子宮頸がん検診に(自己採取もあった)ので受診しました

子宮頸がん検診のガイドラインで推奨グレードAには“細胞診単独法(検体は医師採取のみとし、自己採取は認めない)”と“HPV検査単独法(検体は医師採取を原則とする)”があります。

このような中でも種々の理由(採取する医師が確保できない、医師採取が苦手で検診が受けられない、など、)から自己採取を部分的に取り入れている検診機関もあります。当社も自己採取法のメリットデメリットを説明した上で、医師採取が苦手な人のために自己採取法によるキットを提供しています。

細胞診単独検診を採用している検診機関では、ガイドラインで“自己採取は認めない”となっていますので、「せめて苦手な人には(自己採取法を提供したい)」、、、と思いつつも、実施までには至っていない施設が多いと思います。
そんな中、受診者当人にとっても、私達(アイラボ)にとっても『良かった!』と思えることがありました。もちろんそれを決断された検診機関の方々も『良かった!』ではないでしょうか?

今回はそんなケースを紹介しますね。

自己採取でも明らかなHSIL(高度異形成!)の細胞が!

写真左(最初)私達が顕微鏡で見ている弱拡大、「どこにそんなおおかしな細胞があるの?っていう感じ。中央付近にあるよ!
私達細胞検査士はこんな小さな細胞を見逃すことができない仕事なんですよ。

写真右(2枚目)の強拡大では、周りが緑色で、中央が紫に染まる細胞がかたまっています。これが問題の細胞です。
細胞が小さいこと、緑色の細胞に占める(紫で染まる)核の割合がとても大きくなっていることが重要で、私達はこの細胞を見ると高度異形成かな?と推定します。

つまりこの方は“ギリギリセーフ”という段階で上皮内癌のほんの一歩手前という感じです。
今後この方は、婦人科を受診して詳しい検査(組織検査)を行うことになりますが、子宮を全摘することなしに、病巣だけを切除する円錐切除術が行われる可能性が高いと思われます。
自己採取法は認めない」という強い表現がなされているのにはそれなりの理由があるのです。
採取器具の選択や顕微鏡で観察する標本の作り方、さらには写真の様に“異常な細胞の数が少ない上に細胞が小さいので見逃されやすい”という特徴があるのです。この点を十二分に理解しないで自己採取法を提供すると、検査ではなくなってしまうのです。
私達が所属する東京都においても、毎年衛生検査所精度管理事業報告書という形で異常な細胞の検出率などがまとめられていますが、結果を見れば一目瞭然なのです。
私達は、細胞診検査の自己採取法については、子宮頸がん検診の受診率が上がらないこと、医師採取が苦手(絶対にイヤ!という人も)な人達には必要な方法と考えています。
検査を受け入れる側の意識改革が望まれるところであり、アイラボでも協力は惜しみません。
会社が行う検診や自治体が行う検診は苦手(恥ずかしい、忙しい、面倒)と言って検診を受けないのは危険です。自己採取法の場合、「細胞診単独はダメ」というのであれば「細胞診とHPV検査の同時検査」であれば、OKなのではないでしょうか? なぜなら、HPV検査単独法については「医師採取が望ましい(自己採取でも可)」と表現されているように、HPV検査は採取法の違いで結果に大きな差がないからです。
セルフメディケーション自分の健康は自分で守る。アイラボでは「子宮頸がん細胞診検査」と「最新の子宮頸がん検査」を準備しています。
今回のケースは子宮頸がん細胞診検査単独例ですのでこの検査だけでHSIL(高度異形成)の存在が推定できましたが、もしこれがHPV検査単独例であった場合は「陽性」と判定されるだけです。従って、婦人科を受診して改めて医師採取により細胞診検査が行われ、今回と同様にHSILと診断されます。この場合で問題になるのは、HPV検査で「陽性」と判定されたにもかかわらず、婦人科を受診しない人が存在する可能性があるのです。
HPV検査単独法は推奨グレードAになっていますが、こんな危険性があるのです。
アイラボの最新の子宮頸がん検査であったら、細胞診検査はHSIL、HPV検査は「陽性」となりますので、当然、婦人科を受診して精密検査を受けることになります。