これが典型的細菌性腟症だが、このケースも!

細菌性腟症は病気?
私達(アイラボ)は、細菌性腟症は病気というより腟内正常細菌叢(Normal bacterial flora:腟内に生息する微生物群で、その代表格が乳酸菌です。その他にも腟ガルドネラ菌など、いくつかの菌がある一定のバランスで住み着いている状態)が何らかの影響でバランスを失い、善玉菌といわれる乳酸菌が減少し、悪玉菌といわれる腟ガルドネラ菌が増えてしまう状態と考えています。その原因は様々ですが、善玉菌が失われる行為(例えば抗生物質による治療や過度な性行為)、または善玉菌が増え難い環境(乳腺菌の餌となるグリコーゲンの減少:更年期になると腟の粘膜は萎縮し本来グリコーゲンをたくさん保有する細胞が少なくなったり消失する)が考えられます。
このケースは、薄緑色に染まる中層細胞(大きな薄っぺらな細胞)が主体ですが、中央やや左の細胞には灰色に染まる細かな細菌(腟ガルドネラ菌)が群がっています。この細胞はClue cell(クルーセル)よいって、細菌性腟症に見られる特徴的な細胞です。細胞以外の部位にも腟ガルドネラ菌が沢山見られます。乳酸菌は全く見られないこの状況が、典型的な細菌性腟症の腟内です。白血球は5‐6個見られますが、腟炎を起こしている状況ではありません。腟炎を伴わないことも細菌性腟症の特徴なのです。
この現象を私的にみると、「何らかの原因で乳酸菌がいなくなったので、代りに俺(腟ガルドネラ菌)が腟内を守ってやるよ」と言っているようにも見えます。淋菌の様な本物の悪玉菌の感染なら、白血球が大量に出動して戦うのにその気配は全くありません。「数は少ないけどいつも住み着いている奴(腟ガルドネラ菌)だから攻撃の対象ジャーねーよ」って言ってんのか?」はたまた、「乳酸菌の代わりに(腟ガルドネラ菌が)腟内を守ってくれているのだから攻撃なんてもってのほかだよ。」と言っているのか?
細菌性腟症は本当に分かりにくい!!!

でも、はっきり言えることは「嫌な臭いの原因はお前のせいだ!」って事は確かだ!
お前のせいで、ご主人(患者)様は大変な思いをしているんだぞ!
同じ検体から作製した標本を単染色という方法で染めると腟ガルドネラ菌はこのように見えます。
前のケースに比べると腟ガルドネラ菌は少ない。
しかも、Clue cellもないし、白血球もほとんどない。
写真を撮影した部位は最も腟ガルドネラ菌が多いところです。
きれいな、きれいな腟内! 最高!って言いたい。

でもこのご主人(患者)も異臭が気になって検査を受けたのです。
腟ガルドネラ菌の絶対数は少なく、一見最高の腟内のように見えました。
しかし2つのケースに共通した点は「乳酸菌が見当たらない!という事です。
また同じ検体から作製した標本に単染色を施してみると。
乳酸菌は全くいない。
前のケースに比べれば劇的に少ないけど、腟ガルドネラ菌だけが生息している状況でした。
ちなみに、同じ倍率で乳酸菌をみてみようか?
乳酸菌の仲間は大きいでしょう。

今回何を言いたいかといえば、

clue cellがあろうがなかろうが、腟内に乳酸菌がいなくなり、
腟ガルドネラ菌が支配している環境は多くの場合臭いが気になる人が多いのです。

でもね、嫌な臭いは細菌性腟症だけではありません。
嫌な臭いやオリモノで悩む人はたくさんいます(私達の調査では91%)。
大事になる前に先ずはアイラボのFemバランスチェックで調べてください。
その結果を見て、次を考えましょう。

第6報 細菌性腟症の治療について
日本性感染症学会 性感染症 診断・治療ガイドラインを拝見

Ⅱ治療 をみてみましょう。

細菌性腟症の治療には、局所療法(腟錠)と内服療法(経口)があり、前者が主役だそうです。
【第一選択】メトロニダゾール(フラジール)腟錠、1回250㎎、1日1回、7~10日間 または経口1回500㎎,1日2回、7日間
【第2選択】クロラムフェニコール、腟錠、1回100㎎、1日1回、7日間

注記
①薬剤の治療効果を高めるため、治療初期には、滅菌蒸留水または生理食塩水で腟内を洗浄してもよい。腟帯下が多量であったり臭気が強い場合は、0.025%塩化ベンザルコーニウム液、10%ポピドンヨード液を用いて洗浄する。
腟洗浄は、治療初期には投薬する薬剤の効果を高めるために重要であるが、診察時毎回の洗浄は、腟内のLactobacillus 属の数の低下をきたすため必要ではないとしています。
②妊娠中の細菌性腟症は、流産・早産と関係することが明らかになっているので、WHOの基準を満たした症例では、腟錠を用いて積極的に治療する。
③高齢の女性に頻度の高い細菌性腟炎の治療は、細菌性腟症に準じて施行されることも多いが、エストリオール腟錠の仕様や内服治療が行われることが多い。また、更年期症状の強い症例などでは、ホルモン補充療法や東洋医学療法(漢方治療)が併用されることもある。
Ⅲ治癒判定
治療(局所、内服)後、自他覚所見(腟内容の各種性状検査、グラム染色鏡検)を観察し、効果を判定するが、不完全な治療を避けるため、必ず1クール後の検査が必要である。
Ⅳパートナーの追跡
細菌性腟症は、性的パートナーの多い女性がかかりやすいとの報告があるとはいえ、性感染症(STI)とは決めつけられない。通常、患者の性的パートナーの治療をしても患者の臨床経過に影響を与えないことから、再発防止のためにパートナーの治療をすることや、その追跡をすることは勧められない。
◎付記
タイトルに表現したように細菌性腟症には、STIというよりsex associated diseacesであると考えられ、性的パートナーが多いほど罹患率が高く、子宮内避妊具(IUD)の使用で優位にリスクが高まると言われている。所見は多彩で、かつ全般に(症状は)マイルドであるが、膣トリコモナス症、膣カンジダ症が否定されても、なお頑固な帯下を訴えるものには先ず細菌性腟症の検査を行うことを進めたい。※(症状は)は筆者が追加しました。
このように解説されています。

診断・治療ガイドラインを紹介した訳は?
メトロニダゾール耐性菌のことが記されていないからです

今朝はここまでにします。愛犬雄と高尾山
愛犬雄と高尾山を散歩、家から歩いて1時間
耐性菌のこと気になっているので少し勉強してみます。
続きはまた後で、

Eさんの経験をもう一回おさらいしてみましょう

8月6日以降、アイラボで検査を受けて頂いたEさんが、Drrシイナのブログを見て頂いている皆さんのためになるのであればということで、これまで5回の記事に協力して頂きました。
今回、10月17日から開催されたFem+(フェムプラス)で私とお友達になって頂いた皆様にも見て頂ける準備ができましたので、改めて経緯をお知らせします。

第1回(8/6投稿)婦人科で治療後におりものや臭いが気になるようになった。
第2回(8/29投稿)細菌性腟症と診断された1ヶ月後はどうなった?
第3報(10/14投稿)細菌性腟症の治療に挑戦、思いがけないハプニングが
第4報(10/15投稿)Eさん見て!見て!、10/4日の検体だよ!
第5報(11/13投稿)次の生理後はどうなっているだろう?

このような経緯を見ると、メトロニダゾール(フラジール)による治療が効いていないのではないか?、、、と思われるのです。

これから腟ガルドネラ菌の耐性について調べてまた報告しますね。

今回初めて見て頂いた皆さん。
ビッグサイトでお友達になって頂きありがとうございました。
これからも宜しくお願い致します。

第5報 次の生理後はどうなっているのだろう?

フラジールで2週間治療後、グラム陽性桿菌による膀胱炎を発症、
膀胱炎治療後腟内環境はここまで改善されました。
後2日で生理が始まる、、、予定。
この画像からも理解できるように、腟ガルドネラ菌はまだ残っています(死菌かも知れないが)。
やっとここまで回復した乳酸菌。どうか増えてきてくれ!祈る思い。
生理後の乳酸菌はどうなっているのか?
楽しみにしていてください。

今日から大阪に出張です。
セルソフトの開発に携わった、大成化工株式会社白石社長、吉田興産社長吉田社長に会ってきます。
帰ってから報告しますね。

10月17日より生理が始まり、21日の状況は

生理が終わった直後の細胞診標本です。
白血球がやや多く見られます。
生理直後ですので、それほどの違和感はありませんが、中央の細胞が心配です。
やはり、細菌性腟症に特有なClue cell (クルーセル)です。
細胞診標本では明らかな乳酸菌は見られません(正常でもこの時期はほとんど見られません)。
グラム染色標本を観察しても、中央にClue cell、そして標本全面に腟ガルドネラ菌が出現してります。
拡大を上げてみると、
腟ガルドネラ菌に加え、モビルンカスも若干見られ、細菌性腟症の所見を示しています。

やはり、(このブログの最初の画像でも分かるように)治療後も乳酸菌に混じり、
小型で赤く染まる腟ガルドネラ菌が存在していましたので、今回の結果も致し方ないのかも知れません。
フラジールの腟座薬2週間、同時に1週間の経口投与にも拘らず、腟ガルドネラ菌が存在することは耐性を獲得している可能性も考えなければならないのだろうか?

10月29日よりフラジール腟座薬1週間開始(排卵の頃)

腟座薬開始直後から症状はあまり良くないとの情報が届いていました。
また前回の様なグラム陽性桿菌が悪さをしているのか?
それとも別の菌が原因なのか?
そんなことを考えていると、いつも脳裏をかすめる “あいつ”がいます。
日本のお医者さんは「雑菌だよ!」とあまり取り合ってもらえませんが、欧米のお医者さんは泌尿生殖器の感染症で比較的重要視している微生物。
マイコプラズマやウレアプラズマ、、、???
私は以前から「こいつらは表に出てこないで裏で悪さしているのではないか」と疑っているやつらなんです。
ですから、強い腟炎が見られるケースで通常の感染症(淋菌、クラミジア、カンジダ、トリコモナスなど)が陰性の場合、アイラボのマイコプラズマチェックを進める場合があります。
比較的陽性のことが多いのです。

11月5日検体採取

症状はかなり良くない状況とのことですが、検体が送られてきました。
写真の様に、フラジール治療後とのことですが、白血球が多く腟炎の状況でした。
標本背景には細菌と思われる青く染まる物質が多く、かなり汚い状況です。
治療終了直後なのに、信じがたい膣炎の状況です。
しかしグラム染色をみると、乳酸菌(毎視野5個程度)が見られ、腟ガルドネラ菌も写真の様に若干認めます。前回もそうでしたが、腟ガルドネラ菌を完全に死滅させられていないのか?耐性を獲得しているのか? (この件については早速製薬会社に情報収集をお願いしました。)
これから生理まで約1週間、もっと乳酸菌が増えることを祈るだけです。
ひどい膣炎の原因はこれか?(菌交代現象)によるカンジダ腟炎を起こしていたのです。
フラジールを投与していたので想定内の状況ですが、カンジダが増えられる環境にある事が確認できたことは個人的には嬉しかった。なぜなら、カンジダが増えられるだけのグリコ-ゲン(糖分=栄養源)が存在することを意味しているからです。
カンジダの増殖や症状が強くならなければよいのですが、、、と心配もありますが、このような胞子が現状では比較的少ないことが救いです。

その後、症状は徐々に改善し、オリモノや臭いは気にならないと、連絡があり

しかし、心配の種を確認するため、Eさんに了解を頂き、マイコプラズマの検査をさせて頂く事にしました。

New!! Femバランスチェック
 腟内フローラチェックがグレードアップ

「腟内フローラチェック」がグレードアップした最新版になります。

オリモノやオリモノの嫌なにおいが気になったことはありませんか?
膣内フローラが乱れているサインかもしれませんよ。

腟内の大事な常在菌である乳酸菌は守護神的な菌です。この乳酸菌は生理周期の中でも排卵後から生理直前の頃、つまりプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌が盛んな時に腟粘膜の上皮細胞が蓄えるグリコーゲンという糖分を分解して増え、(乳)酸を作り、腟内を酸性に保つ大事な働きがあります。
生理直後から排卵まではエストロゲンというホルモンで腟粘膜の上皮は強くしなやかな張りのある保護上皮がしっかり守るため、乳酸菌は少なくても大丈夫。そのため、年齢や生理周期に一致して女性ホルモンが作用しているのかどうかもチェックすることも大事なのです。
乳酸菌がストレスや膣洗浄、抗生物質の乱用などの何らかの要因で増えられない状況になってしまうとガルドネラ菌が増えて 嫌な臭いやおりものが増えたり(細菌性膣症)、痒みやオカラ状のオリモノがでる膣カンジダになることがあるのです。そこに白血球まで増えてしまったら(炎症)さらに増強!!

だからこそ、膣内フローラとホルモンバランスを含めてチェックしてあげることが大事です。そのため、今回は好評だった「腟内フローラチェック」をグレードアップさせちゃいました。
今どんな状態かチェックしたい方にもおすすめの検査キットです。

Femバランスチェック

検査結果で顕微鏡でみる腟内フローラの世界が見れるかも!?

この記事は椎名先生に代わり
ネット担当スタッフが更新してお届けしました。
ヾ(@⌒ー⌒@)ノヾ

第4報 Eさん 見て! 見て! 10/4の検体だよ!

毎朝、私がベッドから去るとまとっていたタオルケットを丸め、
散歩に行くよと言うまでこうしています。
私のぬくもりがいいのかな?
寝起きのせいか、ちょっとブス
臭いがいいのかな?
そういってくれるのは雄(ゆう)君だけ
本当はこんな美男子
小さな子供たちにも“可愛い”って言ってもらえるんですよ

10/4に採取したグラム染色標本です

青く染まる長い菌は紛れもない乳酸菌です。
Eさんの検体で初めての乳酸菌
嬉しい!の一言
明らかな乳酸菌の他に、あの膀胱炎を起こした青く染まる短い菌(桿菌)や赤く染まる小さな菌(腟ガルドネラ菌)もいます。でも、
乳酸菌頑張って!この中で一番強くなってね!そんな思いで、Eさんにこの画像を送信しました。

Eさんからは
ありがとうございます!
乳酸菌嬉しいです!!

そして、10/11日に採取した検体が届きました。

喜びから1週間後です。
乳酸菌の割合が増えています。
腟ガルドネラ菌やグラム陽性桿菌の割合はさらに低くなっています。
これから生理を迎える様です。
乳酸菌頑張れよ!
祈る気持ちです。

私達アイラボのモットーはBe with you (あなたと一緒)です。
雄はこうして2時間余り待っていました。
それでは散歩に行ってきます。

第3報 細菌性腟症の治療に挑戦、思いがけないハプニングが

第1回(8月6日:婦人科で治療後にオリモノや臭いが気になるようになった)、第2回(8月29日:細菌性腟症と診断された1ヶ月後はどうなった?)の記事で紹介した女性(Eさん)がフラジールによる治療に挑戦した記録を報告します。

先ずは初回の写真をもう一度見ておきましょう

月経の出血が終わった時期(7日目)に採取した画像です。
標本の背景はきれいですが、写真中央に細菌性腟症に特徴的なClue cell(クルーセル)が見られます。
月経中も腟ガルドネラ菌はしっかり生きていたことが分かります。乳酸菌の姿はほとんど見ることはできません(元来、排卵の頃まで乳酸菌はあまり見られません)。

生理直前の状態を見てみると 驚き!でした

前回(月経直後)に比べ、白血球が多く若干腟炎を伴っているように見えます。
Eさんもこの写真を見て大変驚かれた様子でした。

少し話は飛びますが、Eさんが「アイラボさんの商品の中にオシャレな貴女のパスポートというキットがありますが、どんな思いで名付けたのですか?」と質問されたことがありました。
「顔のお手入れや素敵な洋服を身に着けるのと同じように、デリケートゾーンのおしゃれ(健康)にも気を使ってくださいね。」という思いでそのキットを作ったことを話すと、Eさん「それって素敵ですね。私も何とかデリケートゾーンの健康を取り戻したいので治療に挑戦します。」
ということで、生理が終わった時点で婦人科を受診しました。

治療にはフラジール腟座薬が処方されたようですが?

5日分のフラジール腟座薬を処方して頂きました。
2週間ぐらいは良くなった気はしましたがすぐに戻ってしまいました。
(細菌性腟症の治療を行っている婦人科医に治療効果について尋ねてみると、「治療しても一時的には良くなるが、パートナーとの性交渉を始めると元に戻ってしまう。」という回答を頂いていました。「今回もそうか?」と、少し落ち込みましたが、細菌性腟症は性感染症ではないとの認識を持っていましたので、この点についてもいずれ解明する必要があると改めて感じました。

そこで今度はEさんの知り合いの医師に相談し、以下の様にしっかりした治療スケジュールを作成し、同医師より処方していただく事にしました。

【治療の予定】
9/2~1週間目、フラジール腟座薬・飲み薬
9/9~2週間目、フラジール腟座薬
9/15終了
9/19自己採取検査
9/21生理スタート
パートナーには飲み薬を飲んで頂く予定です。


実際は、経口薬は9/3~9/10、腟座薬は9/3~9/17投与しました。
腟座薬を1回挿入だけでオリモノはほとんどなくなり、臭いも感じません。おりものの性状は腟座薬のカスが残っている感じで白いものが出てきます。
予定より生理が4・5日早く来てしまい検査できなかったので、9/26日に検体を採取してアイラボに送りました。

9/26日採取の検体を見てびっくり

治療が終わったばかりというのに、この白血球の多さは何?どうなってんの?
細菌性腟症を疑う所見はないけど、何やら小さな桿菌がいる(写真にすると見にくいですね)
この菌が炎症の原因か?
グラム染色でもう少し詳しく見ると、グラム陽性桿菌がたくさん!
乳酸菌とは大きさが全く異なるので一目瞭然(おかしい)

9/29日 Eさんから一枚の画像 おしっこが真っ赤に!

9/26日に検体を採取してアイラボに送りましたが、この日から残尿感を感じおかしいと思っていましたがそのまま放置していたら9/29に血尿になりました。病院に行ったところ膀胱炎と診断され、ホスミシン(ホスホマイシン)を処方された。おりものは少し増え、においも感じるようになり、状態はあまりよくありませんが、本日10/4日検体を送ります。

さてその結果はどうなんでしょうか?
今日はここまでにします。

細菌性腟症と診断された1ヵ月後はどうなった?

8月6日の記事で紹介した「婦人科で治療後におりものと臭いが気になるようになった」方からの情報が届きました。
前回は生理が終わって間もなく採取しましたが、今回は生理の直前に採取して頂けました。
生理後は腟内を血液で洗い流した後ですので、乳酸菌は少ない可能性があるので今回は乳酸菌が最も多くなる生理直前に検査して頂きました。
それでは早速前回と比較してみましょう。

先ずは前回の写真をもう一度見てみましょう

先ずは、弱拡大で全体を見てみましょう。
標本背景に白血球の増加(腟炎)はなく、一見とてもきれいな腟内の様に思います。
しかし、赤の矢印の先には細胞の上に腟ガルドネラ菌が群がるクルーセルが見られます。

生理直前の細胞像で治療はしていません。

前回に比べ、白血球が多くなり、若干腟炎の様相を示しています。
また、クルーセルは見られますが、前回ほど腟ガルドネラ菌の群がり方が弱いようです。

拡大を上げた前回の写真です。

赤の太い矢印の先には紫色に染まる腟ガルドネラ菌が細胞にびっちり群がっています。
菌にとっての栄養源(グリコーゲン)の豊富な細胞に集まっているのでしょうか?
赤の細い矢印の先の様に細胞の周りにも腟ガルドネラ菌の集まりが見られます。
黄色の矢印の先にあるのが白血球ですが、典型的な細菌性腟症では増えません。

拡大を上げた今回の写真です。

一見して前回の生理直後に比べ、白血球が多くなり、腟ガルドネラ菌がクルーセルに集簇するだけでなく前面に広がっている感じに見られます。2枚とも細菌性腟症が疑われる所見に違いはありませんが、細胞像的にはかなり異なっています。白血球が増えていることも要因の一つかもしれませんが、今回の月経前採取例は黄体ホルモン優位な時期なのでホルモン環境の違いによる可能性も考えられます。

これは前回の単染色による腟ガルドネラ菌です

細胞の中に無数の菌が存在し、クルーセルの形態をとっています。

これは今回の単染色の所見です

この写真でも、クルーセルの形態を採るものより、標本全面に腟ガルドネラ菌が散らばっている様子が分かります。細胞融解によって栄養源(糖分)が膣全体に分散されたことによる変化なのでしょうか?

提供者はこれから細菌性腟症と対峙するようです

https://ja.thpanorama.com/articles/biologa/gardnerella-vaginalis-caractersticas-morfologa-ciclo-de-vida-contagio.html

細菌性腟症の原因についてネットで検索すると極めてたくさん出てきますが、今回情報を提供してくれた方は子宮頸部高度異形成のレーザー蒸散術後に症状が現れたとのことですので、抗生物質投与による正常細菌叢の乱れがそのまま継続している可能性が考えられます。また最近の電話相談でも、クラミジアの治療後にこれまで経験したことがないおりものの異常と異臭に悩まされている方がいます。

細菌性腟症の主な原因菌は腟ガルドネラ菌Gardnerella vaginalis です。この菌は腟内フローラの一員でもありますが、乳酸菌に対しては“ビルレント(敵対的)になることができて”増殖を抑制し、自らが腟内を支配することができることがあるようです。
健康な膣内は、乳酸菌の増殖により腟内の酸度はpH3.5程の強い酸性域にあるため、他の細菌が増殖できない環境を維持しています(膣の自浄作用)が、腟ガルドネラ菌等の嫌気性菌に支配されると腟内酸度が低下し、典型的な症状として灰白色のオリモノの増加と異臭(プトレシンやカダベリンの生成)を伴うようになります。※プトレシンはアミンの一種で腐肉の臭い成分で死臭の一因とも言われています。
そのような異臭の程度は様々で、ほとんど気にならない方から、電車で隣の席にいても分かるくらいまでさまざまです。時にはパートナーに不快感を与えてしまう事もありますので、ひどくなってしまったら治療の対象になるようです。

私自身はこれまで性行為で感染するものではないと考えていますが、私の友人の婦人科医は性感染症の位置づけで、治療しても夫婦間交渉ですぐ再発しまうといいます。

従って、治療に際しては、単にフラジールの1週間投与だけでなく、性感染症も考慮して生活環境も踏まえた入念な対策が必要かも知れません。

婦人科で治療後におりものや臭いが気になるようになった

高度扁平上皮内病変(high-grade squamous intraepithelial lesion:HSIL)で円錐切除術レーザー蒸散術で治療した患者さんがその後の細胞診検査で、細菌性腟症が疑われるケースをよく経験します。2年程前に、私の友人もCIN3で子宮頸部レーザー蒸散術を受けました。その後今まで経験したことがない程のオリモノが増え、臭いも気になるとのことで、自己採取(セルソフト)法により細胞診検査とHPV検査を受けました。
幸いなことに異型細胞は観察されず、ハイリスク型HPVも検出されませんでした。
しかし、その時の細胞像を見てみましょう。

典型的な細菌性腟症を疑う所見です

先ずは、弱拡大で全体を見てみましょう。
標本背景に白血球の増加(腟炎)はなく、一見とてもきれいな腟内の様に思います。
しかし、赤の矢印の先には細胞の上に腟ガルドネラ菌が群がるクルーセルが見られます。
拡大を上げた写真です。
赤の太い矢印の先には紫色に染まる腟ガルドネラ菌が細胞にびっちり群がっています。
菌にとっての栄養源(グリコーゲン)の豊富な細胞に集まっているのでしょうか?
赤の細い矢印の先の様に細胞の周りにも腟ガルドネラ菌の集まりが見られます。
黄色の矢印の先にあるのが白血球ですが、典型的な細菌性腟症では増えません。
これはグラム染色で腟ガルドネラ菌を染めた写真です。
緑の矢印で示した先には、赤く染まる腟ガルドネラ菌が塊で見られます。
これもグラム染色で染めた腟ガルドネラ菌で、1000倍に拡大した写真です。
本来はグラム陰性(赤く染まる)菌ですが、このように赤みが弱かったり、
青っぽく染まることもあります。
こちらは単染色という方法で染めた標本ですが、
細胞の中に無数の菌が存在し、クルーセルの形態をとっています。
スマホでの撮影ですので、見難くてすみません。

いろいろな染色を紹介しましたが、最初の2枚の写真の様に子宮頸がん検診に使われるパパニコロウ標本でもきれいに観察できますね。

同じ症状で悩む人のために友人が情報も寄せてくれました

そのまま紹介します。
【術前】
・元々おりものは生理の前後にありましたが、おりものシートを付けたことはありません。
・おりものが出て気になったのは月に数回のイメージで気にも留めていませんでした。
2021年9月21日手術(以前伺った話によりますと、高度異形成と診断され、子宮頸部レーザー蒸散術を受けたと聞いています。)

【術後】
1ヶ月間は出血が続きました。もともと生理の時の出血は多い方ですが、出血が多い日が続く感じで貧血気味になりました
・術後特に意識はしていなかったのですが、(今思うと)人生初めておりものシートを購入し、ここ2年はおりものシートが手放せなくなっています。生活のリズムやスタイルは特に変化はありませんし、どちらかというと術前の方がストレスフルな生活をしていたり、パートナーとの性交渉も多かったにもかかわらず、おりものの症状は今ほど気にならなかったので、治療により腟内の環境が変わったのかな?、、、と思います
・オリモノの性状は術前は白っぽかった気がしますが臭いは特に気にするほどではありません。現在は水っぽい感じで量が多く、臭いも気になります。卵スープみたいにうっすら色がついていました

おりものの変化を感じても後廻しにしていませんか?

おりものは健康な人にも見られるものです。
教科書的には、「排卵の頃、無色透明で、臭いもない」おりものが出ることは正常であり、排卵の目印にもなるようです。
白く濁ったり(カンジダ)、黄色味を帯びたり(腟炎がある時)、褐色調(古い出血)に見えたりすることもありますので、
日頃から自身の健康を管理する上で観察する習慣を身につけることも大切かも知れません。

おりものの性状については他の人と比較することもできませんので、「いつもと違う」「なんとなく変」と思ったらそのままにしないで検査だけでもしておきましょう。

私の推奨
◆性感染症(性病)の心配もある。
「おりもの&臭いの検査」
◆オーラルセックスも同時にあった。
「腟と咽頭のSTDチェック」
◆性感染症(性病)の心配はないけどおりものが気になる
「腟内フローラチェック」

乳酸菌は大量の抗生物質の使用で死滅し、復活できていないのか?

はじめに述べましたように、婦人科の先生から依頼される細胞診検査の中には、円錐切除術やレーザー蒸散術後のフォローアップ検査(異常な細胞が消滅しているか?再発していないか?を定期的にチェックすること)の中に今回紹介した細菌性腟症を疑うケースが少なくありません。アイラボではその事実を先生方に報告しますが、検査会社の中には細菌性腟症が疑われてもそのことを報告しない施設も多いようです。
せっかく婦人科を受診しているのですから、女性のそんな悩みにも目を向けていただけたらと思いますが、現実は決してそうではないようです。
病院を受診しても先生には何も言われなかったので、自分の今の症状は異常ではないと思い込んでいる人も少なくありません(無料電話相談より)。
この友達はレーザー蒸散術を受けましたが、医師は術後に異型細胞があるかどうか? 再発は大丈夫か?という点に力点を置いていますが、生活の質の回復にも同じような配慮があって欲しいものです。

この友人は自身で生活の質の向上にチャレンジするようですが、その歩みについても報告頂けるようです。
同様の悩みを抱える皆さんはお気軽にアイラボの無料相談をご利用ください

嫌な臭いが心配で郵送検査を受けた

最近においが気になるので郵送の検査を受けた
ケースの話。
性器の臭いは様々です。
自分の臭いが異常なのかどうなのかもわからない人が多いようです。
昔、日本臨床細胞学会で細菌性腟症に関する発表をしましたが、座長の先生から「細菌性腟症はどんな臭いですか?」との質問を受けました。
「私は医者ではないので、臭いについては分かりません。」と答えると、座長の先生は、「診察の時、最もきついニオイは進行した癌ですが、診察の時チョット臭いが気になる人がいますが、それなのかな?」と言っていました。
私が細菌性腟症の研究を始めたきっかけは、ある婦人科の女医さんが子宮頸がん検診の依頼書に(臭い⊕)と書かれていましたが、その数があまりにも多いので先生に問い合わせると、「気になる臭いがあるのでそう書いています。父(婦人科医)が「診察の時に気づいたことがあればメモをしておきなさい」と言うので、いつもそうしていますが、何か困ることがありますか?」という答えが返ってきました。
実はこの女医さん、細菌性腟症という言葉は知っていましたが、先生が(臭い⊕)と書かれた人が細菌性腟症による臭いとは理解されていなかったようです。
このことからも分かるように、細菌性腟症はちょっと気になる臭いなんです。
医学的には「魚臭帯下(魚の生臭さ)」と表現されますが、女の子の間ではイカ臭いと表現されることが多いようです。
この依頼者も、イカ臭いと表現していました。
早速細胞像を見てみましょう。
このように弱拡大で観察しても一目瞭然細菌性腟症が疑われる所見です。
でも待てよ!写真中央にちょっと目立つ大きな細胞があります。
これも細胞検査士が見れば一目瞭然ヘルペス感染細胞かな?
拡大を上げてみました。
大きな細胞の中に複数の核が見えます。
典型的なヘルペス感染細胞です。
しかも核の中をよく見ると、赤っぽく染まる丸い大きな物が見えますが、これは好酸性核内封入体と言います。
これは初感染(初めてヘルペスに感染)では見られない現象で、再発を意味します。
つまり、現在ヘルペスの症状はないが、腟内で再発しているという事なのです。
やはり細胞診はすごいね

他の部位にも同じような細胞が見られます。
こちらも拡大を上げてみました。
核がたくさんある細胞のように見えますが、
実は別々の細胞が寄り集まって一つの細胞のように見えるのです。
ヘルペスに感染した細胞は細胞融合を起こすため、
各々の核が重なることなしに寄り集まっているように見えるのです。

腟内のヘルペスは症状が出ないので発症に気付かない!

ヘルペスが外陰部に初めて発症した時は、
激痛のため歩行困難になることもあります。
しかし、再発を繰り返すたびに症状は軽くなります。また、腟内に発症した場合、今回の様に痛いといった症状は出ませんので、
発症していることに気が付かないため、
この時期の性交渉は大変危険です。

といった具合で、
細胞診って色々なことが分かるから、誰でも
気軽にチャレンジできる郵送検査
を利用してくださいね。

腟活サプリメント!! 
 WOMANs VALUE AWARD 最優秀賞 受賞

この度、一般社団法人日本ウーマンズバリュートレーニング協会が主催する
「WOMAN's VALUE AWARD~Femtech~」にて、アイラボとコラボしているFemCiaさんの
サプリメントと検査キットが下記の賞をダブル受賞いたしました!!

【サステナブル部門】   最優秀賞『CareLact』
【エンパワーメント部門】 優秀賞 『膣内フローラ検査キット』
 
腟活サプリメントとして毎日の健康のサポートにお役立ていただければ幸いです。
フェムシアの膣内フローラサプリ、”Care Lact サプリメント”とは?
とても不思議に思うかもしれませんが、Care Lact(ケアラクト)は乳酸菌(GR-1、RC-14)で膣の調子を整えることが出来ます。消費者庁の機能性表示食品としての届出をしている商品で、効果や安全性のエビデンスが揃っています。
いくらお手入れしてもケアしきれない理由は膣内環境にありました。膣内には善玉菌と悪玉菌が存在しています。善玉菌とは、ラクトバチルス属の乳酸菌のことで、その乳酸菌の働きで腟内が常に「酸性」に保たれるようになっています。しかし、膣の不調の原因は乳酸菌の減少で悪玉菌が増え、膣内の「酸度が低下」してしまうからです。
酸性に保たれた膣内は、雑菌の侵入や繁殖を防ぎ、健康な状態を維持しますが、疲れやストレス、抗生物質の服用、性行為、膣洗浄などの影響で善玉菌が減ってしまうと自浄作用が機能しなくなってしまい、様々な膣トラブルの原因となります。
ケアラクトは、2種の生きた乳酸菌が約10億個配合されており、これにより膣内環境を整えます。
お薬ではないので即効性はありませんが、乳酸菌で膣内フローラを整えることで不調に強い環境を備えます。副作用がなく、体に優しいサプリメントで長期的にケアすることをオススメします。

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