性器の強いかゆみの原因は腟カンジダ症

31歳で子宮頸がん検診受診者の細胞像です。
腟内には白血球の増加はなく、とてもきれいな細胞が沢山見られます。
グリーンに染まる細胞とややオレンジ色に染まる細胞が見られます。
どちらも腟の粘膜の表面にある細胞で、女性ホルモン(エストロゲン)の量が多い時期(排卵の頃)はオレンジ色の(表層)細胞が多く、その後黄体ホルモンが多い時期(月経の前まで)はグリーンの細胞が多くなります。1ヵ月の間に腟内は劇的に変化しているのです。

この写真では中央付近と、左上の部分で細胞が重なっていることについて紹介します。
弱拡大ではよく分からないので、拡大を上げてみましょう。

細胞と細胞の間に細いひものようなもの見えます。

細いひものように見えるのが、カンジダの仮性菌糸です。
カンジダ症で強いかゆみを伴うのは、この写真の様に、仮性菌糸が粘膜表面の細胞と細胞の間に入り込むために(仮性菌糸が細胞をつなぎとめているためバラバラにならずかたまって見えるのです。)、強い痒みを伴うと考えられています。

私達が子宮頸がん検診の標本を観察している時にカンジダは比較的多く観察されます。

腟カンジダ症の症状

カンジダ症は特徴的な症状を示すときは、婦人科の先生方も比較的診断は容易だと思います。
1)強い痒み
2)白いおりもの(オカラ様、かゆ状)など

しかし、細菌性腟症やトリコモナス症でも、似たような症状を示すため、検査なしでは診断を間違えることもあります。
過去の記事を見てください。
以前に紹介しましたが、実際は細菌性腟症なのですが、医師は(検査もせず)カンジダの治療薬を処方したケースもあります。
2023,5,13「先生!カンジダではなくBVです」
2022,12,21「患者は診断できているのに!」

、、、と鑑別が難しいこともありますので、検査で確定診断が必要になります。