セルソフトに関する研究で分かった事
(風俗利用男性必見!)

このブログでは、最近学術論文として掲載されたセルソフトに関する研究結果を
一般の人にも分かりやすくTable(表) 1について説明します。
表全体を一枚の画像にしましたので見にくいかも知れませんが、拡張機能を利用するか、必要に応じて印刷して見て頂ければと思います。
赤の下線で示したように、風俗営業従事者30名を取り出しています。

この研究の主な目的は、エヴァリンブラシとセルソフトの比較です

表左側の青枠で示したのはセルソフト(CS)写真中、右の緑色の枠で示したのがエヴァリンブラシ(EB)写真上で高感度多種HPV検出法(uniplex E6/E7PCRで検出されたHPVの結果です。
両器具の写真を見ても分かるように、CSはより奥(子宮の入り口)からスポンジで大量の細胞が採取され、EBはより手前の腟壁成分をからめとるように採取しますので、先ずはEBで採取した後にCSで採取しました。
結果は
1)CS/EBとも全く同じ結果であった。21例(70%)
2)CS/EBともHPVを検出したがEBの方が多かった。7例(23.4%)
3)CS/EBともHPVを検出したがCSの方が多かった。1例(3.3%)
4)CSは検出したがEBは陰性であった。1例(3.3%)
総合的に判断すると、29例(96.7%)が陽性または陰性で一致したことになり、乾燥状態で輸送するEBと50%エタノールを添加し湿性状態で輸送するCSで差は見られなかった事になります。
2)の様にEBで検出されたHPVの数が多かったのは、単純に考えればEBが先に採取したからと思われますが、採取器具の長さが短いEBは腟壁感染部位を擦過した可能性も否定できません。3)4)のケースは逆にEBは子宮腟部の感染部位までブラシが届かなかった可能性も考え得られます。

HPV検査陽性の人は必ず細胞診検査を受けなければなりません

HPV検査で陽性であった人はハイリスク(子宮頸がんに危険な)HPVに感染している事になります。しかし、HPVに感染していることは分かっても、現在自分はどのような状況(軽度異形成高度異形成またはがんなのか?)なのかは分かりません。
そのため、陽性であった人は必ず婦人科を受診して細胞診検査を受けることになります。もしも細胞診検査を受けなかった場合、HPV検査で検診を受けた意味が全くなくなってしまうからです。
HPV検査を病院や検診機関で医師採取で行った場合、検査機関で残った検体が保存されていますので、多くの場合再採取無して細胞診検査が受けられると思います。
自己採取EBでHPV検査を受けた場合、(採取した後検体を乾燥させるので)追加で細胞診検査は受けられませんので婦人科を受診することになります。アイラボでは通常の検診が苦手な人にCSによる自己採取法を提供していますので、HPV検査で陽性が判明した人には自動的に細胞診検査を追加する措置をとっています。(現在期間限定でこのキットを販売しています。)

自己採取型細胞診は子宮頸がん検診ガイドラインでは推奨されていませんので、基本的には婦人科の受診が必要になります。従って、アイラボの報告書の中には「今回の細胞診検査の結果でASC-US以上の細胞が見られたケースは、必ず婦人科で精密検査を受けて下さい。細胞診の結果がNILMであった人も子宮の奥に発生する腺がんを早期に発見できないことがあるため、婦人科を受診することをお勧めします。」といった注意点を付記します。

HPV検査で陽性だった21名の細胞診結果は?

30名中21名(70%)がHPV検査で陽性でした(表左に)。対象が風俗営業従事者ですので陽性率が高値を示しています。このことについては後で議論しましょう。
21名中細胞診でNILM(異型細胞がみられない)が13名(62%)、ASC-US(HPV感染があるかどうかわからない)が3名(14%)、LSIL(HPV感染が見られ軽度異形成)が3名(14%)、ASC-H(中等度異形成以上の存在が否定できない)が1名(5%)、HSIL(中等度異形成から上皮内癌の存在が推定される)が1名(5%)という結果でした。

HPVの感染がある人でも62%の人はNILNであって異型細胞が検出されていませんが、今後ずっと異型細胞が出ないという確証はないのです。ですから、年に一度細胞診検査を受けなければなりません。
ASC-US(細胞診の結果をみる限りでは異型は軽度)なので今後追跡検査が必要になります。LSILも同様で定期的に細胞診での追跡検査が必要になります。ASC-HやHSILと診断された場合はコルポ診断や組織検査が必要になります。
ハイリスク型HPVに感染していてもASC-US以上の異型細胞が発見させるのは意外と少ないのです。

しかし、2024年7月8日のブログでも紹介しているように、ASC-USやLSILの細胞が出ているときはNILM/ASC-US/LSILが繰り返されますので病院に行くのが面倒になって定期検査に行くのを忘れてしまう方が少なくありません。
自己採取法でもHSILまで進行すると毎月検査しても異型細胞が検出できるようになりますので、面倒になった時は自己採取法でもよいので継続的に調べることが大切です。また、その場合であっても常に子宮の奥に腺がんができることを忘れず、必ず年に一度は婦人科を受診していただく事が大切になります。
自身の健康は自身が責任をもって守ること、それがセルフメディケーションです。

風俗利用で最も感染しやすいのはHPVなのです

今回の研究は風俗で働く女性に協力をお願いしました。
その理由は、HPV感染者が極めて多いことが分かっているからです。
今回は30名の検査で21名(70%)が陽性であったことがそれを裏付けています。
尖圭コンジローマは同じHPVの感染症ですが、性病(性感染症)に分類されています。それは“イボができた”ことが肉眼的にも確認できるため病気として認定されますが、ハイリスク型HPVは感染していてもイボは作らないし、肉眼で見ただけでは感染部位に何の変化がなく、痛くも痒くもないのです(感染初期にかゆみに気付く人がいますが性交後の小さな傷の修復に伴うかゆみと区別は出来ません)。ですから当人は感染させる病気にかかっていることに全く気付くことはなく、大切なパートナーに容易にうつしてしまいます。うつされた女性も全く症状がないため、検診で異形成があると告げられるまで気が付かないのがこの病気なのです。
私は風俗を否定するものではありませんが、風俗営業従事者は利用者のみならず自身の感染予防の点からHPVワクチンの接種を義務付けて頂きたいものです。また、利用者においても、この事実を重く受け止め、HPVワクチンの接種や感染予防策の徹底を考えて頂きたいものです。

私達アイラボの職員は日本性感染症学会認定士の資格を有しておりますが、このような資格を有する者が風俗の現場で定期検査の実施やHPVワクチンの普及活動に当たれるのも良いのではないかと考えています・

アイラボの無料相談には風俗利用後の男性から切実な悩みが毎日届いています。
ご相談は電話(042-652-0750)でお願いします。