風俗の定期検査でHPVの感染まで調べていますか?

おちんちんにイボができたので性病科を受診し、凍結治療をしてもらいました。
治ったかどうか気になったので、アイラボの「男のHPVタイピング検査(ハイリスク+コンジローマ)」を利用しました。結果は31型と11型が検出されました。
定期検査をちゃんとやっている風俗店を利用し、自分でもHIV、梅毒、B・C型肝炎の検査は受けており、いつも陰性です。

私のイボ(尖圭コンジローマ)は何ですか?
どこで? いつうつったんですか?

風俗を利用された多くの方が経験することですが、1週間、10日そして2週間経ったけど、特に何の症状もなく、「良かった」。今回も性病にならなかったと安堵します。
今回のケースは、約3ヵ月前に複数回風俗を利用し、約2ヶ月後にイボ(尖圭コンジローマ)ができた。性病科の先生は性病だからちゃんと治療しようと言われ治療したが、風俗の定期検査でこの病気については検査していないのですか?という質問です。

ハイリスク・ローリスクHPV検査は定期検査に含まれません

風俗営業従事者は一般的には定期検査を実施しているようですが、その実態はよく分かりません。
検査項目については、HIV、梅毒、B型肝炎、C型肝炎の抗体検査と淋菌、クラミジアの遺伝子検査が一般的ではないかと思います。HPV検査は子宮頸がん検診や細胞診でASC-USと診断された時に行われる検査ですので、風俗の定期検査としてはやられていないと思います。
HPVは子宮頸がんや尖圭コンジローマを起こすウイルスで、特に風俗営業従事者の場合、罹患率は極めて高く、私達が行った研究でも検査を受けた人の70%が感染し、しかも複数の型に感染していることが多いです。
この表は検査に協力して頂いた風俗営業従事者30名の結果です。
一番左の赤丸が感染していたケースで21例(70%)になります。
罹患率が100%に近いお店もありますので、性病の定期検査には含める意味がありません。
ということは、風俗での行為によっては感染する危険性はとても高いと言えます。

従って、HPV感染は自己責任なのです

私は風俗を否定する者ではありませんが、
この事実を知らないで風俗を利用する人は多いと思います。
また、このような現状をメディアも積極的に伝えていません。
面倒なんです。とても厄介な話なのです。
面倒で厄介な話は、、、、“臭いものには蓋をしろ”ですかね?
HPVの中には子宮頸がんとは関係がない(低リスク)6型・11型はイボをつくるので、性病(尖圭コンジローマ)と診断されますが、子宮頸がんを引き起こすハイリスク型HPVの感染では全く症状がないため、病気と認定されません。
“性行為によって感染している状態=Sexually Transmitted Infection”
だから知らない内にパートナーにうつしてしまうのです。
検査をしないと感染しているかどうかわからないのです。

風俗で働く人の健康をしっかり守ることが大事

風俗で働く人の健康を管理をしっかりすることで、症状が現れないSTIをは減少させることができます。
私達アイラボの職員は専門の臨床検査技師、細胞検査士に加え、日本性感染症学会認定士の資格を有しています。
この資格は、国家資格ではありませんが、性感染症に関するある一定の知識を有する者に与えている資格認定でです。
このような資格を有する者が風俗で働く人の健康管理のために配置されるような環境が整えれば、誰もが扱いに困っているこの問題の解決に一歩進むのではないかと思っています。

最初から最後までコンドームを装着すべき!

すぐにでもできることは、
最初から最後までコンドームを装着すべきです。
先ずはこれを徹底すべきです。
アイラボのお客さんの経験によれば、
「男のHPVタイピング検査」を受けたら31型が検出されました。
約1年半程性交渉があるパートナーにそのことを伝え、HPV検査を受けてもらったところ「陰性」でした。

この男性はパートナーとお付き合いするようになってからはその他の人と性交渉がなく、お付き合いする前に性病に感染していると困るので、最初からコンドームを装着した。」と言っています。
完璧ではないかも知れませんが、とても大切なことだと思います。

男性性器、見た目はまったく異常はないが顕微鏡で見ると

アイラボが提供している男性性器のHPVタイピング検査キットを世に送り出した理由は、
子宮頸がんに対する正しい知識を広めるため。
子宮頸がんは女性だけの問題ではないという認識がないまま、「検診を受けましょう」「ワクチンんの定期接種を受けましょう」といっても、多くは“対岸の火事”、“馬耳東風”。受診率が43.7%で頭打ちの状態を改善できません。

HPVの大半は性行為でうつるが無症状
俺は大丈夫か?

私達は7年程前からこのキットを世に送り出しましたが、昨年あたりから急速にそんな男性が増えてきた感があります。女性は子宮頸がん検診があるため、ASC-US(HPV感染が否定できない)やLSIL(HPV感染が推定される)などの結果からHPV感染という言葉にはなじみがありますが、男性にはそのような機会がなかったため、子宮頸がんは女性の病気。女性も“なんとなくHPVというウイルスに感染していた”という認識に留まっていたようですが、はっきりと性行為でうつるということが浸透してくると、直近お付き合いしている人からうつったのではないかと考えるようになります。しかしそれは正解であるかもしれませんが正解ではない可能性もあり得ます。つまり、男性が仮に陽性であったとしても、どちらが先に感染していたかは全く分からないのです。
先ずはその点をしっかり認識し、それが原因で喧嘩をしてはいけません。本当のところは分からないのです。
神のみぞ知る”状況なのです。

何のためにこのキットを提供しているか

HPVに感染して困るのは女性だけですが、
男性も無関係ではない事を認識して頂く事が大切だと考えるからです。
子宮頸がんは女性だけの問題ではなく、子宮を守り命を守り家族を守るためにも男性の理解が大切になるからです。

アイラボでは検体の適否判定を実施

肉眼的に異常がない限り男性性器(亀頭や陰茎)の細胞診検査は行いません。
アイラボでは医師が採取しない自己採取検体は全て検査前に検体の適否判定(検体が適切に採取されているかどうか顕微鏡で確認)を行っています。その際、異常な細胞が見えてきます。
今回はそんなケースを紹介しますね。
自身が“しっかり検査をしよう”という意思をもって採取した検体には、
このようにたくさんの細胞が採取されます。
もちろん検体としては「適正」と判定し、HPV検査を始めます。
通常は、核がない細胞が採取されますが、この方は多くの細胞に核が存在します。
明らかに普通とは違う所見を示しています。
拡大を上げてみましょう。
中央のやや大きな細胞は、核の周辺が明るくなっています。
これはコイロサイトーシスといってHPV感染に特徴的な所見です。
子宮頸がん検診でLSIL(軽度異形成)と診断する細胞と全く同じ顔つきをしています。
感染しているHPVの型は分かりませんが、この段階でHPV感染は明らかになります。
違う視野にも核を有する細胞がたくさん見え、しかも核が大きく、濃く染まって、HPV感染していることをうかがわせます。
拡大を上げましたが、やはり正常では見られない細胞達です。
もしこれが婦人科の標本だとしたらASC-US(HPV感染が否定できない細胞)と診断します。
このように、見た目なにも変化がない亀頭や陰茎部分にこのような変化が起こっているのです。
見た目は「異常なし」でも、顕微鏡的には「異常あり」が、男性性器のHPV感染です。
病気と認定されないので、まさにSTI(sexually transmitted infection)の状態です。
この感染も女性同様免疫力で陰性化すればよいのですが?
その辺がまだ解明されていません。
子宮頸がんはハイリスク型HPVの持続感染が原因といいますが、
パートナーが感染したままだと、常に感染している状態になるのですかね?
そうだとすれば、男性からの感染を防ぐ策が重要になってきます。

心配な時は先ずはトライしてみてください。

このケースからは尖圭コンジローマを起こす低リスク型を含め、
4種のHPVが検出されました。

オリモノが気になりFemバランスチェックを受けたが?

オリモノと臭いが気になり、当社の「Femバランスチェック」で検査をお願いしたという方。
確かに、オリモノや臭いが気になる人はこの検査がお勧めですが、アイラボの検査キットの中には、「おりもの&臭いの検査」というそれこそ症状にふさわしいネーミングのキットもあります。
Femバランスチェックは腟内フローラの状態とホルモン活性の両方を調べる検査で、細菌性腟症とカンジダの検査が含まれています。
一方、おりもの&臭いの検査は、細菌性腟症、カンジダ、トリコモナス、淋菌、クラミジア、腟炎を調べるキットで、性感染症(性病)も疑われる時に選んで欲しいキットです。

先ずは、アイラボが得意としている顕微鏡の世界へ

30代のこの方、①緑色の大きな細胞が主体で、②小さなゴマ粒状の細胞も比較的多く見えます。①は中層細胞といって、プロゲステロン(黄体ホルモン)が分泌されている証拠で、生理周期は次の月経前(分泌期)だろうと推測します。②は白血球で若干多くなっています。何らかの原因で腟内に炎症があるのかな?何か感染症があるのかな?、、、そんな風に見ていきます。
少し拡大を上げて観察すると、やはり好中球(感染症で増加する白血球)が増えています。よく見ると同じような大きさですが、中央付近に核が一つの細胞が2個みられます。これらはリンパ球といいますが、やや反応性で大きくなっています。この視野だけで2個見られるので、私達は濾胞性頸管炎を疑います。背景に乳酸菌や腟ガルドネラ菌はほとんど見られません。細菌性腟症を疑う所見ではありませんが、本来多くみられる乳酸菌が少ない点は、腟内フローラとしては「やや乱れている」状況です。
気になるのはリンパ球です。
2つの反応性リンパ球が見られますので、クラミジアの感染があるのかな?と考え、
結果の報告書には感染症検査の追加検査を勧めました。前にも述べましたようにFemバランスチェックには、細菌性腟症とカンジダが含まれていますので、「リンクラ&トリコモナス検査」をお勧めしました。

これがアイラボの郵送検査の特徴です

この依頼者さんは、結果を受け取った直後に追加検査の申し込みがありました。
結果は、クラミジアが陽性でした。
このケースは性感染症としては白血球の増加はそれほどでもないので、依頼者としてはオリモノが若干黄色いのは気になるが、性感染症は疑っていなかったのでしょう。
クラミジア感染症の場合、今回の様に自覚症状はあまりひどくないこともあり、気が付かない事が少なくありません。
アイラボの郵送検査では、すべての検査で検体が適正に採取されているかどうかを最初にチェックしています。
その時今回の様に腟内の状況が見えてきますので、依頼者には追加検査の必要性を伝えるようにしています。
それがアイラボの郵送検査の特徴です。

膀胱炎治療後思わぬ事態に困り果てている

アイラボの無料相談で最も多いのは男性のHPVに関するものですが、次いで多いのは女性のおりものや臭いに関するご相談です。アイラボが昨年東京ビッグサイトで開催されたFem+(フェムプラス)に参加した際に実施したアンケート調査「おりものや臭いで悩んだことがありますか?」との質問に、91%の人があるとこと答えています。
今回紹介するケースは、膀胱炎の治療のために処方された抗生物質を服用後、白いボロボロとしたおりものが出て、腟カンジダ症と診断されました。先生にカンジダの治療薬を何度も処方されましたが元のようにはなりません。病院もいくつか変えて治療して頂いていますが改善の兆しがなく、現在大量の腟錠を処方され、自身の判断で使用するように言われています。
こんな状態を何とかしたいと思い、アイラボさんのFemバランスチェックを受けました。
この様な悩みを抱えていますが、腟カンジダ症と細菌性腟症は症状が似ているためか、カンジダの治療薬を処方し続けてしまうようです。
以下に同じような記事を紹介します。
https://ilabo-cyto.co.jp/blog/article.html?page=114
https://ilabo-cyto.co.jp/blog/article.html?page=117
https://ilabo-cyto.co.jp/blog/article.html?page=100
https://ilabo-cyto.co.jp/blog/article.html?page=81
https://ilabo-cyto.co.jp/blog/article.html?page=203

さて今回のケースを顕微鏡で見てみましょう

アイラボの標本としては少し濃い感じで染色されています。
それは、乳酸菌やカンジダを見落とさないように、故意に濃く染めています。
弱拡大で観察するととてもきれいです。
そして白血球もほとんど見られないので、腟炎は起こっていません。
弱拡大で見てもカンジダらしいものはいません。
また、乳酸菌もいません。
ただ中央部分に気になる所見が見られますので拡大を上げてみましょうね。
中央やや左に細胞が紫色に染まっています。
これはクルーセルといって腟ガルドネラ菌(紫に染まる)が細胞にまとわりついているからです。
クルーセル以外にも紫色のモヤモヤは腟ガルドネラ菌です。
拡大を上げても、カンジダや乳酸菌を見ることはできません。
典型的な細菌性腟症です。
カンジダの治療ではこの状態は改善されません。
正しく診断して、適正な治療が望まれるケースと思います。
細菌性腟症と診断されれば、フラジールという抗生物質が選択されます。

心配な時は先ずはトライしてみてください。

ある証券会社の素敵な支店長さんの話

ある時、たまたま飛び込みで一緒にゴルフを楽しんだ男性の話。
昼食の時、何気なく自己紹介するような雰囲気になったので、私は八王子市で子宮頸がんや女性特有の悩み(オリモノや臭いなど)に関する検査の仕事をしていることをお話しました。通常、一通り説明しても、本当にどこまで理解して頂けたのか分からない程度の反応ですが、この支店長は少し変わっていて、極めて興味深く私の話を聞き、話の内容も完全に理解して頂けていると感じました。
さすが支店長にもなられる方は違う「頭いい」って印象でした。翌日、会社にその支店長から「一度アイラボ様にご訪問させて頂きたい」旨の電話がありました。早速営業?、、、と思いつつも、これも何かの縁。快く数日後にお会いすることになりました。

第一声は「当社の子宮頸がん検診の実態を調べてきました」と

今日はどんなお話しを聞けるのかな? と思っていると、
「先日は子宮がんや女性特有の悩みを抱える人が多いことなど、大変興味深いお話ありがとうございました。早速当社の担当部署に問い合わせたところ、ごく一般的な検診機関での検診にとどまっていました。本日は、アイラボ様が健康保険組合様に提供しているサービスについてもう少し詳しくお伺いしたくて時間をとって頂きました。」と。
投資のお話ではなく、
『女性社員が健康で仕事に打ち込める環境を整えることが大切』
と力説する支店長さん。
“偉くなる人は違う”、こちらこそお話を聞いていて嬉しい気持ちにさせて頂きました。

大手企業様の中には郵送検査も取り入れている

実際の数は分かっていませんが、通常の企業健診で(受けられるはずの)子宮頸がん検診を受けていない人が少なくありません理由は様々でしょうが、私達のアンケートでは、内診台に抵抗がある、症状もないので受けたくない、以前嫌な思いをした、が多いようです。潜在的には潜在的には嫌なのだと思います。そんな中、アイラボの郵送検査も選択できるようなシステムを取り入れている大手企業がいくつかあります。
この支店長さんは子宮頸がんだけでなく、女性特有の悩み(オリモノや臭いなど)を抱えたことがある女性が91%を占めることを伝えると、福利厚生費などを活用して気軽におりもの検査も受けられるよう考えてみたいと話していました。

オリモノがイカ臭いという悩み、結構多いようです。

おりものの臭いが気になる人で、具体的にイカ臭いと表現される方は結構多いようです。
細菌性腟症の自覚症状として“魚臭帯下=魚の生臭い臭い”という表現がありますが、私達のこれまでの経験で、イカ臭いと表現された多くは魚臭帯下を指しているものと思われます。

オリモノや臭いといった女性特有の悩みを経験した人は91%

昨年の10月に開催されたFem+(フェムプラス)の展示会(東京ビッグサイト)に出展した際にお客様にアンケート調査を実施しましたが、なんと、91%の方が、過去に悩んだことがあると回答しました。
展示ブースでこのようにアンケート調査を実施したところ、
最終的には91%の人が悩んだことがあると回答しました。
他の調査でも
84%の結果を示しています。
このような不快な悩みの原因は様々です。
私達が検査を行う現場では、時に、強烈なな臭いおため、「窓を開けて」、、、と言いたくなるようなことがあります。しかし、その方の自覚症状の欄を拝見しても「臭いは気にならない」と回答している例もあります。
自分では気づかないことも多いようです。
原因となる疾患は、■進行した子宮がん(最も強烈な臭い、最近このようなケースはほとんどありません)、■トリコモナス腟炎(性感染症)、■カンジダ腟炎(性感染症ではありません)、■萎縮性腟炎(性感染症ではなく、婦人科の先生方から細菌性腟症の検査依頼が多いケース)、■淋病やクラミジア感染症(性感染症)、■腟炎(原因不明、調べてみるとマイコプラズマやウレアプラズマが検出されることが多い)、■細菌性腟症(性感染症ではありませんが、毎日のように、しかもかなりの頻度で遭遇しています)
と言うことで、多くの方が悩む原因は細菌性腟症なのです。
これまで何度も同じような写真を投稿していますが改めて腟内をみてみましょう。
細長い針のように見える細菌、これらは“腟の守り神乳酸菌”です。
腟内の糖分(グリコーゲン)をエサにして活発に増えることで、
腟内を酸性にして肛門から侵入する細菌の繁殖を防いでいます。
典型的な細菌性腟症の細胞像です。
細菌性腟症は腟炎を起こさないため白血球は少なく、
見た目はとてもきれいですが、腟ガルドネラ菌が細胞に群がっています。
これをクルーセルと言いますが、細菌性腟症の特徴的所見です。
萎縮性腟炎のケースです。
更年期の後期になると、エストロゲンや黄体ホルモンの分泌がなくなります。
すると腟内は萎縮するため乳酸菌のエサとなるグリコーゲンもなくなりますので、
酸度が低下し防御機構も弱くなり、萎縮性腟炎になりやすいのです。
婦人科の先生方は臭いが気になるのでしょうか?
細菌性腟症の検査依頼が多くなります。
これは腟カンジダ症です。
白っぽいオリモノが特徴で、強いかゆみを伴うのが特徴です。
時に、異臭を伴うこともあり、強いこともあります。
婦人科医は検査をしないと細菌性腟症ではないかと間違えることもあります。
これは腟トリコモナス症です。
黄色いオリモノが特徴で、かゆみを伴うこともあります。
臭いもかなりきついことがあり、細菌性腟症と間違えることもあります。

だから検査してはっきりさせなくてはなりません

症状だけではお医者さんも間違えますので、“最近いつもとちょっと違う”と感じた時は、
おりもの&臭いの検査で早目にチェックしておきましょう。

HPVの感染は淋菌やクラミジアとは違うぞ!

検診で異形成と診断されても、先ずは冷静に!
最近とても気になる現象があります。
せっかく仲良くお付き合いしている彼なのに、子宮頸がん検診でLSIL(軽度異形成)と診断されると、彼からうつされたと思い、別れてしまうカップルが少なくありません。
淋菌やクラミジアに感染すると、多くの場合数日または1週間ほどで症状が出るため、クリニックに受診して検査・治療が行われます。
同様に、尖圭コンジローマを引き起こす、HPVの6型や11型に感染すると、視覚的にイボ(隆起性病変)が確認できるため、病気の可能性があると認定され検査や治療が行われます。

ハイリスク型HPVに感染しても見た目何の変化もありません。

子宮頸がんの原因になるハイリスク型HPVが亀頭や陰茎に感染しても、イボなど通常と異なる変化は全く見られません。
なので、自身も淋菌やクラミジア、HPVの6型・11型のように感染している事に全く気付きません。風俗を利用した後、“今回も何の症状が出なくてよかった=性病にかからずに済んだ”と安心しますが、ハイリスク型HPVの感染はそうはいきません。感染はあっても全く症状がないため、大切な人にうつしてしまう事になるのです。
女性の場合も全く同じで、感染していても全く症状がありませんが、子宮頸がん検診というチェック機構があるため、ASC-US(HPVの感染があるかも?)やLSIL(HPVの感染がある)の様に感染がある事に気付くのです。(男性にはそのような機会がないためいつになっても気付きません。)
しかし、男性でも、感染している部位を綿棒で擦ってくると、女性の子宮頸部細胞診で見られるようなASC-USやLSIL相当の異型細胞を見ることが出来るんですよ(少ないですがね)。
51型の感染がある男性性器からの細胞

女性も細胞診による検診でHPV感染が見つからないことは多い

一番左側に赤丸で示したケースはHPV感染がある人ですが、
ASC-USやLSILの細胞が出ているのは右下の赤枠で囲ったケースにすぎません。
これらは全てハイリスク型HPVの感染例ですが、
水色で示した時期はASC-USやLSILは検出されません。

STIとSTDの違いは何?

ネットで「STIとSTDの違い」で検索すると、以下の様な解説が出てきました。

性感染症が表記されている時、「STD」と「STI」があります。一体、これはどのような違いがあるのでしょうか。STIは、”Sexually Transmitted Infection”を略したもの。つまり、感染が確認された状態をさします。感染が確認されれば、症状がなくても、STIとして分類されます。

一方、STDは、”Sexually Transmitted Disease”を略したもの。
ちなみに、「Diseases」は病気という意味。
つまり、感染が確認されて、なおかつ症状が現れているのが「STD」ということになります。
STDは、STIが進行した状態とも考えられます。

現在では「予防」の観点から「STI」を使うことが適切ではないかという考えもあり、
「STI」を使用するケースが増えているのです。
自分の健康を守るために、誰かに感染させないために、性感染症を早期に発見し、治療を行うことが大切であるという観点からは、性感染症検査においては、「STI」を使う方が適切であるといえるでしょう。


私自身、性感染症Sexually Transmitted Disease(性行為にによってうつる病気=性病)は容易に理解できますが、STI Sexually Transumitted Infection 性行為でうつる感染?
、、、何だろうね?

不顕性感染のこと?

これもネットで検索してみると
不顕性感染とは、細菌やウイルスなどの病原体に感染しても症状が現れない状態を指します。感染は成立しているが、症状が表れないため、感染していることを自覚していない人が多く、結果的に感染源となる可能性があり、感染症の広がりに関わってきます。
とあります。
これはなんとなく理解できるような気がします。

それでは男性のハイリスク型HPVの感染は?

男性がハイリスク型HPVに感染しても、その感染部位に特段の症状が出るわけでも、将来的にそこにがんが発生するわけでも、ある種の病気が起こるわけでもありません。ところが同じHPVの仲間で6型や11型は同じように性行為で感染し、感染した部位に尖圭コンジローマ(イボ)という病態が現れますので、性行為によって感染する病気=STDに分類されます。同じ性行為で感染するハイリスク型HPVはその部位に病態としては現れません(顕微鏡的には正常とは異なる異常な細胞が見られるが)ので、病気としては認定されません。
つまり、STD(病気の状態)ではなく、性行為によってHPVというウイルスが感染しているだけの状態=STIというのでしょうか?
不顕性感染とも違うような気がします?
なんだかよく分からなくなってしまいましたが、男性性器のハイリスク型HPVは「性行為でうつる」けど、そこにがんができるわけでもない(まれに癌化することもある)が、パートナーにうつすことになるので、STIとして(注意喚起)する意図があるのでしょうね?
私がSTIという言葉を最初に聞いたのは、千葉大学教育学部養護教諭養成課程で性教育の教務補佐員として武田敏教授のお手伝いをしていた頃で、アメリカの学会から帰ってきた武田先生の口から出た言葉です。
決して新しい言葉ではありませんが、(私にとっては)馴染みにくい・解り難い言葉でしたので、その後20年経ってアイラボを立ち上げた際もSTIを使わず、株式会社アイ・ラボCytoSTD研究所としました。

なんだか益々よく分からなくなってしました、、、ので、
おやすみなさい6/8 0時28分また続きを書きます。

何が言いたいの?  と言われそう

それではまとめに入ります。
このように、ハイリスク型HPVに感染しても多くの場合、自覚症状は全くないので、STDではなくSTIなのです。
性交経験者であれば、知らないうちに感染していた可能性があるのです。
たとえこれまでの(細胞診による)検診で異常が指摘されたことがなくても、感染していなかったとはいえません。従って、過去のことを問題視してもあまり意味はなく、未来に向けての対策が大切になります。

【その1】HPVワクチン接種は、ハイリスクHPVの感染を防ぎます。男女共に有効です。
但し、接種前にHPVに感染していると効果は半減するようです。陰性を確認してからの接種をお勧めします。

【その2】(女性)HPV検査を受けましょう。2024年4月から子宮頸がん検診にHPV検査を導入することが可能になりました。感染していないことを確認しましょう。感染していたら必ず細胞診検査を受けて現在の状況(NILM、ASC-US、LSIL、HSIL、、、等)をチェックしましょう。そしてしっかりフォローアップしていきましょう。
https://ilabo-cyto-std.com/onlineshop/item/kit041

【その3】(男性)HPVに感染しないための知識を持つことが重要です。前述のHPVワクチン接種も考えましょう。感染させないように、新たなお付き合いを始める前に、自分の状態をチェックしておきましょう。
https://ilabo-cyto-std.com/onlineshop/item/kit113

【その4】感染していることが判明しても、喧嘩をしてはいけません。ましてそれが原因で別れてしまうのは悲しいです。(男性)「今年もちゃんと検診を受けた?」「進んでいなかった?」と、いつも一緒に考えてあげましょう。

子宮頸がんは女性だけの問題ではない。
感染しても過剰に心配する必要はありませんが、
定期検査を怠らないことが最も大切なのです。
どうしても(病院に行くのが)気が進まない時は、私達の郵送検査をご利用ください。
https://ilabo-cyto-std.com/onlineshop/item/kit001

ある証券マンがアイラボに 何だって? HPV検査をしたいと!

私は、投資とか株式とか全く興味のない人間。
でも、証券マン達だって仕事。
無下に断ることはしないで、一応、短い時間でもお話は聞くことにしています。
多くの場合、私に無料で子宮頸がんや性感染症の講義を受けてお帰りになるのが関の山。
いつも、「今日は良いお話を聞けて良かったね」と言って見送ります。
今日は、ある証券マンのためになるお話を紹介します。

ある証券会社の女性社員にとって私はお客さん。
その女性から、上司(?)の希望で一緒にご挨拶に伺いたいという電話がありました。
私自身、あまり興味のない分野のお客様ですが、快く承諾しました。
約束の日、2人でアイラボに来られました。型のごとく名刺を交換させて頂きました。
「今日はどんな御用でいらっしゃいましたか?」と聞くと。
その上司さん。「女性社員には、アイラボに来る途中の車の中で、今日はビックリする話をするので驚かないでね。と話してあります。」と前置きをしてから、、、、

上司の第一声は「男のHPV検査をしたい」と言う事、、、、?

「エ?、あなたご自身のお話ですか?」と尋ねると、「はい」と。「検査をすることはもちろんたやすい御用ですが、どうされたのですか?」と再度尋ねると。
「お付き合いしていた人が、検診で異形成と診断され、結果的に別れることになってしまいました。教えて欲しいのは、普通の生活をしているだけでHPVというウイルスはうつるものですか?」と聞いてきました。(ある子宮頸がん検診の講演会で、HPVワクチン推進派のチョット名の知れたお医者さんが高校生を前に、「不特定多数の人と性的な行為をするだけでなく、手をつないだだけでもうつってしますウイルスなので、、、(中略)、、、ワクチンを接種しておきましょう」と力説していました。)この公演会に私と一緒に参加した同僚の女性も「え?、、、子供達を前にこんなこと言っていいの?」とあきれ返っていましたが、HPVワクチンの接種は子宮頸がんを予防するためには大切なお話ですが、結果的にこのような立場のお医者さんが、手をつないだだけでも感染するなどと発言することで、医療に対する信頼が低下してしまうのではないか?と感じたことがありました。

話を戻しますが、その上司さんには、「確かにHPVは感染力の強いウイルスですが、健康な皮膚や粘膜に触れても感染は成立しません。目に見えない小さな傷口から感染しますので、日常の生活で知らぬ間に感染していたというのは正解ではありません。」と答えました。

実は、私(上司)、その女性が初めての人だったんです。

「そうですか。実は子宮頸がん検診などで異形成と診断されると、多くの場合直近お付き合いしていた人が疑われてしまい、別れる羽目になってしまうことが少なくないのです。あなたの様に、性的な行為をしたことがない人でもうつされたと疑われ、検査をしてみてくださいと言われますが、既にその方からうつされている可能性が高いのです。
私達は男性のHPV検査を提供していますが、決してそのような目的で提供しているものではありません。子宮頸がんは女性だけの問題ではなく、男性にも子宮頸がんに対する正しい知識をもって頂き、子宮頸がんから子宮を守り、命を守るために一緒に考えて欲しいからです。こんなことを書いていたら職員が一枚のアンケート用紙(検査キットの中に入れてある)を持ってきました。今回検査を受けた目的を書いていただく欄には「これからお付き合いをする人に傷つけたくないから(多分HPVを感染させたくないからという意味)」と書かれていました。このような男性の意識改革こそが私達の目的なのです。HPVの感染は「悪」でも「恥ずかしい事」でもありません。セックスの経験がある人ならだれにでも起こりうることなのです。■HPVワクチンはその感染を予防するもの、■不特定多数の人との接触は感染の危険性が高まる行為、■HPV検査による子宮頸がん検診は危険なHPVの感染があるかどうかを調べる検査、■細胞診による子宮頸がん検診はHPV感染の有無を調べるだけでなく、進行の度合いを推定する検査(例えば、軽度異形成、高度異形成、上皮内癌、といった)、■円錐切除術やレーザー治療はがんになる前に危険な部位を取り除く治療、等々、子宮を守る手段は山ほどあるのです。女性だけでなく、男性も一緒にHPV感染と子宮頸がんの関りを知り、“自分に合った”、“自分たちに合った”対策を一緒に考えて頂きたいのです。

具体的には

■ HPVワクチンの定期接種
世界的に12歳頃始めますが、HPVに感染する前に接種することが大切です。感染してしまってからの効果は6割ほどになってしまうと言われています。性行動は人の尊厳にかかわる行為ですので尊重されなければなりません。しかし、性の発達段階は人や環境によって異なりますので、ある年齢に達したら同時スタートという考えは少し乱暴かも知れませんし、日本の場合、性教育は極端に遅れているため、12歳前後の子供たちにHPVワクチンの定期接種と言ってもその意義を十分理解できないまま“みんながやるから私も”という、「みんなで渡れば怖くない」的感覚で臨んでいるのではないでしょうか?HPVワクチンの定期接種は性教育の絶好の機会なのです。自分は今決められない。もう少し大人になってから考える。そんな子供たちが現れる社会を私は望んでします。
オーストラリアでは男の子もHPVワクチンの定期接種を実施しています。私の孫は米国フィラデルフィアに住んでいますが、お母さん(私の娘)の勧めで中学1年生の時HPVワクチンを接種しました。
■子宮頸がん検診

検診の目的は前にも書きましたが、HPV感染があるかどうか? 病変の進行度合(LSIL、HSIL、など)を推定する検査です。子宮頸がん検診の受診率は44%程で頭打ちの状況です。自己採取型HPV検査の普及で受診率を80%位まで上げたい。そして、男性の子宮頸がんに対する意識改革で子宮頸がんゼロを目指すのが私達の目的です。

この上司さん 女性の健康と活躍を支援してくれるでしょう

この上司さんには、会社で女性の健康についての会議があったら、是非、子宮頸がんのことについて発言してください。きっと一目置かれる存在になりますよ。」と伝えました。

数日後、「男のHPVタイピング検査(ハイリスク+コンジローマ)」の注文が入りました。

今年もアイラボの郵送検査による子宮頸がん検診がはじまりました。

今年も自己採取法によるアイラボの子宮頸がん検診がはじまりました。
初入荷は中部地方の某健康保険組合の会員様からの検体です。
真新しい加藤式の改良器具セルソフトが勢ぞろいです。
この健康保険組合様からは、5月中に200名様以上の申し込みが予定されています。
検査方法は「細胞診検査」を希望されています。

採取器具に関する意見をアンケートの形で頂きました

11名中記載された方のご意見をそのまま掲載致します。
■とても簡単でした。
■簡単に使えてとても良かった。
■アソコをみせなくてよいのでよい。
■自分でやれていいと思う。
■簡単にできました。
■簡単でした。
■簡単にできていいです。
(第二便)を以下に示します。
■簡単にできてとてもありがたいです。検査機関へ出向くの時の変な緊張感もなくていいな、なんて。
■(33歳)毎回とてもむずかしい、、、できているのか正直よく分からない。・入れる時に痛い・説明書には「すわりながら」とかいてあるが、イスにすわりながらではできない。人によると思う。
■以前からと同じ方法なので慣れた(椎名が追加:以前は他の検診機関で加藤式を使われていましたので)
■使いやすい。
■今までと同じタイプのやり方(椎名が追加:加藤式の経験者)だったので、スムースにできた。
■自分のタイミングで自分でできるので良い。
■(60歳)閉経後の器具使用で少々痛みあり。
■特にない
■自宅でできてよい
■使いやすかったです。
■問題なくできました。
■器具がピンク色でかわいくなりました。(椎名が追加:以前は加藤式を使っていた方の意見)
■簡単だった。少しだけ痛かった(31歳)
■思ったより怖くなくできた。
■簡単にできてよかった。
■思ったより簡単だった

ご意見を頂きありがとうございました。
おおむね、好意的なご意見を頂きましたので、改良に携わった私としても安堵しています。
器具を製造している大成メディカル株式会社様にもこの結果をお伝え致しました。

別の健康保険組合様は「HPV検査単独法」を採用されました

やはり中部地方の健康保険組合様ですが、5月から11月の間に希望者を募り、HPV検査単独法による郵送検査で子宮頸がん検診を実施されます。今日現在、20名の方の受付が完了しました。健康保険組合様のお考えに沿って、私達ができる最善の検査を提供してまいります。
アイラボは「女性の健康と活躍を支援する検査会社」ですので、恥ずかしい忙しい検査を受けるのが面倒な人達の検診の機会を最大限有効に活用できる検査を提供しています。
それが『最新のHPV検査』です。
その特徴とは
【特徴1】HPV検査前に、顕微鏡で検体の適否判定を実施していますが、その際に観察された腟内状況(腟炎や感染症が疑われる所見が見られた時)を報告書に反映します。これは自己採取器具セルソフトを用いることで可能になったサービスです。
実際の例として、「今回、HPV検査は陰性でしたが、腟内に白血球が増加しています。おりものや臭いが気になる場合、追加検査が可能です。また、心配事がありましたら無料の電話相談をご利用頂けます(042-652-0750)」

【特徴2】HPV検査の結果が陽性の場合、細胞診検査を実施して同時に報告致します。
HPV検査単独法の検診を受け、陽性であった時は必ず細胞診検査(細胞診トリアージ)を受けることになります。でも、細胞診の結果が出るのが怖いなどの理由でこの検査を受けない人がいます。先ずは陽性の結果が出た人が全員(医師採取による)細胞診トリアージを受けるために、現在の状況(NILM,LSIL,HSIL、等)が分かれば精神的にも楽になるものと思い、このサービスも追加することにしました。このサービスが提供できるのも、検体の採取にセルソフトを採用したからにほかなりません。



アイラボのHPV検査単独法による子宮頸がん検診

検体の採取法による検出精度については、エヴァリンブラシとセルソフトについて比較研究を実施し、学術論文に掲載しています(APJCP,2024,25(5),1673-1679)
その中の主要な表をここに示しています。
この研究には、HPV感染率の高い風俗営業従事者30名に協力をお願いしました。
先ずエヴァリンブラシで採取した後、セルソフトで採取しました。ハイリスク型HPVの感染があるかどうかで見ると、エバリンブラシとセルソフトで大きな差がないことが分かります。
エヴァリンブラシは医師採取と同等の採取能力があることが報告されていますので、セルソフトもそれに劣らないことをこの研究で明らかにしています。エヴァリンブラシは採取した後、乾燥状態で検査機関に送られますので、細胞診検査には対応できませんが、セルソフトは検体に保存液が入っているため、細胞診や他の感染症検査にも対応できるのです。
HPV検査で陽性の時はこのような報告になります。
「特徴1」については「腟内に白血球が軽度に増加しています」とし、「特徴2」については細胞診の成績とその画像を示しています。そしてこの報告書を持って婦人科を受診するよう促しています。

細胞診検査は人が顕微鏡で調べる検査、使命感が必須

検体から顕微鏡で観察する標本を作製し、それを顕微鏡で観察し、報告書を作成する全ての工程についてアイラボ内で教育された細胞検査士によってこの検査を実施しています。

アンケートの最後に『心配事があればお書きください。』と入れてありますが、そこに、
「このアンケートのあたたかさに感動しました」と、コメントを頂きました。
今後も、アイラボらしく皆様のお役に立てれば幸いです。


異形成の定期検査、どうしても時間が取れないので、、、

子宮頸がん検診で異常が発見されると、精密検査や定期的な追跡検査が必要になります。
例えば、昨年から一部自治体で始まったHPV検査単独法による検診では、「陽性」と判定された場合は細胞診による精密検査(細胞診トリアージ)で、現状での異常の度合(NILMなのか?LSILなのか?HSILなのか?)をチェックしなければなりません。その検査でLSILと診断された場合、半年に一度のペースで追跡(follou-up)検査を受けることになります。
しかし、子育てや仕事で忙しい方には、半日がつぶれてしまうので、かなり負担になります。それに加え、「異常なし」が続くと、「もう大丈夫なのでは?」との思いで、追跡検査を怠ってしまう事も少なくないようです。
この表はアイラボの藪崎宏美が日本性感染症学会(2011年B-30)で報告したものです。
先ずは、一番左のCase 1を見てみましょう。
一番左は検査時期を表し、804は2008年4月に検査を受けたことになります。
次の列はその時の細胞診断になります。
水色で0はNILM、黄色で1はASC-US、オレンジ色で2はLSIL、ピンクで3はASC-H、濃いピンクで4はHSILと診断したことになります。
右端はその時検出されたハイリスク型HPVの型を示しています。
Case1では、16型と39型が長期にわたって感染しているにもかかわらず、異型細胞が見られない時期があります。
ここに示した全てのケースは加藤式採取器具による自己採取の成績ですが、医師採取でも同様なことが起こります。LSILで半年に一度検査しても、NILMが続くことがあります。しかし、この表で示したように、その中のいくつかのケースはHSIL(高度上皮内病変濃いピンクの4)に相当する細胞が出現するようになりますが、Case1、Case5ではその後検出されなくなります。
しかし、Case2、Case3、Case4、Case6の赤枠で囲ったように、毎回の検査でASC-H(ピンクの3=HSILの存在が否定できない)やHSIL濃いピンクの4=高度上皮内病変(前がん病変)に相当する細胞がみられるようになります。
このような状況が続くようになると組織検査(病変の一部組織を採取してより正確な検査)を実施し、そのような病変を取り除く(円錐切除術など)手術
が行われます。
ここに示したケースは風俗営業従事者の定期検査の一環として実施したもので、短期間の観察例ですが、実際HPVに感染していることが分かってからの追跡検査に要す負担は結構きついものがあります。私の知り合いの方でも、HSIL相当の細胞がみられ定期的に追跡検査を行っていましたが、仕事の忙しさに(忙しくて行く時間がないというより、仕事が面白くて)定期検査を後回しにしてしまい、前がん病変が進行してしまったようです。
子育てや仕事、そして学業など、頑張る女性ほど陥りやすいのが子宮頸がんです。

今、病院に行けない! 今回はパスしよう! それを続けたら危険です

今回紹介するケースは以前LSILと診断され、今月定期検査を受けることになっている方ですが、どうしても気が進まないのでアイラボの郵送検査を選んだようです。
早速今回の細胞をみてみましょう。
背景に白血球の増加はなく、とてもきれいです。
直感的に分泌期(生理前)の方かな?
写真中央部にチョットおかしな細胞があるので拡大します。
周りの細胞に比べ少し大きくなって、オレンジ色に染まっています。
核が3つほど見られ、典型的なHPV感染細胞です。
LSILと診断しました。
この写真の中央部分にも、前の写真とはチョット顔つきの違う細胞が見えます。
拡大してみましょう。(あえて拡大した細胞を載せなくても、スマホで簡単に拡大できるのは分かっていますが、そこはお年寄り)
これも典型的なHPV感染細胞です。
もう少し言うと、少なくても「この細胞達は16型の感染ではない」
事が分かります。かといって、このケースが16型の感染がないというわけではありません。
最初の写真で示したように、複数のHPVが同時に感染していることは少なくないからです。

今回もLSILの細胞達で、HSILを疑う細胞はなかった。

チョット安心できましたね。
何もせず心配しているより、こんな形でわずらわしさを時々解消するのも一つの方法かも知れません。
私達の郵送検査をうまく利用して頂ければ幸いです。
自己採取による郵送検査で最大の弱いところは、子宮頸部の奥に発生する子宮頸部腺がんを早期に発見することができない可能性がある点です。この方の様に既に病院で医師の採取による細胞診検査を受けている方であれば、その心配も少なくなります。検査にはこれで全てOKと言うものはありません。
郵送検査でHPV検査「陽性」や細胞診検査でLSIL以上の結果をもらった時は必ず病院を受診し医師採取で子宮頸部の奥から細胞を採取して検査しておくことが大切です。自己採取細胞診はあくまで検診を受けるのは「恥ずかしい、忙しい、面倒」な方、ASC-US、LSILなどで追跡検査を必要としている方で、仕事や学業、子育てで「今回は病院に行けない」と言う方が一時的にチェックしたいときに利用されればその価値は大きいと思います。
そんなことを理解して郵送検査を利用して頂ければ幸いです。

私達の郵送検査ではこんなサービスもあります。

前の写真で示しましたが、HPVの感染以外は、白血球の増加もなく、とてもきれいな腟内のように見えます。しかし、この方の検査依頼書を見ると「臭いが気になる」とありましたので、もう少しその点を考慮して観察してみます。
細菌性腟症に特徴的なクルーセルは見られませんが、細胞と細胞の間に青色にぼやけて染まるものが見られます。さらに拡大を上げてみましょう。
最初の写真で述べましたように、この方が細胞を採取したのは多分月経前一週間程かな?
そうだとすると、通常は乳酸菌が増えてくる時期ですが、少なくてもこの写真では確認できません。
それどころか、青くぼやけたように見えるのは腟ガルドネラ菌ですので、細菌性腟症が疑われます。
Nugent score で表現すると8で「異常」ということになりますので、「臭いが気になるようであれば腟内フローラの状態を確認することも可能です。」と、コメントを入れるようにしています。
子宮頸がん検診で「異常」が判明したら、結構長期に渡り追跡検査をすることになります。
今回ご紹介した方のように、何らかの理由で定期検査が受けられない場合でも、セルソフトによる自己採取法なら自宅で手軽に検査できますので、(子宮頸部腺がんの存在を考慮しながら)有効に活用されることをお勧め致します。