症状から自身の病気(状態)が分かっている人が増えています。

アイラボを開業して20年以上が過ぎました。
特に女性の健康に特化した活動をしてきましたが、その理由の第一は、子宮頸がんや不妊症など女性特有の病気は早期に発見できれば“大事にはならない”からです。しかし、女性にとってはいつの年代においても“婦人科は敷居が高い”ものです。そして、そのことが早期発見を遅らせてしまうのです。私達でも、“気軽に相談できる場” や “気軽に検査できる場” などの環境づくりなら社会の役に立てると考え、アイラボを立ち上げました。
そして、先ずは病気を知って頂くために、HPやブログで、いろいろな病気や、悩み事を紹介し、さらに顕微鏡画像を取り入れ、病気の見える化にも挑戦してきました。
そんなことも少しは役立ったのか、最近自分の健康についてしっかり考える人が増えてきた気がします。

症状から自身の病気や状態を推測できる人が増えている。

その代表的な病気は“細菌性腟症”写真左(上)です。
しかしこの病気(状態)の症状は、お医者さんの内診でも“カンジダ?” とか “トリコモナス?” といった具合に、症状が似ていることが多いのです。
ですから、私達はカンジダ、トリコモナス、細菌性腟症の単独キットは提供していません。正解すれば料金が安いくすみますが、外れた場合は別のキットを購入せざるを得ないことになり、負担が大きくなるからです。
そこで準備したキットが「おりもの&臭いの検査(シンプル)キット(Kit 13SM)」です。細菌性腟症、トリコモナス、カンジダ、淋菌、クラミジア、腟炎(写真右(下))の有無を調べるキットです。腟内に綿棒を挿入して検体を採取しますので、子宮頸がん細胞診検査やHPV検査などの追加検査はできませんが、料金が安くなっています。子宮頸がん検診を既に受けている方はこちらがお勧めのキットです。
子宮頸がん検査の追加が可能なキットは加藤式採取器具を使用する「おりもの&臭いの検査(Kit13)」で採取して頂きます。
最初から子宮頸がん細胞診検査も受けておこうという方は「婦人科トータルセルフチェック(Kit12)」がお勧めです。

このケースは婦人科トータルセルフチェックで検査を受けて、、、その結果は

その結果が写真左(上)の細菌性腟症でした。
従って、今回選んで頂いた婦人科トータルセルフチェックでは、
1)淋菌やクラミジアの感染はない、
2)トリコモナスやカンジダもいない、
3)腟内に炎症も見られない、
4)子宮頸がん関連関連病変を疑う細胞も見られない、
※従って、この方のおりものや臭いの原因は、細菌性腟症であり、その他は正常であることが判明したわけです。
婦人科トータルセルフチェックはそんな優れものの検査キットなのです。

オンライン診療を受けられる方には便利な検査キットです

今回婦人科トータルセルフチェックを受けて頂いた方は、オンライン診療を採用されているクリニックを選ばれるようです。一方の患者を受け入れる側にとっても、先ずはこれだけの情報が提供されることは診療時間の短縮や治療方針の決定に有効活用できると思います。また必要があれば、HPV検査などの追加検査も可能な点が先生方にも注目されている点と思われます。
セルフメディケーション!自身の健康には自身が責任を以って対応しましょう。

私達アイラボのキットと限らず、キットを選ぶ際は十分納得のいく説明を受けましょう。

ご紹介した今回のケースも、購入前に十分な説明をさせて頂き、キットを選んでいただきました。

二人とも他の人との性的関係はないのに、なぜクラミジアが?

『たまたま病院で検査をしたらクラミジアが陽性という結果が出で、先生から旦那にうつされたと言われた。』『自分は半年前に検査を受けていて、その時は「陰性」で、それ以降旦那以外との関係はないので、旦那に心当たりがあるかどうか聞いてみたら、逆に私が疑われた。』

似たようなケースは開業して間もない頃から比較的多い相談です。
その頃は、保健所でもクラミジアの検査には血液で調べる抗体検査が行われていました。
IgGとIgAを調べる検査で、IgAは感染初期に現れる抗体でIgGはそれより少し遅れて上昇し、かなり長い期間陽性を維持する特徴があります。当時から多いのがIgG(-)、IgA(+)のケースでの相談です。

この検査では、実際は感染していないのにIgAが陽性になり、前に述べたようなパートナー間でトラブルになるケースが多いのです。従って、抗体検査で陽性になったら、性器から検体を採取して、クラミジアそのものが存在するかどうかを(抗原検出法でで)確認した上で治療に進むことになっています。
しかし、そのことを理解していない医師や保健所の関係者が、「陽性なので病院に行って下さい」とか、実際に薬が処方されてしまうこともありました。
「病院に行って下さい」と言われた受診者は十分な説がないものですから“感染している”と思うのは無理もないのです。そして思いもよらない方向に発展しトラブルになってしまうのです。

受診者が(千葉県の某)保健所に説明を求めたところ「アイラボさんに相談して下さい。」と言われた方もいました。そんなことが頻繁に起っていたので、保健所の担当者にその旨を伝えましたが、結構その後もこの検査は続いていましたが、今は抗原検出法が採用されていると思います。無料で検査をしてくれるのはありがたいけど、説明がちゃんとできないのであれば“ありがた迷惑な事”でした。

そんな結構昔にあった問題が、今もあるのか? でも今回は病院でのお話の様です。
何かの間違いであって欲しいので、相談の前に「抗体検査なのか」「抗原検出法であったのか」先ずは確認して頂くことにいたしました。

その後、連絡がないので、この問題を取り上げました。

抗原検出法は、クラミジアそのものを検出する方法です

クラミジアは感染した細胞の中で増えます。
左の写真はクラミジアが感染した細胞で、丸くぼやけた構造をしているのがクラミジアがたくさん増えた時に見られる所見です。
この丸い部分について星雲状封入体nebular inclusionnと(Drシイナが)名付けました。右側の写真は蛍光抗体法という方法でクラミジアの粒子を観察したもので、丸く光っているのがクラミジアの基本小体です。星雲状封入体の中には何万という数のクラミジアが存在します。抗原検出法ではこの粒子が存在すれば陽性になる検査です。現在はこのような蛍光抗体法ではなく、さらに感度の高いPCR法によって検査されています。
それでも、時には「陽性・陰性と判定できない数値を示すことがありますが、そんな時はもう一度検査をやり直すことになっています」再度やり直した結果が本当に正しいか?という問題も少なからず存在するのが検査なのです。


そうなんです。
検査をすれば “陰性なのか” “陽性なのか” がはっきりすると思われがちですが、必ずしもそうではありません。
例えば1.0以上が陽性と判定されるような検査では1.1は測定上“陽性”と判定されますが、真の陽性ではないこともあります。なので、「陽性の結果になりましたので、抗原検出法で確認して下さい」、、、ということになります。抗原検出法で陽性が確認されて初めて治療が行われます。このようなことを確認していれば、「パートナーにうつされたなどの表現にはならないはずです。」

検査を受ける側は大半の場合、そのような解釈については「無知」に等しいので、検査を提供する側にはその辺の丁寧な説明が求められます。前で紹介した保健所さんの対応で、(説明ができないのであれば)「アイラボさんにご相談下さい!」が、誠意ある対応だったと思います。

なので、検査は100%正しいとはいえません。

私達は、基本的に病院やクリニックを受診されている方については、診療の妨げにならないよう配慮しながら、回答しています。
このブログでも紹介させて頂いたように、クリニックを受診したが、自身の思い(自己診断)と異なる対応がなされること少なくありません。そんな時、相談するところがないため、一人で悩むことが多いのが現状です。

私達は、たまたま臨床検査技師で、細胞検査士でもあり、日本性感染症学会認定士の資格を有していることや大学で細胞診の教鞭をとっていたこともあり、特に女性特有の悩み事について、電話やメールで無料相談の場を提供しています。相談したからといって検査キットを購入する必要はありませんので、お気軽にご利用ください。
セルフメディケーション(自分の体調の変化は自分でチェックしてみましょう)

どうしたらよいのか分からない時は、先ずは相談しましょう。
アイラボ以外にも相談窓口はありますので、探してみましょう。
アイラボの無料相談は、日本性感染症学会認定士が全てのご相談に対応していますので、
お気軽に!

メールで相談された方には最後まで対応できていなかったので、内容を若干かえて投稿させいて頂きました。
同じようなことで悩まれている人は貴女ばかりではありません。どういう分けか先週はクラミジアに関する同様の質問が多かったです。参考になれば幸いです。

オンライン診療にも使えるアイラボの郵送検査キット
第3号 最新の子宮頸がん検査(Kit002)

アイラボが郵送検査を始めて20年以上が経ちました。
当時の子宮頸がん検診の受診率は、25%にもにも至っていなかったのです。
郵送検査という方法はあるものの、その頃はあまり評判のいいものではありませんでした。
でも、“やらないよりはやった方がいい”、、、とは思いつつも、細胞診断学の教鞭をとっていたことや学会や関連団体での活動もしていたため、表立って“自己採取法による子宮頸がん細胞診検査”を始めることには躊躇しました。しかし、以前から “加藤式自己擦過法器具”という素晴らしい採取器具があること、医師採取が苦手な人のために自己採取であっても精度の高い検査方法を考えて欲しいという婦人科医であり細胞診専門医の先生の後押しもあって、自己採取法による子宮頸がん細胞診検査キットを世に送りました。

しかし、その当時の自己採取法における検査精度の低さには驚くものがあり、私自身『これは検査ではない』という思いから、いくつかの検査機関や検診機関を訪問し、採取器具の選定や検査法の改善を促してきました。
しかしながら、その反応は『良くないことは分かっているが、大きなクレームがない』という理由で、真面目にとりいて貰えなかった経緯があります。そして昨今、子宮頸がん検診ガイドラインでも自己採取は“ダメ”のお墨付きが出されています(どんな経緯かは分かりませんが)。

子宮頸がん検診の受診率も上がらない、HPVワクチンの接種も浸透しない、そんな日本の子宮頸がん対策であるならば、“何としても医師採取と同程度の検査精度を維持し、自己採取法の灯は消さない”と決めました。同時に、持論でもある『婦人科細胞診は、最も正確で、最も安価な、婦人科感染症(腟炎、トリコモナス、カンジダ、細菌性腟症、HPV関連病変、等)の総合検査法である』ことを広め、守っていきたいと考えています。

ここでは自己採取法による細胞診とHPV検査の併用検査についてお話しします。

自己採取法の特性を知れ!

この写真は、加藤式自己擦過法器具で、大阪の大成化工株式会社が製造販売しています。
この器具はすでに400万本が出荷され、安全性も確かめられた子宮頸がん検査用に開発された器具です。
タンポンのように自分で挿入して、奥まで入ったら6回先端のスポンジ部分を回転させて子宮の入り口をこすって細胞を採取します。そればかりではありません。自然に剥がれ落ちて腟内にたまっている細胞もからめとってきますので、大量の細胞成分が採取されるのです。実はそれが利点であり、欠点でもあるのです。あまりに多くの細胞をからめとってきますので、お医者さんが子宮の入り口や少し奥に入ったところ(子宮頸管)を集中的に採取する検体に比べ、異常な細胞の割合が相対的に少なくなってしまうのです。

このことを理解していれば、どのような標本を作製したらよいのか?どのようなことに注意して顕微鏡を観察したらよいのか?工夫すれば精度を上げることが出来るのです。それが自己採取検体を扱う上で最も重要なことなのです。
「受診者からクレームがないから現状でOK」では、検査にはならないのです。
「クレームがない」と言う人は「現実に起こっていることを知らないのでは?」、、、ないでしょうか。
加藤式擦過法器具が腟内に挿入されている図です。
器具の先端部分はスポンジになっています。スポンジの部分を回転させることで、子宮の入り口を擦ります。同時にスポンジの先端部は後腟円蓋部(自然に剥がれ落ちた細胞が溜まっている場所)の細胞も絡め取ってくる仕組みになっています。
6回転させてから、スポンジ部分を器具の中に戻してから器具全体を腟から抜きます。抜いた後にスポンジが収納されている筒の中に保存液を全て入れ、しっかり蓋をして、必要事項を記入した検査依頼書と一緒にアイラボに送って頂きます。

この器具は細胞診検査用に考案されましたが、HPV、クラミジア、淋菌、マイコプラズマなどの遺伝子検査にも対応可能です。子宮頸がん健診に用いられるHPV検査は、医師採取と自己採取では結果に大きな差がないため、既に他社製自己採取器具(エヴァリンブラシ)は検査機関や検診機関でも採用されている採取器具です。
当社ではすでに加藤式器具とエヴァリンブラシについて、HPVの検出率の比較を行っていますが、陽性一致率95.7%、陰性一致率 87.5%であること確認しています。
検査の結果は(郵送の場合)写真の様に報告されますが、ネット報告は報告書の形態が異なります。

当社における細胞診の結果は、ベセスダ方式でのご報告ななります。ASC-US以上の異型細胞が見られた時は、全て写真が添付されます。また、LSIL以上の異型細胞の検出率は、通常の子宮頸がん検診ではおおむね2%程になりますが、風俗営業従事者の場合はおおむね20%以上になり、最近実施した30名におけるLSIL以上は7名23.3%でした。このような数値は当社における自己採取法による細胞診検出率の目安にして頂ければ幸いです。

HPV検査には感染しているHPVの型まで調べる“HPVタイピング検査(ハイリスク13種)も提供していますが、こちらはuniplex E6/E7 PCR法にて検査しています。過去にHPVの感染やLSIL以上の診断がついついている方はこちらのキットが良いかと思います。““感染しているHPVが持続しているのか?”を見るのに適しているからです。
自分で努力すれば“早期に発見できるがん”“なかなか早期に発見できないがん”があります。
子宮頸がんは、定期的に検査を受ければ、子宮を摘出することや“命を落とすことはないがん”なのです。

検診を受けるのが“恥ずかしい”、“忙しく時間がない”、“特に症状もないのに面倒”、そんな検診が苦手な人にも、今は様々な選択肢があります。ワクチンの接種や私達が提供している郵送検査もその一つです。子宮頸がんは、HPVに感染してもすぐにがんになるわけではありませんので、“定期的に検査を受けていれば、子宮と命を守れるがん”なのです。検診の機会は各自治体や会社で行っているものだけでなく、自身で受けるドックや郵送検査がありますので、自分に合った方法を選ぶことができます。納得のいく方法でよいと思いますので、セルフメディケーション! HPV感染から子宮を守りましょう。
医師採取であれ自己採取であれ、HPVに感染しても必ず異常な細胞が出るとは限りません。
陰性(NILM)の結果が出てもHPVいなくなったわけでも、異常な細胞が存在しなくなったわけではありません。
必ず、担当の先生の指示に従って定期的にチェックしてください。
検診でHSILと診断されたり、HPV検査で陽性と診断されても精密検査を受けない人も少なくありません。
せっかく発見されても何の意味もなくなってしまいます。
“面倒だな”と思っても、子宮頸がんから自分を守るためには、“今どんな状況にあるのか” をチェックしなくてはならないのです。少なくてもHSIL(前がん状態に向かっている状況)になっていないかどうかをチェックすることが重要です。

悩んでいる人はまず私達に相談してください。

男性のHPV検査が教えてくれること

子宮頸がんの原因は“ハイリスク型のHPV感染”、このことが広く国民に浸透してきたようです。それと同時に、“HPVは性交によって感染する”ことも、老若男女問わず理解されてきたようです。

私は杏林大学保健学部在任中からHPV感染に関する研究に取り組ん出来ましたが、中でも大河戸光章先生はこの分野の第一人者と言えるまでに研究成果を上げてきました。その研究の中で『高感度多種HPV検出法uniplex E6/E7 PCR』の開発は、従来法に比べて高感度な上に39種のHPVの型を均等な感度で検出できるとことと、多重感染であっても感染しているHPVの型を厳密に区別することが可能な方法です。

アイラボの郵送検査はこの方法でHPVタイピング検査を行っていますので、今回はその一端をご紹介いたします。
(大河戸先生にはその旨の許可を頂いております)

女性はもとより、男性性器からの検出も可能!

これは大河戸先生が日本臨床細胞学会のシンポジウムで講演さてた時のスライドです。
アイラボの『男のHPVタイピング検査(ハイリスク13種)Kit 112』は、左の濃い赤枠で示された13種を同時に測定しています。
それらのHPVが存在(>100copuies)すれば、右の黒枠内の白帯の様に、各々のHPVが均一に検出できる方法なのです。
アイラボでは、PCR検査を実施する前に必ず検体の適否判定のための標本を作製し、写真の様に顕微鏡で細胞の有無を判定します。細胞が採取されていなかったり、極めてその数が少ない時は高価な検査を実施せず、再採取をして頂いています。
2枚の写真共に男性の亀頭部分を綿棒でこすって細胞を採取したものです。亀頭部分は重層扁平上皮で覆われていますので、通常は細胞の核は観察されませんが、写真左(上)は良く見ると1個の核が見えます。もちろん細胞はたくさん採れています(細胞と言うより垢のようですが)ので検体としては適正ですのでPCR検査に進みます。
写真右(下)は、採取されている細胞はかなり少ないですが、検体としては適正と判定しました。実際PCR検査に使用する細胞はこれよりかなり多いので検査には問題ありません。

さて、このような亀頭からの検体ですが、どんな結果になるでしょうか?

子宮頸がん検診ガイドラインではHPV単独検査は推奨ランクAになっています

少し話外れますが、子宮頸がん検診でHPV単独検査の場合は、子宮腟部や頸部から採取される細胞については検体の中の細胞成分を顕微鏡で観察することはありませんので、白血球が増えている(炎症がある)か? トリコモナスやカンジダの様な感染症があるか? などについては分かりません。あくまで、子宮頸がんの原因となるハイリスク型HPVが存在するかどうかの検査ですので、“いつもと違っておりものが気になるので今年は検診を受けよう”と思われている人にはその点を理解されれておかれるとよいのではないかと思います。

従って、HPV単独検査で「陽性」の結果をもらった時は、婦人科を受診して細胞診検査を受けることになります。この細胞診検査(普通の子宮頸がん検診で行われている検査)では、今現在どのような細胞が見られるのか『子宮頸がん関連病変 NILM(異常な細胞はない)ASC-US(HPVの感染が疑われる細胞がある)LSIL(HPVに感染した細胞=軽度異形成がある)HSIL(中等度異形成・高度異形成・上皮内癌など前がん病変の細胞がある)など』を知ることが出来るのです。

大切なことは、HPV検査で陽性になったら必ず病院を受診して細胞診検査を受けなければならないのです
子宮頸がん検診におけるHPV単独検査はそのような検査であることを理解しておきましょう。

さて、uniplex E6/E7 PCRの結果はどうでしたでしょうか?

最初のケース写真左(上)は51型と52型が検出されました。
写真右(下)のケースは18型と59型、さらにこの人は尖圭コンジローマの遺伝子検査を含む『男のHPVタイピング検査(ハイリスク13種+コンジローマ)Kit113』を希望しており、HPV11型も検出されました。

このように、検体の適否判定で観察できる細胞はかなり少なかったケースにおいても、3種類のHPVが検出されました。

私達は “検体の適否を観察すること” 、そして “どんな細胞が出現しているかを見ること” 、さらに、“どんなHPVの型であっても均質な感度で同時に検出できる方法” だからこそこのキットを提供しています。

数年前から『』男のHPVタイピング検査(ハイリスク13種+コンジローマ)Kit113』が特に男性から注目されています。
その理由は
①(自分はこれまで複数の方と付き合いがあったので)大切な人に危険なHPVを感染させたくない。
②最近風俗を利用したので、感染しているかどうか調べたい。
③パートナーの女性からこの検査を受けるように言われた
などがあるようです。

HPVは他の性感染症と同様にパートナーとの性交で感染します。
HPVはとても感染力の強いウイルスですが、ウイルスそのものを皮膚や粘膜に付けても感染は成立しません。
性交は “皮膚と粘膜をこする” という物理的刺激を加える行為ですので、そこには目に見えない小さな傷がつきます。HPVはその傷口から体内に侵入しますので、パートナーが多いほど感染の危険性は高くなります。
コンドームの使用でHPVの感染を完全に防ぐことはできません(男性性器根本部分が危険にさらされる)が、はかなりの効果が期待できますので、知識として持っておきましょう。
アイラボの無料相談で男性からの相談で最も多いのが、HPV感染についてです。
その中で特に多いのが、“パートナーが子宮頸がん検診で異常が見つかった”というものです。
・「女性」担当医から「旦那にHPVをうつされた」と言われたケース。
・「女性」パートナーにどう話せばいいのか悩むケース。
・「女性」逆にパートナーから自分が疑われてしまうケース
・「男性」パートナーから検査を受けるように言われた
・「男性」どの程度でHPVは陰性化するまで性交はできないのか?
・「男性」オーラルをしてもらっても大丈夫か?

等々、いろいろです。これらについては少しづつこのブログでも紹介していきます。

大切なことは、“HPV感染を避けること” “感染を少しでも防ぐこと” “感染有無を自身が知り、検診を受けること”
男女ともにワクチンを接種するなど、対策はいろいろあります。
この点についても皆で考えていきましょう。

男性のHPVタイピング検査を提供し始めて私達も多くのことを学びました。
『子宮頸がんは女性だけの問題ではない事』 男性自身がHPVに感染していることを現実に知ることで、本気で子宮頸がんを考えて頂ける環境が生まれてきた気がします。

大河戸先生ありがとうございます。

クリニックで性病検査を受けたが、何でもない、と?

『おりものや臭いがきつくなったので、近くの婦人科を受診して性病の検査を受けました。
1週間後に再度受診したところ、検査に異常はないとのことで、何も治療しなくてよいと伝えられ安堵しました。しかし、帰りの電車でボーットしていたら、ふと本当に安心していいのか心配になり、いろいろネットを調べたら、細菌性腟症や腟内フローラの記事が出てきたのでアイラボの「腟内フローラチェック」を注文した。』というお客さんの話です。

腟内フローラや細菌性腟症を心配してくれる先生は少ない!

この方は、外陰部のかゆみと臭いが気になって婦人科を受診しましたが、前述のように「何でもない」とのことでした。しかし、不安が解消されず、“腟内フローラチェック”を希望されました。

その結果は、(このサイトを見て頂いている方や、アイラボで腟内フローラチェックを受けられた方なら)“細菌性腟症”を疑うことは容易にできるでしょう。

ではなぜ婦人科の先生は「何でもない」と言われたのでしょうか?

実は、子宮頸がん検診を扱う多くの検査機関では、細菌性腟症が疑われるケースであっても『結果にそのことを記載しない』のです。なぜ?、、、との質問に対し、「説明ができない」「質問された時の対応が面倒」と言う答えが返ってきました。まあ、その他にも診断する側の問題として判定基準が良く分からない等々、理由はほかにもあるかも知れません。ひょっとしたら、多少の臭いやおりものがあるケースは結構多いので、“ほっておいてもいい”と考えている人もいるかもしれません。

子宮頸がん検診をほとんど受けていない人の中には、おりものや臭いが気になるので、今年は受けてみようかな?といった理由で検診を受けられる方もいます。どこの検査機関でも、トリコモナスとカンジダについては発見された時はその旨を報告しますが、前述のように細菌性腟症については報告されません。
アイラボに検査を依頼されている検診機関では大半の検診機関では細菌性腟症が疑われる場合は記載していますが、記載不可の施設も少なからず存在します。おりものが気になって受診された方には大変気の毒な話です。
2022,6,6のブログ「細菌性腟症の事例」で紹介したように、オリモノや臭いが心配で婦人科を受診したところ、カンジダの治療薬を処方されました。その方は、“自分はカンジダ症ではなく細菌性腟症と思っていました”ので処方された薬は飲まず、腟内フローラチェックで検査を受けることにしました。その結果は思った通り、細菌性腟症でしたので、その結果を持って再度同じ婦人科を受診されたようです。
その結果、担当医師は快くフラジールを処方してくれたそうです。
セルフメディケーション(自分の体調の変化は自分でチェックしてみましょう)

どうしたらよいのか分からない時は、先ずは相談しましょう。
アイラボ以外にも相談窓口はありますので、探してみましょう。
アイラボの無料相談は、日本性感染症学会認定士が全てのご相談に対応していますので、
お気軽に!

オンライン診療にも使えるアイラボの郵送検査キット
第2号 腟と咽頭のSTDチェック(kit10)

性感染症が心配だ!
開業当初の20年前、最も注目を浴びたのが性病(性感染症)の郵送検査です。
それ以後、郵送検査を行う会社も増えてきたため、比較的気軽に検査を受けられるようになりました。
特に、淋菌やクラミジアなど、性感染症の代表格については検査法が普及し、どこで検査しても結果が大きく異なることがなくなりました。
HIVや梅毒の検査においても、ろ紙に血液をしみこませたものを検査会社に送る方法などが広がり、これらの検査も精度的に検査会社で大きな差が出なくなってきたと思います。

郵送検査会社としてのアイラボの特徴は、細胞診を主体にした「女性の性感染症検査」ですので、開業20年を過ぎたことから、“アイラボの特徴(専門性)”を伝える努力をしてきました。

アイラボの郵送検査キット『オシャレな貴女のパスポート』は前回紹介した『婦人科トータルセルフチェック』とほぼ同時に販売を開始した商品で、婦人科トータルセルフチェックにのどの淋菌とクラミジアの検査を追加したキットです。

お化粧して、素敵な洋服を着てオシャレに気を遣う女性の皆さんに、“健康”にも気遣って欲しいという願いで商品化したキットです。現在もこのキットは存在しますが、子宮頸がん検診を受ける方が増えてきたため、『子宮頸がん(細胞診)検査』を除いたキットを新たに送り出しました。

それが、オンライン診療アイラボの郵送検査キット第2号『腟と咽頭のSTDチェック』です。

腟と咽頭のSTDチェック~シンプルキット~』は採取器具に綿棒を使用し、価格を低く設定していますので、定期的に検査を受けたい人には便利なキットです。『腟と咽頭のSTDチェック』は検査の内容は同じですが、採取器具に加藤式を使用していますので、子宮頸がん細胞診検査やHPV検査などの遺伝子検査の追加検査も可能になります。子宮頸がん検診を定期的に受けてない人はこちらがお勧めです。

シンプルキットは定期検査に最適!

腟と咽頭のSTDチェックはアイラボ独自で開発したキットです。
それは、細胞診を土台にした検査です。
細胞診は、子宮の入り口から細胞を採取して子宮頸がんの検査法として普及しましたが、私達は「最も簡単で、最も信頼性が高い、婦人科感染症の総合的な検査法」として位置付けています。「腟内に炎症があるか?」「カンジダがいるか?」「トリコモナスの感染があるか?」「腟内フローラは健康的か?」「細菌性腟症があるか?」それに子宮頸がんの原因となる「HPV感染による細胞変化が見られるか?」そればかりではありません。「年齢や性周期に合ったホルモンの分泌があるか?」などを、熟練した細胞検査士と顕微鏡があればできる検査なのです。
淋菌とクラミジアについては、感度の高いPCR法と組み合わせたのがこのキットです。

子宮頸がん検査など追加検査の可能性がある人はこちら

採取器具を綿棒ではなく、加藤式(画像)を使うことで、色々な追加検査が可能になります。
「なぜ、追加検査の必要があるのか分かるの?」、、、と言う質問があります。

アイラボではどんなキットでも全て検体が適正に採取されているか確認しています。
下の写真の上は検体の適否をチェックする標本です。下が子宮頸がん細胞診検査に使用する標本です。
検体の適否を観察する細胞の量は少ないですが、これだけでも様々な情報が得られるのです。
病院では、検査に必要な検体の多くはお医者さんや看護師さん大きな病院になると検査技師さんが採取します。しかし、郵送検査は“素人の皆さん”が採取します。従って、採取器具は“安全で”、“目的の検体が適切に採取できる”ものを採用しますが、採取方法の説明書をよく読まないで採取する方がいるため、必ず検体の適否判定をしています。

アイラボに届いた検体は、写真の様に子宮頸がん検査と同じように染色して目的の細胞が採取されているか顕微鏡で観察します。
その時、1)白血球が多いか少ないか 2)トリコモナス原虫 3)カンジダの菌糸 4)異型細胞 などが同時に目に飛び込んできます。でもこれはあくまで簡易的なチェックを目的とした標本ですので、例えば、異型細胞が見られた時には細胞診検査やHPV検査を勧めたり、白血球が多く見られ感染症が疑われる時で(淋菌、クラミジア、トリコモナス、カンジダ、細菌性腟症など)が陰性であった時は「マイコプラズマチェック」を勧める場合もあります。

加藤式器具で採取した検体であれば、「子宮頸がん細胞診検査」やアイラボが提供している遺伝子検査の全てが追加検査が可能になります。
アイラボに届いた検体は、当日に処理し、遺伝子検査以外は数日以内に結果が出ます。
異常所見が見られた時は遺伝子検査以外は全て写真が添付されます。全国どこの医療機関にお持ちいただいても、担当の先生にご理解頂けるようアイラボ独自の報告書を作成しています。20年間同じ報告書を使用していますが、これまでにクレームは一件もございません。むしろ写真付きですので、先生方が再検査されて「異常なし」の結果になった時は、他院への紹介や再検査をして頂けることが多いようです。※ネット報告の書式は若干異なりますが、画像は同じように添付されます。
20年前に病院に行くのが苦手な人のために郵送検査として世に送り込んだ“婦人科トータルセルフチェック”ですが、その後、内緒にしておきたい性感染症検査のニーズが高まり、今回ご紹介した“腟と咽頭のSTDチェック”もキット化しました。
今、コロナ禍で、医療現場からもオンライン診療のニーズが高まっていますが、私が最後の仕事として掲げた“セルフメディケーションの普及”のためにも、郵送検査で培ったノウハウが生かせます。医療における新しい制度が順調に発展するためにも、医療側の押し付けではなく、受診者にとっても心地よい検査システムになるよう、郵送検査を受けられた皆様(患者側)のご意見を頂ければ幸いです。

1月25日NHK放送 クローズアップ現代「急増なぜ?梅毒“過去最多”の衝撃 感染から身を守るには」について Dr.シイナの感想

先日1月25日、NHKにてこのような放送がありました。

クローズアップ現代「急増なぜ?梅毒“過去最多”の衝撃 感染から身を守るには」

コロンブスの乗組員が大陸からヨーロッパに持ち込んだとする“梅毒”が、最近日本で急速に増えてきています。そんな背景があってのことと思いますが、1月25日の桑子さんのクローズアップ現代は“性感染症”がテーマでした。

日本人は性に関しては大変秘匿性が高く、メディアも直接的な表現を避ける傾向がありますので、司会の桑子さんとコメンテーターの川名先生も使われる言葉や表現には大変苦労されたのではないかと思います。その分、視聴者から見れば、目新しいことを期待するのは難しいテーマなのです。

50年も前の話になりますが、私は、千葉大学教育学部(養護教諭養成課程)教授武田 敏先生の研究をお手伝いしていましたが、当時の武田先生は月に何度も全国の高校に性教育の講演に招かれていました。
そんな先生が、講演から帰ってくるたびに「講演に招かれることは光栄なことだが、主催者側の根底には“臭い物には蓋をしろ”や“寝ている虎を起こすな”的思想があり、思うように子供達に伝えられないと悩んでいました。

NHK(桑子さん)が大変難しい性感染症をテーマを選ばれ、お二人がどんな言葉で何を伝えるのか、そして、どれだけ踏み込めるか大変興味を持って拝見しました。
「梅毒」「クラミジア」「淋病」「早期発見」「感染の広がり方」「早期発見の重要性」「専門医療機関だけでなくかかりつけ医でも」「婦人科の敷居は高い」、、、などがお話になられたキーワードでした。
内容は私達が開業した20年前と大きな違いはなく、やはり性に関わる問題の難しさが改めて伝わってきました。

そんな中で私が最も嬉しかったことは、「郵送検査」と言う言葉が川名先生から”チョットだけ“出たことです。
秘匿性の高い国民に、もっと気軽に検査を受けられる場を提供したいとの思いから郵送検査を始めました。直接医師が関わらないので、法的に問題はないのか? 学会関係からの反発はないのか? など、石橋をたたきながらの船出でした。

郵送検査を後押ししてくれたのは、産婦人科医であり細胞診専門医でもあった故八田賢明先生の熱い言葉でした。
「椎名君、女性にとって私達の産婦人科クリニックはとても敷居が高いんだよ。お産以外には来たくない所なんだよ。そのため発見が遅れ、(HPV感染が原因の)子宮頸がんや(クラミジア感染が原因の)不妊症になってしまうんだよ。病院に来なくても、自分で採取してポストに入れるだけで結果が分かる“精度の高い検査”を考えてくれよ。」でした。
こんな優しい先生の考えに感銘を受け、何とか郵送検査を社会に認知させたいと考えていました。
そのために私が重視したのは
高い検査精度⇒患者さんが日本全国どこの病院を受診しても先生方に受診者の現状を理解して頂くため、可能な限り写真を添付することにしました。
②検査を受けて頂いた人に対するフォローアップ体制の充実⇒検査前、検査後の電話相談を充実させるため、スタッフに日本性感染症学会認定士の資格を取得してもらいました。
③そして、クリニックの先生方と患者さんの橋渡し的役割が得られれば、患者さんにとって産婦人科クリニックの敷居を下げることが出来るのではないかと考えたのです。

そして約20年が経った今、郵送検査はいろいろな方の努力があって少しずつ社会に認められるようになってきたことは嬉しく思っています。
もっとそのすそ野が広がり、老若男女を問わず、子宮頸がんや性感染症に関する知識が浸透すれば、おのずと“恥ずかしいことではなく”“内緒にすべきことでもない”“自ら率先してワクチンや検診を受ける”そんな社会の実現に寄与できればと思っています。

性感染症が増加する要因は今回の番組の中でも紹介されたように、男女共にに不特定多数の人との接触が原因であることは明白です。そのようなことは中学生ぐらいになれば(望まない妊娠や性病についても)大半は理解していると思います。それなのになぜこのような番組が必要なのでしょうか? 長くこの問題を考えてきた一人として、性に関しては「それは悪い」「それならいい」と一線を引くことができない様々な問題があるからではないでしょうか。性に関係する様々な行動はその人個人が決定するわけですので、
可能な限り適切な判断ができる基本的な知識を享受することが重要であり、20年前と変わらない内容であってもそれを繰り返し提供することの意義は大きいと思います。

私はこのサイトでセルフメディケーションを応援しています。
自分の行動は他の人が知る由もありません。従って、“自身の行動に対しては自身が責任を持ち”、“自身の健康は自分で守る”ことが原則であろうと考えます。

最近同じようなケースが少なくありません。

写真左(最初)私達が顕微鏡で見ている弱拡大、「どこにそんなおおかしな細胞があるの?っていう感じ。中央付近にあるよ!
私達細胞検査士はこんな小さな細胞を見逃すことができない仕事なんですよ。

写真右(2枚目)の強拡大では、周りが緑色で、中央が紫に染まる細胞がかたまっています。これが問題の細胞です。
細胞が小さいこと、緑色の細胞に占める(紫で染まる)核の割合がとても大きくなっていることが重要で、私達はこの細胞を見ると高度異形成かな?と推定します。

つまりこの方は“ギリギリセーフ”という段階で上皮内癌のほんの一歩手前という感じです。
今後この方は、婦人科を受診して詳しい検査(組織検査)を行うことになりますが、子宮を全摘することなしに、病巣だけを切除する円錐切除術が行われる可能性が高いと思われます。
自己採取法は認めない」という強い表現がなされているのにはそれなりの理由があるのです。
採取器具の選択や顕微鏡で観察する標本の作り方、さらには写真の様に“異常な細胞の数が少ない上に細胞が小さいので見逃されやすい”という特徴があるのです。この点を十二分に理解しないで自己採取法を提供すると、検査ではなくなってしまうのです。
私達が所属する東京都においても、毎年衛生検査所精度管理事業報告書という形で異常な細胞の検出率などがまとめられていますが、結果を見れば一目瞭然なのです。
私達は、細胞診検査の自己採取法については、子宮頸がん検診の受診率が上がらないこと、医師採取が苦手(絶対にイヤ!という人も)な人達には必要な方法と考えています。
検査を受け入れる側の意識改革が望まれるところであり、アイラボでも協力は惜しみません。
“わかっちゃいるけどやめられね”、、、と、植木等さんが歌っていました。
アイラボの無料相談でも、風俗のサービスを利用したり、ネットで知り合った人から「病気がうつった」という方は少なくありません。「もう絶対にしない!」と、大大反省したにもかかわらず、治療が終えて全快すればまたいつもの行動パターンに戻っている。そんな人結構少なくありません。これも「いい」「悪い」の問題ではなく、自分が決めて行動しているわけですから全ての責任は「自身」にあるわけです。パートナーにとってはそんなこと知る由もありませんので、翌年の子宮頸がん検診でLSILやASC-USと診断され始めて気付くことになります。もし検診を受けていなければ、がんが進行するまで気が付かないことがあるのです。

“子宮頸がんはHPVの感染が引き金になる”この事実が広く社会に浸透してきました。
数年前から男性の「HPVタイピング検査」が急速に注目を集めてきました。理由を聞くと、「自分はこれまで複数の女性と関係があったので、大切な人にうつしたくないが最も多かったのですが、最近は「お付き合いを始めた彼女が「HPVタイピング検査」を受けてくれたら先に進んでもいいというので」という人が増えてきました。つまり、女性の側から“HPV感染を避けるための行動”が広まりつつあります。

まさしくセルフメディケーション「HPVの感染も自身で守ろう」とする行動の変化が現実化してきたようです。
高い敷居を超えなくても、郵送検査は自身の健康を容易にチェックできるので、今後オンライン診療においても不可欠なツールとして期待されます。

子宮頸がん検診に(自己採取もあった)ので受診しました

子宮頸がん検診のガイドラインで推奨グレードAには“細胞診単独法(検体は医師採取のみとし、自己採取は認めない)”と“HPV検査単独法(検体は医師採取を原則とする)”があります。

このような中でも種々の理由(採取する医師が確保できない、医師採取が苦手で検診が受けられない、など、)から自己採取を部分的に取り入れている検診機関もあります。当社も自己採取法のメリットデメリットを説明した上で、医師採取が苦手な人のために自己採取法によるキットを提供しています。

細胞診単独検診を採用している検診機関では、ガイドラインで“自己採取は認めない”となっていますので、「せめて苦手な人には(自己採取法を提供したい)」、、、と思いつつも、実施までには至っていない施設が多いと思います。
そんな中、受診者当人にとっても、私達(アイラボ)にとっても『良かった!』と思えることがありました。もちろんそれを決断された検診機関の方々も『良かった!』ではないでしょうか?

今回はそんなケースを紹介しますね。

自己採取でも明らかなHSIL(高度異形成!)の細胞が!

写真左(最初)私達が顕微鏡で見ている弱拡大、「どこにそんなおおかしな細胞があるの?っていう感じ。中央付近にあるよ!
私達細胞検査士はこんな小さな細胞を見逃すことができない仕事なんですよ。

写真右(2枚目)の強拡大では、周りが緑色で、中央が紫に染まる細胞がかたまっています。これが問題の細胞です。
細胞が小さいこと、緑色の細胞に占める(紫で染まる)核の割合がとても大きくなっていることが重要で、私達はこの細胞を見ると高度異形成かな?と推定します。

つまりこの方は“ギリギリセーフ”という段階で上皮内癌のほんの一歩手前という感じです。
今後この方は、婦人科を受診して詳しい検査(組織検査)を行うことになりますが、子宮を全摘することなしに、病巣だけを切除する円錐切除術が行われる可能性が高いと思われます。
自己採取法は認めない」という強い表現がなされているのにはそれなりの理由があるのです。
採取器具の選択や顕微鏡で観察する標本の作り方、さらには写真の様に“異常な細胞の数が少ない上に細胞が小さいので見逃されやすい”という特徴があるのです。この点を十二分に理解しないで自己採取法を提供すると、検査ではなくなってしまうのです。
私達が所属する東京都においても、毎年衛生検査所精度管理事業報告書という形で異常な細胞の検出率などがまとめられていますが、結果を見れば一目瞭然なのです。
私達は、細胞診検査の自己採取法については、子宮頸がん検診の受診率が上がらないこと、医師採取が苦手(絶対にイヤ!という人も)な人達には必要な方法と考えています。
検査を受け入れる側の意識改革が望まれるところであり、アイラボでも協力は惜しみません。
会社が行う検診や自治体が行う検診は苦手(恥ずかしい、忙しい、面倒)と言って検診を受けないのは危険です。自己採取法の場合、「細胞診単独はダメ」というのであれば「細胞診とHPV検査の同時検査」であれば、OKなのではないでしょうか? なぜなら、HPV検査単独法については「医師採取が望ましい(自己採取でも可)」と表現されているように、HPV検査は採取法の違いで結果に大きな差がないからです。
セルフメディケーション自分の健康は自分で守る。アイラボでは「子宮頸がん細胞診検査」と「最新の子宮頸がん検査」を準備しています。
今回のケースは子宮頸がん細胞診検査単独例ですのでこの検査だけでHSIL(高度異形成)の存在が推定できましたが、もしこれがHPV検査単独例であった場合は「陽性」と判定されるだけです。従って、婦人科を受診して改めて医師採取により細胞診検査が行われ、今回と同様にHSILと診断されます。この場合で問題になるのは、HPV検査で「陽性」と判定されたにもかかわらず、婦人科を受診しない人が存在する可能性があるのです。
HPV検査単独法は推奨グレードAになっていますが、こんな危険性があるのです。
アイラボの最新の子宮頸がん検査であったら、細胞診検査はHSIL、HPV検査は「陽性」となりますので、当然、婦人科を受診して精密検査を受けることになります。

彼や旦那とのトラブルで多いのは?

最近、臭いが気になったので、近くの婦人科を受診しました。
先生は、特に気になる症状はないけど、血液検査だけでもしておきましょうということで、採血されました。
一週間後に再度受診したところ、クラミジアが見つかったので、一回飲むだけでいい薬を処方されました。
でも、私は一年前にお産をした後、旦那としか関係を持っていないし、旦那にもクラミジアに感染するような行為があったかどうか確認しましたが、絶対にないの一点張り、逆に私が疑われる羽目になってしまいました。
実際こんなことがあり得るのでしょうか?

この様な質問は、無料相談を始めてから山ほど経験しました。
中には、某保健所にこのようなことを質問したら、検査をしたわけでもない「アイラボさんに聞いて下さい」と言われた方もいます。

クラミジアが陽性ですからと言ってパートナーと一緒に抗生物質を処方されたケース、パートナーが他のクリニックを受診して検査を受けたが「陰性」であったケース、陽性と診断された本人が心当たりがないので、郵送検査を受けたら「陰性」だった。こんなことが今でも起こっていること自体本当に信じられません。

クラミジアの血液抗体検査では「誤陽性」が出ます。

検査は100%正しい結果が出るとは限りません。
クラミジアの検査には、血液で調べる“抗体検査”と膣分泌物やおしっこで調べる“抗原検出法”があります。
抗原検出法は、クラミジアそのものを高感度なPCR法で検出しますが、時には陽性を判定するラインギリギリの数値を示すことがあります。このような時は、同じ検体でもう一度測定して、最終判定します。従って、誤った結果“誤陽性や誤陰性”の頻度は極めて少なくなります。
それに比べて血液で調べる“抗体検査”では「誤陽性」のケースが多いため、「陽性」と判定された場合は治療を開始する前に“抗原検出法”で『本当に現在クラミジアがいるかどうか』を確認することになっています。
“抗原検出法“で「陽性」が確認してから治療に進むことになっています。

このようなことが起こるのでアイラボでは開業当初から抗体検査は採用していません。
クラミジアに感染していないにもかかわらず抗生物質が処方され、余計なお金や時間を費やす事になるのです。
そればかりではありません。パートナーとの関係が深刻な状況になってしまうことも少なくないのです。
中には「旦那にうつされたのだから、旦那も一緒に治療しなければだめだ!」と言われたケースもあります。

今回はクラミジアのケースを紹介しましたが、
「病院に行ったら子宮がんの検査と血液検査をされました。」
「血液検査では何を調べてもらったんですか?」と質問しますと、「内容はわかりません」と回答される方がとても多いのです。「その時検査結果を頂いているのではないですか?」と聞くと、「ちょっと待って下さい」と言って内容をを初めて確認される方も結構います。
「血液検査で〇〇を調べて頂きました。」と言えるようにしましょう。
自分の健康が心配になり、早めにクリニックを受診することは「早期発見、早期治療」の観点からはとても大切なことです。しかし今回のように、自分が納得できないケースも少なくありません。また、以前も“ぼやき”ましたが、患者さんが「ASC-USってどんな状態ですかでしょうか?」と質問したら、「ASC-US以下でも、ASC-US以上でもない」と答えた先生もいました。先生方にもいろいろな事情があって、うまく伝えることが出来ないことだってあると思います。そんな時はそのままにせず、お気軽にご相談下さい。

また、オンライン診療や受診前に郵送検査で確認しておく方法もあります。

生理終盤の腟洗浄はNG

女性の体は本当に神秘的です。
(思春期)月経が始まるということは、卵巣で眠っていた卵(卵胞)が成熟を始めるということです。
つまり、脳下垂体前葉というところから卵胞刺激ホルモン(FSH)が分泌され、卵巣の中にある原始卵胞(眠っていた卵)に(成熟しなさい)と刺激を与えます。すると受精が可能な卵に成熟します。このFSHというホルモンは排卵の直前まで増え続けますが、卵が成熟する過程で女性ホルモン(エストロゲン)が作られ、排卵の頃に最も多くなります。排卵されると、“排卵された”という信号が脳に行き、脳下垂体前葉から黄体形成ホルモン
(LH:排卵された後に黄体を作りなさいというホルモン)が分泌され、その黄体から黄体ホルモンが分泌され、受精卵が無事に着床し、分裂を繰り返し10ヵ月ほどかけて赤ちゃんまで成熟します。
一方、精子と出会えなかった卵は着床しないため、着床を準備していた子宮内膜成分は血液と一緒に剥がれ落ち、体外に脱出します。これが月経です。

赤ちゃんが育つ子宮は、腟を介して外部とつながっています。
外陰部は肛門に接しており、いろいろな菌が存在しますので、そのような菌が腟の中に入って増えないようにいろいろな防御機構が働いています。しかし、思春期前は腟の上皮は薄く、十分な防御力がないため時折腟炎を起こしてしまう事もあります。思春期になり、月経が始まる頃には性交にも耐えられる準備が整い、腟の粘膜上皮は厚くなり、それら細胞には乳酸菌の栄養源となるグリコーゲンが豊富になり、腟内は強い酸性の環境になります。性行為が始まるようになるといろいろな菌が腟内に侵入しますが、乳酸菌が守っているのです。

さらに、月経により多量の血液が子宮や腟内を流れ下ることで、腟内を洗っているのです。
そんな神秘的な営なみで腟内は守られていること、よく覚えてくださいね。

月経血で腟内を洗った後は、乳酸菌が増える時期!

もう1年余りも細菌性腟症で悩んでいた客さん。
お仕事柄(風俗)生理後半は早くきれいにして仕事に出たいそうです。
これまでその対策はもっぱら腟洗浄でしたが、臭いが気になるようになったので定期検査をアイラボの「腟と咽頭のSTDチェック」に切り替えたようです。その理由は性病ではない細菌性腟症の検査が同時にできるからという事でした。
しかし、初めてから一度も細菌性腟症から逃れることはできませんでした。対策は“腟洗浄は絶対にしない”を守りました。今まで習慣になっていたので“洗わないと気持ちが悪い”という思いはありましたが、外陰部はそれなりに清潔にしていましたが腟内は可能な限り自然体にしました。その間、クラミジアやカンジダ症になって治療しました。またかかりつけの先生にはフラジールを処方して頂いたこともありましたが、すぐには改善しなかったのです。

ところが今月の定期検査では腟内に炎症はなく、写真の様に乳酸菌たくさん増えていました。
検査をする私達にとっても「〇〇さん、細菌性腟症が治った!」と、みんなで喜びました。
そうなんです。
細菌性腟症は病気ではないんです。
単に腟内環境が乳酸菌主体から腟ガルドネラ菌に置き換わっただけのことです。
しかも、腟ガルドネラ菌が支配するようになっても、白血球は増えないのです。つまり腟炎は起こさないのです。
強い腟炎を起こす淋病やクラミジア、さらに腟トリコモナス症とは違うのです。

乳酸菌主体の腟内酸度はおおむねpH3.5程ですが、腟ガルドネラが主体になるとpH4.5以上になると言われています。
腟ガルドネラ菌も乳酸菌ほどではないものの酸を作るので、(ひょっとしたら)腟内をある程度守っているのかも知れませんし、他の微生物にとっても住みやすい環境を提供しているのではないか?と考えさせられることがあります。
その一つが、HPVですが、ASC-US例やLSILケースで細菌性腟症を合併していることは少なくないのです。

でも困ることが2つあります。
その一つは魚臭帯下(魚の生臭いにおいのするおりもの)です。
臭いの度合いは様々ですが、体臭と思われたり、性病では?と疑われてしまう事もあります。
もう一つの困る点は、流産や早産の原因になるという報告もあります。この点を考慮するなら、望む妊娠の前には細菌性腟症を改善しておくのが良いと思います。
細菌性腟症は病気ではありませんので、生活習慣に気をつければ改善が期待されます。
お悩みの際はDrシイナに直接ご相談下さい。セルフメディケーション!自分で努力して改善させましょう。