ハイリスクHPV感染の男性がHPV強制排除に挑戦(4)

先生の処方通りの治療はできなかったが?

ハイリスクHPV感染の男性がHPV強制排除に挑戦(3)2023年11月22日の記事では、それまで実施したべセルナクリームによる治療後初めてHPV検査を実施し、感染していた51,52,39の中の51型のみが消失した結果でした。
Kさんよりその後の治療方針が下記に示された内容で行われる旨の連絡がありました。

【Kさんが今回実施した治療スケジュール】
7回目から11回目までは亀頭カリおよび包皮内側に12回目は包皮外側根元に塗布することにしました。
7回目の塗布11/24
8回目の塗布12/1
9回目の塗布12/8
10回目の塗布12/15
11回目の塗布1/5
12回目の塗布1/19
このようにおおむね1週間間隔で塗布しましたが、10回目に若干赤くなったので11回目以降は2週間間隔で行いました。
そして3月13日に包皮外側と根元部分から、3月21日に亀頭・カリ・包皮内側から採取した検体がアイラボに届きました。その時の細胞像です。
最初に届いた包皮外側と根元からの検体は、細胞成分は採取されているが、観察できる細胞が少なく、形態学的観察には適していません。
後に届いた亀頭・カリ・包皮内側から採取した検体には極めてたくさんの細胞が見られ、画像の様に核を有する細胞(有核細胞)を多数認め、核の大型化や濃染傾向が見られます。(このような所見は非感染例と異なり、HPVの活発な増殖が関係しているかも知れません。)
この様に、核が複数存在し、大型化や濃染傾向が見られますが、このような細胞も非感染例では見られません。

HPV検査の結果は!

亀頭・カリ・包皮内側の検体、包皮外側と根元からの検体共に52型と39型が検出されました。
HPVが排除されていないことが判明しました。
Kさんはかなりのショックだったようです。
最初に塗布した時の反応が思いのほか強かったことで、それ以降はこのブログで示したような条件で治療されました。最初の強い反応が見られた時51型は消失しましたが、52型と39型を叩ききることが出来なかったため、その後べセルナクリームの塗布条件を緩めたことが排除につながらなかった可能性が考えられます。
今回はとても残念な結果でしたが、kさんは薬を処方して頂いた先生に相談して再チャレンジするとの事でした。主治医の先生にも今回の結果をお伝えして、是非先生の指示に従っていただければと思います。

kさんのように苦しむ人はたくさんいます

kさんは風俗を利用して感染しましたが、私達が2022年に実施した30名の風俗営業従事者におけるハイリスク型HPVの感染者は22名(73.3%)で、複数のHPVが検出されたケースが多いのです(論文掲載確定)。風俗を利用することを否定するものではありませんが、淋菌やクラミジアに比べても感染の危険性は極めて高いことを改めて認識して頂きたい。子宮頸がん対策は検診だけでなく、HPVに感染しない、感染させない対策こそが最も重要なのです。この仕事に従事する人はHPVワクチン接種の義務化や利用する人もワクチン接種をまじめに考えるべきと思われます。私達の無料相談では風俗だけが問題ではなく、出会い系サイトを利用した人たちも同じ悩みを抱えています。

セルフメディケーション!
自分の健康は自分で責任をもって守りましょう。
大切な人のためにもう一度自身の性生活を見つめ直しましょう。
ご相談はアイラボで、きっと役立つ情報があると思います。

ご本人(kさん)からのメッセージ

以前交際していた女性が健康診断で引っかかり、精密検査をしたところ、子宮頸部が軽度異形成になっていることが分かりました。俺は昔風俗に行ったことがあり、嫌な予感がして自分もHPV検査をしました。結果はハイリスク型HPVに感染していました。とてもショックで何よりも自分の行いのせいで彼女に移してしまったことに責任を感じました。その後、ハイリスク型HPVの治療方法を色々調べてみましたが、基本的に治療方法はないことが分かったので絶望的でした。そんな時にアイラボの椎名さんに相談し、ハイリスク型でもベセルナクリームで治療してくれるお医者さんを紹介してもらい治療を始めることができました。しかし、治療1回目は翌日の夜に亀頭の皮が剥け赤く爛れてしまい、シャワーのお湯が当たると激痛でした。痛みが引くまで約1ヶ月かかり、その後治療を再開しましたが、それ以降は皮が剥けることはなく痛みや赤く爛れることはありませんでした。しかし、ベセルナクリーム12回分の治療後の検査では、再びハイリスク型が検出されてしまいました。治療は痛みや時間と手間も掛かり、期待もしていたので、この検査結果は正直とてもショックでした。
しかし、ハイリスク型の治療方法はこの方法しかないので継続していくつもりです。治療は1日おきに行うように言われていましたが、痛みや爛れの恐怖心から週1ペースで行っていたので、それがよくなかったのかもしれません。今後は1日おきに治療して完全に治したいと思います。

子宮頸がん検診用加藤式自己擦過法器具は生きています

最近、子宮頸がん検診用の加藤式自己擦過法器具に関する問い合わせがありました。
その内容は、
一昨年製造販売元から廃業の手紙が届きましたが、まだ購入できると聞きました。
廃業されていないのですか?
というものです。

大阪の大成メディカルという会社が製造しています

確かに名古屋にあった加藤式器具製造所は廃業されました。
しかしその後、大阪の大成メディカル株式会社様が引き継がれ、
現在は大阪で製造しております。
所在地 〒567-0054大阪府茨木市藤の里2-11-6
072-648-3601
https://www.taiseimedical.com/

販売元はやはり大阪の吉田興産株式会社さんになります。
所在地 〒565-0811 大阪府吹田市千里丘上15-15
06-6878-2300
https://ko-yoshida.co.jp/

アイラボでも加藤式自己採取器具を販売しています。

アイラボでは、
比較的小口のお客様には加藤式採取器具を販売しております。
しかも、
ご希望があれば検査も承っておりますのでお気軽にお問合せ下さい。
042-652-0750

アイラボがお受けできる検査項目

1.子宮頸がん細胞診検査
2.ハイリスクHPV検査
3.HPVタイピング検査
4.婦人科トータルセルフチェック
5.腟内フローラチェック

このほかにもご要望があれば全国どこでも検査の受託可能です。
詳細はアイラボのHPをご覧頂くか、電話でご相談ください。
https://ilabo-cyto-std.com
042-652-0750

加藤式自己採取器具を用いたアイラボ子宮頸がん検査

アイラボの子宮頸がん細胞診検査は独自に開発したLBCの採用により、
子宮頸部扁平上皮内病変の検出率は医師採取とほぼ同等です。
LSIL以上の病変については、おおむね1.5~1.9%で推移しています。

また、標本の作製から顕微鏡での診断までの全ての行程が
上に示す研修修了者によって行われます。

ASC-USと診断されて悩むカップル

子宮頸がん検診でASC-US/Ⅲaと診断されたので近くの婦人科を受診したところ、クラスⅢaなので組織検査をした方が良いと言われ検査を受けましたが、組織検査で何が分かるのでしょうか?』という質問がありました。

今回はこのことについて考えたいと思います。
現在日本ではベセスダ分類という方法で診断(評価)していますので、ASC-USはあくまでASC-USであって、クラスⅢaではないのです
そう言えば、アイラボに検査を提出して頂いている病院からの医師のコメントに「前回(アイラボではこのような診断はしていませんので、他の医院と思われる)ASC-US/Ⅲa、組織検査異常なし」や「他院でASC-US/Ⅲa、HPV(-)、組織検査異常なし」こんな医師のコメントを時々目にします。、、、ということは、ASC-US/Ⅲaの報告を受け取った婦人科医の中には組織検査まで実施しているケースがかなりあるということかも知れません。
アイラボでは、基本的に医師が判断できているものと理解していますので特にコメントはしていませんが、必要に応じて“HPVの追加検査が望まれます”とコメントすることはあります。

ベセスダ分類を採用する前は、日母クラス分類で診断(評価)していましたが、クラスⅢaと診断された場合はコルポスコピーや組織検査で対応することになっていましたので、ASC-US/Ⅲaは組織検査の対象と考えているのでしょうか?
それとも、「ASC-USは意義不明な異型細胞という診断なので、組織検査をやっておこうという事なのでしょうか?

ASC-USはそんなに心配する必要はない!

ASC-USと診断された時に注意しておきたいのは、HPVの感染があるかも知れない細胞が含まれる可能性があることです。日本産婦人科医会の指針では、ハイリスク型HPVの感染があるかどうかを検査(HPV検査)することを推奨しています。HPV検査で陽性の場合はLSIL(軽度異形成)と同様の対応でコルポスコピーと組織検査が推奨されています。陰性の場合は年に一度の細胞診検査、HPV検査を行わない場合は6ヶ月以内に細胞診の再検査が推奨されています。
この表は風俗で働いている人について細胞診とHPV検査を同時に行った結果で、アイラボの藪崎宏美が日本性感染症学会「2011,12月(HPV持続感染例における細胞形態学的推移)」で発表した一部です。私達は、HPVが感染してから子宮頸がんになるまでを大きく3段階に分けることができると思います。詳細は別の機会に述べたいと思いますが、各表の左は検査年月を示しています。例えば中央の表の一番上の「804」は2008年4月に検査したことを意味します。そして最下段の「1105」は2011年5月になります。3つの表全てにおいてHPV検査は陽性ですが、細胞診の結果は「水色はNILM」「黄色はASC-US」「オレンジ色はLSIL」といった具合に、感染していても異常な細胞が出たりでなかったりを繰り返しています。私はこのような時期を「第一段階」としています。この第一段階の90%は免疫力でHPVが排除されると言われています。
ですから、ASC-USと診断されても、それほど心配することはありませんが、HPVが陰性化するまでは定期的に検査することが大切になります。

ASC-US/Ⅲaの報告は早くなくすべき!

私達診断する側にとっては、ASC-USはあくまでASC-USであって、LSIL(軽度異形成=明らかなHPV感染)よりは細胞の異型が弱く、「HPV感染の可能性もあるのでHPV検査で確認しておいた方が良い」程度の認識で、そんなに心配する状況ではないのです

今回のご相談の様に、「組織検査をすると何が分かるんですか?」とのご質問の背景には、ひょっとしてがんの可能性があるのか?とか、そこまではいかなくてもかなり悪い状況なのか?といった様に心配事が膨らんでしまうのではないかと考えます。
日本における子宮頸がん検診は、1973年以降パパニコロウ分類を元に“日母クラス分類”として使用されてきましたが、1988年米国ベセスダにおいて行われた子宮頸部細胞診に関する会議を境に欧米を中心にこの会議でまとめられた診断基準(ベセスダシステム)が採用されるようになりました。我が国においても2008年以降“ベセスダシステム2001を採用することになりましたが、移行期の混乱を防ぐ意味で“日母クラス分類”と併記されてきました
それによると、ASC-US「意義不明な異型扁平上皮細胞」は推定病変として「軽度扁平上皮内病変疑い」とし、日母クラス分類ではⅡ-Ⅲaとし、次の対応としてはHPV検査が望ましい、または6月以内に細胞診再検査としています。
しかし、2014年以降厚生労働省は子宮頸部細胞診の報告様式をベセスダシステムに一本化し、子宮頸部細胞診運用について記載したこの本においてもベセスダシステムがわが国に公式に導入されて久しく、今日ではこの欄(日母クラス分類)は削除されるべきであろうと記載されています。

しかしそれから10年が経過したにもかかわらず、ゆがめられたままのこの診断報告形態を本気で変えなけれなならないと思います。私がアイラボ以外で関与しているA検査会社では全くその動きはありません。またB社は基本的にASC-US/Ⅲaの報告はしていないが、ユーザー(開業医)からの要望があるところだけ記載しているとの回答がありました。

ASC-US相当の所見でクラスⅢaの報告は早急にやめるべきで、どうしても組織検査を必要とする場合はその旨を丁寧に分かりやすく伝える必要があると思われます。

ハイリスクHPV感染の男性がHPV強制排除に挑戦(3)

勇気を出して塗布を再開しました

第1回目の塗布は、(2)で報告したように、亀頭部分が赤く腫れ、その部位の皮がむけたりして、結構つらい思いをしましたが、症状が治まったのでべセルナクリームによる治療を再開しました。
2回目【10/6(金)夜】と3回目【10/13(金)夜】は1回目と同じ部位(亀頭部分から包皮内側)に塗布しました。
その結果は、1回目とは違って、赤く腫れたり、皮がむけるなどの辛い症状は全く見られまかったので、1週間後に3回目を実施しました。3回目も同様で、症状はほとんどありません。

続いて4回目【10/20(金)夜】、5回目【10/27(金)夜】、6回目【11/03(金)夜】はこれまで塗布しなかった、陰茎の部分に挑戦しました。
この部分についても赤く腫れたり、皮がむけたりすることはありませんでした。

治療開始後初めてのHPV検査を依頼

アイラボからは、4回分のキットを半額で提供させて頂きました。
キットには、細胞保存液と2本の綿棒がセットになっていますが、高価な検査ですので綿棒をご自身で追加し、1回の採取ではなく数日間採取してそれらをその都度細胞保存液に入れることを提案しました。治療によってウイルス量が減少している可能性があるためです。採取する部位はKさんにお任せしました。

kさんより採取した部位の報告がありました。
『今回は亀頭、カリ、包皮の内側と外側、根本周辺から採取しました。』

kさんは亀頭、カリ、包皮の内側を計3回、包皮の外側(竿の部分)を計3回ずつ塗布していますので、最初の検査ではそれら全ての部分から細胞を採取されたようです。

最初のHPV検査の結果は!

治療前に検査した時は(1)の写真で示すように、少し大型になった核がいくつか見られましたが、治療後ではこの写真の様に核を有する細胞は認めますが、異型のある核はほとんど見られません。
標本をくまなく観察してもこのような核を有する細胞はそれほど多くありません。
亀頭やカリの部分には写真の様な白血球(好中球)がみられることはありませんが、このように集簇性に出現していることも治療に伴う炎症性変化と思われます。
この写真は、細胞や核が大型化しているように見えますが、べセルナクリームによって細胞や核の中に存在するHPVが攻撃され、膨化変性した所見と推測されます。

Kさんが採取した検体にはたくさんの細胞が採取され、検体として適正と判断できましたので遺伝子検査を実施しました。
結果は39型と52型が検出されました。

今回は、亀頭から陰茎、さらに根元の部分まで擦過して検体を採取していますので、どこに存在したかは不明です。
「一気にすべてが消えた!」、、、といいたいところですが、今回の検体採取が最後の塗布からおよそ10日ほどですので、ウイルスそのものは存在しても死んだウイルス(感染力のないウイルス)である可能性も否定できません。
焦る気持ちはわかりますが、もう少し検査までの時間をあけたほうが良かったかもしれません。

また、Kさんは現時点で医師から処方されたべセルナクリームを半量(6回分)使っただけとのことですので、今後残りの全てを使い切るとのことです。

でも51型が検出されなかっただけでも期待がもてそうですね。
頑張ってください。


【その後の途中経過】
kさんから11月30日に連絡がありました。
11月24日に7回目の塗布を行いました。
一週間が経過しましたが、現状では特に目立った症状はなく、辛いこともありません。
とのことです。

ハイリスクHPV感染の男性がHPV強制排除に挑戦(2)

8月31日
決心していよいよ挑戦!
入浴時に性器全体をきれいに洗いました。

“湿疹”や“おでき”などで皮膚科を受診すると抗生物質やステロイド系の軟膏を処方してくれますが、この場合は患部に塗ってくださいとの説明があります。また、尖圭コンジローマであれば、感染部位はイボの様に隆起していますので塗る部位の確認は容易です。しかし、ハイリスク型HPVは感染部位に全く変化がないため、性器のどの部位に感染しているのか分からないことが治療する上で最大の問題点になります。
今回の場合は、医師はべセルナクリーム処方し、使用上の注意点を説明した上で後は自己責任で治療することになります。

アイラボのモットーは Be with you !

私達ができることには最善を尽くして皆さんの悩みを一緒に解決しよう!
それがアイラボのBe with youです。
今回はそんな中でkさんの協力を頂いて作業を進めています。
これから示す画像はDrシイナとkさんが共同で作製した手作り作品です。
分かりやすく少し大げさな図ですがその辺をご理解ください。

Kさんが選んだ治療方針

kさんはアイラボの検査キットでHPVに感染していることを調べました。
この検査は検体の採取をkさん自身が行いました。
綿棒を水に浸し、余分な水分を払い落としてから外性器部分をこすって細胞を採取して頂きます。
当然セックスで感染する部位は亀頭やカリの部分だけでなく、陰茎やその根元まで感染の可能性が考えられますので、採取する部位をいくつかに分けて検査する方もいます。
kさんは亀頭・カリ・包皮内側・包皮外側から採取していますので、3種類のハイリスクHPV(39,51,52)はのどこかに感染部位があると思われます。
念のため肛門周囲も検査されましたが、そちらは陰性でした。

8月31日夜、べセルナクリーム塗布開始!

亀頭から陰茎根部までの陰茎全体に塗布するのは怖かったので、先ずは亀頭・カリ・包皮内側の部分(比較的白く見える部分)まで塗布しました。(画像の中で水色の四角でかっこった範囲)

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9/1朝(約10時間後)亀頭の赤味や腫れは無し、シャワーを患部に直接当てても特に痛みはなかったが、
9/1夜(約24時間後)亀頭部分が赤く腫れ皮が少しむけ、シャワーを直接かけるとしみるような強い痛みを感じた

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9/2~9/5 (塗布開始から2日から5日)は亀頭部分の皮がむける範囲が拡大し続け、亀頭部分の半分ぐらいの皮がむけました。そして皮がむけた部分は赤くただれ、痛みがひどい状態でした。

9/6~9/14 (塗布開始から1週間から2週間の間)は亀頭部分の皮がむける範囲はやや収まったが、赤く腫れたままで痛みは継続していました。

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9/15~9/21 (塗布開始から2週間から3週間)は亀頭部分の腫れや痛みは少し改善したが、包皮内側の皮がむけ始めて強い痛みが出るようになりました。

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9/22~10/5 (塗布開始から3週間から約1ヵ月)
塗布開始から3週間から4週間が経過した頃から皮がむけた部位が徐々に再生し、腫れや痛みも消えてきました。そしておよそ1ヶ月後の10月に入ってほぼ全快したと思われます。

最初のチャレンジが終わりました。

最初のチャレンジが終わりました。
kさんはもとより、一緒に歩んできた私自身心からkさんに「大変でしたね」と言いたい思いです。
ハイリスク型HPVはサイレント(何の症状もなく静かに)に、しかもかなりの感染力で老若男女に関わらずセックスを介して感染が広がっていきます。
kさんの様に、(以前風俗を利用した経験がある、、、事とは別に、)ごく普通に好きな人に巡り合い、ごく普通のカップルと同じように仲良くなり、そして結ばれます。そしてある時、子宮頸がん検診を受けた彼女さんがASC-USやLSIL(軽度異形成)などと診断されたことで、HPVの感染が疑われたり、感染が明らかになり、HPV感染が二人の大問題に発展してしまうのです。細胞診(顔つきの悪い細胞があるかどうか顕微鏡で観察する方法)が普及し始めた50年前は子宮頸がんの原因すらわかっていなかったのです。そして今では「子宮頸がんの原因はHPVの感染」であることが明らかになったことで、HPVワクチンが登場したり、子宮頸がん検診にもHPV検査(遺伝子検査でHPVの感染があるかどうか調べる検査))が含まれる時代になってきました。

子宮頸がんの原因は「ハイリスク型HPVの感染」であり、それはセックスを介して男性から女性に女性から男性に感染することをはっきり認識しましょう。

現在kさんは、第二回目のチャレンジを始めています。
※途中経過をお聞きしたところ、初回に比べてかなり楽なようです。

このような方法で男性のHPV感染の治療が可能になることに期待します!

このチャレンジが終えたら何回かHPV検査を実施する予定です。
kさんのその後についても皆さんに報告していく予定です。
また、今回報告した内容にkさんから追加や修正の希望がありましたら随時対応してまいります。

ハイリスクHPV感染の男性がHPV強制排除に挑戦(1)

アイラボの郵送検査で最も大切にしているこだわりは、皆様に採取して頂いた検体が適正に採取されているかどうかを確認したうえで検査を始めていることです。。病院で採取した検体については(医師または医療現場にいるスタッフ(看護師さんなど)が適正に採取していることを確認したうえて提出されていますので特に行っていませんが、郵送検査はあくまで素人の依頼者が採取するわけですので、絶対に必要な業務になります。アイラボに送られた自己採取検体はたとえクラミニアの検査だけの検体でも塗抹標本を作製してすべて顕微鏡で目的の細胞が採取されているかを確認したうえで検査しています。
この度紹介する検体も、以下の画像の様に目的の細胞が適正に採取されていることを確認したうえでHPVの遺伝子検査を実施しました。
亀頭部分を擦過した検体にはこのようにたくさんの細胞が採取されています。
写真中央には核を有した細胞がみられます。
亀頭表面の正常細胞にはこのような核を有する細胞は見られません。
この写真にも、中央に2つの有核細胞がみられます。
これも同様ですが、このような細胞が亀頭の擦過検体に見られるのはHPVの感染の証拠と思われます。
実際このケースでは、39型、51型、52型が検出されました。
これらの画像はK氏が当社で行った「男のHPVタイピング検査(ハイリスク13種+コンジローマ)」検査時の検体適否標本に出現した細胞達です。
2023年7月1日に投稿した「10年前に風俗を利用した。5年後彼女がLSIL!そして今俺にHPVが」の(アイラボの無料相談)相談者(Kさん)が、男性性器のハイリスク型HPVの治療(HPVを強制的に排除する)に挑戦しました。この記事は、ご本人の承諾を得て投稿するものですが、ご本人が自分と同じ悩みを抱える多くの人達にも自身の経験を伝えたいという思いから実現しました。

Kさんから可能なら治療したい、、、との電話相談が!

『可能なら、自分の性器からハイリスク型HPVをなくしたい。』
という内容の電話でした。
尖圭コンジローマは、同じHPV6型または11型の感染で起こるイボを作る性感染症ですが、この場合はイボという病巣が医師によって確認できるため、「病気(尖圭コンジローマ)」と診断され、様々な方法で治療が行われます。しかし、ハイリスク型HPVの感染部位は平坦でイボのように目で確認できません。それどころか、男性性器を虫眼鏡で見てもどこが病巣なのか分からないため、『病気(病巣)』として確認できないので治療の対象とはならないのです。

Kさんの訴えに理解を示した医師がべセルナクリームを処方

2023年8月18日
幸運にも、ある婦人科医がKさんの希望を叶えるため、1ヵ月分のべセルナクリームを処方してくれたとの連絡を頂きました。医師からは、「もし“ただれ”がひどくなったらその間中止し、治ったらまた塗ってくださいと言われた」とのことでした。
私達アイラボの職員は治療に関しては(医師法や薬事法により)の関係で全く関与できませんが、Kさんからの連絡を頂き、大変感銘を受けました。もしこのようなことが可能であるなら、HPVに感染した男性にとっては、この上ない朗報であることには違いないと思います。

怖くてまだ薬を塗っていないが、今日から始めるとの事(がんばれ!)

8月30日 Kさんより電話が入りました。

「どうですか? その後心配していましたが?」
するとKさんは、怖くてまだはじめていないとの事。
「そうですか? その気になったら無理をせず先生の指示に従ってやって下さい。」と告げると、「今晩からチャレンジします。先生からは夜お風呂に入ってから塗って、翌朝には洗い流すよう言われています。」とのことでした。
やはり、とても強い薬と聞いていますので、ちょっとした勇気が必要ですね。

「そうですか、それでは頑張ってください。治療に関して私達はコメントできない立場ですが、もし心配事があったら何でも相談して下さいね。そして、また経過を聞かせてくださいね。」ということで電話を切りました。

その後の経過については、Kさんや私だけでなくこのブログを見て頂いている方みんなが心配であり、楽しみだと思います。

近日中にご報告いたします。
楽しみにしていてくださいね。
Kさんも皆さんに報告できることを楽しみにしていると思います。

1週間以内に現況を報告出来ると思います。

※分かりやすい画像を作製していますので、少し時間がかかっています。2023/10/31

男性のHPV検査はなぜアイラボだけなの?

実はとても多い質問です

もうかなり前になりますが、アイラボの無料相談に「どうして女性のHPV検査はどこでも受けられるのに男性は調べられないのか?」という質問が寄せられました。
よく考えてみれば、性行為で感染する淋菌やクラミジアは男性でも女性でも検査が受けられるのに、同じ性行為で感染するHPV検査が女性だけで男性は受けることが出来ないのはおかしな話ですね。
子宮頸がんは「病気」であり、その病気はHPVの感染が原因であることが分かってきましたので、子宮頸がんの早期発見(検診)のためのHPV検査HPV感染そのものを予防するHPVワクチンが開発され、すでに世界中の国々に普及しています。しかし、男性がHPVに感染しても、その多くが尿道のがんや陰茎のがんになる確率が女性の子宮頸がんに比べると極めて少ないため、「検査の意義が無い」と判断されているのでしょうか。

症状は全くないのに、彼女が子宮頸がん検診でひっかっかった

「自分の彼女は、(多分)自分とが最初の性行為なので、検診でひっかっかった原因は俺しか考えられない。俺は数回風俗を利用して“生での行為をした”、、、でも、淋病やクラミジアに感染したことはなく、特に気になる症状は何もなかった。俺がHPVに感染しているかどうか調べたい。」当時、そんな風俗利用者や複数の女性と性交渉があった男性からの問い合わせが殺到していました。

共にHPVの研究をしてきた杏林大学の大河戸光章先生に相談

この頃、大河戸先生は日本におけるHPV研究の第一人者の仲間入りを果たしており、特に、細胞診におけるHPV感染細胞の形態学的研究では最先端の学術論文を発表しております。彼が開発した高感度多種HPV検出法uniplex E6/E7PCRはHPVの検出感度がすべての型で均質に検出できる特徴があります。
自動的に測定できる方法ではないため、多数検体を一度に調べられませんが、HPV感染している細胞が少ない男性性器検体でも応用できるため、アイラボでは大河戸先生の協力を頂き、男性向け郵送検査を始めました。

日本性感染症学会にてその成績を報告(2017年、札幌にて)

写真は、学会で発表した最初のスライドです。【日本性感染症学会第30回学術集会(2017)一般講演「HPV・尖圭コンジローマ」演題番号O-29】発表内容の詳細はこちらからご覧ください。

それ以降、男性のHPV検査は伸びていますが、女性も⤴

男性が、『自分の大切な人に、HPVを感染させたくない!、、、という思いから広まったHPVタイピング検査』ですが、その後、徐々に変化が現れました。『貴方とお付き合いしてもいいけど、HPVの感染は調べて!』、、、という女性が増えてきました。
要するに、男性も、女性も、、、、子宮頸がんに対する意識の変化が出てきたのです。

子宮頸がんの原因は、そういう事だったのか!” そんなことがやっと国民の中で広まってきたのかな?アイラボにとって、少しだけですが、嬉しいと感じた変化です。

男女のこの意識こそ、日本における子宮頸がん対策のキーになると確信しています

私達は性風俗業界の存在を否定するわけではありませんが、私達が最近実施した調査では、風俗で働く女性(CSW)におけるHPV罹患率は73%に及びHPV感染の爆発的広がりの温床になっていることは否定できません。このような現状を国は理解していても感染拡大に関する対策は全く行われていません。またその一方で、日本における子宮頸がん検診受診率は50%にも及ばず、2022年度国民生活基礎調査を元に厚生労働省が報告したした受診率は43.6%なのです。また、HPVワクチンの接種率に至っては1.9%(2019年度厚生労働省)と、いずれも先進国の中で最下位なのです。
検診は苦手だし面倒!、(特に根拠がなくても)自分には関係ない(対岸の火事的思考)と考える日本人の国民性、芸能人など有名人ががんになると一時的に検診を受ける人は増えますが、その熱も長続きしません。私達の学会関係者も子宮の日(4月9日)には全国各地で啓蒙活動を実施しますが、どれだけの効果が上がっているか、受診率が伸びない現実(2013年42.1%、2016年42.3%、2019年43.7%、そして2022年43.6%)を見ればそれほどの効果は上がっていない気がします。

そんな我が国の実情にもかかわらず、欧米をはじめとした諸外国のデータを基にしての「科学的根拠に基づいた子宮頸がん検診ガイドライン」というけど、本当に国民のためになっているのだろうか極めて疑問を感じます。

政治や関係する学会が解決できない現状からの脱却には、直線的でより現実的対応が必要ではないかと考えています。なぜ子宮頸がん検診で「要精密検査」になったのか?もっと端的に言えばいつ誰からHPVがうつったのか自身のことは自身でわかるはずですので、自身の健康を守るためにはセルフメディケーション(自身の健康は自身で守る)ことの重要性を浸透させなくてはならないと思います。

国民一人ひとりが子宮頸がんと真剣に向き合い“具体的何か”を見出さなければなりません。私達はその一つとに『真実を知ること、つまり正しい教育』が必要だと考えています。教室での講義や講演の形式ではなく、NetやSNSを使ってよりリアルな形で現実を伝えたいと考えています。

男性のHPV検査を提供している理由はまさにその点にあります。子宮頸がんは女性だけの問題ではなく、HPVのキャリアーとして男性が関わっているわけですから、この現実を男性も、女性も真面目に理解し、解決の道を探るための一歩にしてほしいのです。
自らHPVに感染しない感染させない(自身の性行動をしっかり管理する・男女ともにHPVワクチンの接種をする)、感染している可能性がある場合はがんになる前に対応する(定期的に検診を受ける)、検診で「要精密検査」になったら(必ず病院を受診して対応する)、、、当たり前なことがわが国ではできていないのです。

セルフメディケーション!子宮頸がんになってしまってから後悔する前に、自分を守れる機会がいくつもあるのです。そのことを知らない、知っていても他人事にしてしまったら、子宮頸がんから自分を守れれないのです。
次の大きなテーマは「子宮頸がん検診ガイドライン」についての私見」と題して考えたいと思いますが、その間に日々の出来事も掲載します。