女性予防医療推進機構での講演

2025年11月9日、IKE・Bizとしま産業振興プラザ6階多目的ホールにおいてNPO法人「女性予防医療推進機構」のキックオフイベントが開催され、多くの方と一緒に私も参加させて頂きました。今回もこんなのかな?と想像していましたが?
およそ半年が過ぎた昨日(2026年7月4日)理事長である伊奈絵里佳氏からの依頼でセミナーが開催されました。伊奈氏からはズームでのセミナーとなっていたようですが、てっきり通常の講演と思い込み、現場に到着してみると演者(私)の目の前にあるのは参加者ではなく、カメラのようなもの????、、、こんなの初めて!、、、年は取りたくないですね。
まあ何とかなるかと思いつつも、ちょっと不安?実際進行してみると、スライドの画面は私の真後ろなので、スライドを見ながらではなく、手元の原稿を見ながらのお話でしたので、なんともぎこちない船出、、、落ち着かないまま予定の時間になりました。最後のほうは少しあせり気味でしたので、このブログで再度紹介しますね。
本日は、知っておきたいHPVの基礎知識、男性も女性も、自分と大切な人を守るためにというテーマを頂きました。私たちの会社は、登録衛生検査所を運営していますが、「女性の健康と活躍を支援する」ことを目的に開業しました。伊奈様とは2024年に東京ビッグサイトで開催されたFem+ 2024「女性の健康と活躍を支援する会」というイベントに共同で出展させて頂いたのがきっかけでお付き合いをさせて頂いております。
それでは始めさせて頂きます。
私の経歴は、病院での検査業務、千葉大学教育学部で7年ほど性教育の教務補佐委員として故武田 敏先生の元でお手伝いをさせて頂きました。その当時、近くに江東微生物研究所千葉支所があり、臨床化学検査や細胞診検査を非常勤の形で携わりました。そんなある日、私が担当した女医さんからの子宮頸がん検査依頼書に「臭い(+)」とのコメントに出会いました。先生に話を聞くと、婦人科医のお父さんから、診察の時気が付いたことがあれば必ずメモしなさいとの教えがあったっそうです。「先生、細菌性膣症はご存じですか?」と質問すると。「エ?、、それなんですか?」という言葉が返ってきました。それがきっかけで、先生と共同で日本臨床細胞学会に細菌性膣症のテーマで発表させて頂きました。司会の先生も話には聞いたことはありますが、実際のところは分からないご様子でした。その後この研究を続けているとあるヨーロッパの研究者が細菌性膣症を「男が黙って去っていく病気」と表現された記事を目にしました。それから今日まで細菌性膣症とお付き合いしています。
江東微生物研究所様のお手伝いではもう一つ私にとって大切な出会いがありました。
それは子宮頸がん検査用自己採取器具加藤式との出会いでした。当時の婦人科細胞診の検体はお医者さんがスライドガラスに直接塗抹していましたので、適切ではない標本がとても多く、何かとトラブルがありました。そんなある日、私の仕事に回ってきた検体が加藤式で採取された自己採取検体でした。“素晴らしい”の一言。でも当時から自己採取検体の取り扱いに関しては問題があったようですので、私がもし責任ある立場になった時、加藤式については真剣に研究しようと決めていました。この2つの経験が今の私の仕事を支えております。その後、日大医学部病理学教室で酵素抗体法の技術を学び、母校の杏林大学保健学部では細胞診の研究と教育に携わりました。写真に示す細胞は、私が星雲上封入体(nebular inclusion)と命名しました。クラミジアが細胞の中で増殖していく過程で観察される形態の発見で医学博士の学位を頂きました。
現在の会社は、故八田賢明先生(千葉県松戸市ジュノヴェスタクリニック八田の元院長)が私直々に「椎名君、女性はお産以外は私達の所(婦人科)には来たくないんだよ(敷居が高い)。それで、子宮頸がんや不妊症など手遅れになってしまうことが多いので、何とか自己採取で精度の高い検査を考えてくれよ。」この言葉は、私が江東微生物研究所で加藤式に出会った時に自身に誓ったことでもあり、その実現に向けて日々努力し、スライドのような活動をしています。
それでは本題に入ります。
HPVとは、ヒトパピローマウイルスのことです。人の顔や手にイボを作るウイルスですのでそのように命名されました。HPVは現在200種以上が確認されていますが、ヒトの性器に関係するのはおよそ40種が知られています。このスライドに示すようにいろいろな病気に関係していますが、感染したからといってすべてこのような病気になるわけではありません。その多くは免疫力によって自然に排除されます。今回は、子宮頸がんとの関係について勉強しましょう。
子宮頸がんに関係のあるHPVを特に高リスク(ハイリスク)型HPVといいます。国や地域、人種によっても多少異なるようですが、おおむねこの13種が高リスクと認定されています。現在HPV検査として活躍している機種は中間群の66型も含まれています。その他に73型と82型も高リスクに加える向きもあります。わが国では73型が検出されるケースは少ないですが、82型については私共もハイリスクでよいのではないかと思ったケースがいくつかあります。それは、細胞診で明らかに高度異形成に相当する異型細胞が見られたのにもかかわらず、HPV検査では陰性であったケースが少なくても6例あります。当初は検体提出医からHPV検査がおかしいのではないかと指摘を頂きましたが、82型はHPV検査の対象外であることを説明し納得して頂きました。そんな経緯から、私達は82型をハイリスク(候補型)として扱っています。6型と11型はHPVの特徴でもある「イボ(隆起性病変)」をつくり、(おかしい=病気)と分かりますが、高リスク型は隆起性病変をつくらないため、肉眼的には何の変化もなく、病気と認定されないし、治療の対象にもなりません
高リスク型HPVの特徴をまとめると、■性行為によって目に見えない小さな傷から感染しますが、その■多く(90%)は免疫の力で自然に排除されるようです。1年以内に70%が、2に年以内に90%がいなくなるという報告があります。感染しても抗体の量が少ないため、■何度も感染します。コロナウイルスと同じように■ワクチンで予防することが可能ですが、■持続感染する一部が進行したがんになると考えられています。
HPVは出産時に母親から赤ちゃんへ感染することがありますが、多くは自然に排除されます。 子宮頸がんの原因となる高リスクHPVは、主に性行為の際にできる目に見えない小さな傷から体内に入ると考えられています。そのため、子宮・膣・肛門・陰茎など、性行為で直接触れる部位にがんが発生することがあります。 また、オーラルセックスによる中咽頭がんも増えているようです。米国では検診やワクチン接種の普及により子宮頸がんは減少傾向にありますが、中咽頭がんの割合が増えているようです。のどは性器ほど傷つきやすくはありませんが、健康な咽頭に比べ、喫煙・飲酒・風邪などでのどが荒れている状況では感染しやすくなる可能性が考えられます。HPVワクチンの接種は咽頭への感染も防ぐ効果がありますので、欧米やオーストラリアでは男性への接種も進んでいます。私の孫(男の子)はフィラデルフィアに住んでいますが、中学一年生の頃接種を済ませているようです。
子宮の入り口に高リスクHPVが感染しても肉眼的には何の変化も現れません。右側の写真は男性性器(亀頭から陰茎の根元まで)の表面を綿棒で擦って得られた細胞ですが、肉眼的には(虫眼鏡で観察しても)全くい所見は見られません。しかし、感染している場合このように子宮膣部の感染病変からの細胞(写真左)と同じような細胞が観察されます。特に男性は、検査を受ける機会が全くありませんので、感染してこのような変化があることは全く知られていないのが現状と思われます。男性も女性と同じように明らかにLSIL相当の細胞が性器表面に存在するのです。右側の写真の中央やや濃く染まっているのが細胞の核ですが、HPVはこの核の中で増えています。亀頭から陰茎の表面にたくさんHPVが存在していることが分かります。女性の場合、コルポスコープという器具で観察できます。うすい(3%)酢酸溶液で膣の入り口部分(子宮膣部)を湿らせる(酢酸加工)と、感染部位が白く変化します。男性に酢酸加工したら同様の変化が可視化できれば感染部位が特定できるかも知れません(どなたか、この研究をされれはどうでしょう?)。
“感染者との性交を避ける”当たり前のことのように思えますが、現実には簡単ではありません。 アイラボの検査キットをご購入される方の中には、「これからお付き合いのランクをワンランク上げようと思っていますが、HPV感染が心配なので彼に検査を受けて頂くことにしました。」というケースも結構あります。また、男性が自ら検査を受けるケースで最も多いのが、「以前風俗を利用したことがあるので、お付き合いする前に陰性を確認しておきたい。」というものです。でも、性交の機会が突然やってくることも少なくありませんし、あらかじめ相手に検査を受けていただくにしても、気まずい関係になる心配もありなかなか難しい問題ですね。
私は相手にお願いするだけでなく、「この機会に一緒に受けよう」、を勧めています。どちらかが陽性であってもお付き合いをやめることはしないで、二人の問題として話し合うのが大切だと思います。その理由は、感染していたからといって全てががんになるわけではないし、検診を受けていれば子宮も命も守れるがんだからです。。

HPVは皮膚や粘膜の接触でうつるため、通常の性感染症(淋菌やクラミジア、など)対策に使われるコンドームの使用は大切と考えています。ただし、コンドームで覆われない陰茎の根元や外陰部にもウイルスがいるため、完璧に防げる確証はありません。しかし私達は、コンドームを正しく使うことでかなりの確率で防げると考えています。その理由は性行為で接触する大半の部分をカバーできるからです。傷がつかないように注意することや、行為が終わった後清潔にしておくことも大切かと思います。
HPVワクチンの接種は世界中で広がりを見せています。オーストラリアでは女性だけでなく男性にも接種されています。アメリカに住んでいる私の孫(男子)は中学1年生の頃接種を済ませています。■大切な人にうつさないばかりでなく、■自身のがん予防にもつながるからです。特に最近子宮頸がんに比べ中咽頭がんの頻度が上がっているようです。
日本では2013年に定期接種が始まりましたが、副反応問題が社会問題となり、わずか3ヵ月で接種勧奨が中止されました。2022年に再開されましたが、その影響で接種率は依然として低いままです。2023年公費で受けられるようになったシルガード9は16,18,31,33,45,52,58、に加え尖圭コンジローマの原因となる6型と11型に対しても効果があるワクチンです。子宮頸がんに対しては80%‐90%の効果が報告されています。ワクチン接種でも感染を完全に防げるものではありませんが、多くの人に接種することで集団免疫が獲得され、将来的には大きな効果が期待されます。
このようにHPV感染を予防する手段はいくつかありますが、完全に防げるものはありません。従って、これからも定期的な子宮頸がん検査が必要になります。
■ワクチン接種は早いほど効果が高いと言われています。しかし、人の性に関する発達段階が一様ではないこと、性に関する興味の度合いも人それぞれです。私の姪が中学生の頃、「おじさん。今度子宮頸がんワクチンを受けるんだけど怖くない?」と聞いてきました。(わざと)「どうしてお前がワクチンを接種するの?」と聞いてみると、「皆がするから」と言ってきました。ワクチンの接種が大切かという教育がないまま、定期接種が始まった2013年の話ですが、しっかりした土台がないところに家を建てるようなもので、改めて日本の性教育の遅れが気になるところです。「私はもう少し大人になって、自分のことが今よりわかるようになってからワクチンのことは考えます。」そんな答えが返ってくることを期待しています。



私達が細胞診を始めた頃、日本で最初にバスで僻地の検診(車検診)を始めた当時東北大学産婦人科の野田起一郎先生は、子宮頸がん検診を受ければ子宮がんで亡くなる人をゼロにすることができるというお話をされたことがあります。全く同感で私の活動でも「子宮頸がんゼロ」という言葉を使わせていただいています。それが証拠に、HPV検査で陽性になると細胞診検査を受けるようになっています。そんなすごい検査があるのですからゼロは可能なのですが、八田賢明先生が指摘されていたように、女性にとって婦人科の敷居は高いのです。確か2009年頃でしたか、公明党の故浜四津敏子議員が当時厚生労働大臣でした舛添要一大臣に対し子宮頸がん検診の受診率の低さ(確か当時は24%程だったと思います)を指摘されたのに対し、舛添氏は5年後に受診率50%達成を目指すと公約されました。しかし、我が国の受診率は43.6%程で頭打ちの状況です。一人でも多くの人に検診を受けて欲しい、受けられる環境にしたい、それが自己採取器具を考案された加藤先生であり、八田先生の思いだったのです。
その自己採取法について少し時間を頂きます。細胞診の精度を話す上で重要なポイントが3つあります。■採取器具の選択、お医者さんの代わりに採取するわけですから、この選択を誤るとその後の検査をいかに慎重に行っても精度は上がりません。私達は加藤式を選びました。■適切な標本を作製する、加藤先生はスライドのように採取したスポンジ部分を直接スライドガラスに押し付けるように塗抹されました。私達はこの操作に着目しました。細胞が大量に採取された検体は細胞が重なって観察しにくい標本になり異常な細胞を見逃されやすくなります。また、異常な細胞はスポンジの先端部分より横の部分に多い傾向があり、肝心なところが塗抹されない可能性がありました。このような理由からスポンジ部分全体を細胞保存液の中に洗い出し、それを遠心分離器にかけてその沈査をスライドガラスに塗抹する方法に改めました。■観察は使命感をもって、たくさんの細胞が採取されるため、相対的に異常な細胞の割合は少なくなります。その少ない細胞を見逃すことがないような慎重な観察が求められます。この3つのポイントをしっかり守ることで精度を上げることができました。
これが加藤式やその後に改良を加えたセルソフトで採取された検体の処理:標本作製:使命感のある観察のトレーニングを受けた細胞検査士にアイラボが発行している認定書です。アイラボの自己採取検体はすべてこの課程を修了した者が担当しています。
このような自己採取細胞診は医師採取とどこが違うのか、私達は検証してみました。結果的には、医師採取とアイラボ式自己採取は変わりません。そのことをこのスライドで見ていきましょう。
先ず、医師が採取した成績から見ていきましょう。スライドの右側に示す数値は、細胞診でLSIL(軽度異形成)以上に診断されたのがどれほどあったかを示しています。日本全国にある対がん協会はすべて医師が採取して直接塗抹された標本で検査されています。平成21年度のLSIL以上は1.0%でした。同様に私達の会社がある八王子市の子宮頸がん検診では、開業されている婦人科クリニックの先生方が採取し、スライドガラスに直接細胞を塗抹したものを東京都予防医学協会で検査された成績です。LSIL以上は0.89%でした。アイラボで行った千葉県S市の検診には、医師が採取し、保存液に入れてアイラボに搬入され、アイラボの細胞検査士が標本を作製しました。液状化処理検体のLSIL以上は1.82%で、直接塗抹標本に比べおおむね倍の検出率を示しています。
一方、自己採取検体の成績はというと、東京都で年間5,000件以上扱っている検査機関の成績を調べてみると。A社は0.36%、B社は0.44%、C社は0.36%と、医師採取に比べると著しく検出率が低下していました。これでは国が自己採取は「ダメ」というのも仕方ありません。しかし、D社は0.92%と医師が採取して直接塗抹標本を作製したものとほとんど変わりません。詳しく担当者にお聞きすると、対象はすべて風俗営業従事者で採取器具はホームスミアであることが分かりました。一見検出率が良いように思えますが、検査対象が風俗営業従事者の定期検査ということになりますと、検出率はかなり低いと思われます。加藤式を考案された加藤先生が関係した名古屋公衆医学研究所様から頂いた資料によりますとLSIL以上の検出率は0.99%、某検査機関は0.89%と、スポンジ部分の直接塗抹ではおおむね医師採取と同等の検出率でした。
加藤式で採取された検体を液状化処理した結果は2.0%であり、約倍の検出率になりました。医師採取検体も自己採取検体も液状化処理(LBC法)で検出率が倍になったのです。
このスライドは某検診機関が過去7年間の加藤式自己採取細胞診の結果です。対象は1500名程でほぼ同じ人です。優れた器具で採取しても、検体の処理や観察方法が適切でないとこれだけの結果になってしまうのが自己採取細胞診です。国が「ダメ」というのも理解できます。
このスライドは風俗で働く人の定期検査として採取された検査の結果です。いずれのケースも高リスクHPV陽性例です。私達がHPV感染の第一段階としたのは、初めてASC-USが出てからASC-Hの細胞が出る前までとしています。この時期はNILM,ASC-US,LSILが出たり出なかったりする時期で、NILMの期間が比較的多いのが特徴です。第二段階は初めてASC-Hが出てから、ASC-HやHSILの細胞が毎回の検査で見られるようになる前までとしました。第一段階に比べてNILMの頻度は少なくなりますが、NILM~HSILの細胞が出たりでなかったりします。第三段階はいつ検査してもAS-HまたはHSILの細胞が見られる時期としています。このような傾向は医師採取においても見られる現象です。
たまたま検査した時の結果がNILMであることがある以上、2年に一度の検診はとても重要になることが分かります。
このケースは16型と51型、それ以外の感染が見られたケースです。最初からASCHの細胞が見られたので少なくても第二段階です。第三段階になるまで約2年間かかりましたが、この間もNILMがあります。ここで安心すると以後大変なことになります。NILMになったからといって安心せずしっかり定期検査をすることが重要です。
通常の子宮頸がん検診は苦手(恥ずかしい、忙しい、面倒)な人に少しでも検査を受けられるようにと考案された自己採取法です。その使い方によっては検査とはいえない低い精度になってしまいますが、最善を尽くしても解決できない問題があります。それはこのスライドで示すように、子宮の入り口から少し奥に発生する子宮頚部腺がんを早期に発見できない可能性があるという点です。これを補うために自己採取細胞診ではASC-US(HPV感染が否定できないため、HPV検査を受けることになっている)以上を拾い上げ、医療機関へ誘導する橋渡し的役割として提供しています。
子宮頸がん検診の受診率を上げたいという目的で登場するのがHPV検査単独法です。細胞診が2年に一度であるのに対し5年に一度受ければよい点は、受診率向上に若干期待は持てそうですが、恥ずかしい、忙しい、面倒と思う人たちをどれほど呼び込めるか不透明な部分は残りますが、先ずは一歩前進かと思います。HPV陽性者のみを追跡していきますので、実施者の負担は軽減されます。しかし良いことだけではありません。HPVに関係のないがんは拾えないし、細胞診ではできた膣内状況の観察(炎症があるか、感染症があるか、など)はできなくなり、陽性者の負担が増えるなど問題は残ります。最も大切な点は受診率80%が達成できるかという点です。
私達は検査法を細胞診からHPV検査に変えただけで受診率80%を得るのは難しいと考えています。すでにWHOや米国FDAも自己採取を許可しています。日本ではまだエビデンスがないとの理由で「医師採取を原則とする」になっていますので、FDAが承認しているHPV検査専用のエヴァリンブラシと私達が開発をセルソフトと採取能力の比較研究を行いました。
この研究には風俗の仕事をされている30名と婦人科クリニックで働く女性従業員10名の協力を頂きました。先ずFDAが承認しているエヴァリンブラシで採取した後セルソフトで採取して頂きました。風俗営業従事者30名中セルソフトが21名(70%)、エヴァリンブラシが20名(66.7%)がHPV検査で陽性を示しました。個々の症例で多少HPVの検出数に違いはありますが、おおむね一致した成績でしたので、セルソフトで採取された検体もHPV検査に対応できる成績でした。セルソフトとエヴァリンブラシで最も異なる点は赤枠で示した細胞診の結果です。セルソフトは元来細胞診用に開発された器具ですので、残った検体で細胞診を実施することが可能です。30名中12名がASC-US以上(40%)で、その中の3名はHPV検査は陰性でした。つまり、高リスク以外のHPVによる細胞診異常と思われます。■セルソフトはHPV検査と細胞診が同時にできるメリットを有します。
この研究ではさらに重大な問題を提起しています。日本で風俗の仕事をしている人は推計数十万人といわれています。私達が実施したHPV検査単独法による子宮頸がん検診における高リスク陽性者は3.2%と予想よりかなり低率でした。風俗で働く人はなんと21.9倍です。また、30名中HSIL相当の異常は2名(6.7%)発見されましたが、対象が数十万人で換算すると危険にさらされている人は膨大の数に上ります。
風俗で働く人の健康を守るために、更にHPV感染を広めないという意味からも、HPVワクチンの接種やしっかりした定期検査の仕組みが望まれます。
自己採取型HPV検査単独法が普及すれば受診率80%は夢ではないと思います。しかし、受診率100%を目指すためにはもう一段男性の意識改革が必要になります。今の日本は子宮頸がんは女性の問題であって男性の問題ではないといった感覚があります。欧米では男女共に性教育が進んでいるため、性に関する様々な問題はオープンに話されます。例えば、「彼は(性行為)奥まで入れるのが好きなので、陰茎の根元までHPVに感染しているか心配。」とか、「彼はすぐ浮気をするから私何回もSTDになったわよ。」なんてへっちゃらで話します。そのような状況下では女性だけでなく男性へのHPVワクチンも容易に受け入れられます。
私は少しの期間でしたが性教育の場で仕事をしました。その当時、教授から純潔教育や月経教育という言葉が多く聞かれました。私自身中学生の頃、女性の月経教育を経験しました。男性は外で遊んでいろと言われ、女性だけが暗幕を張った教室で教育されました。当時の様子は今でも鮮明に覚えていますが、多分生理の話じゃないの?男には内緒にしておくほうがいいのかね?とか話している男子がいました。男子が聞いても悪い話ではないのではないかと思う自分がいた気がします。私が教育の現場にいた時は、もっぱら避妊教育や感染症対策でした。しかしその対象は主に女子で男性にしっかりした教育がなされてこなかったのではないでしょうか。子宮頸がんについての話もそんな背景から、女性の問題であり、男性が関われない領域と認識する傾向にあるのではないでしょうか。
そこで7年程前から男性性器からのHPV検査の提供を始めました。
方法はいたって簡単、男性性器(亀頭から陰茎全体)を湿らせた綿棒で擦って頂くだけです。それを私達の仲間が開発した高感度多種HPV検出法uniplex E6/E7 PCRで検査します。これまでに2421例について調べましたが、高リスクHPVは29%の割合で検出されています。販売開始当初はほとんど反応がなかったものの、ここ数年この検査キットが注目されています。その最も多い理由は■自分の大切な人に高リスクHPVをうつしたくないという男性からの依頼です。■次いでこれからお付き合いをワンステップ上げる前に感染をチェックして頂きたいという女性です。私達がこのキットを世にお送り出す最大の理由は、子宮頸がんは女性だけの問題ではないことを社会に伝えたかったからです。無知から来る自分の行動で知らないうちに大切な人を悩ませ、不幸にさせてしまうことに気付いて欲しいという願いがあります。■子宮頸がん検診で異形成が判明すると直近お付き合いしている人が疑われます。その結果例えば陽性であったとしても、その男性が感染の最初であったかは不明です。それが原因で別れたり、喧嘩をしてしまうケースもあるようですが、それは私達が望むことではなく、お二人の問題として理解して頂きたいと思います。例えば「お前、今年検診は受けた?」って聞いてあげたり、「お前最近臭いがきつくなったよ。検診受けて来いよ。」と言ったことで奥様がⅠb期のがんが見つかったケースもあります。何よりHPVに感染したからと言ってがんになるわけでもなく、感染したHPVの多くは自然に排除されます。今二人の間でHPVがどんな状況なのか?何年かに一度調べて共有されることもよいのではないかと思います。
男性の意識改革が進むことで、私達は将来限りなく受診率100%に近づけることが可能になると確信しています。
これは私達の会社のHPV検査結果報告書です。上段には高リスクHPVの種類を左からより危険な型を並べてあります。(現在66型を新に加え14種になっています。)その下はHPV検査の結果を、16型、18型、その他に分けています。■アイラボは細胞診を最も得意とする検査会社ですので、HPV検査の前に検体が適正な採取されているかどうかをチェックし、同時に膣内環境を観察しています。例えば膣炎があるか、トリコモナスなどの感染症があるかなど、細胞診標本を作製して観察しています。必要があれば報告書に反映させています。
■HPV検査陽性例は残りの検体で細胞診検査を追加して報告しています。更に異常な細胞が見られたときは、その写真も添付しています。この報告書をもってお近くの婦人科を受診して頂き、子宮頚部腺がんを見落とさないため、子宮の入口の少し奥(頸管内)を含め細胞診検査をして頂くことにしています。
アイラボのHPV検査を紹介しました。婦人科の敷居が高い日本の女性のためアイラボらしい検査を提供しています。すでに健康保険組合様にもこの方法が採用されています。

本日はありがとうございました。
内容が盛りだくさん過ぎたため、改めてブログで再現させていただきました。
最後になりますが、女性予防医療推進機構様のご発展を心より祈念申し上げます。