おりものの異常とわずかな出血 がんが心配!

40代前半の方、「子宮頸がん検診はこれまで数回受けただけで、ここ10年ぐらいは受けていないので子宮頸がんが心配! 特におりものが気になるので、近くの婦人科を受診したが、内診と問診をしたが特に問題はないとのことで、検査をしないで腟内に何か薬を入れてくれた。しばらくはオリモノが気にならなかったのですが、元に戻ってしまうので、がんが心配になり、郵送でできる検査を受けました。」が検査を受けた理由です。

早速顕微鏡を見てみましょう。
これは顕微鏡の400倍の写真です。
視野全体に、ゴマのように見えるものが白血球です。
白血球がたくさん見えるということは、腟内で炎症が起こっていることになります。
つまり、何らかの理由で、細菌や虫、カビ、ウイルスなどが腟内で増えているために、それらを退治する白血球が増えているのです。白血球が増えてそれら微生物を貪食(どんしょく=白血球の中に取り込む)すると、白血球は死にます。それが“膿(うみ)”の元です。従って、腟内で炎症が起こっているとオリモノは黄色になります。この方はかなりひどい状態ですので、おりものの量が多いばかりでなく、臭いも伴っていると思われます。強い炎症を起こしていますので、時には軽い出血を伴うこともあります。

さて、炎症の原因は何でしょう?
さらに拡大を上げてみました。
白血球の形がより鮮明に見えるようになりました。
この方は、“がん”が心配で検査を受けられましたが、どうやら、この拡大した写真の中には気になる異常な細胞は見られません。
白血球より小さく、ややオレンジ色に染まる楕円形の構造物が散見られます。
これはカンジダの胞子です。
従って、この方の腟炎の原因はカンジダの増殖がその一つであることが分かります。

先ず、原因の一つがカンジダでした

腟カンジダ症の特徴は、①かゆみを伴う事 ②白っぽいおりものの増加ですが、この方の様に炎症を伴っているケースではおりものは黄色くなります。また、かゆみはカンジダ症だけでなく、トリコモナスの感染がある時、ヘルペスの感染初期、HPV感染初期、さらに細菌性腟症や淋菌やクラミジアの感染時にも症状を訴える人がいます。
従って、婦人科の先生も、オリモノの性状や臭いでそれら感染症を区別することはなかなか難しいようです。
アイラボに検査を依頼される先生方でも「カンジダはいますか?」というケースが実は「トリコモナス」であったり、「細菌性腟症」であったりします。従って、経験だけではなく、しっかり検査をしたうえで治療に進むべきで、今回も腟錠を処方されたようですが、それがカンジダの治療薬ではなかった可能性も否定できません。
また実際カンジダの治療薬が処方されたとしても、治療後の完治確認検査を行っていない場合は、完全に治っていないこともあります。完治確認検査は病院で行ってくれるのが一般的ですが、行われないこともありますので、そのことを確認して必要であれば郵送検査でも確認できます。

いつもと違う症状は“何らかの異常”のサイン

今回紹介した方は、“オリモノがいつもと違う”、“病院を受診して治療しても症状の改善は一時的”そんなことで『がんが心配になった』ケースです。
もう40年も前の話になりますが、ある婦人科の先生が2週間の間に2度子宮頸がんの細胞診検査を依頼してきたことがあります。最初の検査の報告書を見ると、“クラスⅡで、扁平上皮化生細胞がみられます。”という結果でした。
そして2度目は私が検査を担当しました。まだクラミジアの検査法が確立していない時期でしたが、私はクラミジア感染を疑い、検査を依頼した先生に電話で、2週間後に再検査をされた理由を伺いました。先生の回答は『出血が止まらずがんを考えています。』でした。このように婦人科医であっても、原因がはっきりしなければ“がんを疑う”でしょうし、確認のため短期間の間に再度検査をすることもあるでしょう。
この方が“郵送検査を受けてみよう”と思ったり、“セカンドオピニオンを選択したい思い”も当然です。
この方の様に、いつもと違う症状があるときは、早めに検査をすることで悩みからも解放されます。
そのままにしないことが病気の早期発見のみならず、QOL(生活の質)の向上にもつながるのです。

悩みがある時は、先ずアイラボのスタッフにご相談下さい!
042-652-0750です

電話で担当の先生にクラミジア感染が疑われることを伝えた訳

その頃は他の検査機関で仕事をしていましたので、『研究段階では明らかになっていることでも、報告書には書かないでください』ということになっていたからです。そして40年が経過した現在でも、多くの検査機関で、「クラミジアの感染が疑われます。」との記載はしていないと思われます。多分その理由は『もしその件で問い合わせがあっても説明できないから』だと思います。それはクラミジアだけではありません。細菌性腟症に関しても明らかに教科書的な所見が見られても記載ができない検査機関が多いと思います。それも同様で、検査機関のみならず、お医者さんも患者さんに説明できないという理由があるからではないでしょうか?

こんなことがあり、“おりものが心配だから子宮頸がん検査を受けた人の場合”、子宮がんは心配なかったという結果をもらっても、“おりものの原因が報告書に反映されないことが多いのです。”

おりものが心配な時は先ずご相談ください!