HPV検査が陰性なのに なぜHSIL?

“クリニックからの問い合わせ内容”
「今回アイラボさんにお願いした細胞診結果は“HSILで中等度から高度異形成が推定されます。”という結果が来ましたが、
1っカ月前に他のクリニックでHPV検査を受けていますが、「陰性」の結果を頂いている患者さんです。そんなことがあるのでしょうか?」

結論的に申し上げると、“あり得ます。”
受診者にとっても、検査を依頼したクリニックの先生にしても、「そんなことあるの?何かの間違いではないのか?」と思われるのも当然かと思います。

HPV検査には、多くの国で2つの方法が採用されていますが、感度が低いことで検出できないことや、13種のハイリスク型の中の一部が検出できないものなど、検査で全て検出できるわけではありません。

従って、信頼度は100%ではなく95%程度と評価されています。

婦人科の先生が疑問に思ったケースはこんな感じ!

細胞診でHSILの診断に否定的なご意見を持たれる方は少ないと思います。
実は、このような問い合わせを頂いたのは過去にも数件ありましたので、それらを含め、当社の研究部門のお手伝いを頂いている杏林大学保健学部の大河戸光章先生が開発した「高感度多種HPV検出法 Uniplex E6/E7 PCR」を用い、39種HPVの型分析を行いました。

その結果、検索した7例からハイリスク型として分類されていない82型(中間群)が検出されました。
その後も当社では3例の同様のケースを確認しています。

私達はこのような経験から、HPV単独での検診には危険が伴うため、細胞診とHPV検査の併用を推奨しています。
子宮頸がん検診は医師採取が基本であり、自己採取法は検査機関により異型細胞の検出精度が大きく異なるため、推奨されていません。当社では、医師採取による子宮頸がん検診が苦手な人を対象に加藤式器具による自己採取法を提供していますが、この方法においても細胞診単独検査より、HPV検査を同時に行う併用検査「最新の子宮頸がん検査」を推奨しています。
どの検査もそれだけで100%安心できるものはありません。今回紹介したようなケースは決して多くはありませんが、“HPV検査が陰性だから安心!”とは言えないこともあることを知っておきましょう。