オンライン診療にも使えるアイラボの郵送検査キット
第3号 最新の子宮頸がん検査(Kit002)

アイラボが郵送検査を始めて20年以上が経ちました。
当時の子宮頸がん検診の受診率は、25%にもにも至っていなかったのです。
郵送検査という方法はあるものの、その頃はあまり評判のいいものではありませんでした。
でも、“やらないよりはやった方がいい”、、、とは思いつつも、細胞診断学の教鞭をとっていたことや学会や関連団体での活動もしていたため、表立って“自己採取法による子宮頸がん細胞診検査”を始めることには躊躇しました。しかし、以前から “加藤式自己擦過法器具”という素晴らしい採取器具があること、医師採取が苦手な人のために自己採取であっても精度の高い検査方法を考えて欲しいという婦人科医であり細胞診専門医の先生の後押しもあって、自己採取法による子宮頸がん細胞診検査キットを世に送りました。

しかし、その当時の自己採取法における検査精度の低さには驚くものがあり、私自身『これは検査ではない』という思いから、いくつかの検査機関や検診機関を訪問し、採取器具の選定や検査法の改善を促してきました。
しかしながら、その反応は『良くないことは分かっているが、大きなクレームがない』という理由で、真面目にとりいて貰えなかった経緯があります。そして昨今、子宮頸がん検診ガイドラインでも自己採取は“ダメ”のお墨付きが出されています(どんな経緯かは分かりませんが)。

子宮頸がん検診の受診率も上がらない、HPVワクチンの接種も浸透しない、そんな日本の子宮頸がん対策であるならば、“何としても医師採取と同程度の検査精度を維持し、自己採取法の灯は消さない”と決めました。同時に、持論でもある『婦人科細胞診は、最も正確で、最も安価な、婦人科感染症(腟炎、トリコモナス、カンジダ、細菌性腟症、HPV関連病変、等)の総合検査法である』ことを広め、守っていきたいと考えています。

ここでは自己採取法による細胞診とHPV検査の併用検査についてお話しします。

自己採取法の特性を知れ!

この写真は、加藤式自己擦過法器具で、大阪の大成化工株式会社が製造販売しています。
この器具はすでに400万本が出荷され、安全性も確かめられた子宮頸がん検査用に開発された器具です。
タンポンのように自分で挿入して、奥まで入ったら6回先端のスポンジ部分を回転させて子宮の入り口をこすって細胞を採取します。そればかりではありません。自然に剥がれ落ちて腟内にたまっている細胞もからめとってきますので、大量の細胞成分が採取されるのです。実はそれが利点であり、欠点でもあるのです。あまりに多くの細胞をからめとってきますので、お医者さんが子宮の入り口や少し奥に入ったところ(子宮頸管)を集中的に採取する検体に比べ、異常な細胞の割合が相対的に少なくなってしまうのです。

このことを理解していれば、どのような標本を作製したらよいのか?どのようなことに注意して顕微鏡を観察したらよいのか?工夫すれば精度を上げることが出来るのです。それが自己採取検体を扱う上で最も重要なことなのです。
「受診者からクレームがないから現状でOK」では、検査にはならないのです。
「クレームがない」と言う人は「現実に起こっていることを知らないのでは?」、、、ないでしょうか。
加藤式擦過法器具が腟内に挿入されている図です。
器具の先端部分はスポンジになっています。スポンジの部分を回転させることで、子宮の入り口を擦ります。同時にスポンジの先端部は後腟円蓋部(自然に剥がれ落ちた細胞が溜まっている場所)の細胞も絡め取ってくる仕組みになっています。
6回転させてから、スポンジ部分を器具の中に戻してから器具全体を腟から抜きます。抜いた後にスポンジが収納されている筒の中に保存液を全て入れ、しっかり蓋をして、必要事項を記入した検査依頼書と一緒にアイラボに送って頂きます。

この器具は細胞診検査用に考案されましたが、HPV、クラミジア、淋菌、マイコプラズマなどの遺伝子検査にも対応可能です。子宮頸がん健診に用いられるHPV検査は、医師採取と自己採取では結果に大きな差がないため、既に他社製自己採取器具(エヴァリンブラシ)は検査機関や検診機関でも採用されている採取器具です。
当社ではすでに加藤式器具とエヴァリンブラシについて、HPVの検出率の比較を行っていますが、陽性一致率95.7%、陰性一致率 87.5%であること確認しています。
検査の結果は(郵送の場合)写真の様に報告されますが、ネット報告は報告書の形態が異なります。

当社における細胞診の結果は、ベセスダ方式でのご報告ななります。ASC-US以上の異型細胞が見られた時は、全て写真が添付されます。また、LSIL以上の異型細胞の検出率は、通常の子宮頸がん検診ではおおむね2%程になりますが、風俗営業従事者の場合はおおむね20%以上になり、最近実施した30名におけるLSIL以上は7名23.3%でした。このような数値は当社における自己採取法による細胞診検出率の目安にして頂ければ幸いです。

HPV検査には感染しているHPVの型まで調べる“HPVタイピング検査(ハイリスク13種)も提供していますが、こちらはuniplex E6/E7 PCR法にて検査しています。過去にHPVの感染やLSIL以上の診断がついついている方はこちらのキットが良いかと思います。““感染しているHPVが持続しているのか?”を見るのに適しているからです。
自分で努力すれば“早期に発見できるがん”“なかなか早期に発見できないがん”があります。
子宮頸がんは、定期的に検査を受ければ、子宮を摘出することや“命を落とすことはないがん”なのです。

検診を受けるのが“恥ずかしい”、“忙しく時間がない”、“特に症状もないのに面倒”、そんな検診が苦手な人にも、今は様々な選択肢があります。ワクチンの接種や私達が提供している郵送検査もその一つです。子宮頸がんは、HPVに感染してもすぐにがんになるわけではありませんので、“定期的に検査を受けていれば、子宮と命を守れるがん”なのです。検診の機会は各自治体や会社で行っているものだけでなく、自身で受けるドックや郵送検査がありますので、自分に合った方法を選ぶことができます。納得のいく方法でよいと思いますので、セルフメディケーション! HPV感染から子宮を守りましょう。
医師採取であれ自己採取であれ、HPVに感染しても必ず異常な細胞が出るとは限りません。
陰性(NILM)の結果が出てもHPVいなくなったわけでも、異常な細胞が存在しなくなったわけではありません。
必ず、担当の先生の指示に従って定期的にチェックしてください。
検診でHSILと診断されたり、HPV検査で陽性と診断されても精密検査を受けない人も少なくありません。
せっかく発見されても何の意味もなくなってしまいます。
“面倒だな”と思っても、子宮頸がんから自分を守るためには、“今どんな状況にあるのか” をチェックしなくてはならないのです。少なくてもHSIL(前がん状態に向かっている状況)になっていないかどうかをチェックすることが重要です。

悩んでいる人はまず私達に相談してください。