医師から「勝手に判断しないで!」と言われちゃった。

性交渉の後、いつも腟がイカ臭くなっておりものが増えます
おりものの色は灰色っぽくて、たまに痒みも出るためネットで調べたらどうやら“細菌性腟炎”らしいので婦人科を受診しました。
先生には「おりものの臭いが気になることを伝えたところ、クラミジア・淋菌・梅毒の3種類の検査をしてくれました。
しかし、自分が心配なのは細菌性腟炎なので、細菌性腟炎とカンジダ腟炎の検査をしてほしいとお願いしたところ、『勝手に判断しないで下さい。』と言われ、自分が希望した検査はして頂けませんでした。早く今の症状の原因を調べて治したかったので、アイラボのキットの中の「完治確認検査:細菌性腟症」を選んでキットを購入しました。

実はこの方のようなケースとっても多いのです。自己診断は如何に?

早速弱拡大で見てみましょう。
白血球はそれほど増えていませんので、腟炎の状態ではないようです。
ですから、この段階で“細菌性腟”については不正解ということになります。
ご覧の通り、一見腟内はきれいな状態に見えます。
弱拡大の中央付近を拡大してみました。
私のブロブを見て頂いている方は何を言いたいのかわかりますよね。
明らかな乳酸菌の仲間は全く見られず、(青っぽく染まる)細かな細菌(腟ガルドネラ菌)がたくさん見られます。
正解は“細菌性腟”です。

細菌性腟症と細菌性腟炎は違います

ネット上には細菌性腟症と細菌性腟炎を混同して使われている方が多いのです。
専門の先生方でも細菌性腟症を細菌性腟炎と表現される方は少なくありません。
細菌性腟症の多くは炎症(白血球の増加)は伴わないのです。
多分検査を依頼された方も誤った表現を見てしまったので、“細菌性腟炎”と言ってしまったと思いますが、イカ臭い(生臭い=魚臭帯下)症状や灰色っぽいおりものがあることから、(本当は)細菌性腟症と言いたかったのだと思います。
従って、この方は自分で検査をして『大正解』という結果になりました。

細菌性腟症は治療すべきか?

細菌性腟症の主たる細菌は腟ガルドネラ菌です。
いったいこの菌はどんな菌なのでしょうか?
少なくても私が知る限り、細菌性腟症の主役であることには間違いないと思います。
いや、見方を変えれば、本来腟内を守っている乳酸菌が主役なのに、その主役がどこかに逃げてしまったので、腟ガルドネラ菌が主役に抜擢されているのかも知れません。乳酸菌は言うまでもなく腟内の糖分(グリコーゲン)を栄養源として旺盛に増えますが、その過程で“酸”が作り出されます。“酸”とは、皆さんが良く知っているものではあのスッパイ“お酢”です。お寿司にはこのお酢を使います。お酢は酸度が高いため、菌を殺したり菌が増えるのを抑える働きがあるのです。つまり、乳酸菌は腟内で増えることにによって強い酸性の環境(Ph3.5程)を作り出すことで、肛門から入り込んで来る腸内細菌が増えることを防いでいるのです。これを腟の自浄作用と言います。
ところがこの主役(乳酸菌)がどこかに行ってしまうと、当然腟内の酸度は低下して中性(Ph7.0)の方向に進みます。
そんな時、腟ガルドネラ菌が増えてくるのですが、見方を変えれば(乳酸菌のやつどこへ行ったんだよと言いながら)乳酸菌の代わりに弱いながらも、酸を作るのです。でもその量は少ないため、腟内の酸度はPh4.5以上になってしまうのです。それでも何とか他の菌を増やさない環境を守っている状態が“細菌性腟症”なのではないかと思ってしまうのです。

でも困ることに、腟ガルドネラ菌が腟内を守っている(仮定)ときに嫌な臭い(魚臭帯下=魚の生臭いオリモノ)を発生してしまうのです。なので、アイラボでは、臭いやおりものが気になるようであれば治療を勧めますが、臭いが気にならないのであれば、腟炎の状態になってしまう前(細菌性腟症の内)に(乳酸菌を呼び戻し)正常の状態に戻す努力をするのが良いのではないかと思っています

腟ガルドネラ菌を殺し、乳酸菌を殺さない抗生物質はフラジール

細菌性腟症の状態であれば、フラジールが最適な治療薬です。
腟ガルドネラ菌を殺し、乳酸菌の仲間は殺さないとても都合の良い抗生物質なのです。
ところが、細菌性腟症の状態の時に、より強い抗生物質(クロマイ座薬)を投与してしまうと大切な乳酸菌まで殺してしまいますので、一時的にはきれいになるのですが、すぐに再発してしまう事が多いようです。
しかし、細菌性腟症の状態を過ぎて腟炎を伴ってしまった状態では、(やもうえず)最初に強いい抗生物質で全ての菌をたたいたうえでフラジールを追加することで、徐々に乳酸菌の仲間を増やせると考えられています。

どうしたら逃げてしまった乳酸菌を呼び戻せるか?

これは私達の専門外の話になってしまいますが、今色々な乳酸菌サプリが出回っています。
それらを試してみることも良いかも知れませんが、私達の経験では、少し時間がかかるかも知れません。
大切なことは規則正しい生活習慣を身に着ける事が一番かと思います。
乳酸菌が十分増えるまでは腟内を静かな状態にしてあげるのが良いのではないかと思います。
腟洗浄は大切な乳酸菌を洗い流してしまう行為ですので、婦人科の先生がされる以外はお勧めできません。
入浴時にお湯が腟内に入ってしまう方がいらっしゃるようですが、そのような状態の場合、毎日腟内洗浄しているのと同じですので、そんな時は、しばらくシャワーだけにするとか試してみましょう。

セルフメディケーション!自分の力で乳酸菌を取り戻しましょう

悩まれているのであれば、アイラボの無料相談(042-652-0750)をお気軽にご利用ください。
相談したからと言ってキットを購入する必要など全くありません。
私、シイナを(電話口に)呼んでください!

自分では臭いは気にならないが? QOLは大切!

50代女性の方からの電話相談を頂きました。
「自分では臭いやおりもの症状はないと思っていますが、肛門付近に小さなイボのようなものがあり少し気になります。女性にとってはいくつになってもQOLを大切にしたいと考えています。子宮頸がん検診は市の検診を定期的に受けていますが、今まで特に問題はありません。アイラボの“婦人科トータルセルフチェック”“HPV検査”を受けたいと思いますが、このキットでよいでしょうか?」というご相談でした。

アイラボの回答は「子宮頸がん検診を定期的に受けているとのことですので、子宮頸がん関連のキットは必要ないと思います。従って、“おりもの&臭いの検査”または“腟内フローラチェック”を選んでいただければ良いと思います。また、肛門付近のいぼ状のものについては“コンジローマ検査”が良いと思います」とお答えしました。

すると、「でも子宮頸がんについても調べておきたい」とのことでしたので、“婦人科トータルセルフチェック”“HPVタイピング検査(ハイリスク13種+コンジローマ”を選んで頂いて、肛門付近のいぼ状の所からも綿棒で採取して頂くようお願いしました。

その結果を見ると

写真の様に、腟内は白血球が若干増加(腟炎)し、乳酸菌がほとんど見られず、腟ガルドネラ菌が腟内を支配している状況で、その他の検査結果には異常は見られませんでした。

従って、結果のご報告は、『弱い腟炎を伴う細菌性腟症が疑われます。』といった内容でご報告させて頂きました。その後、検査を受けられた方から白血球の増加はどうして起こるのかといったお問い合わせがありましたので以下のように説明しました。
「白血球の増加は、生体の防御反応のひとつで、その多くは通常腟内に存在しない微生物の侵入によることが多いと思います。一般的には淋菌やクラミジア、トリコモナスやカンジダなどの感染症があると白血球が増えます。しかし今回の検査では、そのような感染症は見られませんし、細菌性腟症のみで白血球が増えることはあまりありません。従って、今回のケースではその理由は明らかにできません。ただアイラボでは、他の検査で全く異常が見られまいケースで、強い炎症が見られる場合はマイコプラズマやウレアプラズマの追加検査をお勧めする場合があります。しかし今回はそれほど強い炎症像ではなかったため、あえてその旨の記載はしませんでした。」

結果的にこの方は“マイコプラズマチェック”を追加で受けられました。

その結果は、マイコプラズマ パルバムが陽性

マイコプラズマやウレアプラズマ感染症については、欧米と日本でその対応が大きく異なるようです。
その大きな違いは、欧米では「感染症として対応する」のに対し、わが国では「そんなもの雑菌だ!」程度に考えているお医者さんが多いようです。私達が「マイコプラズマチェック」のキットを提供し始めた10年前には陽性の結果が出た場合でも適切な治療が受けられないケースもあり、遠方の医療機関をご紹介することもありましたが、最近ではそのようなケースはなくなりました。

「黄色いおりものがあるのに検査では異常なし」その裏に潜むもの

私達が日常の業務としている婦人科細胞診(子宮頸がん検診で行われている顕微鏡で異常な細胞があるかどうかを調べる検査)では、子宮頸がんに関係する異常所見がなくても“白血球が増えている(=腟炎がある)ケース”は決して少なくありません。しかし、検査時の医師の内診所見では、極めて高度の炎症以外は“NP(no problem)”とされることが多いのが現状と思われます。
私達は「過剰検査になってはいけない」し「このまま見過ごしてよいのだろうか?」とても迷うことが多かったのですが、最近は比較的強い腟炎を伴っているケース(おりものが黄色)で、淋菌・クラミジア・カンジダ・トリコモナス等の感染症が見られないケースに限って“マイコプラズマチェック”をお勧めすることにしています。

アイラボは“セルフメディケーション!自分の健康は自分で守る”を応援します

結果的に、今回ご紹介したケースの方は、ご自身はいくつになってもQOLを大切にしたいという思いがあり、最後までお付き合い頂きました。私たち検査キットを提供させて頂く側にとっても、“胸のつかえが取り除けた思い”です。
アイラボは、“セルフメディケーション! 自分の健康は自分で守る” を応援しています。

オリモノが以前から多く、時々出血もある

以前から黄色や白いおりものが多く、時々痒みや不正出血もある30代の方から“腟内フローラチェック”を依頼されました。

依頼された方の情報からは「黄色いおりものが多い」という点では腟炎を起こしている状況かな?と推測します。また、痒みもあるということですので“トリコモナスやカンジダ症”があるのかな? と推測します。
そして時々「出血もある」ということですが、腟炎も強ければ出血を伴ってもおかしくないのかな?
そんな思いで検査を始めました。

この方の弱拡大画像です。
やはり白血球が若干増えて、軽い腟炎を伴い、全体的に汚く見えます。
さて、腟炎の原因は何なんでしょう?
拡大を上げてみましょう。
まず目の前に飛び込んできたのは、写真中央付近にややピンク調の楕円形を示す物質です。
これはまさしくカンジダの胞子です。

従って、黄色いオリモノのが増えているる(カンジダ症でも腟炎を伴なわない時は白っぽいおりものです)ことや時々痒みがあるという自身の症状に合致した所見で“カンジダ症に伴う腟炎”が考えられます。その影響もあって、腟内に乳酸菌は減少し、腟ガルドネラ菌や複数の細菌(雑菌)が見られます。
従って、腟内フローラの状態から見れば『乱れている』という結果になります。

このままにしておいてはいけませんね

おりものの異常は、様々な原因で起こります。
今回は“腟内フローラチェック”の依頼を頂きましたが、この検査の中には“カンジダ症”と“細菌性腟症”が入っていましたので、このキットを選んだ方は『正解』ということになります。

かなり前から症状で悩まれていたとのことですが、ご自分が悩まれている状態のときは当然のことですがパートナーにも不快な気持ちにさせてしまう可能性があります。

従って、この度は早めに婦人科を受診して治療されることが大切になります。
今回は、淋菌やクラミジアなどの感染症については調べていませんので、クリニックの先生によってはカンジダの治療だけでなく、それらの検査も追加でして頂ける場合もあります。
もし、検査キットご購入前にご相談頂ければアイラボとしては“おりもの&臭いの検査”をお勧めしたと思います。

「おかしい? いつもと違う」と思った時は

アイラボが郵送検査を始めた理由の一つに、女性のQOL向上にお手伝いをしたい。
そんな思いがありました。
なぜか? 私達の本職は子宮頸がんを早期に発見する“婦人科細胞診”です。
この仕事をしていると、子宮頸がん関連病変(HPV感染とかLSILなど)だけではなく、多くの感染症が疑われる所見も見えてくるのです。その中でカンジダやトリコモナスが確認できれば報告されますが、それ以外の感染症が示唆されても報告書に反映されないことが大半です。時には腟炎が見られるとの報告もあるかも知れませんが、腟炎があったと報告されてもその原因を調べるために婦人科を受診するケースは決して多くありません。

結局のところ、何だか分からないままで終わってしまう事も少なくありません。おりものや臭いなど、ちょっとした不安ならクリニックを受診しなくても手軽に調べられる機会があれば、我慢することなしに“異常”を早く見つけられるのです。そしてもし異常が見つかれば、その時点で治療すれば多くの場合症状は改善し、元通りの健康を取り戻せるのです。
悩んであれこれする前に、先ずはその原因が何なのか? をはっきりさせることが大切です。

お洋服やお化粧と同じように体の健康維持を!

セルフメディケーション!
あなたの健康を守るのは貴女だけです。
おりものや臭いが心配な時はおりもの&臭いのチェック

子宮頸がん検診では教えてもらえない話し

パパニコロウ先生が世に送り出した婦人科細胞診とは。
私がたどり着いた結論は、『婦人科感染症の最も安価で、最も正確な総合的診断法』です。
この一枚の写真にどんな感染症が秘められているのか?

白血球が若干増えているので、腟炎があるのかな?、、、と見ます。
背景には乳酸菌(大切な細胞にピントを合わせて撮影しているため、詳細に確認できないが)が豊富に見られます。
このことから、“若干炎症は伴っているものの腟内フローラ(乳酸菌)はしっかりしている” ことが分かります。
でも、赤の矢印で示した細胞が気になるのです。
前の写真のすぐそばを撮影した写真です。
赤の矢印の先にある細胞は前の写真と同じ種類の細胞です。

それとは別に、黄色い矢印で示した細長い少しぼやけた棒状のものが見られます。
赤で示した細胞にピントを合わせたため、多々ぼやけていますが、他の場所でもっと分かりやすい画像がありますのでそちらを見てみましょう。
この場所なら一目瞭然、カンジダの仮性菌糸であることが分かります。

ということで、このケースはカンジダ腟炎を起こしていることもわかりました。

濾胞性頸管炎があるかも知れない!

赤の矢印の先端にある丸い核を持った細胞はリンパ球です。
リンパ球には小さな細胞と写真のようにやや大きな細胞があります。
成熟したタイプのリンパ球は小型で血液中にもみられます。それより倍以上に大きくなったリンパ球は反応性リンパ球と呼ばれます。このような反応性の大型リンパ球が出現する背景には“リンパ濾胞”というリンパ球の集まりがあります。子宮頸がん検診の検体を見ていると、時に成熟リンパ球と反応性の大型リンパ球が同時に見られることがあり
濾胞性頸管炎と診断します。
つまりこの患者さんは子宮頸部に濾胞性頸管炎が存在する可能性があるのです。
【標本の作製法がLBC法なので、反応性の大型リンパ球を見つけないと診断は難しいです。(詳細は後述します)】
ではどんな時に子宮頸部にリンパ濾胞ができるのでしょうか?

(余談)クラミジア研究で得られた貴重な体験(三井幸彦先生との出会い)

私がクラミジアの研究をしていた頃、何気なしに講談社から出版された医学百科事典を見ていると、三井幸彦先生(眼科学)が執筆された記事を見つけました。それは今日の日本にはほとんど見ることがないトラコーマ(封入体性結膜炎)に関するもので、こんなすごい研究者がいたのだと思い、かなり興奮してその記事を読みました。

すかさず講談社に電話を入れ、三井先生にお会いしたい旨を伝えると、程なく電話が入りました。すでに徳島大学を退官さえれ、現在はご自宅にいらっしゃるとの事、そして連絡先を教えて頂きました。早速電話をすると、『すぐに来なさい。航空券が取れたら到着時刻を教えてください。空港まで迎えに行きます。白いハンカチを持っているからね。』と優しいお言葉を頂きました。そして、翌日の午前11時には徳島空港に降り立ちました。すぐさま先生のご自宅に直行、お昼をごちそうになった後、先生の一言に驚かされました。『これから3時間私のクラミジア研究についてお話します。その後君のこれまでの研究成果を3時間話しなさい。』とおっしゃったのです。日本のクラミジア研究の第一人者の先生と1対1のシンポジュウムみたいなもの、後にも先にもこんな経験はありません。幸せで幸せでたまらなかった一日でした。
そんな二人だけのシンポジュウムの中で、封入体性結膜炎でもリンパ濾胞が形成されることを教えて頂きました。

夜は市内のホテルで二人だけの夕食会。
『当時、婦人科領域でもクラミジアの研究をするように進言したですが、誰も興味を示さなかったんだよ。
君がクラミジアの封入体の研究をしてくれてとても嬉しい。』そう言われて大変喜んでいただきました。
そして最後に、『ところで椎名君、今どうして日本にはトラコーマがなくなったか知っていますか?』と言われました。『それはね、きれいな水を使う環境になるとトラコーマは自然にいなくなるんだよ。』と教えてくれました。

そして半年後、学位論文の審査会場で杏林大学医学部眼科学教授が最後の質問として、『ところで、日本にはどうしてトラコーマがなくなったのですか?』と質問されました。それはまさしく三井先生の最後の教えそのものだったのです。

学問は素晴らしい! 三井先生本当にありがとうございました。

LBC法では反応性の大型リンパ球の存在が診断のポイント

アイラボもそうですが、この20年余りに、子宮頸がん検診や婦人科細胞診はLBC法が主流になりました。
それまでは、医師が採取した検体はその場でスライドガラスに細胞を塗りつけていましたので、濾胞性頸管炎があると、成熟リンパ球と反応性リンパ球がほぼ同じ場所にまとまって塗られるので診断は容易でした。しかし、LBC法は検体を液の中に洗い落すため、それら細胞はバラバラになり、診断は難しくなってしまいました。

『念のためクラミジアの検査が望まれます』と報告したいけど?
多くの検診機関でそれはNGなんです。

子宮頸がん検診の受診率は決して多くありません。2年に一度しっかり受けている人は50%にも満たないのです。
そんな中、“なんか最近オリモノや臭いが気になる、、、今年は子宮頸がん検診を受けてみよう”、、、そんな人少なくないと思います。トリコモナスとカンジダが見つかった時は報告書に反映されますが、“細菌性腟症が疑われても” “クラミジアの感染が疑われても” 結果に反映されることはほとんどありません。『そのようなことは結果に記載しないで下さい。』というところが多いのではないかと思います。多分、それに関して問い合わせがあっても対応できないからかも知れませんが、とても残念なことだと思います。

従って、“オリモノや臭いが気になって検診を受けた方は、「異常なし」の結果を受け取っても、子宮頸がん関連病変に関しては「異型細胞が見られない(NILM)」にしても、細菌性腟症やその他の情報は教えてもらえないのです。” アイラボでも子宮頸がん検診の細胞診を承っていますが、報告できない施設が少なからず存在しますので、とても残念に思っています。

アイラボの郵送検査では、可能な限り私達が習得した知識は皆様に還元しています。

子宮頸がん検診で『AGC』、、、これって何?

この細胞は、加藤式自己採取器具で採取した検体に見られた異型細胞ですが、アイラボでは『“AGC”と診断して、早い機会に婦人科を受診して子宮の入り口(子宮腟部)から少し奥に入った子宮頸部(子宮頸管内)の精密検査を受けて下さい。』と報告しました。“早い機会に”とあえて記載した背景には『子宮頸部腺がん』の存在が強く疑われたからです。
この細胞は、医師がサーベックスブラシという子宮腟部から子宮頸部にかけて細胞を採取する器具で採取しました。前の細胞とは全く様相が異なり、黄色く染まる粘液が特徴的な子宮頸部に発生する腺がんです。このケースも“AGC”と診断し、同様に子宮頸部の精密検査(組織検査)にて確認して頂くよう報告したケースです。
この細胞は、加藤式自己採取器具で採取された細胞です。細胞の核がやや大きくなり、核小体も大きくなっています。このケースは本来自己採取器具では採取し難い子宮の入り口より少し奥からも採取されています。外反といって内側の細胞がめくれるようにして腟内に露出してくれば自己採取器具でも採取されないわけではありませんが、細胞の核が元気そうに見えるので、(良性の変化)と思われますが、念のために婦人科を受診して再検査を受けて頂く事にしたケースです。

この様に“AGC”には様々な細胞が入ってきます。

細胞診とは、採取された細胞を観察してその病変を推定する診断法です。
“がんと診断できるケース” “がんと思われるが断定が困難なもの” “良性の変化と思われるががんの存在も否定できないケース” など、様々な顔つきの細胞が現れたり、観察する検査士によっても診断には幅がります。
今回ご相談頂いた方は、市町村が行う子宮頸がん検診を受けられ、“AGC”と診断されました。その後この方は、最寄りの大学病院を受診し細胞診の再検査と組織検査、さらにHPV検査を受けられたようです。
その結果、細胞診検査ではASC-US(意義不明な異型細胞)と診断されたためハイリスク型のHPV検査を受けられ「陰性」でした。また、組織検査においても異常は見られなかったようです。

検診での“AGC”は何だったのか? 、、、当然の疑問ですね。

少し専門的な話になりますが、私の回答を以下に示します。

AGCとは“atypical glandular cell(異型腺細胞)“という意味です。
腺細胞とは、“腟内は(皮膚と同じ)重層扁平上皮という強い組織(粘膜)で覆われています。これは性行為や出産に耐えられるように厚く幾重にも細胞が重なって丈夫な粘膜です。一方、子宮の入り口から少し奥に入った子宮頸部は粘液を分泌する(単層の)円柱上皮という組織からできています。その接点を扁平円柱接合部(Squamo-Columnar Junction)といいますが、子宮頸がんはこの境目(SCJ)から発生します。
多くの子宮頸がんは“扁平上皮がん”になりますが、一部円柱上皮の性格を持った癌が発生します。これを“腺がん”といいます。
扁平上皮癌に比べて腺がんは少し奥に発生しますので、“検査で見つけにくい”特徴があるし、“たちが悪い”癌なのです。
この癌を見逃さないため、採取する側の医師は“少しでも奥の方から細胞を採取してきよう”としてお奥まで採取できる器具を使って“新鮮な細胞をごっそり”採取してきます。私たち細胞検査士も“腺がんを見逃してはいけない”という思いが強いものですから、少しオーバーに拾い上げざるを得ない状況にあるのです。

扁平上皮癌の場合は、NILM(正常)→ASC-US(HPV感染があるかも?)⇒LSIL(HPV感染がある)⇒ASC-H(HSILお存在が否定できない)⇒HSIL(中等度異形成・高度異形成・上皮内癌などの前がん病変)⇒SCC(扁平上皮癌)といった具合に進行度によって細胞の顔つきが違います。しかし腺がんの場合はそれほど明確な差が現れず、細胞診の判定も難しいのです

AGCとはそういう状況の中で“異型な腺細胞が見られていますので精密検査で確認してほしい”といった診断であり、検査する側の個人差もありますが、そういう状況をご理解頂ければと思います。

(今回の検査で異常がなかったことで安心頂けます)良かったですね。
検診を受けて“AGC”と診断されたことで、病院を受診して精密検査を受けることになってしまったわけです。
結果は、『現在のところ異常はなく、半年後に再検査を受けることになりました。』と、かなり面倒なこになってしまいました。

しかし、細胞診は“怪しい細胞を拾い上げる検査”なのです。
細胞診に携わる私達にとっては、精密検査に廻すべきか、次の検診まで待っても大丈夫な細胞か?大変難しい判断を要求されますので、自身の技術を磨き、常に高い精度を提供する使命感が求められます

“精密検査を要す”の結果を受けた時は、『セルフメディケーション! 自分の健康は自分でしか守れません!』精密検査を受けて“今回は異常ありません”の結果をもらうことが大切なのです。

HPVに感染していても異常の細胞が出るとは限りません

アイラボを開業して20年以上が過ぎました。
特に女性の健康に特化した活動をしてきましたが、その理由の第一は、子宮頸がんや不妊症などの女性特有の病気は早期に発見できれば“大事にはならない”からです。しかし、女性にとってはいつの年代においても“婦人科は敷居が高い”ものです。そして、そのことが早期発見を遅らせてしまうのです。私達でも、“気軽に相談できる場” や “気軽に検査できる場” などの環境づくりなら社会の役に立てると考え、アイラボを立ち上げました。
そして、先ずは病気を知って頂くために、HPやブログでいろいろな病気や、悩み事を紹介し、さらに顕微鏡画像を取り入れ、病気の見える化にも挑戦してきました。
そんなことも少しは役立ったのか、最近自分の健康についてしっかり考える人が増えてきた気がします。

3年2ヵ月間HPV感染者を自己採取法で追跡調査した成績です

この画像は2,011年12月に開催された日本性感染症学会で『HPV持続感染例における細胞形態学的推移』というテーマでアイラボの藪崎宏美が発表したスライドの一つです。
2008年4月の検査で、細胞診ではLSILの細胞が検出され、HPVタイピング検査では16型と51型の重複感染例として始まりました。その後、2,009年1月まで同じウイルスが持続感染しているにもかかわらず、細胞診ではNILM、ASC-US、ASC-H、NILMといった具合に、異型細胞が出たり出なかったりを繰り返しています。『大切なことは、感染していても異常な細胞が必ず検出されるわけではないということです。』2008年2月から2009年3月まで異型細胞は検出されませんが、HPVが消失したわけではないということがこの写真で分かります。
ですから、以前LSIL以上の異型細胞が検出された人は、一回の検査でNILMになったからといって安心してはいけないということをこの写真は教えています。2009年4月の検査では突然ASC-Hの細胞が出ているのです。
この理由は単に細胞診の精度が悪いというだけでなく、細胞を採取する時期(性周期)にも影響することを、大河戸先生は学会で報告しています。
それ以後、LSIL、ASC-US、NILMと顔つきの悪い細胞は出ていないのですが、2009年の9月になると細胞診検査では前癌病変ともいえるHSILの細胞が検出されました。いよいよ癌に近づいてきたのかなと思いきや、またLSILやASC-USといった前がん病変から離れていくような細胞になります。しかし、2010年4月以降は、ASC-H以上の細胞のオンパレードとなります。このように、細胞診では徐々に徐々にですが、顔つきの悪いUSC-H以上の細胞が途切れることなしにいつの検査でも出っぱなしになります
子宮頸がん検診に用いられている細胞診はこのような特性を持っていることが理解できたでしょうか。

私達は2008年11月の細胞は“癌になるのでは?”と予測しました

写真上の細胞でASC-Hと診断しましたが、当時私達はこの細胞を見た時“がんの前駆細胞(将来癌になる最も初期の細胞)”ではないかと思い、“こいつは絶対に注意しなければいけない奴だ!” と勝手に決めつけていました。ところが、私達の顕微鏡にその姿はなかなか見せないのです。2010年4月以降になって、私達の目の前にやっと本性を現し始め、それ以降は毎回HSIL相当の異型細胞が検出されるようになったのです。そしてついに2011年6月の細胞診検査ではHSIL(上皮内癌)相当の細胞になった時点でこの方は円錐切除術を行いました。

患者さんからの嬉しい手紙

自己採取による定期検査で3年以上追跡検査をした結果の全てです。
職業柄定期検査として細胞診も実施していたケースです。検査を受けられた方が皆さんのためになればとのご理解を頂き、こうしてご紹介させて頂きました。
今回は特殊なケースですが、自己採取型の子宮頸がん検診でも、このように役立つ検査なのです
ご当人にも喜んでいただけましたが、私達にとってもとても嬉しいお手紙です。
こちらこそ、ご協力頂きありがとうございました。
セルフメディケーション!
子宮頸がんになる前に円錐切除術などの適切な処置が可能です

私達は「子宮頸がん検査」という言葉は「過去の言葉」とし、これからは癌になる前に発見する検査「HPV細胞診検査」に変えていきたいと考えています。

病院での検査や健診が苦手な人は無理をしなくても検査を受けることが可能です。

心配な方はお気軽にご相談ください。

症状から自身の病気(状態)が分かっている人が増えています。

アイラボを開業して20年以上が過ぎました。
特に女性の健康に特化した活動をしてきましたが、その理由の第一は、子宮頸がんや不妊症など女性特有の病気は早期に発見できれば“大事にはならない”からです。しかし、女性にとってはいつの年代においても“婦人科は敷居が高い”ものです。そして、そのことが早期発見を遅らせてしまうのです。私達でも、“気軽に相談できる場” や “気軽に検査できる場” などの環境づくりなら社会の役に立てると考え、アイラボを立ち上げました。
そして、先ずは病気を知って頂くために、HPやブログで、いろいろな病気や、悩み事を紹介し、さらに顕微鏡画像を取り入れ、病気の見える化にも挑戦してきました。
そんなことも少しは役立ったのか、最近自分の健康についてしっかり考える人が増えてきた気がします。

症状から自身の病気や状態を推測できる人が増えている。

その代表的な病気は“細菌性腟症”写真左(上)です。
しかしこの病気(状態)の症状は、お医者さんの内診でも“カンジダ?” とか “トリコモナス?” といった具合に、症状が似ていることが多いのです。
ですから、私達はカンジダ、トリコモナス、細菌性腟症の単独キットは提供していません。正解すれば料金が安いくすみますが、外れた場合は別のキットを購入せざるを得ないことになり、負担が大きくなるからです。
そこで準備したキットが「おりもの&臭いの検査(シンプル)キット(Kit 13SM)」です。細菌性腟症、トリコモナス、カンジダ、淋菌、クラミジア、腟炎(写真右(下))の有無を調べるキットです。腟内に綿棒を挿入して検体を採取しますので、子宮頸がん細胞診検査やHPV検査などの追加検査はできませんが、料金が安くなっています。子宮頸がん検診を既に受けている方はこちらがお勧めのキットです。
子宮頸がん検査の追加が可能なキットは加藤式採取器具を使用する「おりもの&臭いの検査(Kit13)」で採取して頂きます。
最初から子宮頸がん細胞診検査も受けておこうという方は「婦人科トータルセルフチェック(Kit12)」がお勧めです。

このケースは婦人科トータルセルフチェックで検査を受けて、、、その結果は

その結果が写真左(上)の細菌性腟症でした。
従って、今回選んで頂いた婦人科トータルセルフチェックでは、
1)淋菌やクラミジアの感染はない、
2)トリコモナスやカンジダもいない、
3)腟内に炎症も見られない、
4)子宮頸がん関連関連病変を疑う細胞も見られない、
※従って、この方のおりものや臭いの原因は、細菌性腟症であり、その他は正常であることが判明したわけです。
婦人科トータルセルフチェックはそんな優れものの検査キットなのです。

オンライン診療を受けられる方には便利な検査キットです

今回婦人科トータルセルフチェックを受けて頂いた方は、オンライン診療を採用されているクリニックを選ばれるようです。一方の患者を受け入れる側にとっても、先ずはこれだけの情報が提供されることは診療時間の短縮や治療方針の決定に有効活用できると思います。また必要があれば、HPV検査などの追加検査も可能な点が先生方にも注目されている点と思われます。
セルフメディケーション!自身の健康には自身が責任を以って対応しましょう。

私達アイラボのキットと限らず、キットを選ぶ際は十分納得のいく説明を受けましょう。

ご紹介した今回のケースも、購入前に十分な説明をさせて頂き、キットを選んでいただきました。

二人とも他の人との性的関係はないのに、なぜクラミジアが?

『たまたま病院で検査をしたらクラミジアが陽性という結果が出で、先生から旦那にうつされたと言われた。』『自分は半年前に検査を受けていて、その時は「陰性」で、それ以降旦那以外との関係はないので、旦那に心当たりがあるかどうか聞いてみたら、逆に私が疑われた。』

似たようなケースは開業して間もない頃から比較的多い相談です。
その頃は、保健所でもクラミジアの検査には血液で調べる抗体検査が行われていました。
IgGとIgAを調べる検査で、IgAは感染初期に現れる抗体でIgGはそれより少し遅れて上昇し、かなり長い期間陽性を維持する特徴があります。当時から多いのがIgG(-)、IgA(+)のケースでの相談です。

この検査では、実際は感染していないのにIgAが陽性になり、前に述べたようなパートナー間でトラブルになるケースが多いのです。従って、抗体検査で陽性になったら、性器から検体を採取して、クラミジアそのものが存在するかどうかを(抗原検出法でで)確認した上で治療に進むことになっています。
しかし、そのことを理解していない医師や保健所の関係者が、「陽性なので病院に行って下さい」とか、実際に薬が処方されてしまうこともありました。
「病院に行って下さい」と言われた受診者は十分な説がないものですから“感染している”と思うのは無理もないのです。そして思いもよらない方向に発展しトラブルになってしまうのです。

受診者が(千葉県の某)保健所に説明を求めたところ「アイラボさんに相談して下さい。」と言われた方もいました。そんなことが頻繁に起っていたので、保健所の担当者にその旨を伝えましたが、結構その後もこの検査は続いていましたが、今は抗原検出法が採用されていると思います。無料で検査をしてくれるのはありがたいけど、説明がちゃんとできないのであれば“ありがた迷惑な事”でした。

そんな結構昔にあった問題が、今もあるのか? でも今回は病院でのお話の様です。
何かの間違いであって欲しいので、相談の前に「抗体検査なのか」「抗原検出法であったのか」先ずは確認して頂くことにいたしました。

その後、連絡がないので、この問題を取り上げました。

抗原検出法は、クラミジアそのものを検出する方法です

クラミジアは感染した細胞の中で増えます。
左の写真はクラミジアが感染した細胞で、丸くぼやけた構造をしているのがクラミジアがたくさん増えた時に見られる所見です。
この丸い部分について星雲状封入体nebular inclusionnと(Drシイナが)名付けました。右側の写真は蛍光抗体法という方法でクラミジアの粒子を観察したもので、丸く光っているのがクラミジアの基本小体です。星雲状封入体の中には何万という数のクラミジアが存在します。抗原検出法ではこの粒子が存在すれば陽性になる検査です。現在はこのような蛍光抗体法ではなく、さらに感度の高いPCR法によって検査されています。
それでも、時には「陽性・陰性と判定できない数値を示すことがありますが、そんな時はもう一度検査をやり直すことになっています」再度やり直した結果が本当に正しいか?という問題も少なからず存在するのが検査なのです。


そうなんです。
検査をすれば “陰性なのか” “陽性なのか” がはっきりすると思われがちですが、必ずしもそうではありません。
例えば1.0以上が陽性と判定されるような検査では1.1は測定上“陽性”と判定されますが、真の陽性ではないこともあります。なので、「陽性の結果になりましたので、抗原検出法で確認して下さい」、、、ということになります。抗原検出法で陽性が確認されて初めて治療が行われます。このようなことを確認していれば、「パートナーにうつされたなどの表現にはならないはずです。」

検査を受ける側は大半の場合、そのような解釈については「無知」に等しいので、検査を提供する側にはその辺の丁寧な説明が求められます。前で紹介した保健所さんの対応で、(説明ができないのであれば)「アイラボさんにご相談下さい!」が、誠意ある対応だったと思います。

なので、検査は100%正しいとはいえません。

私達は、基本的に病院やクリニックを受診されている方については、診療の妨げにならないよう配慮しながら、回答しています。
このブログでも紹介させて頂いたように、クリニックを受診したが、自身の思い(自己診断)と異なる対応がなされること少なくありません。そんな時、相談するところがないため、一人で悩むことが多いのが現状です。

私達は、たまたま臨床検査技師で、細胞検査士でもあり、日本性感染症学会認定士の資格を有していることや大学で細胞診の教鞭をとっていたこともあり、特に女性特有の悩み事について、電話やメールで無料相談の場を提供しています。相談したからといって検査キットを購入する必要はありませんので、お気軽にご利用ください。
セルフメディケーション(自分の体調の変化は自分でチェックしてみましょう)

どうしたらよいのか分からない時は、先ずは相談しましょう。
アイラボ以外にも相談窓口はありますので、探してみましょう。
アイラボの無料相談は、日本性感染症学会認定士が全てのご相談に対応していますので、
お気軽に!

メールで相談された方には最後まで対応できていなかったので、内容を若干かえて投稿させいて頂きました。
同じようなことで悩まれている人は貴女ばかりではありません。どういう分けか先週はクラミジアに関する同様の質問が多かったです。参考になれば幸いです。

オンライン診療にも使えるアイラボの郵送検査キット
第3号 最新の子宮頸がん検査(Kit002)

アイラボが郵送検査を始めて20年以上が経ちました。
当時の子宮頸がん検診の受診率は、25%にもにも至っていなかったのです。
郵送検査という方法はあるものの、その頃はあまり評判のいいものではありませんでした。
でも、“やらないよりはやった方がいい”、、、とは思いつつも、細胞診断学の教鞭をとっていたことや学会や関連団体での活動もしていたため、表立って“自己採取法による子宮頸がん細胞診検査”を始めることには躊躇しました。しかし、以前から “加藤式自己擦過法器具”という素晴らしい採取器具があること、医師採取が苦手な人のために自己採取であっても精度の高い検査方法を考えて欲しいという婦人科医であり細胞診専門医の先生の後押しもあって、自己採取法による子宮頸がん細胞診検査キットを世に送りました。

しかし、その当時の自己採取法における検査精度の低さには驚くものがあり、私自身『これは検査ではない』という思いから、いくつかの検査機関や検診機関を訪問し、採取器具の選定や検査法の改善を促してきました。
しかしながら、その反応は『良くないことは分かっているが、大きなクレームがない』という理由で、真面目にとりいて貰えなかった経緯があります。そして昨今、子宮頸がん検診ガイドラインでも自己採取は“ダメ”のお墨付きが出されています(どんな経緯かは分かりませんが)。

子宮頸がん検診の受診率も上がらない、HPVワクチンの接種も浸透しない、そんな日本の子宮頸がん対策であるならば、“何としても医師採取と同程度の検査精度を維持し、自己採取法の灯は消さない”と決めました。同時に、持論でもある『婦人科細胞診は、最も正確で、最も安価な、婦人科感染症(腟炎、トリコモナス、カンジダ、細菌性腟症、HPV関連病変、等)の総合検査法である』ことを広め、守っていきたいと考えています。

ここでは自己採取法による細胞診とHPV検査の併用検査についてお話しします。

自己採取法の特性を知れ!

この写真は、加藤式自己擦過法器具で、大阪の大成化工株式会社が製造販売しています。
この器具はすでに400万本が出荷され、安全性も確かめられた子宮頸がん検査用に開発された器具です。
タンポンのように自分で挿入して、奥まで入ったら6回先端のスポンジ部分を回転させて子宮の入り口をこすって細胞を採取します。そればかりではありません。自然に剥がれ落ちて腟内にたまっている細胞もからめとってきますので、大量の細胞成分が採取されるのです。実はそれが利点であり、欠点でもあるのです。あまりに多くの細胞をからめとってきますので、お医者さんが子宮の入り口や少し奥に入ったところ(子宮頸管)を集中的に採取する検体に比べ、異常な細胞の割合が相対的に少なくなってしまうのです。

このことを理解していれば、どのような標本を作製したらよいのか?どのようなことに注意して顕微鏡を観察したらよいのか?工夫すれば精度を上げることが出来るのです。それが自己採取検体を扱う上で最も重要なことなのです。
「受診者からクレームがないから現状でOK」では、検査にはならないのです。
「クレームがない」と言う人は「現実に起こっていることを知らないのでは?」、、、ないでしょうか。
加藤式擦過法器具が腟内に挿入されている図です。
器具の先端部分はスポンジになっています。スポンジの部分を回転させることで、子宮の入り口を擦ります。同時にスポンジの先端部は後腟円蓋部(自然に剥がれ落ちた細胞が溜まっている場所)の細胞も絡め取ってくる仕組みになっています。
6回転させてから、スポンジ部分を器具の中に戻してから器具全体を腟から抜きます。抜いた後にスポンジが収納されている筒の中に保存液を全て入れ、しっかり蓋をして、必要事項を記入した検査依頼書と一緒にアイラボに送って頂きます。

この器具は細胞診検査用に考案されましたが、HPV、クラミジア、淋菌、マイコプラズマなどの遺伝子検査にも対応可能です。子宮頸がん健診に用いられるHPV検査は、医師採取と自己採取では結果に大きな差がないため、既に他社製自己採取器具(エヴァリンブラシ)は検査機関や検診機関でも採用されている採取器具です。
当社ではすでに加藤式器具とエヴァリンブラシについて、HPVの検出率の比較を行っていますが、陽性一致率95.7%、陰性一致率 87.5%であること確認しています。
検査の結果は(郵送の場合)写真の様に報告されますが、ネット報告は報告書の形態が異なります。

当社における細胞診の結果は、ベセスダ方式でのご報告ななります。ASC-US以上の異型細胞が見られた時は、全て写真が添付されます。また、LSIL以上の異型細胞の検出率は、通常の子宮頸がん検診ではおおむね2%程になりますが、風俗営業従事者の場合はおおむね20%以上になり、最近実施した30名におけるLSIL以上は7名23.3%でした。このような数値は当社における自己採取法による細胞診検出率の目安にして頂ければ幸いです。

HPV検査には感染しているHPVの型まで調べる“HPVタイピング検査(ハイリスク13種)も提供していますが、こちらはuniplex E6/E7 PCR法にて検査しています。過去にHPVの感染やLSIL以上の診断がついついている方はこちらのキットが良いかと思います。““感染しているHPVが持続しているのか?”を見るのに適しているからです。
自分で努力すれば“早期に発見できるがん”“なかなか早期に発見できないがん”があります。
子宮頸がんは、定期的に検査を受ければ、子宮を摘出することや“命を落とすことはないがん”なのです。

検診を受けるのが“恥ずかしい”、“忙しく時間がない”、“特に症状もないのに面倒”、そんな検診が苦手な人にも、今は様々な選択肢があります。ワクチンの接種や私達が提供している郵送検査もその一つです。子宮頸がんは、HPVに感染してもすぐにがんになるわけではありませんので、“定期的に検査を受けていれば、子宮と命を守れるがん”なのです。検診の機会は各自治体や会社で行っているものだけでなく、自身で受けるドックや郵送検査がありますので、自分に合った方法を選ぶことができます。納得のいく方法でよいと思いますので、セルフメディケーション! HPV感染から子宮を守りましょう。
医師採取であれ自己採取であれ、HPVに感染しても必ず異常な細胞が出るとは限りません。
陰性(NILM)の結果が出てもHPVいなくなったわけでも、異常な細胞が存在しなくなったわけではありません。
必ず、担当の先生の指示に従って定期的にチェックしてください。
検診でHSILと診断されたり、HPV検査で陽性と診断されても精密検査を受けない人も少なくありません。
せっかく発見されても何の意味もなくなってしまいます。
“面倒だな”と思っても、子宮頸がんから自分を守るためには、“今どんな状況にあるのか” をチェックしなくてはならないのです。少なくてもHSIL(前がん状態に向かっている状況)になっていないかどうかをチェックすることが重要です。

悩んでいる人はまず私達に相談してください。

男性のHPV検査が教えてくれること

子宮頸がんの原因は“ハイリスク型のHPV感染”、このことが広く国民に浸透してきたようです。それと同時に、“HPVは性交によって感染する”ことも、老若男女問わず理解されてきたようです。

私は杏林大学保健学部在任中からHPV感染に関する研究に取り組ん出来ましたが、中でも大河戸光章先生はこの分野の第一人者と言えるまでに研究成果を上げてきました。その研究の中で『高感度多種HPV検出法uniplex E6/E7 PCR』の開発は、従来法に比べて高感度な上に39種のHPVの型を均等な感度で検出できるとことと、多重感染であっても感染しているHPVの型を厳密に区別することが可能な方法です。

アイラボの郵送検査はこの方法でHPVタイピング検査を行っていますので、今回はその一端をご紹介いたします。
(大河戸先生にはその旨の許可を頂いております)

女性はもとより、男性性器からの検出も可能!

これは大河戸先生が日本臨床細胞学会のシンポジウムで講演さてた時のスライドです。
アイラボの『男のHPVタイピング検査(ハイリスク13種)Kit 112』は、左の濃い赤枠で示された13種を同時に測定しています。
それらのHPVが存在(>100copuies)すれば、右の黒枠内の白帯の様に、各々のHPVが均一に検出できる方法なのです。
アイラボでは、PCR検査を実施する前に必ず検体の適否判定のための標本を作製し、写真の様に顕微鏡で細胞の有無を判定します。細胞が採取されていなかったり、極めてその数が少ない時は高価な検査を実施せず、再採取をして頂いています。
2枚の写真共に男性の亀頭部分を綿棒でこすって細胞を採取したものです。亀頭部分は重層扁平上皮で覆われていますので、通常は細胞の核は観察されませんが、写真左(上)は良く見ると1個の核が見えます。もちろん細胞はたくさん採れています(細胞と言うより垢のようですが)ので検体としては適正ですのでPCR検査に進みます。
写真右(下)は、採取されている細胞はかなり少ないですが、検体としては適正と判定しました。実際PCR検査に使用する細胞はこれよりかなり多いので検査には問題ありません。

さて、このような亀頭からの検体ですが、どんな結果になるでしょうか?

子宮頸がん検診ガイドラインではHPV単独検査は推奨ランクAになっています

少し話外れますが、子宮頸がん検診でHPV単独検査の場合は、子宮腟部や頸部から採取される細胞については検体の中の細胞成分を顕微鏡で観察することはありませんので、白血球が増えている(炎症がある)か? トリコモナスやカンジダの様な感染症があるか? などについては分かりません。あくまで、子宮頸がんの原因となるハイリスク型HPVが存在するかどうかの検査ですので、“いつもと違っておりものが気になるので今年は検診を受けよう”と思われている人にはその点を理解されれておかれるとよいのではないかと思います。

従って、HPV単独検査で「陽性」の結果をもらった時は、婦人科を受診して細胞診検査を受けることになります。この細胞診検査(普通の子宮頸がん検診で行われている検査)では、今現在どのような細胞が見られるのか『子宮頸がん関連病変 NILM(異常な細胞はない)ASC-US(HPVの感染が疑われる細胞がある)LSIL(HPVに感染した細胞=軽度異形成がある)HSIL(中等度異形成・高度異形成・上皮内癌など前がん病変の細胞がある)など』を知ることが出来るのです。

大切なことは、HPV検査で陽性になったら必ず病院を受診して細胞診検査を受けなければならないのです
子宮頸がん検診におけるHPV単独検査はそのような検査であることを理解しておきましょう。

さて、uniplex E6/E7 PCRの結果はどうでしたでしょうか?

最初のケース写真左(上)は51型と52型が検出されました。
写真右(下)のケースは18型と59型、さらにこの人は尖圭コンジローマの遺伝子検査を含む『男のHPVタイピング検査(ハイリスク13種+コンジローマ)Kit113』を希望しており、HPV11型も検出されました。

このように、検体の適否判定で観察できる細胞はかなり少なかったケースにおいても、3種類のHPVが検出されました。

私達は “検体の適否を観察すること” 、そして “どんな細胞が出現しているかを見ること” 、さらに、“どんなHPVの型であっても均質な感度で同時に検出できる方法” だからこそこのキットを提供しています。

数年前から『』男のHPVタイピング検査(ハイリスク13種+コンジローマ)Kit113』が特に男性から注目されています。
その理由は
①(自分はこれまで複数の方と付き合いがあったので)大切な人に危険なHPVを感染させたくない。
②最近風俗を利用したので、感染しているかどうか調べたい。
③パートナーの女性からこの検査を受けるように言われた
などがあるようです。

HPVは他の性感染症と同様にパートナーとの性交で感染します。
HPVはとても感染力の強いウイルスですが、ウイルスそのものを皮膚や粘膜に付けても感染は成立しません。
性交は “皮膚と粘膜をこする” という物理的刺激を加える行為ですので、そこには目に見えない小さな傷がつきます。HPVはその傷口から体内に侵入しますので、パートナーが多いほど感染の危険性は高くなります。
コンドームの使用でHPVの感染を完全に防ぐことはできません(男性性器根本部分が危険にさらされる)が、はかなりの効果が期待できますので、知識として持っておきましょう。
アイラボの無料相談で男性からの相談で最も多いのが、HPV感染についてです。
その中で特に多いのが、“パートナーが子宮頸がん検診で異常が見つかった”というものです。
・「女性」担当医から「旦那にHPVをうつされた」と言われたケース。
・「女性」パートナーにどう話せばいいのか悩むケース。
・「女性」逆にパートナーから自分が疑われてしまうケース
・「男性」パートナーから検査を受けるように言われた
・「男性」どの程度でHPVは陰性化するまで性交はできないのか?
・「男性」オーラルをしてもらっても大丈夫か?

等々、いろいろです。これらについては少しづつこのブログでも紹介していきます。

大切なことは、“HPV感染を避けること” “感染を少しでも防ぐこと” “感染有無を自身が知り、検診を受けること”
男女ともにワクチンを接種するなど、対策はいろいろあります。
この点についても皆で考えていきましょう。

男性のHPVタイピング検査を提供し始めて私達も多くのことを学びました。
『子宮頸がんは女性だけの問題ではない事』 男性自身がHPVに感染していることを現実に知ることで、本気で子宮頸がんを考えて頂ける環境が生まれてきた気がします。

大河戸先生ありがとうございます。