陰部に痒みがあり腟内フローラチェックを受けた

病的な原因で陰部に痒みを訴えるのは。
1)カンジダ症、2)トリコモナス症や他の感染症でも、
炎症(白血球が増えている)を伴う場合、かゆみを訴えることがあります。
実はそれだけではありません。
細菌性腟症や、HPVの感染初期にも訴える人がいます。
さて、今回は陰部のかゆみを訴えた人の原因を紹介します。
早速顕微鏡をみてみましょう。
腟内フローラの検査(Femバランスチェック)の標本は、
少し濃い目に染色しています。
若干白血球(ゴマのように見える小さな細胞)が増えているようですが、
病的=腟炎というところまで行っていません。

拡大を上げてみてみましょう。
中央やや左側に紫色に染まる雲の様な構造を認めます。
これはおそらく菌の塊ではないかと思います。
細菌性腟症の典型的な例は、細胞の上に腟ガルドネラ菌が群がる現象(クルーセル)を認めます。
しかし、このケースはクルーセルは見えません。
アイラボではBV-1に分類しています。
典型的な細菌性腟症より軽度なのか?予備軍的状況なのか?
と思っていますが、BV-1のケースも乳酸菌は見られませんので、
Nugent Scoreはクルーセルが存在するケースと変わりません。
従って、私達はこの写真で細菌性腟症を疑います。

念のため、他の染色でも確かめてみましょう。
単染色という方法で染めた写真です。
腟ガルドネラ菌のみで乳酸菌らしき大型の菌はほとんど見えません。

細菌性腟症でもときに痒みを訴える方がいます。

ということで、症状だけで診断しようとすると、カンジダ症と誤ってしまう事があります。
面倒でも、細菌性腟症の検査も取り入れて頂く事お勧めします。