それどころか、男性性器を虫眼鏡で見てもどこが病巣なのか分からないため、『病気(病巣)』として確認できないので治療の対象とはならないのです。

Kさんの訴えに理解を示した医師がべセルナクリームを処方

2023年8月18日
幸運にも、ある婦人科医がKさんの希望を叶えるため、1ヵ月分のべセルナクリームを処方してくれたとの連絡を頂きました。医師からは、「もし“ただれ”がひどくなったらその間中止し、治ったらまた塗ってくださいと言われた」とのことでした。
私達アイラボの職員は治療に関しては(医師法や薬事法により)の関係で全く関与できませんが、Kさんからの連絡を頂き、大変感銘を受けました。もしこのようなことが可能であるなら、HPVに感染した男性にとっては、この上ない朗報であることには違いないと思います。

怖くてまだ薬を塗っていないが、今日から始めるとの事(がんばれ!)

8月30日 Kさんより電話が入りました。

「どうですか? その後心配していましたが?」
するとKさんは、怖くてまだはじめていないとの事。
「そうですか? その気になったら無理をせず先生の指示に従ってやって下さい。」と告げると、「今晩からチャレンジします。先生からは夜お風呂に入ってから塗って、翌朝には洗い流すよう言われています。」とのことでした。
やはり、とても強い薬と聞いていますので、ちょっとした勇気が必要ですね。

「そうですか、それでは頑張ってください。治療に関して私達はコメントできない立場ですが、もし心配事があったら何でも相談して下さいね。そして、また経過を聞かせてくださいね。」ということで電話を切りました。

その後の経過については、Kさんや私だけでなくこのブログを見て頂いている方みんなが心配であり、楽しみだと思います。

近日中にご報告いたします。
楽しみにしていてくださいね。
Kさんも皆さんに報告できることを楽しみにしていると思います。

1週間以内に現況を報告出来ると思います。

※分かりやすい画像を作製していますので、少し時間がかかっています。2023/10/31

男性のHPV検査はなぜアイラボだけなの?

実はとても多い質問です

もうかなり前になりますが、アイラボの無料相談に「どうして女性のHPV検査はどこでも受けられるのに男性は調べられないのか?」という質問が寄せられました。
よく考えてみれば、性行為で感染する淋菌やクラミジアは男性でも女性でも検査が受けられるのに、同じ性行為で感染するHPV検査が女性だけで男性は受けることが出来ないのはおかしな話ですね。
子宮頸がんは「病気」であり、その病気はHPVの感染が原因であることが分かってきましたので、子宮頸がんの早期発見(検診)のためのHPV検査HPV感染そのものを予防するHPVワクチンが開発され、すでに世界中の国々に普及しています。しかし、男性がHPVに感染しても、その多くが尿道のがんや陰茎のがんになる確率が女性の子宮頸がんに比べると極めて少ないため、「検査の意義が無い」と判断されているのでしょうか。

症状は全くないのに、彼女が子宮頸がん検診でひっかっかった

「自分の彼女は、(多分)自分とが最初の性行為なので、検診でひっかっかった原因は俺しか考えられない。俺は数回風俗を利用して“生での行為をした”、、、でも、淋病やクラミジアに感染したことはなく、特に気になる症状は何もなかった。俺がHPVに感染しているかどうか調べたい。」当時、そんな風俗利用者や複数の女性と性交渉があった男性からの問い合わせが殺到していました。

共にHPVの研究をしてきた杏林大学の大河戸光章先生に相談

この頃、大河戸先生は日本におけるHPV研究の第一人者の仲間入りを果たしており、特に、細胞診におけるHPV感染細胞の形態学的研究では最先端の学術論文を発表しております。彼が開発した高感度多種HPV検出法uniplex E6/E7PCRはHPVの検出感度がすべての型で均質に検出できる特徴があります。
自動的に測定できる方法ではないため、多数検体を一度に調べられませんが、HPV感染している細胞が少ない男性性器検体でも応用できるため、アイラボでは大河戸先生の協力を頂き、男性向け郵送検査を始めました。

日本性感染症学会にてその成績を報告(2017年、札幌にて)

写真は、学会で発表した最初のスライドです。【日本性感染症学会第30回学術集会(2017)一般講演「HPV・尖圭コンジローマ」演題番号O-29】発表内容の詳細はこちらからご覧ください。

それ以降、男性のHPV検査は伸びていますが、女性も⤴

男性が、『自分の大切な人に、HPVを感染させたくない!、、、という思いから広まったHPVタイピング検査』ですが、その後、徐々に変化が現れました。『貴方とお付き合いしてもいいけど、HPVの感染は調べて!』、、、という女性が増えてきました。
要するに、男性も、女性も、、、、子宮頸がんに対する意識の変化が出てきたのです。

子宮頸がんの原因は、そういう事だったのか!” そんなことがやっと国民の中で広まってきたのかな?アイラボにとって、少しだけですが、嬉しいと感じた変化です。

男女のこの意識こそ、日本における子宮頸がん対策のキーになると確信しています

私達は性風俗業界の存在を否定するわけではありませんが、私達が最近実施した調査では、風俗で働く女性(CSW)におけるHPV罹患率は73%に及びHPV感染の爆発的広がりの温床になっていることは否定できません。このような現状を国は理解していても感染拡大に関する対策は全く行われていません。またその一方で、日本における子宮頸がん検診受診率は50%にも及ばず、2022年度国民生活基礎調査を元に厚生労働省が報告したした受診率は43.6%なのです。また、HPVワクチンの接種率に至っては1.9%(2019年度厚生労働省)と、いずれも先進国の中で最下位なのです。
検診は苦手だし面倒!、(特に根拠がなくても)自分には関係ない(対岸の火事的思考)と考える日本人の国民性、芸能人など有名人ががんになると一時的に検診を受ける人は増えますが、その熱も長続きしません。私達の学会関係者も子宮の日(4月9日)には全国各地で啓蒙活動を実施しますが、どれだけの効果が上がっているか、受診率が伸びない現実(2013年42.1%、2016年42.3%、2019年43.7%、そして2022年43.6%)を見ればそれほどの効果は上がっていない気がします。

そんな我が国の実情にもかかわらず、欧米をはじめとした諸外国のデータを基にしての「科学的根拠に基づいた子宮頸がん検診ガイドライン」というけど、本当に国民のためになっているのだろうか極めて疑問を感じます。

政治や関係する学会が解決できない現状からの脱却には、直線的でより現実的対応が必要ではないかと考えています。なぜ子宮頸がん検診で「要精密検査」になったのか?もっと端的に言えばいつ誰からHPVがうつったのか自身のことは自身でわかるはずですので、自身の健康を守るためにはセルフメディケーション(自身の健康は自身で守る)ことの重要性を浸透させなくてはならないと思います。

国民一人ひとりが子宮頸がんと真剣に向き合い“具体的何か”を見出さなければなりません。私達はその一つとに『真実を知ること、つまり正しい教育』が必要だと考えています。教室での講義や講演の形式ではなく、NetやSNSを使ってよりリアルな形で現実を伝えたいと考えています。

男性のHPV検査を提供している理由はまさにその点にあります。子宮頸がんは女性だけの問題ではなく、HPVのキャリアーとして男性が関わっているわけですから、この現実を男性も、女性も真面目に理解し、解決の道を探るための一歩にしてほしいのです。
自らHPVに感染しない感染させない(自身の性行動をしっかり管理する・男女ともにHPVワクチンの接種をする)、感染している可能性がある場合はがんになる前に対応する(定期的に検診を受ける)、検診で「要精密検査」になったら(必ず病院を受診して対応する)、、、当たり前なことがわが国ではできていないのです。

セルフメディケーション!子宮頸がんになってしまってから後悔する前に、自分を守れる機会がいくつもあるのです。そのことを知らない、知っていても他人事にしてしまったら、子宮頸がんから自分を守れれないのです。
次の大きなテーマは「子宮頸がん検診ガイドライン」についての私見」と題して考えたいと思いますが、その間に日々の出来事も掲載します。

10年前に風俗を利用した。5年後彼女がLSILに!そして今俺にHPVが!

子宮頸がんの原因はHPV感染! これ常識。
女性性器のHPVはその90%が自然に排除(消失)される! これも常識?
男性性器のHPVは女性と同じように自然(免疫力で)に排除されるのか? これ全く分からない。

女性が感染した場合90%が免疫力で本当に排除されると仮定すれば、男性も同じではないのか?
そう思いたくなるのは私ばかりでなく、多くの男性、そしてそのパートナーが願う事です。
しかし、私が知る限り、“男性の方が排除され難い”といった報告があったように思います。その事を私自身は確認したことはありませんが、男性のHPV検査キットを提供している側としては、その疑問に答えなければいけないと、常々感じています。

そんな折、5年前からお付き合いをしている女性(パートナー)がこの度の検診で軽度異形成と診断されました。10年前に風俗でゴムなしの行為をした私が原因ではないかと心配になり、アイラボの「男のHPVタイピング検査」を依頼したところ、3種類のハイリスク型HPVの感染が明らかになりました。大変なショックと同時にパートナーに申し訳ない思いで悩んでいます。私が感染しているHPVも数年後にはなくなるのでしょうか? そんなご相談でした。
(この事実を多くの皆さんに知ってほしいということで、この記事に関しては掲載のご承諾を頂いています。)

軽度異形成は多分こんな細胞です

写真はアイラボで軽度異形成(LSIL)と診断した別のケースです。

【余談】細胞診はあくまで推定診断で確定診断ではありません。

一般に細胞診と言われる検査は、細胞診断学と言いますが、細胞検査士がスクリーニング(標本を顕微鏡でくまなく観察して問題がある細胞を拾い上げ)し、その後細胞診専門医が「軽度異形成が推定されます」といった具合に「推定診断」します。担当医はさらに必要があれば、組織(病巣の一部組織を切り取って)検査を実施しますが、それは「病理診断」と言って確定診断になります。
このことはとても重要なことで、細胞診専門医が関与する検査ですが、あくまで「推定診断」です。
今回ご相談された方のパートナーさんがこの組織検査をされていれば「軽度上皮内病変CIN 1」と診断されます。

このCIN 1 は、病理学的には“軽度異形成でHPV感染感染”ということになります。
つまり、パートナーさんは“HPVに感染している状態”です。
淋菌やクラミジアに感染したのと同じように「感染症の段階」です。
淋菌やクラミジアは治療しないと完治できませんが、なぜHPVは(免疫力で)90%が自然にいなくなるのでしょうか?
不思議ですね。

相談された方は10年前に(ゴムなしで)風俗を利用されたとの事、その時からずっと3種類のハイリスク型HPVに感染していたのでしょうか?もちろん断定することは困難ですが、5年前からお付き合いをしているパートナーさんに感染させたということになると、かなり長い期間排除されずに持続感染していた可能性もあるし、感染させた後はピンポン感染を繰り返していた可能性も考えられます。とても難しい問題ですね。

HPVはサイレントな感染症なので分かった時のショックも大きい!

ご相談頂いた男性のショックはとても大きいと思います。
自分の過去の行為でこんなことになろうとは思ってもいなかったことと思います。
そんなこともあって、このブログでの照会に快く同意して頂きました。
風俗を利用される方は、“性病”に関しては少なからず不安を感じていると思います。
淋菌やクラミジアの様に感染後1週間以内に症状が出る病気や、いま大きな社会問題になっている梅毒においても典型的な例においては症状が出ます。
しかし、ハイリスクHPV感染は全く症状が出ないのです。
今回の様に、かなり後になって「俺がうつしてしまった」ということになってしまうのです。

この男性は(風俗利用で)どんな危険にさらされたのか?

以前私達は新しい女性用採取器具の精度を確認するため、30名の風俗営業従事者と8名の婦人科クリニック従業員のボラティアの協力で自己採取による細胞診とHPVタイピング検査を実施したことがあります。
その時の結果が全てを代表するわけではありませんが、一つの例として紹介します。

30名の風俗従事者では23名(76.7%)がハイリスク型HPVが陽性で、細胞診検査ではNILMが18例60%、ASC-USが5名(16.7%)、LSILも5名(16.7%)、ASC-H及びHSILは共に1例で、LSIL以上は7例23.3%でした。アイラボの郵送検査で使用している自己採取法での子宮頸がん検診ではLSIL以上がおおむね2.0%程ですので、非従事者(一般人)に比べ風俗従事者ではHPV感染者は少なく見積もっても10倍以上となります。

サイレントな感染症はこうして一般の人達にも広く浸透しているのが現実なのです。

利用者はこの現実をしっかり理解すべきです。

自分の大切な人に(サイレントに)感染させ、そして(サイレントに)子宮頸がんの土台を提供しているのです。
子宮頸がんの原因を2人の間に持ち込まないためにはこの現実をしっかり理解して下さい。

今回は男性からのご相談でしたが、原因はそれだけではありません。
極端なことを言えば、性交経験がある人は男女問わずHPVの感染は避けられないのです。

だから、男女問わず“ワクチン接種”をまじめに考え子宮頸がん検診は必ず受ける必要があるのです。

HPVに感染している男女の場合、完全に防げるわけではありませんが、せめてコンドームの正しい装着は守りましょう。
一方の感染が明らかになったときは二人で一緒に感染しているHPVの型を調べておきましょう。

そして、HPVの自然消失の確認をされたい方は、お気軽にアイラボにご相談下さい

大切な人にHPVを感染させない!

男性のHPV検査が急速に伸びています。
その背景には、子宮頸がんとHPVの関係が広く一般に浸透してきたことが考えられます。
私達がHPVに関する研究を開始したのは40年も前のことですが、当時学会で子宮頸がんの原因となるHPVは性交で感染するので、HPV感染は性感染症(性病)であると発言すると、座長の先生からは「子宮頸がんの原因が性感染症であるとの発言は控えるよう」注意された記憶があります。多分その理由は、HPVは多くの女性が感染している感染症で、淋病や梅毒などの性病とは異なるとの認識があったようです。また当時から子宮頸がん検診の受診率が低かったこともあり、子宮頸がんと性病を切り離したかった意図もうかがえました。
しかし私は、HPVは性交で感染するのは事実なので、事実を国民に知らせることの方が子宮頸がんの撲滅につながると考えていました。

アイラボを立ち上げ、郵送検査サービスやHPでの病気の紹介を通して真実を知らせることで、検診の大切さ伝えたいと考えました。そして20年が経過し、今は大切な人にHPVを感染させたくないという男性が増えてきました。今になって男がやさしくなったのではありません。子宮頸がんの原因(真実)が広く社会に伝えられるようになったからです。
「検診が大切!」「ワクチンが必要だ!」そんな議論とは別に「感染を予防するためには?」という議論が巻き起こることを楽しみにしています。

HPVなんかに感染したくない!

写真左(上)は弱拡大ですが、中央付近に核の大きな細胞が見られます。
写真右(下)はその拡大像です。この細胞を見て私達はHSIL(高度異型扁平上皮)の中の中等度異形成かな?、、、と思いますが、結果としてHSILと「診断」はせず、ASC-H(中等度異形成)の「存在も否定できない」と推定診断しました。
これまで沢山のHPV感染細胞を紹介してきましたが、チョットHPV感染の特徴は出ていません。
HPVに感染した細胞の最も特徴的な所見は、核の周りが白く抜けるコイロサイトーシスですが、最も危険なHPV16型にはこの所見が現れません。そんなことも考えれば、16型の感染かな?、、、と思わせます。

少し本題からそれてしまいましたが、男性の場合この写真のような細胞診による感染の有無を調べるのは著しく感度が落ちてしまうので適切な検査法ではありません。感染細胞が少ないため、PCR法など検出感度の高い方法でも検出できないことがあります。そこでアイラボでは、杏林大学保健学部大河戸先生の協力を得て、高感度多種HPV検出法uniplex E6/E7PCR法を採用し、郵送検査におけるHPVタイピング検査に用いています。
今、アイラボのキットの中で、皆さんに最も多くご利用いただいているのはHPVタイピング検査(ハイリスク)+コンジローマですが、男性からのご依頼が圧倒的に多くなっています。このようなキットは他のサイトでも購入できると思いますが、検出精度がその理由かと思います。
なぜ男性の方からの注文が多いのでしょうか? 
それにはいくつかの理由が考えられますが、その一つはHPVが性行為でうつることが一般に周知されてきたことがあげられます。
アイラボの無料相談でも、「風俗を利用したので」や「以前利用したことがあるので」が最も多く、次いで「不特定の人と行為があったから」があげられます。また、最近付き合い始めた彼女から、「アイラボのキットで調べるように言われた」が続きます。
一方、女性の場合は、単に「子宮頸がんが心配だから」が圧倒的に多く、次いで「知らない人との行為があった」や「以前風俗を利用したことがある人との行為があったから」が多いようです。

子宮頸がんの予防には子宮頸がん検診(細胞診)を定期的に受けることやHPVワクチンの接種が一般的ですが、HPVワクチンの接種が進まない日本においては、HPVの感染があるかどうかも郵送検査で容易に調べることができるようになりました。そして今回紹介しました様に、あらかじめHPVの感染をチェックしてからのお付き合い開始というように、多くの選択肢が準備されていますので、自分に合った子宮頸がん予防策を選べるようになりました。
癌の中には発見された時は既に手遅れのものもありますが、子宮頸がんは手遅れになる前にいくつもの選択肢があります。子宮頸がんこそ、セルフメディケーション「自身の責任で自分の体を守ることができる病」であることを認識してください。アイラボは細胞診と遺伝子検査が得意なラボですので、お気軽にご利用ください。