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第4層 顕微鏡で見る婦人科の病気(10月31日)

4-7 子宮頸がん関連病変
子宮頸がんはHPV(ヒトパピローマウイルス)が、目に見えない小さな傷口からヒトの体内に侵入すると考えられています。感染してもその多くは数年で免疫力によって排除されますが、一部が持続感染する過程で腫瘍抑制遺伝子の働きを阻害し、HPV遺伝子がヒトの遺伝子に組み込まれ、腫瘍の増殖に関与していると考えられています。顕微鏡の世界から、HPVの感染からがんに至るまでの過程を細胞診で見ていきましょう。

4-7-1 意義不明な異型扁平上皮細胞 ASC-US(アスカス)相当の細胞
細胞診の世界では、2つと同じ細胞はない中で、ある一定の基準を満たす形態の変化(細胞の顔つき)を見て病変を推定する検査です。従って、観察する人や検査機関で多少の幅の違いは想定されます。ASC-USとは「意義不明な異型扁平上皮細胞」と定義され、(実際上は)軽度異形成(LSIL)の可能性(=HPV感染)はあるが、はっきりしない場合の判定になります。
ASC-USの細胞
写真4-7-1(ASC-US アスカス)
表層型の扁平上皮細胞の核が大型化し、2核になり、クロマチンは若干増加しています。軽度異形成とするには若干所見が乏しくASC-USと判定したケースです。
症状➡ 自覚症状はありません。
郵送検査➡ HPV検査は可能 
追加検査➡ からも可能 HPV検査
(日本では、HPV検査は原則医師採取になっていますが、WHOやASCは自己採取を認めています。)
私達が行った研究では、医師採取と精度的に変わらないとするエヴァリンブラシとセルソフトでは大きな差は見られなかった。(詳細は以下の写真に示します。)
医療機関➡ ASC-US/HPV(+)例は、婦人科を受診しましょう。
追跡検査➡ HPV(+)例は精密検査、(-)例は12か月後HPV検査。
治療➡ 対象になりません。
藪崎宏美らの論文を提示
写真4-6-2
この論文は、アイラボの藪崎宏美らが投稿したものです。
30名の風俗営業従事者の協力を頂き、エバリンブラシで採取した後、セルソフトで採取し、HPV検査と細胞診を実施しました。
藪崎宏美らの論文の表1を示した写真です
写真4-7-3 藪崎論文の表1を示しています。この表からたくさんの情報が得られます。
①一番左の赤い丸は、セルソフトまたはエバリンブラシでハイリスク型HPVが検出されてケースです。30例中21例(70%)が陽性でした。
②上から4例目のケース4のみが、腟検体で検出できなかった。先に採取した腟検体(エバリンブラシ)では陰性でしたが腟部検体(セルソフト)は陽性でした。
③全体に腟検体の方が検出される方が多かった。先に採取したことが理由かも知れないが、腟だけに感染していた可能性があります。(今後の課題)
④最も危険な16型の感染は2例と、想像していた以上に少なく、そのうちの1例はHSILでした。
⑤30例中、細胞診でASC-US以上は12例(40%)であり、HSIL/ASC-Hは2例(6.7%)、LSILは5例(16.7%)でした。風俗営業従事者として、LSIL以上は7例(23.3%)でした。
⑥ASC-USで2例、LSILで1例はHPV検査で陰性でした。何を意味するか?ハイリスク型以外の感染でも細胞診では異常な細胞を拾い上げることを意味しています。
※子宮頸がんの危険性が少ないものまで追跡検査をしている可能性もあります。
※逆のことを言えば、現在ハイリスクとはされていない型でも危険性を排除できない型(例えば82型など)は細胞診で拾い上げている可能性があります。アイラボではこれまで細胞診でHSILと診断したにもかかわらず、ハイリスク検査(HPV検査)で陰性であったケースが6例あります。それらはいずれも82型であったことには今も注目しています。
今後もLSIL以上を追加していきます。お楽しみください。