ハイリスクHPV感染の男性がHPV強制排除に挑戦(1)

アイラボの郵送検査で最も大切にしているこだわりは、皆様に採取して頂いた検体が適正に採取されているかどうかを確認したうえで検査を始めていることです。。病院で採取した検体については(医師または医療現場にいるスタッフ(看護師さんなど)が適正に採取していることを確認したうえて提出されていますので特に行っていませんが、郵送検査はあくまで素人の依頼者が採取するわけですので、絶対に必要な業務になります。アイラボに送られた自己採取検体はたとえクラミニアの検査だけの検体でも塗抹標本を作製してすべて顕微鏡で目的の細胞が採取されているかを確認したうえで検査しています。
この度紹介する検体も、以下の画像の様に目的の細胞が適正に採取されていることを確認したうえでHPVの遺伝子検査を実施しました。
亀頭部分を擦過した検体にはこのようにたくさんの細胞が採取されています。
写真中央には核を有した細胞がみられます。
亀頭表面の正常細胞にはこのような核を有する細胞は見られません。
この写真にも、中央に2つの有核細胞がみられます。
これも同様ですが、このような細胞が亀頭の擦過検体に見られるのはHPVの感染の証拠と思われます。
実際このケースでは、39型、51型、52型が検出されました。
これらの画像はK氏が当社で行った「男のHPVタイピング検査(ハイリスク13種+コンジローマ)」検査時の検体適否標本に出現した細胞達です。
2023年7月1日に投稿した「10年前に風俗を利用した。5年後彼女がLSIL!そして今俺にHPVが」の(アイラボの無料相談)相談者(Kさん)が、男性性器のハイリスク型HPVの治療(HPVを強制的に排除する)に挑戦しました。この記事は、ご本人の承諾を得て投稿するものですが、ご本人が自分と同じ悩みを抱える多くの人達にも自身の経験を伝えたいという思いから実現しました。

Kさんから可能なら治療したい、、、との電話相談が!

『可能なら、自分の性器からハイリスク型HPVをなくしたい。』
という内容の電話でした。
尖圭コンジローマは、同じHPV6型または11型の感染で起こるイボを作る性感染症ですが、この場合はイボという病巣が医師によって確認できるため、「病気(尖圭コンジローマ)」と診断され、様々な方法で治療が行われます。しかし、ハイリスク型HPVの感染部位は平坦でイボのように目で確認できません。それどころか、男性性器を虫眼鏡で見てもどこが病巣なのか分からないため、『病気(病巣)』として確認できないので治療の対象とはならないのです。

Kさんの訴えに理解を示した医師がべセルナクリームを処方

2023年8月18日
幸運にも、ある婦人科医がKさんの希望を叶えるため、1ヵ月分のべセルナクリームを処方してくれたとの連絡を頂きました。医師からは、「もし“ただれ”がひどくなったらその間中止し、治ったらまた塗ってくださいと言われた」とのことでした。
私達アイラボの職員は治療に関しては(医師法や薬事法により)の関係で全く関与できませんが、Kさんからの連絡を頂き、大変感銘を受けました。もしこのようなことが可能であるなら、HPVに感染した男性にとっては、この上ない朗報であることには違いないと思います。

怖くてまだ薬を塗っていないが、今日から始めるとの事(がんばれ!)

8月30日 Kさんより電話が入りました。

「どうですか? その後心配していましたが?」
するとKさんは、怖くてまだはじめていないとの事。
「そうですか? その気になったら無理をせず先生の指示に従ってやって下さい。」と告げると、「今晩からチャレンジします。先生からは夜お風呂に入ってから塗って、翌朝には洗い流すよう言われています。」とのことでした。
やはり、とても強い薬と聞いていますので、ちょっとした勇気が必要ですね。

「そうですか、それでは頑張ってください。治療に関して私達はコメントできない立場ですが、もし心配事があったら何でも相談して下さいね。そして、また経過を聞かせてくださいね。」ということで電話を切りました。

その後の経過については、Kさんや私だけでなくこのブログを見て頂いている方みんなが心配であり、楽しみだと思います。

近日中にご報告いたします。
楽しみにしていてくださいね。
Kさんも皆さんに報告できることを楽しみにしていると思います。

1週間以内に現況を報告出来ると思います。

※分かりやすい画像を作製していますので、少し時間がかかっています。2023/10/31

男性のHPV検査はなぜアイラボだけなの?

実はとても多い質問です

もうかなり前になりますが、アイラボの無料相談に「どうして女性のHPV検査はどこでも受けられるのに男性は調べられないのか?」という質問が寄せられました。
よく考えてみれば、性行為で感染する淋菌やクラミジアは男性でも女性でも検査が受けられるのに、同じ性行為で感染するHPV検査が女性だけで男性は受けることが出来ないのはおかしな話ですね。
子宮頸がんは「病気」であり、その病気はHPVの感染が原因であることが分かってきましたので、子宮頸がんの早期発見(検診)のためのHPV検査HPV感染そのものを予防するHPVワクチンが開発され、すでに世界中の国々に普及しています。しかし、男性がHPVに感染しても、その多くが尿道のがんや陰茎のがんになる確率が女性の子宮頸がんに比べると極めて少ないため、「検査の意義が無い」と判断されているのでしょうか。

症状は全くないのに、彼女が子宮頸がん検診でひっかっかった

「自分の彼女は、(多分)自分とが最初の性行為なので、検診でひっかっかった原因は俺しか考えられない。俺は数回風俗を利用して“生での行為をした”、、、でも、淋病やクラミジアに感染したことはなく、特に気になる症状は何もなかった。俺がHPVに感染しているかどうか調べたい。」当時、そんな風俗利用者や複数の女性と性交渉があった男性からの問い合わせが殺到していました。

共にHPVの研究をしてきた杏林大学の大河戸光章先生に相談

この頃、大河戸先生は日本におけるHPV研究の第一人者の仲間入りを果たしており、特に、細胞診におけるHPV感染細胞の形態学的研究では最先端の学術論文を発表しております。彼が開発した高感度多種HPV検出法uniplex E6/E7PCRはHPVの検出感度がすべての型で均質に検出できる特徴があります。
自動的に測定できる方法ではないため、多数検体を一度に調べられませんが、HPV感染している細胞が少ない男性性器検体でも応用できるため、アイラボでは大河戸先生の協力を頂き、男性向け郵送検査を始めました。

日本性感染症学会にてその成績を報告(2017年、札幌にて)

写真は、学会で発表した最初のスライドです。【日本性感染症学会第30回学術集会(2017)一般講演「HPV・尖圭コンジローマ」演題番号O-29】発表内容の詳細はこちらからご覧ください。

それ以降、男性のHPV検査は伸びていますが、女性も⤴

男性が、『自分の大切な人に、HPVを感染させたくない!、、、という思いから広まったHPVタイピング検査』ですが、その後、徐々に変化が現れました。『貴方とお付き合いしてもいいけど、HPVの感染は調べて!』、、、という女性が増えてきました。
要するに、男性も、女性も、、、、子宮頸がんに対する意識の変化が出てきたのです。

子宮頸がんの原因は、そういう事だったのか!” そんなことがやっと国民の中で広まってきたのかな?アイラボにとって、少しだけですが、嬉しいと感じた変化です。

男女のこの意識こそ、日本における子宮頸がん対策のキーになると確信しています

私達は性風俗業界の存在を否定するわけではありませんが、私達が最近実施した調査では、風俗で働く女性(CSW)におけるHPV罹患率は73%に及びHPV感染の爆発的広がりの温床になっていることは否定できません。このような現状を国は理解していても感染拡大に関する対策は全く行われていません。またその一方で、日本における子宮頸がん検診受診率は50%にも及ばず、2022年度国民生活基礎調査を元に厚生労働省が報告したした受診率は43.6%なのです。また、HPVワクチンの接種率に至っては1.9%(2019年度厚生労働省)と、いずれも先進国の中で最下位なのです。
検診は苦手だし面倒!、(特に根拠がなくても)自分には関係ない(対岸の火事的思考)と考える日本人の国民性、芸能人など有名人ががんになると一時的に検診を受ける人は増えますが、その熱も長続きしません。私達の学会関係者も子宮の日(4月9日)には全国各地で啓蒙活動を実施しますが、どれだけの効果が上がっているか、受診率が伸びない現実(2013年42.1%、2016年42.3%、2019年43.7%、そして2022年43.6%)を見ればそれほどの効果は上がっていない気がします。

そんな我が国の実情にもかかわらず、欧米をはじめとした諸外国のデータを基にしての「科学的根拠に基づいた子宮頸がん検診ガイドライン」というけど、本当に国民のためになっているのだろうか極めて疑問を感じます。

政治や関係する学会が解決できない現状からの脱却には、直線的でより現実的対応が必要ではないかと考えています。なぜ子宮頸がん検診で「要精密検査」になったのか?もっと端的に言えばいつ誰からHPVがうつったのか自身のことは自身でわかるはずですので、自身の健康を守るためにはセルフメディケーション(自身の健康は自身で守る)ことの重要性を浸透させなくてはならないと思います。

国民一人ひとりが子宮頸がんと真剣に向き合い“具体的何か”を見出さなければなりません。私達はその一つとに『真実を知ること、つまり正しい教育』が必要だと考えています。教室での講義や講演の形式ではなく、NetやSNSを使ってよりリアルな形で現実を伝えたいと考えています。

男性のHPV検査を提供している理由はまさにその点にあります。子宮頸がんは女性だけの問題ではなく、HPVのキャリアーとして男性が関わっているわけですから、この現実を男性も、女性も真面目に理解し、解決の道を探るための一歩にしてほしいのです。
自らHPVに感染しない感染させない(自身の性行動をしっかり管理する・男女ともにHPVワクチンの接種をする)、感染している可能性がある場合はがんになる前に対応する(定期的に検診を受ける)、検診で「要精密検査」になったら(必ず病院を受診して対応する)、、、当たり前なことがわが国ではできていないのです。

セルフメディケーション!子宮頸がんになってしまってから後悔する前に、自分を守れる機会がいくつもあるのです。そのことを知らない、知っていても他人事にしてしまったら、子宮頸がんから自分を守れれないのです。
次の大きなテーマは「子宮頸がん検診ガイドライン」についての私見」と題して考えたいと思いますが、その間に日々の出来事も掲載します。