婦人科医からの細胞診依頼書にBV susp.の記載

“子宮頸がん細胞診検査で細菌性腟症が疑われても報告書にはその旨を記載しないで下さいということが検査機関内の取り決めになっていることがあります。
子宮頸がん細胞診検査が本来の目的ですので、“それは当然かも知れませんが、カンジダやトリコモナスは報告されるのに細菌性腟症はなぜ?”という思いで日々矛盾を感じています。
現に、婦人科の先生方からの検査依頼書に細菌性腟症(bacterial vaginosis=BV)に関する記載があること自体極めてまれなことです。
この度そんなまれなケースを経験しました。検査依頼書にはASC-USのfollow-upHPV検査(-)に加え、BV susp.とありました。こんな単純なことですが、私にとってはとても嬉しい出来事です。

私が細菌性腟症の研究を始めるきっかけになったのは子宮頸がん検診の検査依頼書に“におい⊕”と記載する女医さんがおりました。その先生に「先生が記載されるにおい⊕には何か意味がございますか?」と質問したことがあります。その先生は「父が診察の時に気づいたことはメモをするようにと言われていますので、“少し臭いが気になる患者さんにはそう記載しています。」という返事が返ってきました。”

子宮頸がん細胞診標本の中に細菌性腟症が疑われる所見が見られても、婦人科医はもとより患者さんにもこの情報は伝わりませんので、当然治療もされません。臭いは気にならない方もいますので、すべてが治療の対象ではないのですが、『細菌性腟症が疑われます(BV susupect)』の結果をもらった先生は『治療しますか?』と訪ねてあげることが出来ます。
今回は検査の責任者に『お医者さんが検査依頼書に“BV susp.” と記載しているのですから、是非報告書に反映させてください』とお願いしました。
今回検査した標本の中にはASC-USに相当する異型細胞は見られなかったのですが、典型的な細菌性腟症が疑われる所見が見られます。
やや紺色に染まっているもやもやが腟ガルドネラ菌の塊です。もちろん明らかな乳酸菌は見られません。
このようなほぼ典型的なケースについては多くの細胞検査士の方も診断に迷うことはないと思います。

細胞診検査を受けてもBVの報告は期待できないことが多いかも?

日本人は検診を受けるのが苦手な国民かも知れません。
『なんだか最近オリモノや臭いが気になるので今年は検診を受けてみよう。』そんな方、少なくないかも知れません。しかし、前述のように、子宮頸がん関連病変についての“異常”は見られなく安心できても、気になっていたオリモノや臭いの原因は“分からないまま”で終わってしまいます。
BVは病気というよりは腟内フローラの乱れによるものですから、“絶対に治さなくてはいけない病気ではないかも知れません”が、少なくてもQOLの面からは気になる方が多いのではないかと思います。

気になる方は是非ご相談ください

なぜかというと、細菌性腟症の原因は様々です。
勿論、腟内洗浄が原因で腟内フローラの環境がくるってしまう方が多いと思いますが、それだけではありません。
10代後半から20代に多く、30代でいったん減少し、40代後半からまた増える傾向があります。私の経験に基づく解釈では“10~20代は活発な性行動”、“30代は子育て中で性行動が安定”、40代以降に増加する原因は様々でそのひとつには入浴による(思いもしない腟洗浄)を考えています。

ご相談はお気軽に!
042-652-0750で椎名が承ります。
月曜日、土曜日は休みです。
水木金の午後はおおむねOKです。


検査を希望される方は
1)おりものが黄色い方は「おりもの&臭いの検査」
2)臭いだけが心配な方は「腟内フローラチェック」

医師から「勝手に判断しないで!」と言われちゃった。

性交渉の後、いつも腟がイカ臭くなっておりものが増えます
おりものの色は灰色っぽくて、たまに痒みも出るためネットで調べたらどうやら“細菌性腟炎”らしいので婦人科を受診しました。
先生には「おりものの臭いが気になることを伝えたところ、クラミジア・淋菌・梅毒の3種類の検査をしてくれました。
しかし、自分が心配なのは細菌性腟炎なので、細菌性腟炎とカンジダ腟炎の検査をしてほしいとお願いしたところ、『勝手に判断しないで下さい。』と言われ、自分が希望した検査はして頂けませんでした。早く今の症状の原因を調べて治したかったので、アイラボのキットの中の「完治確認検査:細菌性腟症」を選んでキットを購入しました。

実はこの方のようなケースとっても多いのです。自己診断は如何に?

早速弱拡大で見てみましょう。
白血球はそれほど増えていませんので、腟炎の状態ではないようです。
ですから、この段階で“細菌性腟”については不正解ということになります。
ご覧の通り、一見腟内はきれいな状態に見えます。
弱拡大の中央付近を拡大してみました。
私のブロブを見て頂いている方は何を言いたいのかわかりますよね。
明らかな乳酸菌の仲間は全く見られず、(青っぽく染まる)細かな細菌(腟ガルドネラ菌)がたくさん見られます。
正解は“細菌性腟”です。

細菌性腟症と細菌性腟炎は違います

ネット上には細菌性腟症と細菌性腟炎を混同して使われている方が多いのです。
専門の先生方でも細菌性腟症を細菌性腟炎と表現される方は少なくありません。
細菌性腟症の多くは炎症(白血球の増加)は伴わないのです。
多分検査を依頼された方も誤った表現を見てしまったので、“細菌性腟炎”と言ってしまったと思いますが、イカ臭い(生臭い=魚臭帯下)症状や灰色っぽいおりものがあることから、(本当は)細菌性腟症と言いたかったのだと思います。
従って、この方は自分で検査をして『大正解』という結果になりました。

細菌性腟症は治療すべきか?

細菌性腟症の主たる細菌は腟ガルドネラ菌です。
いったいこの菌はどんな菌なのでしょうか?
少なくても私が知る限り、細菌性腟症の主役であることには間違いないと思います。
いや、見方を変えれば、本来腟内を守っている乳酸菌が主役なのに、その主役がどこかに逃げてしまったので、腟ガルドネラ菌が主役に抜擢されているのかも知れません。乳酸菌は言うまでもなく腟内の糖分(グリコーゲン)を栄養源として旺盛に増えますが、その過程で“酸”が作り出されます。“酸”とは、皆さんが良く知っているものではあのスッパイ“お酢”です。お寿司にはこのお酢を使います。お酢は酸度が高いため、菌を殺したり菌が増えるのを抑える働きがあるのです。つまり、乳酸菌は腟内で増えることにによって強い酸性の環境(Ph3.5程)を作り出すことで、肛門から入り込んで来る腸内細菌が増えることを防いでいるのです。これを腟の自浄作用と言います。
ところがこの主役(乳酸菌)がどこかに行ってしまうと、当然腟内の酸度は低下して中性(Ph7.0)の方向に進みます。
そんな時、腟ガルドネラ菌が増えてくるのですが、見方を変えれば(乳酸菌のやつどこへ行ったんだよと言いながら)乳酸菌の代わりに弱いながらも、酸を作るのです。でもその量は少ないため、腟内の酸度はPh4.5以上になってしまうのです。それでも何とか他の菌を増やさない環境を守っている状態が“細菌性腟症”なのではないかと思ってしまうのです。

でも困ることに、腟ガルドネラ菌が腟内を守っている(仮定)ときに嫌な臭い(魚臭帯下=魚の生臭いオリモノ)を発生してしまうのです。なので、アイラボでは、臭いやおりものが気になるようであれば治療を勧めますが、臭いが気にならないのであれば、腟炎の状態になってしまう前(細菌性腟症の内)に(乳酸菌を呼び戻し)正常の状態に戻す努力をするのが良いのではないかと思っています

腟ガルドネラ菌を殺し、乳酸菌を殺さない抗生物質はフラジール

細菌性腟症の状態であれば、フラジールが最適な治療薬です。
腟ガルドネラ菌を殺し、乳酸菌の仲間は殺さないとても都合の良い抗生物質なのです。
ところが、細菌性腟症の状態の時に、より強い抗生物質(クロマイ座薬)を投与してしまうと大切な乳酸菌まで殺してしまいますので、一時的にはきれいになるのですが、すぐに再発してしまう事が多いようです。
しかし、細菌性腟症の状態を過ぎて腟炎を伴ってしまった状態では、(やもうえず)最初に強いい抗生物質で全ての菌をたたいたうえでフラジールを追加することで、徐々に乳酸菌の仲間を増やせると考えられています。

どうしたら逃げてしまった乳酸菌を呼び戻せるか?

これは私達の専門外の話になってしまいますが、今色々な乳酸菌サプリが出回っています。
それらを試してみることも良いかも知れませんが、私達の経験では、少し時間がかかるかも知れません。
大切なことは規則正しい生活習慣を身に着ける事が一番かと思います。
乳酸菌が十分増えるまでは腟内を静かな状態にしてあげるのが良いのではないかと思います。
腟洗浄は大切な乳酸菌を洗い流してしまう行為ですので、婦人科の先生がされる以外はお勧めできません。
入浴時にお湯が腟内に入ってしまう方がいらっしゃるようですが、そのような状態の場合、毎日腟内洗浄しているのと同じですので、そんな時は、しばらくシャワーだけにするとか試してみましょう。

セルフメディケーション!自分の力で乳酸菌を取り戻しましょう

悩まれているのであれば、アイラボの無料相談(042-652-0750)をお気軽にご利用ください。
相談したからと言ってキットを購入する必要など全くありません。
私、シイナを(電話口に)呼んでください!

自分では臭いは気にならないが? QOLは大切!

50代女性の方からの電話相談を頂きました。
「自分では臭いやおりもの症状はないと思っていますが、肛門付近に小さなイボのようなものがあり少し気になります。女性にとってはいくつになってもQOLを大切にしたいと考えています。子宮頸がん検診は市の検診を定期的に受けていますが、今まで特に問題はありません。アイラボの“婦人科トータルセルフチェック”“HPV検査”を受けたいと思いますが、このキットでよいでしょうか?」というご相談でした。

アイラボの回答は「子宮頸がん検診を定期的に受けているとのことですので、子宮頸がん関連のキットは必要ないと思います。従って、“おりもの&臭いの検査”または“腟内フローラチェック”を選んでいただければ良いと思います。また、肛門付近のいぼ状のものについては“コンジローマ検査”が良いと思います」とお答えしました。

すると、「でも子宮頸がんについても調べておきたい」とのことでしたので、“婦人科トータルセルフチェック”“HPVタイピング検査(ハイリスク13種+コンジローマ”を選んで頂いて、肛門付近のいぼ状の所からも綿棒で採取して頂くようお願いしました。

その結果を見ると

写真の様に、腟内は白血球が若干増加(腟炎)し、乳酸菌がほとんど見られず、腟ガルドネラ菌が腟内を支配している状況で、その他の検査結果には異常は見られませんでした。

従って、結果のご報告は、『弱い腟炎を伴う細菌性腟症が疑われます。』といった内容でご報告させて頂きました。その後、検査を受けられた方から白血球の増加はどうして起こるのかといったお問い合わせがありましたので以下のように説明しました。
「白血球の増加は、生体の防御反応のひとつで、その多くは通常腟内に存在しない微生物の侵入によることが多いと思います。一般的には淋菌やクラミジア、トリコモナスやカンジダなどの感染症があると白血球が増えます。しかし今回の検査では、そのような感染症は見られませんし、細菌性腟症のみで白血球が増えることはあまりありません。従って、今回のケースではその理由は明らかにできません。ただアイラボでは、他の検査で全く異常が見られまいケースで、強い炎症が見られる場合はマイコプラズマやウレアプラズマの追加検査をお勧めする場合があります。しかし今回はそれほど強い炎症像ではなかったため、あえてその旨の記載はしませんでした。」

結果的にこの方は“マイコプラズマチェック”を追加で受けられました。

その結果は、マイコプラズマ パルバムが陽性

マイコプラズマやウレアプラズマ感染症については、欧米と日本でその対応が大きく異なるようです。
その大きな違いは、欧米では「感染症として対応する」のに対し、わが国では「そんなもの雑菌だ!」程度に考えているお医者さんが多いようです。私達が「マイコプラズマチェック」のキットを提供し始めた10年前には陽性の結果が出た場合でも適切な治療が受けられないケースもあり、遠方の医療機関をご紹介することもありましたが、最近ではそのようなケースはなくなりました。

「黄色いおりものがあるのに検査では異常なし」その裏に潜むもの

私達が日常の業務としている婦人科細胞診(子宮頸がん検診で行われている顕微鏡で異常な細胞があるかどうかを調べる検査)では、子宮頸がんに関係する異常所見がなくても“白血球が増えている(=腟炎がある)ケース”は決して少なくありません。しかし、検査時の医師の内診所見では、極めて高度の炎症以外は“NP(no problem)”とされることが多いのが現状と思われます。
私達は「過剰検査になってはいけない」し「このまま見過ごしてよいのだろうか?」とても迷うことが多かったのですが、最近は比較的強い腟炎を伴っているケース(おりものが黄色)で、淋菌・クラミジア・カンジダ・トリコモナス等の感染症が見られないケースに限って“マイコプラズマチェック”をお勧めすることにしています。

アイラボは“セルフメディケーション!自分の健康は自分で守る”を応援します

結果的に、今回ご紹介したケースの方は、ご自身はいくつになってもQOLを大切にしたいという思いがあり、最後までお付き合い頂きました。私たち検査キットを提供させて頂く側にとっても、“胸のつかえが取り除けた思い”です。
アイラボは、“セルフメディケーション! 自分の健康は自分で守る” を応援しています。

患者は診断できているのに!

嬉しいことなのか?そうでないのか?
良くわかりませんが、私としては「皆さん、細菌性腟症のこと、分かってくれてありがとう」、、、そんな感じかな?
灰色っぽいおりもの、臭いが気になる、、、そんなお嬢さんが、性病の検査を受けようと思い婦人科を受診しました。すると先生はクラミジア、淋菌、そして梅毒の検査をしてくれました。しかし私は細菌性腟症やカンジダの検査もしていただきたかったので、その旨を先生にお願いしました。すると先生は「自分で勝手に判断しないでください」と言われたようです。でも自分は早く原因をはっきりさせて早く治したかったので、アイラボの「細菌性腟症検査キット」を注文されました。

私達は淋菌、クラミジア、梅毒の結果はわかりませんが、少なくてもこのお嬢さんは「細菌性腟症ではないか?」と思っていたのだと思います。

ピンポーン

左(上)の写真は弱拡大ですが、特に白血球が増えているわけでもありません。
従って、おりものはそれほど“黄色くない”と思います。つまり腟炎は起こしているとは思えません。
しかし、拡大写真ではっきりするように、腟内には乳酸菌はほとんど見られず、クルーセルが見られ、細菌性腟症が疑われる状態です。患者さんは自身の症状から「細菌性腟症かな?」と考えていたからこの検査のみを選ばれたと思います。まさしく「ピンポーン」でした。
私が目指す、セルフメディケーションはまさに(自分の健康は自分で守る)=そのものです。
この患者さんは果たして私達がお送りした検査結果をこのクリニックに持って行くのでしょうか?
不安になりましたが、推移を見守ることにいたしました。
結果はいずれになるのでしょうか?
以前「細菌性腟症の事例」で紹介させて頂いたケースは、先生がカンジダの薬を処方してくれましたが、自分では「細菌性腟症を疑っていたので」処方された薬を飲まず、アイラボのおりもの検査をした結果「細菌性腟症」が明らかになりました。その患者さんは結果を主治医の先生に見せたところ、快くフラジールを処方してくれました。
今回のケースはどんなことになるのでしょうか?

快く細菌性腟症の治療をして頂けることを祈っています。
ご自分の症状から細菌性腟症を診断して頂けました。良かったですね。まさしく自分の健康は自身で守るセルフメディケーションですね。是非この輪を広げましょう。

彼ができたけど臭いが心配!

臭いの異常は、結構自分で分かるようです。
Drシイナラボ(アイラボ)に検査を依頼される方々をみていると、“自身の臭いが気になる” という方は、おおむね正解なことが多いです。
彼ができた! 嬉しい! 嬉しい!、、、でも、あの臭いが??? と心配する貴女、それは正解かも知れません。
実際どうなのかね?
早速顕微鏡を見てみましょう。

やっぱりね! あなたが正解です。

私のブログをいつも見て頂けているあなたはもう診断できますね。
「典型的な細菌性腟症を疑う」所見です。
左(上)の弱拡大では白血球の増加はなく、膣炎は起こしていなく、とてもきれいに見えます。
しかし、右(下)の拡大を上げた写真を見ると、腟ガルドネラ菌はたくさん見えますが、乳酸菌は全くいません。
明らかに細菌性腟症を疑う所見です。
細菌性腟症って、厄介なやつなんです。
性病でもなく、自分には何の落ち度がなくても「あそこが嫌な臭いになってしまう」のです。
多くの場合、その原因は分かっていないんですよ。
女性にとっては本当にイヤなやつなんです。

「最近のお付き合いって“オーラル”もつきものですよね。」
「だから嬉しいんですけど臭いのことがすごく 心配! 心配!、、、なんです。」
そんな悩みを抱えている方多いと思います。

男性の多くはたとえ不快に感じても、「嫌な臭いしますよ」、、、何んって言えません。
この臭いは体臭なのかな? それとも病気なのかな?、、、「もし体臭だったら一生付き合えない」それが本音かも知れません。だから「男が黙って去っていく病気」と表現した研究者がいたのだと思います。
細菌性腟症はそんな病気ですと言いたいところですが、私は“病気”とは思っていません。
単に腟内の正常細菌叢(膣内環境を守る細菌達のバランス)が乱れているだけなのですが、女性にとっては容易に解決できない厄介なやつなんですよ。
セルフメディケーション! 
自分の健康は自分で守りましょう!
是非相談してください。一緒に解決の方法を考えましょう。

円錐切除後嫌な臭い続きませんか?

高度異形成や上皮内癌が疑われるケースに円錐切除術という方法で病巣だけを取り除く治療が行われます。
当然のことですが、治療後の感染予防のために腟内には抗生物質が投与されます。
そのため、腟内正常細菌叢(腟内で複数の細菌がバランスを保って環境を守っている状況)が元の状態になるまでにはかなりの時間を要すことは想像できますが、治療後1年以上経過したケースでもかなりの頻度で細菌性腟症の状態が持続し、腟内フローラ(乳酸菌の仲間)が回復していない症例に遭遇します。
このことについて、婦人科の先生に質問してみると、「性生活の復帰に伴い、元の状態(細菌性腟症)に戻ってしまうのではないか」との回答が来ました。つまり、パートナーから腟ガルドネラ菌がうつるという考え方です。
その詳細は分かりませんが、治療後細菌性腟症(臭い)で悩まれていることはありませんか?
最近ちょっと気になっています。

術後一年4ヵ月経過後の細胞像

左(上)の弱拡大では、青色に染まりゴマ粒のように見える白血球がたくさん存在します。
若干腟炎の状態で、オリモノが黄色味を帯びていることが推測されます。
しかし、本人にとっては、前がん病変(高度異形成や上皮内癌)を治療しているので、今の状態は「問題ない」と思っているかも知れません。
しかし、右(下)の写真のように、乳酸菌はほとんど見られず、細菌性腟症の代名詞的なClue cell(クルーセル)も見られます。
写真で示すような状況で「臭いやおりものは気にならない」と答える人は少ないと思います。
Dr シイナラボ(アイラボ)の郵送検査キットの中で「腟内フローラチェック」や「おりもの&臭いの検査」を依頼される方の80%近くは、“臭いが気になる”ようです。
少しづつですが、おりものや臭いについて“気にされる女性”が増えてきたように思えます。
かなり昔の話になりますが、杏林大学で教鞭をとっている時、恩師の偉い先生が、「今どんな研究をしているのかね?」と聞いてきたことがありました。すかさず「女性のにおいに関する研究です」と答えると、帰ってきた言葉が「そんな臭いを消すようなつまらん研究はやめろ!」でした。心の中で「先生、分かってんのかな?」と思いつつ、とっさに出た言葉は「先生が思っていらっしゃるような“ヘロモン的”な臭いではありません。不快に感じる臭いの研究です。」と答えました。、、、でも理解はしていただけなかったようです。
女性のQOLの向上をお手伝いする研究なのに!!!

細菌性腟症の完治確認検査

細菌性腟症の原因については、多くの場合推測の域を脱していません。
そんな中で、性行動との関係や膣洗浄については大方のコンセンサスは得られているように思います。
また、淋菌やクラミジアなどのように、性感染症の位置づけにもなっていません。
しかし、治療しても再発することが多いため、私と親しい婦人科の先生の中にもパートナーとの性交渉で再発すると考える方もいます。
一人で悩み、検査をし、治療した結果、健康になった方からの返事はとても嬉しいです。

こんなにたくさんの乳酸菌が!!!

白血球の増加はなく、分泌期(月経前)の特徴であるグリーンに染まる中層細胞が主体です。
拡大を上げた写真を見ると、中層細胞は形を留めないほど融解しています。その周囲にはたくさんの乳酸菌が存在します。中層細胞に含まれるグリコーゲン(糖分)を栄養源に増える過程で酸が作られ、腟内はおおむね強い酸性の状態が保たれ、きわめて健康的な状況です。
前にも述べましたように、細菌性腟症は生活習慣との関係が強いため、治療しても再発するケースが多いのです。
そんな中、この方のように完璧に改善した結果を見ると大変うれしくなります。
苦労した結果改善された方にはその経験談を是非皆さんに聞かせてください。
投稿をお願いいたします。

>ご経験はこちらから
ぜひ頑張って今の腟内環境を守ってくださいね。
本当に良かったです。

細菌性腟症の事例

1年ほど前からおりものの量とニオイが気になるようになり、子宮筋腫の定期健診時にも伝えてみたが、特に気にするほどではないと言われ詳しい検査をしてもらえなかったため、ネットでこちらを見つけて利用してみようと思いました。

気になる症状としては、おりもののニオイ、常時腐った魚のような生臭さで、生理後の数日間は便のようなニオイに感じることもある。子宮筋腫は子宮の外にできるタイプのものが数年前からあるが、それが関係しているかどうかわからないが、ごく普通の性交後に数日間出血と下腹部の違和感が続くようになってきた。

1年ほど同じパートナーといるが、そのパートナーには特に異常は見られない。昔、抗生物質を飲んだ後にカンジダになり、それから同様に抗生物質を飲んだ時や疲れがたまった時などにはカンジダが再発しやすくなった。

その時の顕微鏡像

後日電話を頂きました。
「先生からはカンジダの治療薬を
処方されていましたが、飲まずにこの検査を
受けました。この結果を先生に見せたところ、
快くフラジールを処方して頂けた。」とのことです。
 
自分で検査してよかったね。
こんなケースとっても多いんですよ。