オンライン診療にも使えるアイラボの郵送検査キット
第3号 最新の子宮頸がん検査(Kit002)

アイラボが郵送検査を始めて20年以上が経ちました。
当時の子宮頸がん検診の受診率は、25%にもにも至っていなかったのです。
郵送検査という方法はあるものの、その頃はあまり評判のいいものではありませんでした。
でも、“やらないよりはやった方がいい”、、、とは思いつつも、細胞診断学の教鞭をとっていたことや学会や関連団体での活動もしていたため、表立って“自己採取法による子宮頸がん細胞診検査”を始めることには躊躇しました。しかし、以前から “加藤式自己擦過法器具”という素晴らしい採取器具があること、医師採取が苦手な人のために自己採取であっても精度の高い検査方法を考えて欲しいという婦人科医であり細胞診専門医の先生の後押しもあって、自己採取法による子宮頸がん細胞診検査キットを世に送りました。

しかし、その当時の自己採取法における検査精度の低さには驚くものがあり、私自身『これは検査ではない』という思いから、いくつかの検査機関や検診機関を訪問し、採取器具の選定や検査法の改善を促してきました。
しかしながら、その反応は『良くないことは分かっているが、大きなクレームがない』という理由で、真面目にとりいて貰えなかった経緯があります。そして昨今、子宮頸がん検診ガイドラインでも自己採取は“ダメ”のお墨付きが出されています(どんな経緯かは分かりませんが)。

子宮頸がん検診の受診率も上がらない、HPVワクチンの接種も浸透しない、そんな日本の子宮頸がん対策であるならば、“何としても医師採取と同程度の検査精度を維持し、自己採取法の灯は消さない”と決めました。同時に、持論でもある『婦人科細胞診は、最も正確で、最も安価な、婦人科感染症(腟炎、トリコモナス、カンジダ、細菌性腟症、HPV関連病変、等)の総合検査法である』ことを広め、守っていきたいと考えています。

ここでは自己採取法による細胞診とHPV検査の併用検査についてお話しします。

自己採取法の特性を知れ!

この写真は、加藤式自己擦過法器具で、大阪の大成化工株式会社が製造販売しています。
この器具はすでに400万本が出荷され、安全性も確かめられた子宮頸がん検査用に開発された器具です。
タンポンのように自分で挿入して、奥まで入ったら6回先端のスポンジ部分を回転させて子宮の入り口をこすって細胞を採取します。そればかりではありません。自然に剥がれ落ちて腟内にたまっている細胞もからめとってきますので、大量の細胞成分が採取されるのです。実はそれが利点であり、欠点でもあるのです。あまりに多くの細胞をからめとってきますので、お医者さんが子宮の入り口や少し奥に入ったところ(子宮頸管)を集中的に採取する検体に比べ、異常な細胞の割合が相対的に少なくなってしまうのです。

このことを理解していれば、どのような標本を作製したらよいのか?どのようなことに注意して顕微鏡を観察したらよいのか?工夫すれば精度を上げることが出来るのです。それが自己採取検体を扱う上で最も重要なことなのです。
「受診者からクレームがないから現状でOK」では、検査にはならないのです。
「クレームがない」と言う人は「現実に起こっていることを知らないのでは?」、、、ないでしょうか。
加藤式擦過法器具が腟内に挿入されている図です。
器具の先端部分はスポンジになっています。スポンジの部分を回転させることで、子宮の入り口を擦ります。同時にスポンジの先端部は後腟円蓋部(自然に剥がれ落ちた細胞が溜まっている場所)の細胞も絡め取ってくる仕組みになっています。
6回転させてから、スポンジ部分を器具の中に戻してから器具全体を腟から抜きます。抜いた後にスポンジが収納されている筒の中に保存液を全て入れ、しっかり蓋をして、必要事項を記入した検査依頼書と一緒にアイラボに送って頂きます。

この器具は細胞診検査用に考案されましたが、HPV、クラミジア、淋菌、マイコプラズマなどの遺伝子検査にも対応可能です。子宮頸がん健診に用いられるHPV検査は、医師採取と自己採取では結果に大きな差がないため、既に他社製自己採取器具(エヴァリンブラシ)は検査機関や検診機関でも採用されている採取器具です。
当社ではすでに加藤式器具とエヴァリンブラシについて、HPVの検出率の比較を行っていますが、陽性一致率95.7%、陰性一致率 87.5%であること確認しています。
検査の結果は(郵送の場合)写真の様に報告されますが、ネット報告は報告書の形態が異なります。

当社における細胞診の結果は、ベセスダ方式でのご報告ななります。ASC-US以上の異型細胞が見られた時は、全て写真が添付されます。また、LSIL以上の異型細胞の検出率は、通常の子宮頸がん検診ではおおむね2%程になりますが、風俗営業従事者の場合はおおむね20%以上になり、最近実施した30名におけるLSIL以上は7名23.3%でした。このような数値は当社における自己採取法による細胞診検出率の目安にして頂ければ幸いです。

HPV検査には感染しているHPVの型まで調べる“HPVタイピング検査(ハイリスク13種)も提供していますが、こちらはuniplex E6/E7 PCR法にて検査しています。過去にHPVの感染やLSIL以上の診断がついついている方はこちらのキットが良いかと思います。““感染しているHPVが持続しているのか?”を見るのに適しているからです。
自分で努力すれば“早期に発見できるがん”“なかなか早期に発見できないがん”があります。
子宮頸がんは、定期的に検査を受ければ、子宮を摘出することや“命を落とすことはないがん”なのです。

検診を受けるのが“恥ずかしい”、“忙しく時間がない”、“特に症状もないのに面倒”、そんな検診が苦手な人にも、今は様々な選択肢があります。ワクチンの接種や私達が提供している郵送検査もその一つです。子宮頸がんは、HPVに感染してもすぐにがんになるわけではありませんので、“定期的に検査を受けていれば、子宮と命を守れるがん”なのです。検診の機会は各自治体や会社で行っているものだけでなく、自身で受けるドックや郵送検査がありますので、自分に合った方法を選ぶことができます。納得のいく方法でよいと思いますので、セルフメディケーション! HPV感染から子宮を守りましょう。
医師採取であれ自己採取であれ、HPVに感染しても必ず異常な細胞が出るとは限りません。
陰性(NILM)の結果が出てもHPVいなくなったわけでも、異常な細胞が存在しなくなったわけではありません。
必ず、担当の先生の指示に従って定期的にチェックしてください。
検診でHSILと診断されたり、HPV検査で陽性と診断されても精密検査を受けない人も少なくありません。
せっかく発見されても何の意味もなくなってしまいます。
“面倒だな”と思っても、子宮頸がんから自分を守るためには、“今どんな状況にあるのか” をチェックしなくてはならないのです。少なくてもHSIL(前がん状態に向かっている状況)になっていないかどうかをチェックすることが重要です。

悩んでいる人はまず私達に相談してください。

男性のHPV検査が教えてくれること

子宮頸がんの原因は“ハイリスク型のHPV感染”、このことが広く国民に浸透してきたようです。それと同時に、“HPVは性交によって感染する”ことも、老若男女問わず理解されてきたようです。

私は杏林大学保健学部在任中からHPV感染に関する研究に取り組ん出来ましたが、中でも大河戸光章先生はこの分野の第一人者と言えるまでに研究成果を上げてきました。その研究の中で『高感度多種HPV検出法uniplex E6/E7 PCR』の開発は、従来法に比べて高感度な上に39種のHPVの型を均等な感度で検出できるとことと、多重感染であっても感染しているHPVの型を厳密に区別することが可能な方法です。

アイラボの郵送検査はこの方法でHPVタイピング検査を行っていますので、今回はその一端をご紹介いたします。
(大河戸先生にはその旨の許可を頂いております)

女性はもとより、男性性器からの検出も可能!

これは大河戸先生が日本臨床細胞学会のシンポジウムで講演さてた時のスライドです。
アイラボの『男のHPVタイピング検査(ハイリスク13種)Kit 112』は、左の濃い赤枠で示された13種を同時に測定しています。
それらのHPVが存在(>100copuies)すれば、右の黒枠内の白帯の様に、各々のHPVが均一に検出できる方法なのです。
アイラボでは、PCR検査を実施する前に必ず検体の適否判定のための標本を作製し、写真の様に顕微鏡で細胞の有無を判定します。細胞が採取されていなかったり、極めてその数が少ない時は高価な検査を実施せず、再採取をして頂いています。
2枚の写真共に男性の亀頭部分を綿棒でこすって細胞を採取したものです。亀頭部分は重層扁平上皮で覆われていますので、通常は細胞の核は観察されませんが、写真左(上)は良く見ると1個の核が見えます。もちろん細胞はたくさん採れています(細胞と言うより垢のようですが)ので検体としては適正ですのでPCR検査に進みます。
写真右(下)は、採取されている細胞はかなり少ないですが、検体としては適正と判定しました。実際PCR検査に使用する細胞はこれよりかなり多いので検査には問題ありません。

さて、このような亀頭からの検体ですが、どんな結果になるでしょうか?

子宮頸がん検診ガイドラインではHPV単独検査は推奨ランクAになっています

少し話外れますが、子宮頸がん検診でHPV単独検査の場合は、子宮腟部や頸部から採取される細胞については検体の中の細胞成分を顕微鏡で観察することはありませんので、白血球が増えている(炎症がある)か? トリコモナスやカンジダの様な感染症があるか? などについては分かりません。あくまで、子宮頸がんの原因となるハイリスク型HPVが存在するかどうかの検査ですので、“いつもと違っておりものが気になるので今年は検診を受けよう”と思われている人にはその点を理解されれておかれるとよいのではないかと思います。

従って、HPV単独検査で「陽性」の結果をもらった時は、婦人科を受診して細胞診検査を受けることになります。この細胞診検査(普通の子宮頸がん検診で行われている検査)では、今現在どのような細胞が見られるのか『子宮頸がん関連病変 NILM(異常な細胞はない)ASC-US(HPVの感染が疑われる細胞がある)LSIL(HPVに感染した細胞=軽度異形成がある)HSIL(中等度異形成・高度異形成・上皮内癌など前がん病変の細胞がある)など』を知ることが出来るのです。

大切なことは、HPV検査で陽性になったら必ず病院を受診して細胞診検査を受けなければならないのです
子宮頸がん検診におけるHPV単独検査はそのような検査であることを理解しておきましょう。

さて、uniplex E6/E7 PCRの結果はどうでしたでしょうか?

最初のケース写真左(上)は51型と52型が検出されました。
写真右(下)のケースは18型と59型、さらにこの人は尖圭コンジローマの遺伝子検査を含む『男のHPVタイピング検査(ハイリスク13種+コンジローマ)Kit113』を希望しており、HPV11型も検出されました。

このように、検体の適否判定で観察できる細胞はかなり少なかったケースにおいても、3種類のHPVが検出されました。

私達は “検体の適否を観察すること” 、そして “どんな細胞が出現しているかを見ること” 、さらに、“どんなHPVの型であっても均質な感度で同時に検出できる方法” だからこそこのキットを提供しています。

数年前から『』男のHPVタイピング検査(ハイリスク13種+コンジローマ)Kit113』が特に男性から注目されています。
その理由は
①(自分はこれまで複数の方と付き合いがあったので)大切な人に危険なHPVを感染させたくない。
②最近風俗を利用したので、感染しているかどうか調べたい。
③パートナーの女性からこの検査を受けるように言われた
などがあるようです。

HPVは他の性感染症と同様にパートナーとの性交で感染します。
HPVはとても感染力の強いウイルスですが、ウイルスそのものを皮膚や粘膜に付けても感染は成立しません。
性交は “皮膚と粘膜をこする” という物理的刺激を加える行為ですので、そこには目に見えない小さな傷がつきます。HPVはその傷口から体内に侵入しますので、パートナーが多いほど感染の危険性は高くなります。
コンドームの使用でHPVの感染を完全に防ぐことはできません(男性性器根本部分が危険にさらされる)が、はかなりの効果が期待できますので、知識として持っておきましょう。
アイラボの無料相談で男性からの相談で最も多いのが、HPV感染についてです。
その中で特に多いのが、“パートナーが子宮頸がん検診で異常が見つかった”というものです。
・「女性」担当医から「旦那にHPVをうつされた」と言われたケース。
・「女性」パートナーにどう話せばいいのか悩むケース。
・「女性」逆にパートナーから自分が疑われてしまうケース
・「男性」パートナーから検査を受けるように言われた
・「男性」どの程度でHPVは陰性化するまで性交はできないのか?
・「男性」オーラルをしてもらっても大丈夫か?

等々、いろいろです。これらについては少しづつこのブログでも紹介していきます。

大切なことは、“HPV感染を避けること” “感染を少しでも防ぐこと” “感染有無を自身が知り、検診を受けること”
男女ともにワクチンを接種するなど、対策はいろいろあります。
この点についても皆で考えていきましょう。

男性のHPVタイピング検査を提供し始めて私達も多くのことを学びました。
『子宮頸がんは女性だけの問題ではない事』 男性自身がHPVに感染していることを現実に知ることで、本気で子宮頸がんを考えて頂ける環境が生まれてきた気がします。

大河戸先生ありがとうございます。

クリニックで性病検査を受けたが、何でもない、と?

『おりものや臭いがきつくなったので、近くの婦人科を受診して性病の検査を受けました。
1週間後に再度受診したところ、検査に異常はないとのことで、何も治療しなくてよいと伝えられ安堵しました。しかし、帰りの電車でボーットしていたら、ふと本当に安心していいのか心配になり、いろいろネットを調べたら、細菌性腟症や腟内フローラの記事が出てきたのでアイラボの「腟内フローラチェック」を注文した。』というお客さんの話です。

腟内フローラや細菌性腟症を心配してくれる先生は少ない!

この方は、外陰部のかゆみと臭いが気になって婦人科を受診しましたが、前述のように「何でもない」とのことでした。しかし、不安が解消されず、“腟内フローラチェック”を希望されました。

その結果は、(このサイトを見て頂いている方や、アイラボで腟内フローラチェックを受けられた方なら)“細菌性腟症”を疑うことは容易にできるでしょう。

ではなぜ婦人科の先生は「何でもない」と言われたのでしょうか?

実は、子宮頸がん検診を扱う多くの検査機関では、細菌性腟症が疑われるケースであっても『結果にそのことを記載しない』のです。なぜ?、、、との質問に対し、「説明ができない」「質問された時の対応が面倒」と言う答えが返ってきました。まあ、その他にも診断する側の問題として判定基準が良く分からない等々、理由はほかにもあるかも知れません。ひょっとしたら、多少の臭いやおりものがあるケースは結構多いので、“ほっておいてもいい”と考えている人もいるかもしれません。

子宮頸がん検診をほとんど受けていない人の中には、おりものや臭いが気になるので、今年は受けてみようかな?といった理由で検診を受けられる方もいます。どこの検査機関でも、トリコモナスとカンジダについては発見された時はその旨を報告しますが、前述のように細菌性腟症については報告されません。
アイラボに検査を依頼されている検診機関では大半の検診機関では細菌性腟症が疑われる場合は記載していますが、記載不可の施設も少なからず存在します。おりものが気になって受診された方には大変気の毒な話です。
2022,6,6のブログ「細菌性腟症の事例」で紹介したように、オリモノや臭いが心配で婦人科を受診したところ、カンジダの治療薬を処方されました。その方は、“自分はカンジダ症ではなく細菌性腟症と思っていました”ので処方された薬は飲まず、腟内フローラチェックで検査を受けることにしました。その結果は思った通り、細菌性腟症でしたので、その結果を持って再度同じ婦人科を受診されたようです。
その結果、担当医師は快くフラジールを処方してくれたそうです。
セルフメディケーション(自分の体調の変化は自分でチェックしてみましょう)

どうしたらよいのか分からない時は、先ずは相談しましょう。
アイラボ以外にも相談窓口はありますので、探してみましょう。
アイラボの無料相談は、日本性感染症学会認定士が全てのご相談に対応していますので、
お気軽に!

オンライン診療にも使えるアイラボの郵送検査キット
第2号 腟と咽頭のSTDチェック(kit10)

性感染症が心配だ!
開業当初の20年前、最も注目を浴びたのが性病(性感染症)の郵送検査です。
それ以後、郵送検査を行う会社も増えてきたため、比較的気軽に検査を受けられるようになりました。
特に、淋菌やクラミジアなど、性感染症の代表格については検査法が普及し、どこで検査しても結果が大きく異なることがなくなりました。
HIVや梅毒の検査においても、ろ紙に血液をしみこませたものを検査会社に送る方法などが広がり、これらの検査も精度的に検査会社で大きな差が出なくなってきたと思います。

郵送検査会社としてのアイラボの特徴は、細胞診を主体にした「女性の性感染症検査」ですので、開業20年を過ぎたことから、“アイラボの特徴(専門性)”を伝える努力をしてきました。

アイラボの郵送検査キット『オシャレな貴女のパスポート』は前回紹介した『婦人科トータルセルフチェック』とほぼ同時に販売を開始した商品で、婦人科トータルセルフチェックにのどの淋菌とクラミジアの検査を追加したキットです。

お化粧して、素敵な洋服を着てオシャレに気を遣う女性の皆さんに、“健康”にも気遣って欲しいという願いで商品化したキットです。現在もこのキットは存在しますが、子宮頸がん検診を受ける方が増えてきたため、『子宮頸がん(細胞診)検査』を除いたキットを新たに送り出しました。

それが、オンライン診療アイラボの郵送検査キット第2号『腟と咽頭のSTDチェック』です。

腟と咽頭のSTDチェック~シンプルキット~』は採取器具に綿棒を使用し、価格を低く設定していますので、定期的に検査を受けたい人には便利なキットです。『腟と咽頭のSTDチェック』は検査の内容は同じですが、採取器具に加藤式を使用していますので、子宮頸がん細胞診検査やHPV検査などの遺伝子検査の追加検査も可能になります。子宮頸がん検診を定期的に受けてない人はこちらがお勧めです。

シンプルキットは定期検査に最適!

腟と咽頭のSTDチェックはアイラボ独自で開発したキットです。
それは、細胞診を土台にした検査です。
細胞診は、子宮の入り口から細胞を採取して子宮頸がんの検査法として普及しましたが、私達は「最も簡単で、最も信頼性が高い、婦人科感染症の総合的な検査法」として位置付けています。「腟内に炎症があるか?」「カンジダがいるか?」「トリコモナスの感染があるか?」「腟内フローラは健康的か?」「細菌性腟症があるか?」それに子宮頸がんの原因となる「HPV感染による細胞変化が見られるか?」そればかりではありません。「年齢や性周期に合ったホルモンの分泌があるか?」などを、熟練した細胞検査士と顕微鏡があればできる検査なのです。
淋菌とクラミジアについては、感度の高いPCR法と組み合わせたのがこのキットです。

子宮頸がん検査など追加検査の可能性がある人はこちら

採取器具を綿棒ではなく、加藤式(画像)を使うことで、色々な追加検査が可能になります。
「なぜ、追加検査の必要があるのか分かるの?」、、、と言う質問があります。

アイラボではどんなキットでも全て検体が適正に採取されているか確認しています。
下の写真の上は検体の適否をチェックする標本です。下が子宮頸がん細胞診検査に使用する標本です。
検体の適否を観察する細胞の量は少ないですが、これだけでも様々な情報が得られるのです。
病院では、検査に必要な検体の多くはお医者さんや看護師さん大きな病院になると検査技師さんが採取します。しかし、郵送検査は“素人の皆さん”が採取します。従って、採取器具は“安全で”、“目的の検体が適切に採取できる”ものを採用しますが、採取方法の説明書をよく読まないで採取する方がいるため、必ず検体の適否判定をしています。

アイラボに届いた検体は、写真の様に子宮頸がん検査と同じように染色して目的の細胞が採取されているか顕微鏡で観察します。
その時、1)白血球が多いか少ないか 2)トリコモナス原虫 3)カンジダの菌糸 4)異型細胞 などが同時に目に飛び込んできます。でもこれはあくまで簡易的なチェックを目的とした標本ですので、例えば、異型細胞が見られた時には細胞診検査やHPV検査を勧めたり、白血球が多く見られ感染症が疑われる時で(淋菌、クラミジア、トリコモナス、カンジダ、細菌性腟症など)が陰性であった時は「マイコプラズマチェック」を勧める場合もあります。

加藤式器具で採取した検体であれば、「子宮頸がん細胞診検査」やアイラボが提供している遺伝子検査の全てが追加検査が可能になります。
アイラボに届いた検体は、当日に処理し、遺伝子検査以外は数日以内に結果が出ます。
異常所見が見られた時は遺伝子検査以外は全て写真が添付されます。全国どこの医療機関にお持ちいただいても、担当の先生にご理解頂けるようアイラボ独自の報告書を作成しています。20年間同じ報告書を使用していますが、これまでにクレームは一件もございません。むしろ写真付きですので、先生方が再検査されて「異常なし」の結果になった時は、他院への紹介や再検査をして頂けることが多いようです。※ネット報告の書式は若干異なりますが、画像は同じように添付されます。
20年前に病院に行くのが苦手な人のために郵送検査として世に送り込んだ“婦人科トータルセルフチェック”ですが、その後、内緒にしておきたい性感染症検査のニーズが高まり、今回ご紹介した“腟と咽頭のSTDチェック”もキット化しました。
今、コロナ禍で、医療現場からもオンライン診療のニーズが高まっていますが、私が最後の仕事として掲げた“セルフメディケーションの普及”のためにも、郵送検査で培ったノウハウが生かせます。医療における新しい制度が順調に発展するためにも、医療側の押し付けではなく、受診者にとっても心地よい検査システムになるよう、郵送検査を受けられた皆様(患者側)のご意見を頂ければ幸いです。

1月25日NHK放送 クローズアップ現代「急増なぜ?梅毒“過去最多”の衝撃 感染から身を守るには」について Dr.シイナの感想

先日1月25日、NHKにてこのような放送がありました。

クローズアップ現代「急増なぜ?梅毒“過去最多”の衝撃 感染から身を守るには」

コロンブスの乗組員が大陸からヨーロッパに持ち込んだとする“梅毒”が、最近日本で急速に増えてきています。そんな背景があってのことと思いますが、1月25日の桑子さんのクローズアップ現代は“性感染症”がテーマでした。

日本人は性に関しては大変秘匿性が高く、メディアも直接的な表現を避ける傾向がありますので、司会の桑子さんとコメンテーターの川名先生も使われる言葉や表現には大変苦労されたのではないかと思います。その分、視聴者から見れば、目新しいことを期待するのは難しいテーマなのです。

50年も前の話になりますが、私は、千葉大学教育学部(養護教諭養成課程)教授武田 敏先生の研究をお手伝いしていましたが、当時の武田先生は月に何度も全国の高校に性教育の講演に招かれていました。
そんな先生が、講演から帰ってくるたびに「講演に招かれることは光栄なことだが、主催者側の根底には“臭い物には蓋をしろ”や“寝ている虎を起こすな”的思想があり、思うように子供達に伝えられないと悩んでいました。

NHK(桑子さん)が大変難しい性感染症をテーマを選ばれ、お二人がどんな言葉で何を伝えるのか、そして、どれだけ踏み込めるか大変興味を持って拝見しました。
「梅毒」「クラミジア」「淋病」「早期発見」「感染の広がり方」「早期発見の重要性」「専門医療機関だけでなくかかりつけ医でも」「婦人科の敷居は高い」、、、などがお話になられたキーワードでした。
内容は私達が開業した20年前と大きな違いはなく、やはり性に関わる問題の難しさが改めて伝わってきました。

そんな中で私が最も嬉しかったことは、「郵送検査」と言う言葉が川名先生から”チョットだけ“出たことです。
秘匿性の高い国民に、もっと気軽に検査を受けられる場を提供したいとの思いから郵送検査を始めました。直接医師が関わらないので、法的に問題はないのか? 学会関係からの反発はないのか? など、石橋をたたきながらの船出でした。

郵送検査を後押ししてくれたのは、産婦人科医であり細胞診専門医でもあった故八田賢明先生の熱い言葉でした。
「椎名君、女性にとって私達の産婦人科クリニックはとても敷居が高いんだよ。お産以外には来たくない所なんだよ。そのため発見が遅れ、(HPV感染が原因の)子宮頸がんや(クラミジア感染が原因の)不妊症になってしまうんだよ。病院に来なくても、自分で採取してポストに入れるだけで結果が分かる“精度の高い検査”を考えてくれよ。」でした。
こんな優しい先生の考えに感銘を受け、何とか郵送検査を社会に認知させたいと考えていました。
そのために私が重視したのは
高い検査精度⇒患者さんが日本全国どこの病院を受診しても先生方に受診者の現状を理解して頂くため、可能な限り写真を添付することにしました。
②検査を受けて頂いた人に対するフォローアップ体制の充実⇒検査前、検査後の電話相談を充実させるため、スタッフに日本性感染症学会認定士の資格を取得してもらいました。
③そして、クリニックの先生方と患者さんの橋渡し的役割が得られれば、患者さんにとって産婦人科クリニックの敷居を下げることが出来るのではないかと考えたのです。

そして約20年が経った今、郵送検査はいろいろな方の努力があって少しずつ社会に認められるようになってきたことは嬉しく思っています。
もっとそのすそ野が広がり、老若男女を問わず、子宮頸がんや性感染症に関する知識が浸透すれば、おのずと“恥ずかしいことではなく”“内緒にすべきことでもない”“自ら率先してワクチンや検診を受ける”そんな社会の実現に寄与できればと思っています。

性感染症が増加する要因は今回の番組の中でも紹介されたように、男女共にに不特定多数の人との接触が原因であることは明白です。そのようなことは中学生ぐらいになれば(望まない妊娠や性病についても)大半は理解していると思います。それなのになぜこのような番組が必要なのでしょうか? 長くこの問題を考えてきた一人として、性に関しては「それは悪い」「それならいい」と一線を引くことができない様々な問題があるからではないでしょうか。性に関係する様々な行動はその人個人が決定するわけですので、
可能な限り適切な判断ができる基本的な知識を享受することが重要であり、20年前と変わらない内容であってもそれを繰り返し提供することの意義は大きいと思います。

私はこのサイトでセルフメディケーションを応援しています。
自分の行動は他の人が知る由もありません。従って、“自身の行動に対しては自身が責任を持ち”、“自身の健康は自分で守る”ことが原則であろうと考えます。

最近同じようなケースが少なくありません。

写真左(最初)私達が顕微鏡で見ている弱拡大、「どこにそんなおおかしな細胞があるの?っていう感じ。中央付近にあるよ!
私達細胞検査士はこんな小さな細胞を見逃すことができない仕事なんですよ。

写真右(2枚目)の強拡大では、周りが緑色で、中央が紫に染まる細胞がかたまっています。これが問題の細胞です。
細胞が小さいこと、緑色の細胞に占める(紫で染まる)核の割合がとても大きくなっていることが重要で、私達はこの細胞を見ると高度異形成かな?と推定します。

つまりこの方は“ギリギリセーフ”という段階で上皮内癌のほんの一歩手前という感じです。
今後この方は、婦人科を受診して詳しい検査(組織検査)を行うことになりますが、子宮を全摘することなしに、病巣だけを切除する円錐切除術が行われる可能性が高いと思われます。
自己採取法は認めない」という強い表現がなされているのにはそれなりの理由があるのです。
採取器具の選択や顕微鏡で観察する標本の作り方、さらには写真の様に“異常な細胞の数が少ない上に細胞が小さいので見逃されやすい”という特徴があるのです。この点を十二分に理解しないで自己採取法を提供すると、検査ではなくなってしまうのです。
私達が所属する東京都においても、毎年衛生検査所精度管理事業報告書という形で異常な細胞の検出率などがまとめられていますが、結果を見れば一目瞭然なのです。
私達は、細胞診検査の自己採取法については、子宮頸がん検診の受診率が上がらないこと、医師採取が苦手(絶対にイヤ!という人も)な人達には必要な方法と考えています。
検査を受け入れる側の意識改革が望まれるところであり、アイラボでも協力は惜しみません。
“わかっちゃいるけどやめられね”、、、と、植木等さんが歌っていました。
アイラボの無料相談でも、風俗のサービスを利用したり、ネットで知り合った人から「病気がうつった」という方は少なくありません。「もう絶対にしない!」と、大大反省したにもかかわらず、治療が終えて全快すればまたいつもの行動パターンに戻っている。そんな人結構少なくありません。これも「いい」「悪い」の問題ではなく、自分が決めて行動しているわけですから全ての責任は「自身」にあるわけです。パートナーにとってはそんなこと知る由もありませんので、翌年の子宮頸がん検診でLSILやASC-USと診断され始めて気付くことになります。もし検診を受けていなければ、がんが進行するまで気が付かないことがあるのです。

“子宮頸がんはHPVの感染が引き金になる”この事実が広く社会に浸透してきました。
数年前から男性の「HPVタイピング検査」が急速に注目を集めてきました。理由を聞くと、「自分はこれまで複数の女性と関係があったので、大切な人にうつしたくないが最も多かったのですが、最近は「お付き合いを始めた彼女が「HPVタイピング検査」を受けてくれたら先に進んでもいいというので」という人が増えてきました。つまり、女性の側から“HPV感染を避けるための行動”が広まりつつあります。

まさしくセルフメディケーション「HPVの感染も自身で守ろう」とする行動の変化が現実化してきたようです。
高い敷居を超えなくても、郵送検査は自身の健康を容易にチェックできるので、今後オンライン診療においても不可欠なツールとして期待されます。

子宮頸がん検診に(自己採取もあった)ので受診しました

子宮頸がん検診のガイドラインで推奨グレードAには“細胞診単独法(検体は医師採取のみとし、自己採取は認めない)”と“HPV検査単独法(検体は医師採取を原則とする)”があります。

このような中でも種々の理由(採取する医師が確保できない、医師採取が苦手で検診が受けられない、など、)から自己採取を部分的に取り入れている検診機関もあります。当社も自己採取法のメリットデメリットを説明した上で、医師採取が苦手な人のために自己採取法によるキットを提供しています。

細胞診単独検診を採用している検診機関では、ガイドラインで“自己採取は認めない”となっていますので、「せめて苦手な人には(自己採取法を提供したい)」、、、と思いつつも、実施までには至っていない施設が多いと思います。
そんな中、受診者当人にとっても、私達(アイラボ)にとっても『良かった!』と思えることがありました。もちろんそれを決断された検診機関の方々も『良かった!』ではないでしょうか?

今回はそんなケースを紹介しますね。

自己採取でも明らかなHSIL(高度異形成!)の細胞が!

写真左(最初)私達が顕微鏡で見ている弱拡大、「どこにそんなおおかしな細胞があるの?っていう感じ。中央付近にあるよ!
私達細胞検査士はこんな小さな細胞を見逃すことができない仕事なんですよ。

写真右(2枚目)の強拡大では、周りが緑色で、中央が紫に染まる細胞がかたまっています。これが問題の細胞です。
細胞が小さいこと、緑色の細胞に占める(紫で染まる)核の割合がとても大きくなっていることが重要で、私達はこの細胞を見ると高度異形成かな?と推定します。

つまりこの方は“ギリギリセーフ”という段階で上皮内癌のほんの一歩手前という感じです。
今後この方は、婦人科を受診して詳しい検査(組織検査)を行うことになりますが、子宮を全摘することなしに、病巣だけを切除する円錐切除術が行われる可能性が高いと思われます。
自己採取法は認めない」という強い表現がなされているのにはそれなりの理由があるのです。
採取器具の選択や顕微鏡で観察する標本の作り方、さらには写真の様に“異常な細胞の数が少ない上に細胞が小さいので見逃されやすい”という特徴があるのです。この点を十二分に理解しないで自己採取法を提供すると、検査ではなくなってしまうのです。
私達が所属する東京都においても、毎年衛生検査所精度管理事業報告書という形で異常な細胞の検出率などがまとめられていますが、結果を見れば一目瞭然なのです。
私達は、細胞診検査の自己採取法については、子宮頸がん検診の受診率が上がらないこと、医師採取が苦手(絶対にイヤ!という人も)な人達には必要な方法と考えています。
検査を受け入れる側の意識改革が望まれるところであり、アイラボでも協力は惜しみません。
会社が行う検診や自治体が行う検診は苦手(恥ずかしい、忙しい、面倒)と言って検診を受けないのは危険です。自己採取法の場合、「細胞診単独はダメ」というのであれば「細胞診とHPV検査の同時検査」であれば、OKなのではないでしょうか? なぜなら、HPV検査単独法については「医師採取が望ましい(自己採取でも可)」と表現されているように、HPV検査は採取法の違いで結果に大きな差がないからです。
セルフメディケーション自分の健康は自分で守る。アイラボでは「子宮頸がん細胞診検査」と「最新の子宮頸がん検査」を準備しています。
今回のケースは子宮頸がん細胞診検査単独例ですのでこの検査だけでHSIL(高度異形成)の存在が推定できましたが、もしこれがHPV検査単独例であった場合は「陽性」と判定されるだけです。従って、婦人科を受診して改めて医師採取により細胞診検査が行われ、今回と同様にHSILと診断されます。この場合で問題になるのは、HPV検査で「陽性」と判定されたにもかかわらず、婦人科を受診しない人が存在する可能性があるのです。
HPV検査単独法は推奨グレードAになっていますが、こんな危険性があるのです。
アイラボの最新の子宮頸がん検査であったら、細胞診検査はHSIL、HPV検査は「陽性」となりますので、当然、婦人科を受診して精密検査を受けることになります。

彼や旦那とのトラブルで多いのは?

最近、臭いが気になったので、近くの婦人科を受診しました。
先生は、特に気になる症状はないけど、血液検査だけでもしておきましょうということで、採血されました。
一週間後に再度受診したところ、クラミジアが見つかったので、一回飲むだけでいい薬を処方されました。
でも、私は一年前にお産をした後、旦那としか関係を持っていないし、旦那にもクラミジアに感染するような行為があったかどうか確認しましたが、絶対にないの一点張り、逆に私が疑われる羽目になってしまいました。
実際こんなことがあり得るのでしょうか?

この様な質問は、無料相談を始めてから山ほど経験しました。
中には、某保健所にこのようなことを質問したら、検査をしたわけでもない「アイラボさんに聞いて下さい」と言われた方もいます。

クラミジアが陽性ですからと言ってパートナーと一緒に抗生物質を処方されたケース、パートナーが他のクリニックを受診して検査を受けたが「陰性」であったケース、陽性と診断された本人が心当たりがないので、郵送検査を受けたら「陰性」だった。こんなことが今でも起こっていること自体本当に信じられません。

クラミジアの血液抗体検査では「誤陽性」が出ます。

検査は100%正しい結果が出るとは限りません。
クラミジアの検査には、血液で調べる“抗体検査”と膣分泌物やおしっこで調べる“抗原検出法”があります。
抗原検出法は、クラミジアそのものを高感度なPCR法で検出しますが、時には陽性を判定するラインギリギリの数値を示すことがあります。このような時は、同じ検体でもう一度測定して、最終判定します。従って、誤った結果“誤陽性や誤陰性”の頻度は極めて少なくなります。
それに比べて血液で調べる“抗体検査”では「誤陽性」のケースが多いため、「陽性」と判定された場合は治療を開始する前に“抗原検出法”で『本当に現在クラミジアがいるかどうか』を確認することになっています。
“抗原検出法“で「陽性」が確認してから治療に進むことになっています。

このようなことが起こるのでアイラボでは開業当初から抗体検査は採用していません。
クラミジアに感染していないにもかかわらず抗生物質が処方され、余計なお金や時間を費やす事になるのです。
そればかりではありません。パートナーとの関係が深刻な状況になってしまうことも少なくないのです。
中には「旦那にうつされたのだから、旦那も一緒に治療しなければだめだ!」と言われたケースもあります。

今回はクラミジアのケースを紹介しましたが、
「病院に行ったら子宮がんの検査と血液検査をされました。」
「血液検査では何を調べてもらったんですか?」と質問しますと、「内容はわかりません」と回答される方がとても多いのです。「その時検査結果を頂いているのではないですか?」と聞くと、「ちょっと待って下さい」と言って内容をを初めて確認される方も結構います。
「血液検査で〇〇を調べて頂きました。」と言えるようにしましょう。
自分の健康が心配になり、早めにクリニックを受診することは「早期発見、早期治療」の観点からはとても大切なことです。しかし今回のように、自分が納得できないケースも少なくありません。また、以前も“ぼやき”ましたが、患者さんが「ASC-USってどんな状態ですかでしょうか?」と質問したら、「ASC-US以下でも、ASC-US以上でもない」と答えた先生もいました。先生方にもいろいろな事情があって、うまく伝えることが出来ないことだってあると思います。そんな時はそのままにせず、お気軽にご相談下さい。

また、オンライン診療や受診前に郵送検査で確認しておく方法もあります。

生理終盤の腟洗浄はNG

女性の体は本当に神秘的です。
(思春期)月経が始まるということは、卵巣で眠っていた卵(卵胞)が成熟を始めるということです。
つまり、脳下垂体前葉というところから卵胞刺激ホルモン(FSH)が分泌され、卵巣の中にある原始卵胞(眠っていた卵)に(成熟しなさい)と刺激を与えます。すると受精が可能な卵に成熟します。このFSHというホルモンは排卵の直前まで増え続けますが、卵が成熟する過程で女性ホルモン(エストロゲン)が作られ、排卵の頃に最も多くなります。排卵されると、“排卵された”という信号が脳に行き、脳下垂体前葉から黄体形成ホルモン
(LH:排卵された後に黄体を作りなさいというホルモン)が分泌され、その黄体から黄体ホルモンが分泌され、受精卵が無事に着床し、分裂を繰り返し10ヵ月ほどかけて赤ちゃんまで成熟します。
一方、精子と出会えなかった卵は着床しないため、着床を準備していた子宮内膜成分は血液と一緒に剥がれ落ち、体外に脱出します。これが月経です。

赤ちゃんが育つ子宮は、腟を介して外部とつながっています。
外陰部は肛門に接しており、いろいろな菌が存在しますので、そのような菌が腟の中に入って増えないようにいろいろな防御機構が働いています。しかし、思春期前は腟の上皮は薄く、十分な防御力がないため時折腟炎を起こしてしまう事もあります。思春期になり、月経が始まる頃には性交にも耐えられる準備が整い、腟の粘膜上皮は厚くなり、それら細胞には乳酸菌の栄養源となるグリコーゲンが豊富になり、腟内は強い酸性の環境になります。性行為が始まるようになるといろいろな菌が腟内に侵入しますが、乳酸菌が守っているのです。

さらに、月経により多量の血液が子宮や腟内を流れ下ることで、腟内を洗っているのです。
そんな神秘的な営なみで腟内は守られていること、よく覚えてくださいね。

月経血で腟内を洗った後は、乳酸菌が増える時期!

もう1年余りも細菌性腟症で悩んでいた客さん。
お仕事柄(風俗)生理後半は早くきれいにして仕事に出たいそうです。
これまでその対策はもっぱら腟洗浄でしたが、臭いが気になるようになったので定期検査をアイラボの「腟と咽頭のSTDチェック」に切り替えたようです。その理由は性病ではない細菌性腟症の検査が同時にできるからという事でした。
しかし、初めてから一度も細菌性腟症から逃れることはできませんでした。対策は“腟洗浄は絶対にしない”を守りました。今まで習慣になっていたので“洗わないと気持ちが悪い”という思いはありましたが、外陰部はそれなりに清潔にしていましたが腟内は可能な限り自然体にしました。その間、クラミジアやカンジダ症になって治療しました。またかかりつけの先生にはフラジールを処方して頂いたこともありましたが、すぐには改善しなかったのです。

ところが今月の定期検査では腟内に炎症はなく、写真の様に乳酸菌たくさん増えていました。
検査をする私達にとっても「〇〇さん、細菌性腟症が治った!」と、みんなで喜びました。
そうなんです。
細菌性腟症は病気ではないんです。
単に腟内環境が乳酸菌主体から腟ガルドネラ菌に置き換わっただけのことです。
しかも、腟ガルドネラ菌が支配するようになっても、白血球は増えないのです。つまり腟炎は起こさないのです。
強い腟炎を起こす淋病やクラミジア、さらに腟トリコモナス症とは違うのです。

乳酸菌主体の腟内酸度はおおむねpH3.5程ですが、腟ガルドネラが主体になるとpH4.5以上になると言われています。
腟ガルドネラ菌も乳酸菌ほどではないものの酸を作るので、(ひょっとしたら)腟内をある程度守っているのかも知れませんし、他の微生物にとっても住みやすい環境を提供しているのではないか?と考えさせられることがあります。
その一つが、HPVですが、ASC-US例やLSILケースで細菌性腟症を合併していることは少なくないのです。

でも困ることが2つあります。
その一つは魚臭帯下(魚の生臭いにおいのするおりもの)です。
臭いの度合いは様々ですが、体臭と思われたり、性病では?と疑われてしまう事もあります。
もう一つの困る点は、流産や早産の原因になるという報告もあります。この点を考慮するなら、望む妊娠の前には細菌性腟症を改善しておくのが良いと思います。
細菌性腟症は病気ではありませんので、生活習慣に気をつければ改善が期待されます。
お悩みの際はDrシイナに直接ご相談下さい。セルフメディケーション!自分で努力して改善させましょう。

オンライン診療にも使えるアイラボの郵送検査キット
第1号 婦人科トータルセルフチェック(Kit012)

新年あけましておめでとうございます。

日本は穏やかな新春を迎えましたが、極寒の地で新年を迎えたウクライナの人達のことを思うと心が痛むと同時に自身の無力感にさいなまれます。どうかロシアの指導者の方々に素晴らしい地球と命を守るという万人共通の願いのために、“小異を捨てて大同に就く”ということわざを考えて頂きたいものです。

“小異を捨てて大同に就く”ということわざを最初に耳にしたのが、日中国交正常化交渉の折、中国の周恩来さんがそのように述べられたと記憶しています。“さすが大国の首相”と感銘を受けた記憶があり、その後私が大切にしている考え方です。私なり、“とても大切なことを決める時には少しの我慢は仕方ない、小異についてはその後時間をかけてお互いの妥協点を見つければいいや”という思いで実践しています。

プーチン氏とその取り巻きの方々にとっては崇高な思いがあっての侵略と思いますが、既にたくさんの命や不幸を生み出している現状を見る限り、極めて身勝手で今の時代に合わない考えではないだろうか?
真の平和のため、そしてロシアの皆さんの幸せのためにも、いさぎよく侵略をやめ、世界平和を目指す国家として(偽りのない)新たな狼煙(のろし)を上げて頂きたい、そんな思いで一杯です。

新年のご挨拶はこのくらいにして、今年も私ができることを精一杯頑張ります。
2023年最初の記事は「オンライン診療」を目指したアイラボの郵送検査キットの話です。

アイラボの郵送検査キット第1号
婦人科トータルセルフチェック(Kit012)

アイラボの郵送検査キットはオンライン診療向き

アイラボの郵送検査キット第1号は“婦人科トータルセルフチェック”です。

検査項目は『腟炎の有無』『子宮頸がん検査』『トリコモナスの有無』『カンジダの有無』『細菌性腟症の疑い有無』『クラミジア(遺伝子検査)』『淋菌(遺伝子検査)』の7項目ですが、特徴は加藤式自己採取器具で一回採取し、ポストに投函するだけです。
加藤式採取器具は、すでに400万個が出荷され、安全性が確認されています。採取は極めて簡単で、タンポンを挿入するのと同様です。器具には十分挿入されたところにストッパーがついていますので、それ以上奥に入る心配はありませんが、手術をされた方や避妊具を挿入されている方は採取前に医師にご相談下さい。また、妊娠中の方についてはご使用になれません。詳しくは大成化工株式会社「ご使用に関するご相談窓口」072-640-2125(担当三上)が承ります。器具以外のご質問に関しては、アイラボの無料相談でもお受けいたします。

採取の失敗は1000件中3件ほどありますが、その原因はいずれも採取法の説明書を良く読んでいないことにつきます。つまり、説明書通りに採取して頂ければ、失敗はゼロです。

採取された検体は、同封の封筒に入れポストに入れて頂くだけです。
アイラボに届いた検体は、当日に処理し、遺伝子検査以外は数日以内に結果が出ます。

写真左(1番上)は、子宮頸がん検査でLSIL(軽度異形成)に相当する細胞です。このケースは病院を受診して頂き、子宮頸管内を含め精密検査(細胞診)をお願いしています。また、感染しているHPVの型の検査を希望される方には「HPVタイピング検査(ハイリスク13種+コンジローマ)」の追加が可能です。この検査は『高感度多種HPV検出法 uniplex E6/E7 PCR』という杏林大学保健学部大河戸光章先生が開発した方法を採用しています。
写真右(2番目)は、クルーセルが見られ、細菌性腟症が疑われるケースです。性感染症ではありませんが、多くの場合おりものの臭いが気になるようです。ご相談の上しばらく様子を見るケースと婦人科を受診して頂くケースに分かれますが、先ずは生活習慣の改善に挑戦して頂くため、お気軽にご相談していただく事をお勧めしています。(例えば、40代でお産の経験がある方の場合、しばらく入浴(浴槽に入る)を控えシャワーのみにして頂くことなど)
写真左下(3番目)は、ゴマのように見える白血球が増えていますので、腟炎が疑われます。婦人科トータルセルフチェックに含まれない感染症の存在も否定できません。腟炎の結果以外に異常所見がない場合で腟炎の状況がひどい時は「マイコプラズマやウレアプラズマの追加検査」をお勧めすることもあります。
写真右下(4番目)は、トリコモナス原虫が見られたケースです。トリコモナスの検査においても、このキットなら1週間以内であれば全く変質することなしに検査することが可能です。
今回は、写真の添付はしませんが、カンジダや腟内フローラの検査も追加でできるのがこのキットの特徴です。
異常所見が見られた時は遺伝子検査以外は全て写真が添付されます。全国どこの医療機関にお持ちいただいても、担当の先生にご理解頂けるようアイラボ独自の報告書を作成しています。20年間同じ報告書を使用していますが、これまでにクレームは一件もございません。むしろ写真付きですので、先生方が再検査されて「異常なし」の結果になった時は、他院への紹介や再検査をして頂けることが多いようです。
“チョットいつもと違う?”
そんな時、気軽に婦人科に行こう、とはなかなかなれないのが日本女性かな?
今日も元タレントの方が亡くなられたニュースが入ってきました。原因は「子宮がん」とありました。
病院に行くのが苦手な方のために始めた郵送検査、この20年ですそ野が広がってきましたが、まだまだアイラボの認知度が低いことがとても残念です。

婦人科トータルセルフチェックの採取器具は“加藤式”ですが、腟内に自然に剥がれた細胞と子宮の入り口をこすり採ることでたくさんの細胞が採取できる優れものです。初心者でも簡単に採取できます。

結果のご報告は、ネットと郵送があります。
依頼されたご本人はもとより、ご本人の承諾が得られたものについてはご指定の医療機関へのご報告も可能です。
20年前に病院に行くのが苦手な人のために郵送検査として世に送り込んだ“婦人科トータルセルフチェック”ですが、
コロナ禍で予期せぬオンライン診療が広がりつつあります。これは医療側にとっても患者側にとっても画期的な出来事です。私達、検査に関わる者としては医療の現場が混乱することがなく、適切な診療に結び付けられるよう、その在り方についても進化させていきたいと考えています。

腟内のヘルペス発症は無症状

ヘルペスは唇や性器に水疱を形成し、とても痛い感染症です。
初めて性器にヘルペスが感染した時は、あまりの痛さに歩行困難になることもあります。
ヘルペスウイルスはいったん体内に侵入すると自然に排除されることはありません。
神経節細胞の中に潜んでしまうのです。そしてその人の体力や免疫力が落ち来た時(真夏に海水浴に行って泳いだり強い紫外線に当たると体力は消耗します。また、風邪で高熱が出た時も体力は著しく消耗して免疫力が低下します。)に神経を伝わって“再発”します。

初めて感染した時に比べると症状は軽くなりますが、再発病巣の水泡の中にはたくさんのヘルペスウイルスがいますので、接触した人に容易に感染します。
再発部位が外陰部や亀頭であれば、再発していることが容易に分かりますが、腟の中だと痛みなどの症状は全くないので、再発していることが分かりません。

今回のケースは、子宮頸がん検診を受けた方で、内診結果は特に異常はない“no problem”でした。

再発例は核内好酸性封入体が見られる

左(上)の弱拡大では、白血球が増えていることが分かります。
(でもこの程度の白血球の増加では、多くの場合内診の評価はno problem です。)

白血球が増えている(腟炎がある)と、おりものは黄色くなります。
ヘルペスが腟内で再発している場合は、痛みなどの自覚症状はなく、“黄色いおりものが若干増える程度”なので、分からないことが多いのです。

黄色いおりものは、何らかの原因で腟炎を起こしているサインです。
トリコモナスや淋病、クラミジアなどの性感染症でもおりものは黄色になることが多いです。
腟カンジダ症は白いおりもの(オカラ様、かゆ状、カッテージチーズ様)が特徴ですが、炎症が加わる(白血球が増える)と黄色いおりものになります。

右(下)は拡大を上げた写真です。
複数の核が一つの細胞の中に押し合うように見られますが、これは細胞融合によっていくつかの細胞が寄り集まって一つの細胞の様に見えるのです。その核の中には(この写真では)黄色味を帯びた好酸性核内封入体(染色によっては赤っぽく染まります)が見られ、これが再発の特徴です。
ヘルペスに一度感染してしまうと、(感染させてしまうから)と言う理由で性交渉が消極的になってしまうといった相談が結構あります。また、パートナーに感染したことがあることを伝えるべきか?、内緒にしておくべきか?と言った相談もあります。

その時の状況で、適切に判断して頂きたいところですが、とは言っても現実に直面すると難しい問題があります。
あるケースですが、数ヵ月前に初めてヘルペスが発症し、強い痛みに大変苦しみました。そのことがあってそれまでお付き合いしていた人とは別れましたが、最近新しい彼が見つかりました。まだ性的な関係はありませんが、近い将来そうなると思いますので、新しい彼に自分がヘルペスに感染した(保菌者)であることをことを告げるべきでしょうか?それとも内緒にしておいた方が良いのでしょうか?という相談でした。

この質問にに対して、私は以下の様に回答しました。
『もし新しい彼に真実を伝えた場合、あなたが体験したように極めて厳しい症状に見舞われ、しかもヘルペスウイルスは自然に排除されないため保菌者になるわけですから、それは怖いと言って去っていく人もいるかも知れません。しかし、もし本当にあなたを愛してくれている人だったら、ヘルペスは二人にとって共通の持病になるので、お互いに再発しないような生活習慣を身につければいいのだからそんなこと心配しなくてもいいよ。もし僕も発症したら、ちゃんと治療するから大丈夫だよ。と言ってくれる人もいると思います。私だったら後者を選びますが、その判断は貴女が決めるしかないね。』

今回のケースの様に、腟内で発症している場合は症状だけでは気が付かないことが多いわけですので、オーラルセックスはできるだけ避けたり、手や指の汚染対策に十分配慮すること、また、コンドームの正しいい使用でかなりの確率で再発を防ぐことができますので、それ程悲観的になる必要はないと思われます。
自身の病と正面から向き合い、可能な限りの感染防御策を学び、それを習慣にしましょう。
セルフメディケーション! 二人の愛で共通の病に向き合いましょう。