円錐切除後嫌な臭い続きませんか?

高度異形成や上皮内癌が疑われるケースに円錐切除術という方法で病巣だけを取り除く治療が行われます。
当然のことですが、治療後の感染予防のために腟内には抗生物質が投与されます。
そのため、腟内正常細菌叢(腟内で複数の細菌がバランスを保って環境を守っている状況)が元の状態になるまでにはかなりの時間を要すことは想像できますが、治療後1年以上経過したケースでもかなりの頻度で細菌性腟症の状態が持続し、腟内フローラ(乳酸菌の仲間)が回復していない症例に遭遇します。
このことについて、婦人科の先生に質問してみると、「性生活の復帰に伴い、元の状態(細菌性腟症)に戻ってしまうのではないか」との回答が来ました。つまり、パートナーから腟ガルドネラ菌がうつるという考え方です。
その詳細は分かりませんが、治療後細菌性腟症(臭い)で悩まれていることはありませんか?
最近ちょっと気になっています。

術後一年4ヵ月経過後の細胞像

左(上)の弱拡大では、青色に染まりゴマ粒のように見える白血球がたくさん存在します。
若干腟炎の状態で、オリモノが黄色味を帯びていることが推測されます。
しかし、本人にとっては、前がん病変(高度異形成や上皮内癌)を治療しているので、今の状態は「問題ない」と思っているかも知れません。
しかし、右(下)の写真のように、乳酸菌はほとんど見られず、細菌性腟症の代名詞的なClue cell(クルーセル)も見られます。
写真で示すような状況で「臭いやおりものは気にならない」と答える人は少ないと思います。
Dr シイナラボ(アイラボ)の郵送検査キットの中で「腟内フローラチェック」や「おりもの&臭いの検査」を依頼される方の80%近くは、“臭いが気になる”ようです。
少しづつですが、おりものや臭いについて“気にされる女性”が増えてきたように思えます。
かなり昔の話になりますが、杏林大学で教鞭をとっている時、恩師の偉い先生が、「今どんな研究をしているのかね?」と聞いてきたことがありました。すかさず「女性のにおいに関する研究です」と答えると、帰ってきた言葉が「そんな臭いを消すようなつまらん研究はやめろ!」でした。心の中で「先生、分かってんのかな?」と思いつつ、とっさに出た言葉は「先生が思っていらっしゃるような“ヘロモン的”な臭いではありません。不快に感じる臭いの研究です。」と答えました。、、、でも理解はしていただけなかったようです。
女性のQOLの向上をお手伝いする研究なのに!!!