二人とも他の人との性的関係はないのに、なぜクラミジアが?

『たまたま病院で検査をしたらクラミジアが陽性という結果が出で、先生から旦那にうつされたと言われた。』『自分は半年前に検査を受けていて、その時は「陰性」で、それ以降旦那以外との関係はないので、旦那に心当たりがあるかどうか聞いてみたら、逆に私が疑われた。』

似たようなケースは開業して間もない頃から比較的多い相談です。
その頃は、保健所でもクラミジアの検査には血液で調べる抗体検査が行われていました。
IgGとIgAを調べる検査で、IgAは感染初期に現れる抗体でIgGはそれより少し遅れて上昇し、かなり長い期間陽性を維持する特徴があります。当時から多いのがIgG(-)、IgA(+)のケースでの相談です。

この検査では、実際は感染していないのにIgAが陽性になり、前に述べたようなパートナー間でトラブルになるケースが多いのです。従って、抗体検査で陽性になったら、性器から検体を採取して、クラミジアそのものが存在するかどうかを(抗原検出法でで)確認した上で治療に進むことになっています。
しかし、そのことを理解していない医師や保健所の関係者が、「陽性なので病院に行って下さい」とか、実際に薬が処方されてしまうこともありました。
「病院に行って下さい」と言われた受診者は十分な説がないものですから“感染している”と思うのは無理もないのです。そして思いもよらない方向に発展しトラブルになってしまうのです。

受診者が(千葉県の某)保健所に説明を求めたところ「アイラボさんに相談して下さい。」と言われた方もいました。そんなことが頻繁に起っていたので、保健所の担当者にその旨を伝えましたが、結構その後もこの検査は続いていましたが、今は抗原検出法が採用されていると思います。無料で検査をしてくれるのはありがたいけど、説明がちゃんとできないのであれば“ありがた迷惑な事”でした。

そんな結構昔にあった問題が、今もあるのか? でも今回は病院でのお話の様です。
何かの間違いであって欲しいので、相談の前に「抗体検査なのか」「抗原検出法であったのか」先ずは確認して頂くことにいたしました。

その後、連絡がないので、この問題を取り上げました。

抗原検出法は、クラミジアそのものを検出する方法です

クラミジアは感染した細胞の中で増えます。
左の写真はクラミジアが感染した細胞で、丸くぼやけた構造をしているのがクラミジアがたくさん増えた時に見られる所見です。
この丸い部分について星雲状封入体nebular inclusionnと(Drシイナが)名付けました。右側の写真は蛍光抗体法という方法でクラミジアの粒子を観察したもので、丸く光っているのがクラミジアの基本小体です。星雲状封入体の中には何万という数のクラミジアが存在します。抗原検出法ではこの粒子が存在すれば陽性になる検査です。現在はこのような蛍光抗体法ではなく、さらに感度の高いPCR法によって検査されています。
それでも、時には「陽性・陰性と判定できない数値を示すことがありますが、そんな時はもう一度検査をやり直すことになっています」再度やり直した結果が本当に正しいか?という問題も少なからず存在するのが検査なのです。


そうなんです。
検査をすれば “陰性なのか” “陽性なのか” がはっきりすると思われがちですが、必ずしもそうではありません。
例えば1.0以上が陽性と判定されるような検査では1.1は測定上“陽性”と判定されますが、真の陽性ではないこともあります。なので、「陽性の結果になりましたので、抗原検出法で確認して下さい」、、、ということになります。抗原検出法で陽性が確認されて初めて治療が行われます。このようなことを確認していれば、「パートナーにうつされたなどの表現にはならないはずです。」

検査を受ける側は大半の場合、そのような解釈については「無知」に等しいので、検査を提供する側にはその辺の丁寧な説明が求められます。前で紹介した保健所さんの対応で、(説明ができないのであれば)「アイラボさんにご相談下さい!」が、誠意ある対応だったと思います。

なので、検査は100%正しいとはいえません。

私達は、基本的に病院やクリニックを受診されている方については、診療の妨げにならないよう配慮しながら、回答しています。
このブログでも紹介させて頂いたように、クリニックを受診したが、自身の思い(自己診断)と異なる対応がなされること少なくありません。そんな時、相談するところがないため、一人で悩むことが多いのが現状です。

私達は、たまたま臨床検査技師で、細胞検査士でもあり、日本性感染症学会認定士の資格を有していることや大学で細胞診の教鞭をとっていたこともあり、特に女性特有の悩み事について、電話やメールで無料相談の場を提供しています。相談したからといって検査キットを購入する必要はありませんので、お気軽にご利用ください。
セルフメディケーション(自分の体調の変化は自分でチェックしてみましょう)

どうしたらよいのか分からない時は、先ずは相談しましょう。
アイラボ以外にも相談窓口はありますので、探してみましょう。
アイラボの無料相談は、日本性感染症学会認定士が全てのご相談に対応していますので、
お気軽に!

メールで相談された方には最後まで対応できていなかったので、内容を若干かえて投稿させいて頂きました。
同じようなことで悩まれている人は貴女ばかりではありません。どういう分けか先週はクラミジアに関する同様の質問が多かったです。参考になれば幸いです。