HPVと膣ガルドネラ菌は仲良し?

私のブログの半分以上が細菌性腟症とHPV感染に関係したものですが、HPV感染が疑われるASC-USやLSILケースで細菌性腟症が合併していることがとても多いのです。そればかりでなく、円錐切除術(高度異形成や上皮内癌と診断された人の病巣部分を切除する手術)を行った人にも細菌性腟症のケースが多いのです。
ある婦人科の先生に円錐切除後の方に細菌性腟症が多いのはなぜですかと質問すると、“治療してもご主人(パートナー)からうつってしまうから”、、、、という回答でした。

私は、乳酸菌に代わって腟ガルドネラ菌が腟内を支配するようになると、乳酸菌が支配している時に比べ、HPVの増殖や感染が起こりやすくなるのではないかと考えたくなるぐらいです。

今回、またそれらしいケースに遭遇しました。
早速見てみましょう。

そうそうこんなケースですよ!

白血球の増加は比較的弱い標本背景ですが、細菌性腟症に特有なClue cell (クルーセル)が見られます。
また写真の中央には赤く染まるASC-US相当の異型細胞が見られます。
腟ガルドネラ菌とHPVが同居できるのだから、両者はとても相性がいいのかな?、、、なんて思ってしまいます。

また別の見方をすれば、腟内環境が乱れず、腟内が腟ガルドネラ菌に支配されない環境であれば、HPVの感染も起こりにくいのではないかと思ってしまうのです。つまり、腟内がたくさんの乳酸菌の仲間によって守られている環境であればHPVの感染も起こりにくいという論法にはならないだろうか?
いつもそんなことを考えながら仕事をしています。
もしそうだとしたら、腟内環境を常にチェックできれば子宮頸がん対策に貢献できるのでは?、、、何って思うぐらいです。いずれにしても腟内フローラである乳酸菌の仲間が腟内を支配していることの大切さがわかってきますね。

乳酸菌の仲間を守る方法は、規則正しい生活習慣の維持が最も重要かと思います。
そんなわけで、自身の腟内フローラチェックは、多くの感染症から自身を守ために、とても大切なのではないかと思います。