HSILの中等度異形成とは

前にも述べましたように現在の子宮頸がん細胞診の診断基準はベセスダシステムを採用しています。詳しいことは別の機会にしますが、子宮頸部扁平上皮内病変に関してはNILM(上皮内病変ではない)、ASC-US(意義不明な異型扁平上皮細胞)、LSIL(軽度異型扁平上皮内病変=軽度異形成)、ASC-H(HSILを除外できない異型扁平上皮細胞)、HSIL(高度扁平上皮内病変=中等度異形成、高度異形成、上皮内癌が含まれます)に分類されています。

中等度異形成はHSILに含まれます。LSIL(軽度異形成)はHPVに感染している状態ですが、中等度異形成は単にHPVが感染しているだけでなく、その細胞の中にHPVの遺伝子が組み込まれた状態であり、がんの方向に向かう準備ができた状態と言った方が分かりやすいかも知れません。しかし、全てが高度異形成や上皮内癌に進むわけでなく、中等度異形成が消失することもあります。その辺を定期的に調べて、もし高度異形成や上皮内癌に進めば円錐切除術が行われます。

中等度異形成が発見されたら組織検査が必須!

細胞診はあくまで推定診断です。上のケースは中等度異形成、下は高度異形成と推定した症例です。
比較的わかりやすいケースを提示したつもりですが、両者がもっと接近した顔つきをしていることも多く、細胞診で明確に分けることができないことが少なくなくありません。
細胞診で中等度異形成と診断しても、高度異形成が存在したり、逆に細胞診で高度異形成と推定しても中等度異形成であることもあります。また時には上皮内癌の成分も含まれることもあります。
従って、最終的には組織検査で確定することが重要になってきます。
子宮頸がん検診でHSILと診断されたケースで、その後婦人科を受診せず、精密検査(組織検査)を受けず、3年が経過した後に細胞診検査を受けて進行したがんが発見されたケースがあります。
せっかく検診でHSILが発見されたのですから、その時点で精密検査を受けていれば、(少なくても)がんが進行する前に(病巣だけを切除する)円錐切除が適用されたと思います。進行してしまうと子宮全摘手術だけでなく、抗がん剤や放射線療法といった厳しい治療になってしまいます。
怖い!、面倒!、、、なんて言っていられません。あなた自身の体は貴女しか守れません。セルフメディケーション! 病院を受診して下さい!