自分では臭いは気にならないが? QOLは大切!

50代女性の方からの電話相談を頂きました。
「自分では臭いやおりもの症状はないと思っていますが、肛門付近に小さなイボのようなものがあり少し気になります。女性にとってはいくつになってもQOLを大切にしたいと考えています。子宮頸がん検診は市の検診を定期的に受けていますが、今まで特に問題はありません。アイラボの“婦人科トータルセルフチェック”“HPV検査”を受けたいと思いますが、このキットでよいでしょうか?」というご相談でした。

アイラボの回答は「子宮頸がん検診を定期的に受けているとのことですので、子宮頸がん関連のキットは必要ないと思います。従って、“おりもの&臭いの検査”または“腟内フローラチェック”を選んでいただければ良いと思います。また、肛門付近のいぼ状のものについては“コンジローマ検査”が良いと思います」とお答えしました。

すると、「でも子宮頸がんについても調べておきたい」とのことでしたので、“婦人科トータルセルフチェック”“HPVタイピング検査(ハイリスク13種+コンジローマ”を選んで頂いて、肛門付近のいぼ状の所からも綿棒で採取して頂くようお願いしました。

その結果を見ると

写真の様に、腟内は白血球が若干増加(腟炎)し、乳酸菌がほとんど見られず、腟ガルドネラ菌が腟内を支配している状況で、その他の検査結果には異常は見られませんでした。

従って、結果のご報告は、『弱い腟炎を伴う細菌性腟症が疑われます。』といった内容でご報告させて頂きました。その後、検査を受けられた方から白血球の増加はどうして起こるのかといったお問い合わせがありましたので以下のように説明しました。
「白血球の増加は、生体の防御反応のひとつで、その多くは通常腟内に存在しない微生物の侵入によることが多いと思います。一般的には淋菌やクラミジア、トリコモナスやカンジダなどの感染症があると白血球が増えます。しかし今回の検査では、そのような感染症は見られませんし、細菌性腟症のみで白血球が増えることはあまりありません。従って、今回のケースではその理由は明らかにできません。ただアイラボでは、他の検査で全く異常が見られまいケースで、強い炎症が見られる場合はマイコプラズマやウレアプラズマの追加検査をお勧めする場合があります。しかし今回はそれほど強い炎症像ではなかったため、あえてその旨の記載はしませんでした。」

結果的にこの方は“マイコプラズマチェック”を追加で受けられました。

その結果は、マイコプラズマ パルバムが陽性

マイコプラズマやウレアプラズマ感染症については、欧米と日本でその対応が大きく異なるようです。
その大きな違いは、欧米では「感染症として対応する」のに対し、わが国では「そんなもの雑菌だ!」程度に考えているお医者さんが多いようです。私達が「マイコプラズマチェック」のキットを提供し始めた10年前には陽性の結果が出た場合でも適切な治療が受けられないケースもあり、遠方の医療機関をご紹介することもありましたが、最近ではそのようなケースはなくなりました。

「黄色いおりものがあるのに検査では異常なし」その裏に潜むもの

私達が日常の業務としている婦人科細胞診(子宮頸がん検診で行われている顕微鏡で異常な細胞があるかどうかを調べる検査)では、子宮頸がんに関係する異常所見がなくても“白血球が増えている(=腟炎がある)ケース”は決して少なくありません。しかし、検査時の医師の内診所見では、極めて高度の炎症以外は“NP(no problem)”とされることが多いのが現状と思われます。
私達は「過剰検査になってはいけない」し「このまま見過ごしてよいのだろうか?」とても迷うことが多かったのですが、最近は比較的強い腟炎を伴っているケース(おりものが黄色)で、淋菌・クラミジア・カンジダ・トリコモナス等の感染症が見られないケースに限って“マイコプラズマチェック”をお勧めすることにしています。

アイラボは“セルフメディケーション!自分の健康は自分で守る”を応援します

結果的に、今回ご紹介したケースの方は、ご自身はいくつになってもQOLを大切にしたいという思いがあり、最後までお付き合い頂きました。私たち検査キットを提供させて頂く側にとっても、“胸のつかえが取り除けた思い”です。
アイラボは、“セルフメディケーション! 自分の健康は自分で守る” を応援しています。

患者は診断できているのに!

嬉しいことなのか?そうでないのか?
良くわかりませんが、私としては「皆さん、細菌性腟症のこと、分かってくれてありがとう」、、、そんな感じかな?
灰色っぽいおりもの、臭いが気になる、、、そんなお嬢さんが、性病の検査を受けようと思い婦人科を受診しました。すると先生はクラミジア、淋菌、そして梅毒の検査をしてくれました。しかし私は細菌性腟症やカンジダの検査もしていただきたかったので、その旨を先生にお願いしました。すると先生は「自分で勝手に判断しないでください」と言われたようです。でも自分は早く原因をはっきりさせて早く治したかったので、アイラボの「細菌性腟症検査キット」を注文されました。

私達は淋菌、クラミジア、梅毒の結果はわかりませんが、少なくてもこのお嬢さんは「細菌性腟症ではないか?」と思っていたのだと思います。

ピンポーン

左(上)の写真は弱拡大ですが、特に白血球が増えているわけでもありません。
従って、おりものはそれほど“黄色くない”と思います。つまり腟炎は起こしているとは思えません。
しかし、拡大写真ではっきりするように、腟内には乳酸菌はほとんど見られず、クルーセルが見られ、細菌性腟症が疑われる状態です。患者さんは自身の症状から「細菌性腟症かな?」と考えていたからこの検査のみを選ばれたと思います。まさしく「ピンポーン」でした。
私が目指す、セルフメディケーションはまさに(自分の健康は自分で守る)=そのものです。
この患者さんは果たして私達がお送りした検査結果をこのクリニックに持って行くのでしょうか?
不安になりましたが、推移を見守ることにいたしました。
結果はいずれになるのでしょうか?
以前「細菌性腟症の事例」で紹介させて頂いたケースは、先生がカンジダの薬を処方してくれましたが、自分では「細菌性腟症を疑っていたので」処方された薬を飲まず、アイラボのおりもの検査をした結果「細菌性腟症」が明らかになりました。その患者さんは結果を主治医の先生に見せたところ、快くフラジールを処方してくれました。
今回のケースはどんなことになるのでしょうか?

快く細菌性腟症の治療をして頂けることを祈っています。
ご自分の症状から細菌性腟症を診断して頂けました。良かったですね。まさしく自分の健康は自身で守るセルフメディケーションですね。是非この輪を広げましょう。

彼ができたけど臭いが心配!

臭いの異常は、結構自分で分かるようです。
Drシイナラボ(アイラボ)に検査を依頼される方々をみていると、“自身の臭いが気になる” という方は、おおむね正解なことが多いです。
彼ができた! 嬉しい! 嬉しい!、、、でも、あの臭いが??? と心配する貴女、それは正解かも知れません。
実際どうなのかね?
早速顕微鏡を見てみましょう。

やっぱりね! あなたが正解です。

私のブログをいつも見て頂けているあなたはもう診断できますね。
「典型的な細菌性腟症を疑う」所見です。
左(上)の弱拡大では白血球の増加はなく、膣炎は起こしていなく、とてもきれいに見えます。
しかし、右(下)の拡大を上げた写真を見ると、腟ガルドネラ菌はたくさん見えますが、乳酸菌は全くいません。
明らかに細菌性腟症を疑う所見です。
細菌性腟症って、厄介なやつなんです。
性病でもなく、自分には何の落ち度がなくても「あそこが嫌な臭いになってしまう」のです。
多くの場合、その原因は分かっていないんですよ。
女性にとっては本当にイヤなやつなんです。

「最近のお付き合いって“オーラル”もつきものですよね。」
「だから嬉しいんですけど臭いのことがすごく 心配! 心配!、、、なんです。」
そんな悩みを抱えている方多いと思います。

男性の多くはたとえ不快に感じても、「嫌な臭いしますよ」、、、何んって言えません。
この臭いは体臭なのかな? それとも病気なのかな?、、、「もし体臭だったら一生付き合えない」それが本音かも知れません。だから「男が黙って去っていく病気」と表現した研究者がいたのだと思います。
細菌性腟症はそんな病気ですと言いたいところですが、私は“病気”とは思っていません。
単に腟内の正常細菌叢(膣内環境を守る細菌達のバランス)が乱れているだけなのですが、女性にとっては容易に解決できない厄介なやつなんですよ。
セルフメディケーション! 
自分の健康は自分で守りましょう!
是非相談してください。一緒に解決の方法を考えましょう。

円錐切除後嫌な臭い続きませんか?

高度異形成や上皮内癌が疑われるケースに円錐切除術という方法で病巣だけを取り除く治療が行われます。
当然のことですが、治療後の感染予防のために腟内には抗生物質が投与されます。
そのため、腟内正常細菌叢(腟内で複数の細菌がバランスを保って環境を守っている状況)が元の状態になるまでにはかなりの時間を要すことは想像できますが、治療後1年以上経過したケースでもかなりの頻度で細菌性腟症の状態が持続し、腟内フローラ(乳酸菌の仲間)が回復していない症例に遭遇します。
このことについて、婦人科の先生に質問してみると、「性生活の復帰に伴い、元の状態(細菌性腟症)に戻ってしまうのではないか」との回答が来ました。つまり、パートナーから腟ガルドネラ菌がうつるという考え方です。
その詳細は分かりませんが、治療後細菌性腟症(臭い)で悩まれていることはありませんか?
最近ちょっと気になっています。

術後一年4ヵ月経過後の細胞像

左(上)の弱拡大では、青色に染まりゴマ粒のように見える白血球がたくさん存在します。
若干腟炎の状態で、オリモノが黄色味を帯びていることが推測されます。
しかし、本人にとっては、前がん病変(高度異形成や上皮内癌)を治療しているので、今の状態は「問題ない」と思っているかも知れません。
しかし、右(下)の写真のように、乳酸菌はほとんど見られず、細菌性腟症の代名詞的なClue cell(クルーセル)も見られます。
写真で示すような状況で「臭いやおりものは気にならない」と答える人は少ないと思います。
Dr シイナラボ(アイラボ)の郵送検査キットの中で「腟内フローラチェック」や「おりもの&臭いの検査」を依頼される方の80%近くは、“臭いが気になる”ようです。
少しづつですが、おりものや臭いについて“気にされる女性”が増えてきたように思えます。
かなり昔の話になりますが、杏林大学で教鞭をとっている時、恩師の偉い先生が、「今どんな研究をしているのかね?」と聞いてきたことがありました。すかさず「女性のにおいに関する研究です」と答えると、帰ってきた言葉が「そんな臭いを消すようなつまらん研究はやめろ!」でした。心の中で「先生、分かってんのかな?」と思いつつ、とっさに出た言葉は「先生が思っていらっしゃるような“ヘロモン的”な臭いではありません。不快に感じる臭いの研究です。」と答えました。、、、でも理解はしていただけなかったようです。
女性のQOLの向上をお手伝いする研究なのに!!!

細菌性腟症の完治確認検査

細菌性腟症の原因については、多くの場合推測の域を脱していません。
そんな中で、性行動との関係や膣洗浄については大方のコンセンサスは得られているように思います。
また、淋菌やクラミジアなどのように、性感染症の位置づけにもなっていません。
しかし、治療しても再発することが多いため、私と親しい婦人科の先生の中にもパートナーとの性交渉で再発すると考える方もいます。
一人で悩み、検査をし、治療した結果、健康になった方からの返事はとても嬉しいです。

こんなにたくさんの乳酸菌が!!!

白血球の増加はなく、分泌期(月経前)の特徴であるグリーンに染まる中層細胞が主体です。
拡大を上げた写真を見ると、中層細胞は形を留めないほど融解しています。その周囲にはたくさんの乳酸菌が存在します。中層細胞に含まれるグリコーゲン(糖分)を栄養源に増える過程で酸が作られ、腟内はおおむね強い酸性の状態が保たれ、きわめて健康的な状況です。
前にも述べましたように、細菌性腟症は生活習慣との関係が強いため、治療しても再発するケースが多いのです。
そんな中、この方のように完璧に改善した結果を見ると大変うれしくなります。
苦労した結果改善された方にはその経験談を是非皆さんに聞かせてください。
投稿をお願いいたします。

>ご経験はこちらから
ぜひ頑張って今の腟内環境を守ってくださいね。
本当に良かったです。

細菌性腟症の事例

1年ほど前からおりものの量とニオイが気になるようになり、子宮筋腫の定期健診時にも伝えてみたが、特に気にするほどではないと言われ詳しい検査をしてもらえなかったため、ネットでこちらを見つけて利用してみようと思いました。

気になる症状としては、おりもののニオイ、常時腐った魚のような生臭さで、生理後の数日間は便のようなニオイに感じることもある。子宮筋腫は子宮の外にできるタイプのものが数年前からあるが、それが関係しているかどうかわからないが、ごく普通の性交後に数日間出血と下腹部の違和感が続くようになってきた。

1年ほど同じパートナーといるが、そのパートナーには特に異常は見られない。昔、抗生物質を飲んだ後にカンジダになり、それから同様に抗生物質を飲んだ時や疲れがたまった時などにはカンジダが再発しやすくなった。

その時の顕微鏡像

後日電話を頂きました。
「先生からはカンジダの治療薬を
処方されていましたが、飲まずにこの検査を
受けました。この結果を先生に見せたところ、
快くフラジールを処方して頂けた。」とのことです。
 
自分で検査してよかったね。
こんなケースとっても多いんですよ。