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第4層 顕微鏡で見る婦人科の病気(10月27日更新)

4-6 細菌性腟症(STIとは考えられていません)
腟内フローラの乱れによって起こる症状(あえて病気とは表現しません)。
最も困ることはパートナーに不快感を与える魚臭帯下(イカ臭いなど)です。また、早産や流産の原因になるとも言われていますので、妊活中にも意識して頂きたい症状です。
細菌性腟症の弱拡大
写真4-6-1
背景は好中球が少なく、一見とてもきれいに見えます。しかし、黄色の枠で囲った中には、本来オレンジ色に染まる細胞が黒っぽくくすんで見えます。この場所を拡大してみましょう。
細菌性腟症 クルーセルの強拡大
写真4-6-2
矢印で示した細胞は細かな細菌が群がってくすんで見えます。これは腟ガルドネラ菌が細胞表面に群がっている状態で、clue cell(クルーセル)といい、細菌性腟症に特有な所見です。細胞診で典型的なクルーセルが観察されるケースは乳酸菌が極端に減少していますので、細菌性腟症が強く疑われる所見になります。
典型的な細菌性腟症は写真のように好中球の増加を示さないのが特徴で、アイラボではBV-2として婦人科の先生方に報告しています。
➡細菌性腟症のWHO分類、Nugent score の詳細はアイラボの本サイトをご覧ください。

➡細菌性腟症のWHO分類
おりものの水素イオン濃度(Ph)が4.5以上、②灰白色のおりもの、③魚臭帯下(魚の生臭い臭い)、④クルーセルの存在、4項目中3つが該当すれば細菌性腟症と診断されます。

➡細菌性腟症のNugent score
腟ガルドネラ菌、モビルンカスの量で算出します。
グラム染色という方法で染色した標本を顕微鏡(1000倍)で観察します。7以上が細菌性腟症、4~6が中間群、0~3が正常として評価されます。
細菌性腟症のBV-1に相当する細胞
写真4-6-3
クルーセルは見られないものの、細胞の周りや背景に細かな細菌(腟ガルドネラ菌)がたくさん見られることも少なくありません。このようなケースはグラム染色や単染色で菌の形態をチェックする必要はありますが、これらが腟ガルドネラ菌であれば、乳酸菌は極めて少ないことが多く、細菌性腟症が強く疑われます。私達はこのような症例はBV-1として先生方に報告しています。
星雲状封入体 弱拡大
写真4-6-4
同一症例のグラム染色です。クルーセルの形態を示していませんが、細胞の周りに腟ガルドネラ菌がたくさん見られます。このケースは、乳酸菌およびモビルンカスは見られません。Nugent scoreは8で、腟内フローラの状況は「異常」と判定されます。
星雲状封入体 弱拡大
写真4-6-5
クルーセルが見られ、背景にも腟ガルドネラ菌がたくさん見られます。更に、好中球が明らかに増加しています。このケースは性感染症など特定できる感染症はないため、非特異性腟炎と診断されます。細菌性腟症は流産や早産の原因になるといわれていますので、アイラボではこのようなケースをBV-3とし、マイコプラズマやウレアプラズマのチェックを勧めています。
グラム染色した典型的な乳酸菌
写真4-6-6 グラム染色で染色した典型的な乳酸菌です。
単染色をした典型的な乳酸菌
写真4-6-7 単染色で染色した典型的な乳酸菌です。
グラム染色した典型的なモビルンカス
写真4-6-8 グラム染色で染色した典型的なモビルンカスです。三ヵ月型が特徴です。
単染色したモビルンカス
写真4-6-9 単染色で染色した典型的なモビルンカスです。
グラム染色した標本の腟ガルドネラ菌とモビルンカス」
写真4-6-10 グラム染色です。同じ場所にモビルンカスと腟ガルドネラ菌が見られます。
示したように、乳酸菌、腟ガルドネラ菌、モビルンカスは特徴的な形態をしています。
とはいえ、鑑別になれるまでは少し修業が必要ですが、腟内フローラの状況を観察するにはとても簡便な方法です。