症状だけで病気を決めつけないで!

おりものの臭いが気になり、細菌性腟症ではないかと心配になり、アイラボの「腟内フローラチェック」のキットを購入された方もケースです。
細菌性腟症はおりものが“魚の生臭い臭いがする”と表現する方が多いように、専門的には「魚臭帯下」と言います。実はこの病気は、私が初めて学会で報告した40年ほど前は、婦人科の先生方にもあまり知られていない病気でした。しかし最近では、ネットの普及によって多くの方に知られる病気になりました。
それだけではありません。この病気を疑って検査を依頼された方の多くは細菌性腟症です。

さて、今回の方も正解(細菌性腟症)なのでしょうか?
早速顕微鏡を見てみましょう。

あれ?

これは細菌性腟症ではなさそうです。

写真の背景にはなにやら細菌のようなものがたくさん見えます。
「細菌性腟症は」はずれですね。
正解は腟カンジダ症です。
拡大を上げた右(下)の写真には、少し赤みがかった酵母の様な細菌が見えます。
木の枝のような仮性菌糸は見られませんが、まさしくカンジダです。
腟内はカンジダだらけの状態と思われます。
これではおりもののにおいが気になるはずです。
腟カンジダ症の症状は“かゆみ”ですが、この方は特にかゆみは気にならなかったようです。
かゆみの次は“白いおりもの”が特徴で、“オカラ様”とか“かゆ状(おかゆの様に見える状態)”だとか、“カッテージチーズ様”などと表現されます。このケースでは、これらの症状も特に気になるほどではなかったようです。
なので、細菌性腟症を疑ったのかも知れませんね。

婦人科の先生方から依頼される検査でもよく経験することですが、先生から「カンジダはいますか?」という依頼があるケースでも、実は「細菌性腟症」だったり、またその逆であったりすることも少なくありません。症状だけでは「はずれ」もあり、実際は「細菌性腟症」なのに「カンジダ」の治療薬が処方されるケースもあるようです。
多くの女性が悩むこの病気(個人的には病気ではなく状態)ですが、先生方にも「大したことはない!」と、素通りされてしまうのかも知れません。子宮頸がん検診でも細菌性腟症にはたくさん遭遇しますが、報告書に記載しないよう指示されることも少なくないのは大変残念なことです。
だから検査があるのです。今回のケースは腟内フローラチェックの依頼でしたので、カンジダの検査も含まれているので“幸運”でした。今回の教訓は「症状だけで決めつけない」ちゃんと検査で確認することが大切!、、、です。セルフメディケーション!検査をされたあなたは合格!