優しい夫からの一言

2022.9.30の記事 「旦那からの一言で命が」という記事を紹介しました。そのご夫婦とはコロナの影響で3年以上もお会いできなかったのですが、先月やっと会うことが出来ました。
『お前最近臭いが強くなったぞ、子宮頸がん検診を受けろよ』と旦那に言われた話です。もう十年以上前の話ですが、私がそのご夫婦のお宅に招待された折にたまたまお二人の前で「臭いの話」をしたことがきっかけだそうです。
そのご主人は昨年肺がんで他界されたと聞き、肺がんについての話もしておけばよかったと後悔しています。

いくらご夫婦であっても、『お前臭いよ』、、、とはなかなか言えないものです。
私が細菌性腟症の研究を始めた頃「男が黙って去っていく病気」と表現した研究者(確かヨーロッパの方であったと思います)がいましたが、面と向かってはなかなか言えないもんです。

でも最近、ご主人に臭いを指摘された方のお話を聞きました。
自分でもここ数年臭いが気になってはいたので、婦人科を受診していろいろ調べて頂いたのですが、結果は「なにも異常なし」であったそうです。

それでは結果を見ることにしましょう
腟内は白血球がほとんど見られず、とてもきれいな状態に見えます。
しかし、中央にはClue cell(クルーセル)が見られ、腟ガルドネラ菌が腟内を支配しています
細菌性腟症の典型的な所見ですが、細胞診の仕事をしていても、検査機関によっては「細菌性腟症が疑われます」との記載ができないところもあります。
従って、お医者さんや患者さんには伝わりませんので、たとえ検査をしても「特に異常はありません」という回答いなります。トリコモナスやカンジダが見られる場合はその旨を記載するのになぜ?、、、ですかね。

さらに拡大を上げてみましょう
乳酸菌は全くなく腟ガルドネラ菌だらけですね。
このように、典型的な細菌性腟症は白血球の増加(腟炎)は伴わないのです。
白血球が増えないと言うことは、腟ガルドネラ菌が増えても“異常事態との認識はない”のかも知れません。更には、乳酸菌がいなくなってしまったので“代わりに腟内を守っている”ようにも思います。

困るのは、“嫌な臭い”なのです。

子宮頸がんでなくてよかったですね。

いつも臭いの話をしますが、臭いの原因は子宮頸がんや細菌性腟症に限ったことではありません。
届いた検体のフタを開けた瞬間強烈な臭いに見舞われ、部屋中の窓を開けることもありますが、トリコモナスの感染であったり、カンジダ症であったり、淋病であったりもします。
なので、おかしいと思った時には先ずはチェックしてほしいのです。
アイラボが開業して始めて世に送り出したキットは『婦人科トータルセルフチェック』です。子宮頸がん、細菌性腟症、トリコモナス、淋菌、クラミジア、カンジダ、腟炎と言った臭いに関係のある全ての病気を丸ごと入れたキットです。

婦人科の敷居は高い、誰でもそうです。
私の恩師も婦人科医ですが、『椎名君、女性はお産以外に私達の所へは来たくないんだよ。それで子宮頸がんや不妊症など手遅れになってしまうんだよ。何とか自分で採取しても精度の高い検査を考えてくれよ』そんなことがあって、初めて世に出したのがこのキットです。

風邪は万病の元、(女性にとって)臭いは万病のサイン

セルフメディケーション!

病気の早期発見早期治療こそがすべての幸せに通じます。
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