中咽頭がん対策として咽頭HPV検査キット提供準備開始

4月29日のスマホ記事に『咽頭がんの発症リスクは「オーラルセックス」により増大していた?!』
という記事がありましたので、この機会にこの病気について少し勉強しておきましょう。

この記事を要約してみると
 1)この20年、欧米では「中咽頭がん」が増加している
 2)日本でも増加傾向にある。
 3)かつてその原因は喫煙や飲酒が主な原因とされていたが、近年オーラルセックスによるウイル
   スの感染が明らかになった

 4)中咽頭がんの7割はHPVへの感染
 5)オーラルセックスで中咽頭がんの発生率が8.5倍
 6)日本では毎年24,000人程が中咽頭がんと診断されている。
 7)以前は中年男性に多かったが、今では若い男女にも見られる
 8)イギリスで扁桃腺の摘出手術受けた1,000人を調べたところ80%がオーラルセックスの経験があった。
 9)しかし、中咽頭がんを発症する人は少数でしたが、その原因は分かっていないが 
(この記事では)HPVは自然免疫で十分対応できることがあげられている。
10)女性のHPVワクチン接種率の高い国では、男性のHPV感染も少なくなることが分かっている。
11)アメリカ、イギリス、オーストラリアでは男性へのHPV接種拡大を進めている。
12)日本でも男女双方にHPVワクチン接種を広めることで、咽頭がんの発症を減らすことが期待されている。

こんな内容の記事です。

早速、“中咽頭がん”で検索してみましょう

がん情報サービスのページが出てきました。
https://ganjoho.jp/public/cancer/mesopharynx/about.html

発生には、喫煙と飲酒のほか、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染が原因となっているものがあることが分かっています。ヒトパピローマウイルス感染に関連した中咽頭がんは、そうでないものに比べて予後が良いことが知られています。

“中咽頭がん 発生率”で検索すると

国立がん研究センター中央研究所の小村先生の記事がありました。
『中咽頭がんの原因には何があるの?〜喫煙や飲酒、ウイルス感染が関連している〜』

【飲酒・喫煙】
中咽頭がんの原因の多くを占めるのが、飲酒と喫煙であるといわれています。
お酒、たばこにはどちらも発がん性があります。中咽頭は飲食物や空気の通り道であることから、お酒をよく飲む人、たばこをよく吸う人ほど発がんリスクが高まるとされています。また、(お酒を飲んで顔が赤くなる人)は、アルコールの分解がうまくいかず、発がん性のアセトアルデヒドが体内に蓄積しやすいために、継続的に飲酒することで発がんの可能性が高まることが分かっています。なお、中咽頭がんは50~70歳代に好発しており、女性よりも男性に多い傾向があります。これは飲酒や喫煙による長年の慢性刺激が誘因になること、飲酒や喫煙の習慣が男性に多いことが理由と考えられています。

【ウイルス感染】
中咽頭がんの発症には、ヒトパピローマウイルスの関与も指摘されています。ヒトパピローマウイルスは、皮膚や粘膜の細胞を介してヒトからヒトへ接触感染するウイルスで、咽頭への感染は主に口腔性交(オーラルセックス)によるものです。
感染しても大抵は症状が出ないまま排除されますが、感染して状態が続くとがんを抑制する遺伝子のはたらきが失われ、これによってがんが発生すると考えられています。
ヒトパピローマウイルスは100を超える種類が存在し、一部の高リスク型(特に16型と18型)が中咽頭がんの発生に関与しているとされ、性交の多様化によって近年では中咽頭がんの発症者が比較的若い世代にも増えてきているといわれています。
また、子宮頸がん、腟がん、外陰がん、肛門がん、陰茎がんなどの発生にも関わっており、これらの部位においては主に腟性交や肛門性交(アナルセックス)によって感染します。

アイラボでは咽頭のHPV検査キットを提供していません、、が?

その理由は、
自己採取では咽頭から適正な検体が安全に採取できない』からです。
しかし、中咽頭がんとHPV感染の関係が徐々に明らかにされるにしたがって、『検出率が低いのは理解しましていますがどうしてもやってほしい』という方が増えてきています。特に風俗で働く女性にとっては子宮頸がんどころではなく、中咽頭がんの方が心配という人が増えている気がします。その理由として、『子宮頸がんは定期的に検診を受けていれば(早期に発見できるので)適切に対応できるが、中咽頭がんについては良く分からないだけに怖い』ということがあげられます。

ここ1年ほどの間に“どうしても検査をして欲しい”という方には、検査精度が低い可能性があることを説明した上でキットを提供しました。18名の方にハイリスク型13種と(当社が独自に加えている)66型と53型の計15種について調べました。
検査は杏林大学保健学部大河戸先生が開発した高感度多種HPV検出法uniplex E6/E7PCRで測定しました。その結果、2名の女性からHPVの感染が確認されました。
その1例目は、子宮頸がん検診でLSILと診断され、最近のどが痛いこともあり、のどのHPV感染も気になったので検査されました。
結果は58型、66型、53型の感染が確認されました。他の1例は、オーラルのサービスをしている女性で、腟と咽頭のHPVタイピング検査を依頼された方です。腟からは上記15種のHPVは検出されませんが、咽頭から66型が検出されています。

性器に比べて口腔や咽頭は感染しにくいのではないか?

前で紹介した中咽頭がんの原因は「飲酒と喫煙」が主な理由にあげられていましたが、私は喫煙と飲酒がHPVに感染しやすい土壌を作っているのではないかと考えています
つまり、HPVはウイルスですが、コロナやインフルエンザとは異なり、健康な粘膜や上皮細胞に接触しても感染は成立せず、粘膜や上皮に傷がつくことで感染が成立するが、口腔や咽頭からはそれに比べて検出される割合が(経験的に)少ないのが現状です。私達はその原因として、“うがい液”での検査は十分な検体が採取されない可能性を考慮して検査キットの提供を控えてきました。しかし、最近の研究で、医師による咽頭擦過検体とうがい液を比較しても結果に大きな差が見られないことが明らかになりました。
これらの結果から総合的に考えてみると、検出率が低いのではなく、HPVがオーラルセックスで口腔や咽頭に侵入したとしても、口腔や咽頭が健康であれば感染が成立しないのではないかと考えました。飲酒や喫煙で粘膜にダメージを受けている状態ですと感染しやすく、それは喫煙や飲酒だけでなく、風邪で咽頭が赤く腫れている時や歯周に炎症がある場合では感染しやすいのではないかと思います。
従って、アイラボが実施した(うがい液で陽性になった)2名は中咽頭に感染病巣があるためであり、(オーラルセックスで一時的にHPVによる汚染があったとしても)感染が成立しないケースが多いのではないかという結論に達しました。

中咽頭がん対策として咽頭HPV検査キットの販売の準備を始めます。

検査方法は、『高感度多種HPV検出法uniplex E6/E7PCR』を採用します。

早速準備に取り掛かりますが、お急ぎの方はアイラボにご一報下さい。
042-652-0750です。