HSILの中等度異形成とは

前にも述べましたように現在の子宮頸がん細胞診の診断基準はベセスダシステムを採用しています。詳しいことは別の機会にしますが、子宮頸部扁平上皮内病変に関してはNILM(上皮内病変ではない)、ASC-US(意義不明な異型扁平上皮細胞)、LSIL(軽度異型扁平上皮内病変=軽度異形成)、ASC-H(HSILを除外できない異型扁平上皮細胞)、HSIL(高度扁平上皮内病変=中等度異形成、高度異形成、上皮内癌が含まれます)に分類されています。

中等度異形成はHSILに含まれます。LSIL(軽度異形成)はHPVに感染している状態ですが、中等度異形成は単にHPVが感染しているだけでなく、その細胞の中にHPVの遺伝子が組み込まれた状態であり、がんの方向に向かう準備ができた状態と言った方が分かりやすいかも知れません。しかし、全てが高度異形成や上皮内癌に進むわけでなく、中等度異形成が消失することもあります。その辺を定期的に調べて、もし高度異形成や上皮内癌に進めば円錐切除術が行われます。

中等度異形成が発見されたら組織検査が必須!

細胞診はあくまで推定診断です。上のケースは中等度異形成、下は高度異形成と推定した症例です。
比較的わかりやすいケースを提示したつもりですが、両者がもっと接近した顔つきをしていることも多く、細胞診で明確に分けることができないことが少なくなくありません。
細胞診で中等度異形成と診断しても、高度異形成が存在したり、逆に細胞診で高度異形成と推定しても中等度異形成であることもあります。また時には上皮内癌の成分も含まれることもあります。
従って、最終的には組織検査で確定することが重要になってきます。
子宮頸がん検診でHSILと診断されたケースで、その後婦人科を受診せず、精密検査(組織検査)を受けず、3年が経過した後に細胞診検査を受けて進行したがんが発見されたケースがあります。
せっかく検診でHSILが発見されたのですから、その時点で精密検査を受けていれば、(少なくても)がんが進行する前に(病巣だけを切除する)円錐切除が適用されたと思います。進行してしまうと子宮全摘手術だけでなく、抗がん剤や放射線療法といった厳しい治療になってしまいます。
怖い!、面倒!、、、なんて言っていられません。あなた自身の体は貴女しか守れません。セルフメディケーション! 病院を受診して下さい!

医師の内診では問題ない! と言うが?

子宮頸がん検診は、子宮頸がんと関係のあるHPV感染に伴う種々の変化を細胞の顔つきを見て「現在の状況」をNILM、ASC-US、LSIL、ASC-H、HSIL、などに分類して報告するものです。すでに何度もこれらの意義を説明していますが、相変わらず無料相談でも「ASC-USってどういう事ですか?」といった質問が多いので簡単に説明します。
子宮頸がん検診はがんと関係がある状態を見つけるものです。
NILMは、「とりあえず、癌に関係のある所見は見られない」との理解でよいと思います。
ASC-USは、本来意義不明な異型細胞という意味ですが、その中に「ハイリスク型HPVの感染があるかも知れない」ものも含まれています。従って、ASC-USと診断された時は「HPV検査を受けることになっています。
LSILは、細胞診検査でHPV感染が明らかな場合で、単にHPVが感染している(感染症の)状態です。クラミジアや淋菌に感染しているのと同じなのです。通常「軽度異形成」と診断されます。
ASC-Hは、HSILの存在が否定できない時に使われます。
HSILは高度異型扁平上皮内病変という意味で、ここには中等度異形成、高度異形成、上皮内癌が入ります。
LSIL がHPVの感染症であったのに対して中等度異形成は感染症から腫瘍化の方向に向かい始めた状態です。定期的に細胞診検査と組織検査を行い、さらにその上の高度異形成や上皮内癌に進む場合は、病巣だけを取り除く円錐切除術が行われます。
今回紹介するケースは、先生が細胞を採取するときの内診で「特に目立った所見はない」という意味で“np”=no ploblemと記載されたと思われます。
果たして本当に“np”なのでしょうか?
早速顕微鏡を見てみましょう。

やっぱり内診だけでは分からないか?

確かに、子宮頸がん検診のためのベセスダ分類では「NILM」です。その意味からはno ploblem でよいのですが、
白血球の量から推測するとおりものは黄色で腟炎を伴っていると思われます。また、細菌性腟症も疑われますので、臭いも気になっているのではないかと推察されます。

顕微鏡の世界から見て初めて分かること。
先生がno ploblemと書かれたことは誤りではないのですが、顕微鏡で100倍、400倍で観察した“状況”も知らせてあげられたら? いいんだけどな?
アイラボでは、このようなケースについては、「白血球が増加し腟炎が疑われます。おりものや臭いが気になる場合は今回採取された検体でおりもの検査の追加が可能です。希望される場合は二次元コードよりお申し込み下さい。なお、分からないことがありましたらお電話でご相談下さい。」このような対応をとっています。
多くの方が追加検査を利用されています。しかし、残念なことに、多くの検診機関は、トリコモナスとカンジダの有無は報告しても、追加検査などの対応を取っていないのが現状で、むしろ「余計な記載を認めない」ところが多いのではないでしょうか?
多分対応ができないからでしょうね。
とってももったいない気がします。
そんな現状を知っておきましょう。「おりものや臭いが気になるから今年は子宮頸がん検診を受けよう。」、、、そんな方も少なくないと思います。せめて、「オリモノや臭いが心配なら、一度婦人科を受診しましょう。」位の対応があってほしいと思いますが、多分無理でしょう。
そんな時はセルフメディケーション、病院の受診か郵送検査の利用も考えてみましょう。

患者は診断できているのに!

嬉しいことなのか?そうでないのか?
良くわかりませんが、私としては「皆さん、細菌性腟症のこと、分かってくれてありがとう」、、、そんな感じかな?
灰色っぽいおりもの、臭いが気になる、、、そんなお嬢さんが、性病の検査を受けようと思い婦人科を受診しました。すると先生はクラミジア、淋菌、そして梅毒の検査をしてくれました。しかし私は細菌性腟症やカンジダの検査もしていただきたかったので、その旨を先生にお願いしました。すると先生は「自分で勝手に判断しないでください」と言われたようです。でも自分は早く原因をはっきりさせて早く治したかったので、アイラボの「細菌性腟症検査キット」を注文されました。

私達は淋菌、クラミジア、梅毒の結果はわかりませんが、少なくてもこのお嬢さんは「細菌性腟症ではないか?」と思っていたのだと思います。

ピンポーン

左(上)の写真は弱拡大ですが、特に白血球が増えているわけでもありません。
従って、おりものはそれほど“黄色くない”と思います。つまり腟炎は起こしているとは思えません。
しかし、拡大写真ではっきりするように、腟内には乳酸菌はほとんど見られず、クルーセルが見られ、細菌性腟症が疑われる状態です。患者さんは自身の症状から「細菌性腟症かな?」と考えていたからこの検査のみを選ばれたと思います。まさしく「ピンポーン」でした。
私が目指す、セルフメディケーションはまさに(自分の健康は自分で守る)=そのものです。
この患者さんは果たして私達がお送りした検査結果をこのクリニックに持って行くのでしょうか?
不安になりましたが、推移を見守ることにいたしました。
結果はいずれになるのでしょうか?
以前「細菌性腟症の事例」で紹介させて頂いたケースは、先生がカンジダの薬を処方してくれましたが、自分では「細菌性腟症を疑っていたので」処方された薬を飲まず、アイラボのおりもの検査をした結果「細菌性腟症」が明らかになりました。その患者さんは結果を主治医の先生に見せたところ、快くフラジールを処方してくれました。
今回のケースはどんなことになるのでしょうか?

快く細菌性腟症の治療をして頂けることを祈っています。
ご自分の症状から細菌性腟症を診断して頂けました。良かったですね。まさしく自分の健康は自身で守るセルフメディケーションですね。是非この輪を広げましょう。

私の健康法第二弾(朝の日課)

私の健康法第一弾では愛犬雄(甲斐犬)との散歩をご紹介しました。
私のセルフメディケーションの基本は健康な体の維持で、病気にならない体づくりです。
第二弾では起床して会社に出かけるまでの朝の日課を紹介します。
おおむね、4時から5時の間に起床します。
今は暗いですが、カーテンを開け、コンピューターのスイッチを入れ、浴室の暖房をON、そして41℃のお湯張りから一日が始まります。おおむね10分ほどで浴室の温度は18度程になり、浴槽のお湯も胸の辺まで溜まりますので、その間検査キットの依頼状況をチェックします。
そして入浴、最初にすることは60℃のお湯でタオルを温め、ポリエチレン製の袋(スパーで肉や魚などを入れる小袋)に入れて約5分程目を温めます。これは眼科の先生の指導によるもので、ドライアイを予防するための日課です。次は誤嚥を予防するためにのどの筋肉を鍛える運動です。大きく口を開け、大きな声で「あ、い、う、え、お」をそれぞれ15回づつやります。朝早い時間なので、近所の迷惑にならないよう先ほど使用した温かいタオルで軽く口元を覆ってやります。次は演歌を5・6曲歌います。これも基本的にはのどの筋肉を鍛えることが目的ですが、朝から歌うって気分がいいもんですよ。少し疲れていたり、気が乗らない日でも1曲歌い終えるともういい気分になります。ボケ防止の目的で、1番、2番、3番の順番ではなく、今日は3番1番といった具合に順番を変えてもスムースに歌詞が出るかチェックしています。これが終わる頃は気分が爽快になります。
そして髭をそり、歯磨きをして入浴タイムが完了です。おおむねここらで40分は経過します。
次の日課がストレッチと筋トレです。まだ近所の電気はついていません。
詳細は省きますが、足腰と腹筋、首肩回りのストレッチが主体で、おおむね30分程を費やします。
この頃になると、愛犬の雄が私のジムに上がってきます。
そろそろ散歩に行く時間を察知するようです。
そして散歩はおおむね3キロ1時間ほどになります。
散歩から帰ると、雄の足を洗い、体の手入れにおおむね20分がかかります。
その後は今日1日分の野菜の収穫、そして朝食の頃には8時を回っていることが多いです。

だから朝の散歩は爽快!

愛犬雄は9歳になりますが、もう八丈島には7回ほど一緒です。
このようにゲージに入れられる前はご機嫌なんですが、ゲージに入れられてからは2時間ほど我慢です。
可哀そうですが、船では一緒に行けないため仕方ありません。

さすが八丈島でしょ、堤防でもこんなシマアジが釣れるのは魅力です。
荒磯は豪快そのもの、もう40年以上通っています。お刺身もちゃんと自分で作れるようになりました。
さあ、話を本題に戻しましょう。
前にも述べなしたように、“自分の健康は自分で守る”の基本は、心身ともに健康でいられるよう日々の努力から始めるべきと思います。

誤嚥性肺炎は死亡原因の第6位です。(1位 癌、2位 心疾患、3位 老衰、4位 脳血管疾患 5位 肺炎)
誤嚥性肺炎の原因は、誤嚥(ごえん)により、食べ物や唾液が気管に入ってしまう事です。私の恩師はこの病気で亡くなってしまいました。私自身も70歳を過ぎた頃から週に一度くらい誤嚥を起こすようになり、切実な思いで「あいうえお」運動を始めました。
私の場合効果は比較的早く現れ、開始から1ヵ月以後は一度も誤嚥を起こしていません。カラオケ愛好家の方に誤嚥が少ないと聞きましたので、毎朝この2つを取り入れています。誤嚥の経験がある方は老若男女にかかわらず是非試してください。

ボケ防止のために、歌詞の順番を変えたりしていますが、それに関してはどれほどの効果があるのか特に期待しているわけでありません。朝の忙しい時間帯ですので、1番から3番までのんびり歌っている時間がないこともあります。ただ、歌うことで気分が良くなることは予期せぬ産物です。

ドライアイについては、数年前から気になるようになりました。顕微鏡を見たり、コンピュータに向かう時間が多かったり、スマホも結構よく見ますので、ドライアイになるべくしてなった感があります。“ためしてガッテン”で一度取り上げられましたが、あまりに目がしょぼしょぼして痛みも現れたので眼科を受診しました。その際、5分間の蒸しタオル療法を勧められてから毎日欠かさずやっています。これも目の痛みが和らいでいますので、効果があるようです。

入浴時の歯磨きですが、前夜就寝前に研いてその後食事はしていませんが、朝食前に研くことで歯垢形成が抑えられると聞いたことがあるので実践しています。

朝のストレッチですが、寒い時期になってきましたので、夕方の入浴前にする方向で検討しています。
毎週月曜日はゴルフコースに出て、火、木、土は練習場に行っていますが、多少の筋力アップと柔軟性を維持するために続けています。
健康寿命を少しでも長くしたい、病気やケガを少しでも予防したい。これも私のセルフメディケーション!

大切な人にHPVを感染させない!

男性のHPV検査が急速に伸びています。
その背景には、子宮頸がんとHPVの関係が広く一般に浸透してきたことが考えられます。
私達がHPVに関する研究を開始したのは40年も前のことですが、当時学会で子宮頸がんの原因となるHPVは性交で感染するので、HPV感染は性感染症(性病)であると発言すると、座長の先生からは「子宮頸がんの原因が性感染症であるとの発言は控えるよう」注意された記憶があります。多分その理由は、HPVは多くの女性が感染している感染症で、淋病や梅毒などの性病とは異なるとの認識があったようです。また当時から子宮頸がん検診の受診率が低かったこともあり、子宮頸がんと性病を切り離したかった意図もうかがえました。
しかし私は、HPVは性交で感染するのは事実なので、事実を国民に知らせることの方が子宮頸がんの撲滅につながると考えていました。

アイラボを立ち上げ、郵送検査サービスやHPでの病気の紹介を通して真実を知らせることで、検診の大切さ伝えたいと考えました。そして20年が経過し、今は大切な人にHPVを感染させたくないという男性が増えてきました。今になって男がやさしくなったのではありません。子宮頸がんの原因(真実)が広く社会に伝えられるようになったからです。
「検診が大切!」「ワクチンが必要だ!」そんな議論とは別に「感染を予防するためには?」という議論が巻き起こることを楽しみにしています。

HPVなんかに感染したくない!

写真左(上)は弱拡大ですが、中央付近に核の大きな細胞が見られます。
写真右(下)はその拡大像です。この細胞を見て私達はHSIL(高度異型扁平上皮)の中の中等度異形成かな?、、、と思いますが、結果としてHSILと「診断」はせず、ASC-H(中等度異形成)の「存在も否定できない」と推定診断しました。
これまで沢山のHPV感染細胞を紹介してきましたが、チョットHPV感染の特徴は出ていません。
HPVに感染した細胞の最も特徴的な所見は、核の周りが白く抜けるコイロサイトーシスですが、最も危険なHPV16型にはこの所見が現れません。そんなことも考えれば、16型の感染かな?、、、と思わせます。

少し本題からそれてしまいましたが、男性の場合この写真のような細胞診による感染の有無を調べるのは著しく感度が落ちてしまうので適切な検査法ではありません。感染細胞が少ないため、PCR法など検出感度の高い方法でも検出できないことがあります。そこでアイラボでは、杏林大学保健学部大河戸先生の協力を得て、高感度多種HPV検出法uniplex E6/E7PCR法を採用し、郵送検査におけるHPVタイピング検査に用いています。
今、アイラボのキットの中で、皆さんに最も多くご利用いただいているのはHPVタイピング検査(ハイリスク)+コンジローマですが、男性からのご依頼が圧倒的に多くなっています。このようなキットは他のサイトでも購入できると思いますが、検出精度がその理由かと思います。
なぜ男性の方からの注文が多いのでしょうか? 
それにはいくつかの理由が考えられますが、その一つはHPVが性行為でうつることが一般に周知されてきたことがあげられます。
アイラボの無料相談でも、「風俗を利用したので」や「以前利用したことがあるので」が最も多く、次いで「不特定の人と行為があったから」があげられます。また、最近付き合い始めた彼女から、「アイラボのキットで調べるように言われた」が続きます。
一方、女性の場合は、単に「子宮頸がんが心配だから」が圧倒的に多く、次いで「知らない人との行為があった」や「以前風俗を利用したことがある人との行為があったから」が多いようです。

子宮頸がんの予防には子宮頸がん検診(細胞診)を定期的に受けることやHPVワクチンの接種が一般的ですが、HPVワクチンの接種が進まない日本においては、HPVの感染があるかどうかも郵送検査で容易に調べることができるようになりました。そして今回紹介しました様に、あらかじめHPVの感染をチェックしてからのお付き合い開始というように、多くの選択肢が準備されていますので、自分に合った子宮頸がん予防策を選べるようになりました。
癌の中には発見された時は既に手遅れのものもありますが、子宮頸がんは手遅れになる前にいくつもの選択肢があります。子宮頸がんこそ、セルフメディケーション「自身の責任で自分の体を守ることができる病」であることを認識してください。アイラボは細胞診と遺伝子検査が得意なラボですので、お気軽にご利用ください。

ASC-USってどういうことですか?

アイラボの無料相談に、「エイエスシーユーエス(ASC-US)について教えて頂きたい」という相談がありました。
受診したクリニックの先生が、細胞診の結果が出て「エイエスシーユーエス」でしたと言われました。
その意味が分からなかったのでその先生に質問したところ、「ASC-US以上でもなく、ASC-US以下でもない」という回答でした。
少し怖い感じでしたので、それ以上は質問せず、自宅に帰りこの相談窓口が見つけ、相談させて頂きました。

それって何?
憤慨する思いでしたが、この相談窓口には信じられないほど、医療の現場を危惧する相談が多いのです。

忙しいのか? 面倒なのか? 説明ができないのか?
いずれにせよ、受診者への対応が困難な時は、私達の相談窓口を是非ご利用ください。
私達の無料相談窓口のスタッフは、医師ではありませんが、臨床検査技師、細胞検査士、日本性感染症学会認定士の資格を有しています。

ASCとは異型扁平上皮細胞(atypical squamous cells)と言う意味で、ASCにはASC-USとASC-Hに分けられています。前者のASC-USは意義不明な異型細胞と定義されていますが、実際にはHPV感染に伴う変化、つまり軽度扁平上皮内病変(LSIL)の存在が否定できない(軽度異形成があるかもしれない)が含まれます。それに対してASC-Hは(中等度異形成、高度異形成及び上皮内癌)のような前がん病変(HSIL)の存在を否定できない位置付けになっています。
従って、ASC-USには、“意義不明な”とあるようにその由来がはっきりしないものから、HPV感染が否定できないものまで種々の細胞が含まれます。かなり幅広の基準になっていますので子宮頸がん検診の場合このASCは5%以内に収めることになっています。
そして最も大切な点は、ASC-USと診断された場合、子宮頸がんの原因となるハイリスク型HPVの感染者を拾い上げる目的でHPV検査を追加することになっています。

ASC-US(アスカス)とした細胞はこんな感じ

私達がASC-USと診断した一例です。
このケースは正常の細胞に比べ、核が大きくなっている点で正常とは異なりますので、NILMと診断するには抵抗があります。また、LSIL(軽度異型扁平上皮内病変=軽度異形成=HPV感染が明らか)と診断するには核の濃さ(専門的には核のクロマチン量)が乏しいため踏み込んでLSILと診断することも難しいのです。従って「はっきり言えない」という位置付けなんです。ですから医師が「ASC-US以上でも以下でもない」ということは誤ってはいないのですが、患者さんの質問の答えにはなっていないし、優しさがないのです。
私は相談者にこう答えました。
「(かなり心配していたので)ASC-USはあまりはっきりしたことが言えないチョット異型のある細胞が出たということですので、今の段階では子宮頸がんを心配するようなことは全くありません。ただ、ASC-USの細胞が出ていたという時には子宮頸がんの原因になるHPVというウイルスの感染があるかも知れませんので、世界的にHPV検査を追加して調べることになっています。もちろん保険の適用になります。結果は次に来院するときまでには分かります。(必要があれば)もし陽性になったとしてもその90%は自然にいなくなりますが、10%程が感染し続けるのて、それを定期的に調べていくことになります。今は全く心配いりません。

たった1分で済む話です。
ASC-USという結果が出たら、先ずはHPV検査で感染の有無を調べましょう。
もし陽性であった場合は定期的にチェックしましょう。せっかく検診でASC-USという異常が指摘されたのですから、セルフメディケーション!主治医の指示に従って追跡検査を受けましょう。もし疑問が残る場合はそのままにせず、セルフメディケーション!アイラボの無料相談をご利用ください。

HPV検査が陰性なのに なぜHSIL?

“クリニックからの問い合わせ内容”
「今回アイラボさんにお願いした細胞診結果は“HSILで中等度から高度異形成が推定されます。”という結果が来ましたが、
1っカ月前に他のクリニックでHPV検査を受けていますが、「陰性」の結果を頂いている患者さんです。そんなことがあるのでしょうか?」

結論的に申し上げると、“あり得ます。”
受診者にとっても、検査を依頼したクリニックの先生にしても、「そんなことあるの?何かの間違いではないのか?」と思われるのも当然かと思います。

HPV検査には、多くの国で2つの方法が採用されていますが、感度が低いことで検出できないことや、13種のハイリスク型の中の一部が検出できないものなど、検査で全て検出できるわけではありません。

従って、信頼度は100%ではなく95%程度と評価されています。

婦人科の先生が疑問に思ったケースはこんな感じ!

細胞診でHSILの診断に否定的なご意見を持たれる方は少ないと思います。
実は、このような問い合わせを頂いたのは過去にも数件ありましたので、それらを含め、当社の研究部門のお手伝いを頂いている杏林大学保健学部の大河戸光章先生が開発した「高感度多種HPV検出法 Uniplex E6/E7 PCR」を用い、39種HPVの型分析を行いました。

その結果、検索した7例からハイリスク型として分類されていない82型(中間群)が検出されました。
その後も当社では3例の同様のケースを確認しています。

私達はこのような経験から、HPV単独での検診には危険が伴うため、細胞診とHPV検査の併用を推奨しています。
子宮頸がん検診は医師採取が基本であり、自己採取法は検査機関により異型細胞の検出精度が大きく異なるため、推奨されていません。当社では、医師採取による子宮頸がん検診が苦手な人を対象に加藤式器具による自己採取法を提供していますが、この方法においても細胞診単独検査より、HPV検査を同時に行う併用検査「最新の子宮頸がん検査」を推奨しています。
どの検査もそれだけで100%安心できるものはありません。今回紹介したようなケースは決して多くはありませんが、“HPV検査が陰性だから安心!”とは言えないこともあることを知っておきましょう。

1ヵ月のご無沙汰、私の健康法第一弾

この時期、子宮頸がん検診は最後の追い込みに入っています。
そのため、75歳の高齢(自身ではそう思っていません)にとっては、コンピュータの置かれている机の前に座る時間がなかなか取れません。というよりも、その椅子に座る元気が低下しているのかも知れません。そこで、マカ・亜鉛・牡蠣・スッポンなどが入ったサプリを購入・摂取! 大したもんですね。おかげでコンピュータに向かうことが出来ました。このような商品は「精力剤」的な印象が強く、購入にも少し抵抗がありましたが、挑戦して正解でした。HPの見直しと、ブログを書いていきますね。

私の健康法第一弾「愛犬雄(甲斐犬)との散歩」

私自身のセルフメディケーションについてはおいおい紹介させて頂きますが、ここでは私の健康にお手伝いしてくれる愛犬の“雄(ゆう)甲斐犬”を紹介します。

私は東京都八王子市元八王子町に住んでいます。朝の散歩は自宅前を流れる「城山川」の上流沿いの遊歩道~共立学園周辺~月夜峰(とても風情ある名前)から自宅に帰る約3キロ(約一時間)が日課です。甲斐犬は甲斐の国(山梨県)の山岳地帯が生まれ故郷ですので、足腰が極めて頑強なのが特徴です。特に後ろ足はガリ股の様にガシガシと歩くため、爪は一度も切ったことはありません。
写真上左(1枚目)精悍な顔をしていますが、とてもやさしいです。甲斐犬の特徴は飼い主に対する忠誠心が強く、他の人にはそっけないと言われていますが、雄は可愛がってくれる人なら誰でも仲良しです。
写真上右(2枚目)甲斐犬のもう一つの特徴がジャンプ力です。雄もご多分に漏れず、1m位の塀は簡単に飛び越えられます。
写真中左(3枚目)しっかりした後ろ足でしょう。ガシガシ歩く姿はガリ股風ですが、見慣れてくると可愛いいです。
写真(中右)城山川沿いの遊歩道です。今は紅葉でとてもきれいです。

こんな雄君はもちろん天然記念物です。本当は雄の可愛い2世がが欲しいのですが?

時には家から歩いて高尾山系の山々にも出かけます(写真下左)。
八丈島の磯にも必ず一緒です。(写真下右)
ペットを飼うことにはとても重い責任があります。
愛犬にとって幸せな犬生であって欲しいし、「どうせ犬を飼うのなら、自分自身悔いの残らない愛犬の飼い主でありたい」と思っています。
私のセルフメディケーションの第一は健康な体作りです。

おりものが心配で郵送の検査を受けました

このブログでも紹介していますが、子宮頸がん検診はこれまで細胞診検査で行われてきましたが、細胞診検査の検査精度が徐々に下がってきているため(75%程?)、HPV検査がファーストスクリーニング検査として“推奨”されるようになってきました(検査精度95%と言われています)。
日本で子宮頸がん検診が軌道に乗ってきた頃、野田紀一郎先生は、子宮頸がん検診(細胞診検査)を受ければ子宮頸がんは100%救えると言われていました。私自身その言葉に共感し、子宮頸がん検診の受診率向上こそが子宮頸がん撲滅のキーポイントであると考えていました。なぜなら、その頃の子宮頸がん検診の受診率は25%ほどで先進国の中で最も低い状態でした。当時(2009年頃)厚生労働大臣であった舛添氏は、5年間で受診率を50%まで引き上げると豪語していましたが、いまだに達成されていません。
その間、細胞診検査の中身もかなり変わってきた気がします。採取法も綿棒からブラシ系へと変わり、自動標本作製装置の普及に伴い、細胞診の検査精度が上がったのかと思いきや、国際的にみても70%~80%と考えられています。
個人的には、ブラシ系採取器具の普及に伴い、強引に細胞を採取するため、細胞診そのものが難しくなっている印象はあります。「細胞診はどこに出しても同じだよ」といわれた先生がいましたが、私達は「ここにお願すれば安心」といわれる検査所を目指しています。
前置きが長くなりましたが、今回のケースを見ていきましょう。

自己採取はダメ!、、、と言うが?

今年春の子宮頸がん検診で“異常なし”という方が、おりものが気になってアイラボの“婦人科トータルセルフチェック”のキットを購入されました。このキットは、Drシイナラボ(アイラボ)を立ち上げた時一番最初に世に送り出した郵送検査キットです。加藤式採取器具で自己採取した検体をポストに入れるだけで「子宮頸がん細胞診検査、淋菌、クラミジア、トリコモナス、カンジダ、細菌性腟症、膣炎」の7項目を検査するものです。細胞検査士ありかた委員会を立ち上げ、細胞検査士を教育していた私が「自己採取による子宮頸がん検診はダメ!」という風潮の中で、“子宮頸がん細胞診検査” 単独で世の中に出す勇気はありませんでした。そこで最初は“婦人科トータルセルフチェックの中の一項目”としたわけです。
もちろん現在は「子宮頸がん細胞診検査」キットとして提供しています。
こんな葛藤の中で生まれた(婦人科トータルセルフチェック)キットです。
早速細胞を見てみましょう。

左上は弱拡大像です。検査を受けていただいた方が心配されていたように、白血球の増加が見られ若干腟炎を伴っているようです。そんな中に何やら核が大きくなった細胞が見られます。
標本を見ていくうちに、LSIL(=軽度異形成)相当の細胞を認める中に、下段に示すやや小型で核の占める割合が大きな細胞が多数見られました。中には角化(オレンジ色に染まる異型細胞)したものも見られます。全体的に核は迫力に乏しいため、ASC-H(HSILの存在も否定できない)と診断しました。
HPV感染に特有なKoilocytosisは見られませんが、核が溶けたような所見もありHPV感染は明らかと思います。更に、Koilocytosisが見られないとなると、16型、18型、52型の感染も考慮しておかなければ、、、
先ずは、婦人科トータルセルフチェックを受けて頂いた方には「早く見つかってよかったね」と言いたいです。今年春の子宮頸がん検診で異常はなかったので“おりもの&臭いの検査(婦人科トータルセルフチェックから子宮頸がん細胞診検査を除いたキット)”でよかったのではないかと思いますが、この方はあえて「婦人科トータルセルフチェック」を受けられました。正解でした。勿論、「おりもの&臭いの検査」を受けられたとしても、「子宮頸がん細胞診検査」の追加検査をお勧めしています。
子宮頸がん細胞診検査は勿論“医師採取”が基本であることに変わり有れませんが、開業以来20年が過ぎた私達の経験から、医師採取が「恥ずかしい、忙しい、面倒」という理由で検診を受けない方がかなり存在することが受診率が上がらない要因と考えています。検診機関の中にはそんな方のために「自己採取の方法もあります」と“小さな声で”伝えて頂ける施設もありますが、優しさですかね?
でも、HPV検査は自己採取でも精度的には全く問題はないと思われますので、今後の普及が待たれます。
セルフメディケーション!自分の健康は自分で守るの典型例です。どんな検査を受けても100%安心というわけではありません。自分の体のことは誰より自分がよくわかっているのです。
不安なことがあったら先ずは相談することから始めましょう。

HPVと膣ガルドネラ菌は仲良し?

私のブログの半分以上が細菌性腟症とHPV感染に関係したものですが、HPV感染が疑われるASC-USやLSILケースで細菌性腟症が合併していることがとても多いのです。そればかりでなく、円錐切除術(高度異形成や上皮内癌と診断された人の病巣部分を切除する手術)を行った人にも細菌性腟症のケースが多いのです。
ある婦人科の先生に円錐切除後の方に細菌性腟症が多いのはなぜですかと質問すると、“治療してもご主人(パートナー)からうつってしまうから”、、、、という回答でした。

私は、乳酸菌に代わって腟ガルドネラ菌が腟内を支配するようになると、乳酸菌が支配している時に比べ、HPVの増殖や感染が起こりやすくなるのではないかと考えたくなるぐらいです。

今回、またそれらしいケースに遭遇しました。
早速見てみましょう。

そうそうこんなケースですよ!

白血球の増加は比較的弱い標本背景ですが、細菌性腟症に特有なClue cell (クルーセル)が見られます。
また写真の中央には赤く染まるASC-US相当の異型細胞が見られます。
腟ガルドネラ菌とHPVが同居できるのだから、両者はとても相性がいいのかな?、、、なんて思ってしまいます。

また別の見方をすれば、腟内環境が乱れず、腟内が腟ガルドネラ菌に支配されない環境であれば、HPVの感染も起こりにくいのではないかと思ってしまうのです。つまり、腟内がたくさんの乳酸菌の仲間によって守られている環境であればHPVの感染も起こりにくいという論法にはならないだろうか?
いつもそんなことを考えながら仕事をしています。
もしそうだとしたら、腟内環境を常にチェックできれば子宮頸がん対策に貢献できるのでは?、、、何って思うぐらいです。いずれにしても腟内フローラである乳酸菌の仲間が腟内を支配していることの大切さがわかってきますね。

乳酸菌の仲間を守る方法は、規則正しい生活習慣の維持が最も重要かと思います。
そんなわけで、自身の腟内フローラチェックは、多くの感染症から自身を守ために、とても大切なのではないかと思います。