Dr シイナのブログへようこそ
私の最後の仕事として
“セルフメディケーション”という言葉を選びました。 世界保健機関(WHO)では
「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」と定義しています。
“自分自身の健康に責任を持つ”ということは、先ずは病気にならないための知識を学び、日々それを実行し、一つ一つ積み重ねていくことが大切だと考えます。
私は50年余り、顕微鏡の世界で主に子宮頸がんに関わる仕事をしてきましたが、その中でたくさんの感動に出会えました。
その一つが “女性の神秘” です。
顕微鏡の前に現れるひとつ一つの現象には必ず、それなりの理由が存在するのですが、その訳を知ると“神秘”としか言いようがないことが多いのです。
ひとりでも多くの(女性の)皆さんにこの
 “神秘の世界を見える化” することで、
自身の健康状態を確認しながらQOLの向上に役立てていただければと考えました。
具体的には顕微鏡で見える世界でご自身の今の状態を観察するものです。多分このような試みは多くないと思いますが、皆さんと一緒に作り上げていきたいと思いますので、ご協力をお願いいたします。

アイラボのキットを適正に選んで頂いてありがとう

アイラボにはたくさんの検査キットがあります。
余分な検査をしないようにと思っているうちにだんだん増えてしまった感があります。
今回ご紹介するのは、特におりものの臭いは気にならなないものの、おりものの色が黄色いことと、陰部に痒みがあり、性感染症の心配がある方からの依頼です。
腟炎 パパニコロウ染色 弱拡大
アイラボでは、検体が適正に採取されているかをチェックするため、すべての検体についてこのような標本(Pap stain)を作製しています。
この写真を見ても、ガラスに何らかが塗抹されていることがわかりますので、検体としては適正に採取されていることがわかります。せっかくの機会ですので必ず顕微鏡でも観察します。そこで何らかの異常が観察されたときは、その旨を結果報告書に反映させます。
早速、パパニコロウ標本を顕微鏡で見てみましょう。
腟炎 パパニコロウ染色 弱拡大
弱拡大で全体を観察してみましょう。
たくさんの細胞成分が採取されていますので、検体としては適正です。
画像の中にたくさんのゴマ状の粒々が見られます。
これらは白血球(好中球)で、かなり増加していることがわかります。

例えば、このケースが子宮頸がん細胞診検査のご依頼であった場合は、「腟内に白血球(好中球)が増加し、腟炎が疑われます。必要があれば“おりもの&臭いの検査”の追加検査が可能です。のようなコメントを添えた報告になります(余談)。

(本題に戻ります)
“おりものが黄色” とのことですが、その原因は白血球が増えたためで、何らかの原因で腟炎が起こっている可能性が考えられます。
腟炎 強拡大
ご依頼の検査は、おりもの&臭いの検査ですので、淋菌、クラミジア、トリコモナス、カンジダ、細菌性腟症、および腟炎の有無を調べます。
拡大をあげて、トリコモナス、カンジダの有無を詳細に観察しますが、この写真の中にそれらしき微生物は観察されません。また、細菌性腟症に特有なclue cell(クルーセル)も観察されませんが、もう少し詳細な観察が必要ですので、単染色標本も観察します。
腟炎 単染色 強拡大
単染色では、このようにたくさんの乳酸菌が観察され、腟ガルドネラ菌やモビルンカスは観察されないので、細菌性腟症の疑いはありません。

これまでの顕微鏡的観察では、トリコモナス(-)、カンジダ(-)、細菌性腟症の疑い(-)、腟炎(+)、まで分かりました。果たして腟炎の原因は何でしょう?
残るは、淋菌とクラミジアの遺伝子検査の結果待ちになります。

自覚症状と感染の危険性がある行為があったこの方


今回、“おりもの&臭いの検査”をご利用いただきました。キットも選択は「正解」です。
同じような悩みの方で、「リンクラチェック」のみを選ばれて結果はトリコモナスの感染であった場合は、また別のキットで検査をしなければならず、時間と費用が無駄になります。
淋菌とクラミジアの結果は明日分かります。
もし、2つのうちのいずれかが陽性であれば、おおむね腟炎の原因は特定されたことになりますが、両方ともが陰性の場合、腟炎の原因が今回の検査では明らかにすることはできないことになります。原因が特定できない腟炎を、非特異性腟炎と言いますが、私達は最後の検査としてマイコプラズマチェックをお勧めしています。

最終的に、淋菌・クラミジアは陰性でした。

最後の選択肢は、女性のマイコプラズマチェックの追加検査になります。