炎症や傷がつくと修復されます

よほど大きなケガでなければ、いつの間にか元通りになっています。
これは組織修復という機能で、皮膚や粘膜では絶えず起こっています。
例えば女性性器の場合、腟は皮膚と同じ物理的刺激にも強い重層扁平上皮でおおわれていますが、子宮の入り口(子宮頸部)から奥(子宮内膜)に向かっては粘液を分泌する一層の円柱上皮という組織でおおわれています。また、子宮頸部の円柱上皮が腟の中にめくれる(外反)とそこには扁平上皮化生という組織ができます。これら組織は物理的刺激や腟炎などによって傷つけられることがあります。
そんな時に細胞を採取すると組織修復細胞が見られます。

これは円柱上皮を修復していた細胞です

傷口の周りから中心に向けてあらゆる方向から細胞がシートの様に増え、素早く傷の表面を覆っていきます。
円柱上皮、重層扁平上皮、扁平上皮化生それぞれ修復細胞の形態(顔つき)は若干異なりますが、これら細胞は円柱上皮の修復細胞と思われます。
右(下)の細胞を見ると出来立てほやほやの柔らかそうな感じがします。
しかし、核は大きく生き生きしていますので、時にがん細胞との鑑別が難しいこともありますが、細胞検査士の資格を持つ人は間違えることはないと思います。
感染症などで強い腟炎がある時、細胞診や組織検査をした後、避妊具を装着している人などで見られます。
しかし、子宮頸がん関連病変ではないのでこの細胞が出ていても診断は「NILM」です。