大切な人にHPVを感染させない!

男性のHPV検査が急速に伸びています。
その背景には、子宮頸がんとHPVの関係が広く一般に浸透してきたことが考えられます。
私達がHPVに関する研究を開始したのは40年も前のことですが、当時学会で子宮頸がんの原因となるHPVは性交で感染するので、HPV感染は性感染症(性病)であると発言すると、座長の先生からは「子宮頸がんの原因が性感染症であるとの発言は控えるよう」注意された記憶があります。多分その理由は、HPVは多くの女性が感染している感染症で、淋病や梅毒などの性病とは異なるとの認識があったようです。また当時から子宮頸がん検診の受診率が低かったこともあり、子宮頸がんと性病を切り離したかった意図もうかがえました。
しかし私は、HPVは性交で感染するのは事実なので、事実を国民に知らせることの方が子宮頸がんの撲滅につながると考えていました。

アイラボを立ち上げ、郵送検査サービスやHPでの病気の紹介を通して真実を知らせることで、検診の大切さ伝えたいと考えました。そして20年が経過し、今は大切な人にHPVを感染させたくないという男性が増えてきました。今になって男がやさしくなったのではありません。子宮頸がんの原因(真実)が広く社会に伝えられるようになったからです。
「検診が大切!」「ワクチンが必要だ!」そんな議論とは別に「感染を予防するためには?」という議論が巻き起こることを楽しみにしています。

HPVなんかに感染したくない!

写真左(上)は弱拡大ですが、中央付近に核の大きな細胞が見られます。
写真右(下)はその拡大像です。この細胞を見て私達はHSIL(高度異型扁平上皮)の中の中等度異形成かな?、、、と思いますが、結果としてHSILと「診断」はせず、ASC-H(中等度異形成)の「存在も否定できない」と推定診断しました。
これまで沢山のHPV感染細胞を紹介してきましたが、チョットHPV感染の特徴は出ていません。
HPVに感染した細胞の最も特徴的な所見は、核の周りが白く抜けるコイロサイトーシスですが、最も危険なHPV16型にはこの所見が現れません。そんなことも考えれば、16型の感染かな?、、、と思わせます。

少し本題からそれてしまいましたが、男性の場合この写真のような細胞診による感染の有無を調べるのは著しく感度が落ちてしまうので適切な検査法ではありません。感染細胞が少ないため、PCR法など検出感度の高い方法でも検出できないことがあります。そこでアイラボでは、杏林大学保健学部大河戸先生の協力を得て、高感度多種HPV検出法uniplex E6/E7PCR法を採用し、郵送検査におけるHPVタイピング検査に用いています。
今、アイラボのキットの中で、皆さんに最も多くご利用いただいているのはHPVタイピング検査(ハイリスク)+コンジローマですが、男性からのご依頼が圧倒的に多くなっています。このようなキットは他のサイトでも購入できると思いますが、検出精度がその理由かと思います。
なぜ男性の方からの注文が多いのでしょうか? 
それにはいくつかの理由が考えられますが、その一つはHPVが性行為でうつることが一般に周知されてきたことがあげられます。
アイラボの無料相談でも、「風俗を利用したので」や「以前利用したことがあるので」が最も多く、次いで「不特定の人と行為があったから」があげられます。また、最近付き合い始めた彼女から、「アイラボのキットで調べるように言われた」が続きます。
一方、女性の場合は、単に「子宮頸がんが心配だから」が圧倒的に多く、次いで「知らない人との行為があった」や「以前風俗を利用したことがある人との行為があったから」が多いようです。

子宮頸がんの予防には子宮頸がん検診(細胞診)を定期的に受けることやHPVワクチンの接種が一般的ですが、HPVワクチンの接種が進まない日本においては、HPVの感染があるかどうかも郵送検査で容易に調べることができるようになりました。そして今回紹介しました様に、あらかじめHPVの感染をチェックしてからのお付き合い開始というように、多くの選択肢が準備されていますので、自分に合った子宮頸がん予防策を選べるようになりました。
癌の中には発見された時は既に手遅れのものもありますが、子宮頸がんは手遅れになる前にいくつもの選択肢があります。子宮頸がんこそ、セルフメディケーション「自身の責任で自分の体を守ることができる病」であることを認識してください。アイラボは細胞診と遺伝子検査が得意なラボですので、お気軽にご利用ください。